仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2012.11.05
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カテゴリ: 仙台
ガソリンカーなる言葉は久々に目にした。私には、刑法各論の往来危険罪の解釈で「汽車」にはガソリンカーを含むという判例(大審院昭和15年)が頭に残り、これは許される拡張解釈の事例としてもしばしば挙げられたと思うのだが、そのガソリンカーとは如何なるものか、たぶん軌道を走るものだろうが通常の鉄道とは違う路面電車的なものか、などよくわからないままでいた。

木村孝文『若林の散歩手帖 新寺から藤塚までの史跡を訪ねて』(宝文堂、2000年)を読んでいて、「行人塚」の項に出てきた。

広瀬川の洪水を防ぐため人柱になった行人の恩を忘れないために、七郷の村人たちが塚を築いて弔った。その行人塚が町名となり、昭和13年刊の仙台市地図には、東北本線に「行人塚」という ガソリンカー 駅の記載がある。ガソリンカーは昭和8年から長町と塩釜の間を運行したが、戦後廃止されている。

こんな内容だ(上掲書pp126-127)。

ところで仙台市若林区のサイト「ことば一覧」に、 ガソリンカー の解説がある。転載させていただく。


昭和4年(1929)、仙台塩竈間の東北本線の線路を使ってガソリンカーの営業が始まった。しかし故障続きでわずか三日で廃止となったという。その後、昭和7年8月に再開され、塩竈長町間まで路線が広がった。
山王、東仙台、小田原東丁、仙台、そして三百人町、行人塚にも駅が置かれた。ガソリンエンジンを積んだ車両で、一両43名定員、全長10メートル、最高50キロのスピードが出たという。
戦時色が強まると燃料不足のため運行本数が徐々に減り、戦後に廃止されて駅も取り壊された。年配の市民にとってはなつかしい乗り物である。



戦前は仙台一高や河原町にも便利な駅があったと、よく聞くが、それが三百人町駅、行人塚駅なのだろうか。

するとガソリンカーとは、軽便や路面電車ではなく、東北本線の軌道の上を走る動力車ということか。「汽車」の拡張解釈にあるように、蒸気機関車のかわりに油の内燃機関で走る動力車。つまり、ディーセルカーの兄弟という位置づけなのだ、と一応理解しておきたい。

■関連する過去の記事  行人塚の地名の由来 (2008年9月12日)





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最終更新日  2012.11.05 22:29:39
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