仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2011.10.31
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カテゴリ: 宮城
名取市の県農業高校は海岸に近いことから津波で大きな被害を受けていたが、9月から市内丘陵部の仮設校舎に移っている。

農業県宮城を支える県立高校の伝統は明治18年に起源するが、その前身の宮城農学校は明治に我が国の三農学校として讃えられた名門である。

以下は、菊地勝之助編『名数みやぎ郷土小事典』(宝文堂、1973年、1987年復刻)から「日本の三農学校」の項目を下に引用する。


我が国の農学校で創設の歴史が古く、また施設に特色があり名門校として校風が高かったのは、札幌、東京駒場、そして宮城の三農学校であった。

札幌農学校はクラーク博士などの協力により明治10年に創立。札幌農大(ママ:おだずま注)の前身で、新渡戸稲造、志賀重昂、内村鑑三など多くの異才を出した。

駒場農学校も明治10年代の開校で東京大学農学部の前身。横井時敬、佐藤寛治、山崎延吉などの人物が出ている。

宮城農学校は、明治14年に設置した県立農事講習所を前身とし、同18年7月に改組して宮城農学校と称し、農学の研究と農事指導において全国的に重きをなしてきた。本校出身の人物に貴族院議員佐藤亀八郎、仙台市会議長佐藤長成、日本専売局勅任技師神田孝一等がある。近年農業高等学校に改組とともに宮城県農業短大を設置するなど地方農業の本山となっている。



札幌や駒場は、それぞれ大学農学部として受け継がれたと思われる。宮城は、高校として日本で最も伝統ある農業高校と言えるようだ。

念のため、宮城県教委の 公立高校ガイドブック の各校の紹介を覗いてみると、

宮城農 創立明治18年
小牛田農林 明治21年
仙台一 明治25年
宮城水産 明治29年
仙台工 明治29年
宮城一 明治30年
古川 明治30年
亘理 明治31年
仙台二 明治33年
加美農 明治34年
黒川 明治34年
佐沼 明治35年
仙台二華 明治37年
柴田農林 明治41年
県工業 大正2年
石巻 大正12年

(なお、白石、角田、築館、気仙沼、塩釜などは、統合のため平成年代の近年が創立と表記されている。)

明治初年に殖産興業の中心はやはり農業だったはずで、創立が早い。ちなみに、東北各県で最も伝統ありそうな農業高校をみてみると(各校サイト)...

三本木農業 明治31年
盛岡農業 明治12年
大曲農業 明治26年
村山農業 明治28年
福島明成(旧福島農蚕)明治29年
会津農林 明治40年


人材育成をめざしていち早く設立された学校への期待は大きかっただろう。宮城県農業高校の伝統はすばらしい。がんばれ宮農、がんばれ東北。





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最終更新日  2011.10.31 20:39:29
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