仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2016.02.14
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カテゴリ: 仙台
今年(平成28年)、岩切駅に新たに自由通路も建設が始まり、多賀城市新田や南宮地区、また宮城野区分の東河原の人々の通勤通学に便利な南口が開設されるという。たしかにこれら地区の人々は、目の前に東北本線が通って、駅のホームに並び立つ人たちの光景も眼前にあるというのに、狭くて暗い高架下ガードをわざわざ迂回して駅北側の出入口まで歩かねばならない。5分程度はロスしているし、何より朝は混雑、夜も道路交通が危険である。

岩切駅周辺の歴史については、三浦昇さんが著した『郷土再発見 我がふるさと岩切』で読んだ。私の手許にあるのではなく、かつて公共図書館で読んだ記憶で書くのだが、高校の先生をしておられた氏が30年をかけて地元の歴史や風物を網羅的にまとめた本当にすばらしい労作だ。文献の博捜によって歴史を、また、肉声や写真などをもとに明治から昭和に至る生活の視点、またかつての町並みの姿など、すみずみまで生き生きと岩切のまさに全てを知ることができる一冊だと思うが、、同時に、地域を知り伝えるという姿勢の原点を私は思い知らされて大変勉強になったと感じたのだ。

さて、その三浦氏の著作では、東北本線が塩竈まで開通したとき、岩切駅は現在より東の南宮の方で、現在の塩竈街道踏切の付近にあった。踏切からすこし岩切側で教会があったところで、1年後に現在の位置である洞ノ口に移されたという。また、その際に加藤某さんが移転を迫られたこと、鉄道の盛り土のために周囲から土を掘ったのでため池が発生したこと、七北田川の鉄道橋のすぐ下流側に人が通れる橋があったこと、さらには、鉄道開通で今市側の旧街道がさびれて洞ノ口や若宮など塩竈街道沿いが活況を呈したことなどが記されていた(と思います。私の記憶が違っている点はご容赦下さい。)

多賀城市議会の議事録をみると、平成25年頃の段階では、岩切駅南口の連絡自由通路が取り上げられ、仙台市で平成22年度に岩切駅を橋上駅にする調査費が計上され、翌23年度にJRが実施設計という矢先に震災が発生した、という内容がある。かなり以前から新田地区などで、県道を2度もわたる危険を避けて南口を作ってほしいとの要望があったが、事業主体が仙台市であること、負担金が生じることもありうること、などのやりとりがあるようだ。平成26年になると、仙台市とJRが事業をスタートさせたとの答弁があり、直近の平成27年の12月には、工事は平成28年度から2か年で行われ、駅の橋上化と南北の出入り口を結ぶ自由通路ができること、南口には送迎車両の転回スペースと駐輪場ができること、などを市長が答弁している。負担金は生じないようだ。

130年前の岩切駅(現在地点)の開業で、おおきく岩切は変わった。塩竈街道沿い、また、安楽寺に至る七北田川沿いの道筋などは、その後に宅地化が進んだと思われ、県道の踏切がガードになるなどの改良はあっただろうが、駅の利用の不便は解消されずにきただろう。他方で、北口(と今後は呼ばれるだろうが、要するに駅前)の付近は、昔ながらの狭い街道だったのが、近年大きな道路が開かれた。

2年後にどんな「南口」ができるのか、楽しみである。

オバケの木
(10年くらい前です。岩切駅ホームで見かけたオバケの木?)

岩切駅周辺に関して、もう一つ気になっていること。七北田川をわたる橋のことである。現在、七北田川(冠川)をわたる橋は、今市橋と岩切大橋、それに鉄道橋(東北本線と新幹線の高架渡河橋)だ。上掲の三浦氏の労作に、岩切近辺ではかつて仮設の土橋のようなものがあったし、また(上記のとおり)明治には鉄道橋のすぐ下流に橋があったというのだ。

たしかに、東北本線の南東に取り残された形の岩切東河原地区と、川向かいである鴻巣地区をむすぶ橋があっても良いような気がする。人が通れる橋があれば、東河原の小学生が岩切小に通うのにわざわざガードを回らなくて済むし、鴻巣や余目地区の人たちも、上流の岩切大橋を迂回することなく、川向かいの岩切駅に向かって歩ける(南口できればなおさら)。なお、かつては鉄道橋の保線用通路を小学生が歩いたという話も聞く。

これも、明治の岩切駅開設にともなう地域の課題ではないのだろうか。仙台市議会の議事録をざっと見てみた。

1992年頃の赤間議員の質問に、従来何十年と地域住民は本来国鉄職員限定の鉄道橋を渡ってきたこと、JRはこれを禁止としていること、余目や鴻巣地区に住宅が増えており、岩切駅に直結する道路が必要なことなどが言われている。市側の回答は、大橋を渡ってもらいたい、新橋については両地区の推移をみて検討する、などの内容。

■関連する過去の記事(岩切大橋から見た七北田川と鉄道橋方面を望む画像あります。その他記事は、この記事の過去記事リストをご参照下さい。)
今日の七北田川 (2015年9月13日)





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最終更新日  2016.02.14 11:29:19
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