仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2011.11.13
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カテゴリ: 東北
畑村洋太郎『「想定外」を想定せよ!失敗学からの提言』(NHK出版、2011年8月)に書いてあったことで印象に残った。

安全を守るためにセンサや制御技術を駆使して守ろうとする制御安全の思想を過信すると、本質的な安全がおろそかにされる。六本木回転ドアの事例やJR電車ドアのベビーカー引きずり事故などでも言えるように、本来補助的な思想に過ぎず、本質安全を一層高めたり使いやすさを加える役割に過ぎない「制御安全」に依拠しすぎると、例えばセンサの誤作動や、制御安全の設計自体の過誤に対応できない。物の動かし方をゆるめて危険そのものが起きないようにする「本質安全」に優るものはないことを、忘れてはいけない。

こういうことだと思う。これは、まさに安全の本質論で、さまざまな場面に言える。コンピュータシステムと情報管理もそうだ。また、社会システムや組織管理論にも言えると思う。例えば、あいつに任せているから安心だ、定期監査しているから大丈夫だ、という「安全のための仕組み」に安心していると、現場の不正を見逃す。現場に足を運ぶことをせずに、本末転倒の安全感覚に安閑としてはいけないということだ。

さて、上掲書著書の畑村氏は、東日本大震災から学ぶことにも言及している。

「想定外」とは一定の可能性の設定の外側に人為的に仕切られただけのことで、可能性がある以上起きるものは起こるのだから、想定をせずに済むものではない。また、ほんらい防潮堤は津波をうまく逃がしながら人間が逃げる時間を確保する思想であったと思われるのに、防潮堤の存在に絶対的安全を委ねてしまったのでないか(田老の防潮堤の事例)、などが述べられている。

安全はハードだけで制御できるものではない。

■関連する過去の記事
明治三陸大津波から110年 (06年6月16日)





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最終更新日  2011.11.13 11:55:24
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