仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2016.03.13
XML
カテゴリ: 雑感
昨日は仙台防災未来フォーラム2016に参加した。国際センターと博物館で行われている各セッションを行ったり来たり、大変充実した内容で、防災行動を仙台から世界に発信する意義を改めて強く感じた。

防災・減災のために何をすべきか、どのような課題認識を持って我々は対応していくべきかの私の本業に関する中身の議論はさまざまあるのだが、当ブログ編集長としては地域づくりの視点で大変興味深く思ったことを記したい。

内閣府主催の地区防災計画フォーラムでは、地区防災計画づくりと実践に関する全国20の取組事例が紹介された。高齢者、学校との関係、企業との連携、活動承継の課題などなど非常に多くの論点が浮き彫りとなり、同時に解決への鍵も多かった。また、応急対応だけでなくその後の5年10年の取組プロセスも視野にいれた「事前復興」の考え方、また、自治会に入っていない人への対応、別荘滞在者などの対応なども視点も提示された。こう考えると、地区防災計画づくりは、まさに地域づくり、まちづくりと重なってくる。お仕着せのプロトタイプでは役に立たないのであって、その地域の生の姿に見合って地域を生かし続けるための計画だからだ。

中でも一つ。福井県あわら市の吉崎地区の方のお話があった。まず、吉崎地区の市街地の中を、福井県と石川県(加賀市)の県境が分断している。県境またぐ町なのだ。日本海地震の津波想定は、両県で異なる。そして、避難場所は、石川県域も含めて、福井県側にある吉崎小学校に指定されている。県境をまたいで共同で防災訓練を実施しているという素晴らしい取組が行われている。まさに、命は一つ。

こんな「県境またぐ町」の存在が、まず驚きだった。かつて石井裕さんの県境に関する本を読んで、山形県の鼠ヶ関が同様に新潟県境を抱えているのを知った。十和田湖のほとりでも青森秋田両県の境がある。

■関連する過去の記事
鼠ヶ関と県境 (10年9月25日)

市町村境をまたぐ市街地という視点で探してみると、もっとあるように思う。仙台市縁辺のように市街地膨張で市境を突き抜けて連たんしたケースを別にすると、どこがあるだろうか。

例えば、大河原町と柴田町(旧船岡町)。距離は近いながらも間に丘陵地を挟み、かたや船岡城をいだく城下町、かたや宿場町として形成されただろう。明治以降だと思うが、大河原駅の周辺の住宅地形成が船岡町分に入り込んだ。現在の西住町(西住小学校は昭和58年開校)の名も船岡(柴田町)の西という意味だろうか。

■関連する過去の記事
大河原の尾形安平 東北本線実現に尽力 (07年1月5日)

また、旧築館町と旧志波姫町。築館市街地を南北に縦貫する国道4号は、東北電力支店のあたりで旧志波姫町域を走っている。ここの辺りは、比較的最近まで旧築館の町場の外の田畑地帯だったろう。

福井・石川の吉崎の場合は、古く藩政時代に町場を両国に分けたか、あるいは地物による境界にある寺社などの拠点的施設の両側に宿場が形成されたなどの事情だろう。このように古くから境を抱えてできた町というのは、宮城県内にはないように思う。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016.03.13 09:22:12
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

コメント新着

おだずまジャーナル @ Re:仙台「6時ジャスコ前」の今むかし(11/14) 仙台フォーラスは来月3月から長期休業。再…
クルック@ Re:黒石寺蘇民祭を考える(02/18) ん~とても担い手不足には見えませんけどネ…
おだずまジャーナル @ Re:小僧街道踏切(大崎市岩出山)(12/11) 1月15日のOH!バンデスで、不動水神社の小…

プロフィール

おだずまジャーナル

おだずまジャーナル

サイド自由欄

071001ずっぱり特派員証

画像をクリックして下さい (ずっぱり岩手にリンク!)。

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: