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文藝春秋の「はじめての文学」というシリーズをご存知でしょうか。これは、作家が自分の作品の中から、若い読者(多分十代の若者)に読ませたい本を選んで紹介するという、一種のアンソロジーです。作家は、村上春樹・村上龍・よしもとばなな・宮本輝・宮部みゆき・浅田次郎・川上弘美・小川洋子・重松清・桐野夏生・山田詠美・林真理子という、いずれ劣らぬ超人気作家の勢ぞろいです。 装丁もシンプルで、若々しくていい感じでしょ?この人気作家たちが、膨大な作品の中から、若い人に読んでもらいたい本を選ぶ。それだけでも興味津々。そのうえ、その作品に関する解説やなぜそれを選んだかなどの、作家本人のあとがきもあるんです。では、ここからがクイズです。それぞれの作家さんが「文学について」あとがきの中に分かりやすく書いていらっしゃいます。ちょっと長くなるんですけど、五つ抜き出して書き写してみますね。それぞれ、どの作家さんのものか、わかるかな?A「小説が持つ力は限定的だ。小説は戦争を止めることもできないし、飢えた子どもを救うこともできない。だがある種の小説は、人の自殺を止める力を持っている。果てしない「精神の自由」は、世界と自分との関係性のバリエーションの無限の可能性を示すからだ。わたしはずっとそういった小説を書きたいと思っていたし、今もそう思っている。」B「読まれたその瞬間に、小説は読んだ人のものになる。書いた人がどんなに声をからして「そこはそう読むんじゃないんですよ」と叫んでも何の役にもたたない。読む人は、とにかく、どんなふうに読んでもいいのです。徹頭徹尾自分勝手に読んでいい。(中略)小説を読むということはそういうことなのです。ためになるとか、視野が広がるとか、そういうことも多少はありましょうけれど、それよりもっと大きいのは、なんというか、この「隠微な悦楽」の味なのです。」C「もし若い読者が私のわかりやすい小説を読んで、文字だけで作り出された世界の面白さに目覚めたなら、思い切り背伸びをしてさまざまの書物を読み始めてほしい。小説の入り江の先には文学の海があり、その向こうには芸術の大洋が拓けている。生涯をかけてもけっして渡りつくすことのできぬ、豊饒の海である。」D「毒のない小説なんて、読んだって仕方ないじゃないと私は思ってしまうのです。皆さんわかっていらっしゃるでしょうけれど、小説はリビングルームで見るテレビ番組とはまったく違う種類の表現です。優れた小説には、いいことばかりは書いてありません。人間の弱さや狡さ、愚かさ、利己的な面がきちんと書かれているはずです。」E「皆さんが活字で表現された物語に触れるとき、そのほんの後ろには数えきれないほどの書き手たちが延々と書き継いできた「人間というこの複雑な生き物」への敬意と愛惜、共感と愛情、怒りと傷心-ありとあらゆる感情が堆積されてできあがった、広大な世界が存在しているのです。」次の五人の中からお選びください。桐野夏生・浅田次郎・村上龍・宮部みゆき・川上弘美AとDは、わかりやすいかもね。
2008.08.27
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こんな童謡がありますね。 お母さん、なあに、お母さんっていい匂い お料理していた匂いでしょ 玉子焼きの匂いでしょ お母さん、なあに、お母さんっていい匂い 洗濯していた匂いでしょ しゃぼんの泡の匂いでしょこんな歌もあります。 母さんが夜なべをして、手袋編んでくれた 木枯らし吹いちゃ冷たかろうて、せっせと編んだだよ ふるさとの便りは届く いろりの匂いがした昔のnhkみんなのうたに、こんな歌がありました(うろ覚え) お母さんは青い空のように懐かしい (途中は忘れたけど) いつのまにか雲がお母さんの顔になる るるる~るるる~るるる~よく言われることで最近読んだ本にもあったけど、戦地で突撃する兵隊さんはみんな「おかあちゃ~ん!」と叫んで行ったとも。お母さんは、あたたかく、懐かしく、いつもふるさとにあって、子どもを愛しおもいやり、どんなときにも受け入れてくれる。それが、お母さんの原点でしょうか。皆さんはどうですか?皆さんのお母様はどうですか?そんなことを思いながら、この本を読みました。さまざまな形の母子関係が描かれた短編集ですが、そんな懐かしいお母さんは一人もいませんでした。というよりも、複雑化し一人一人の価値観も千差万別となった世の中で、型どおりのお母さんをやっていくことは、とても難しいということでしょう。お母さんだって、自分の人生を生きたいんです。可能性を持っているんです。私自身、娘(重度のうつ病でした)との関係を考えるとき、母親としての自分を振り返り悩んだ時期もありました。私と母との関係も、イヤになるほど考えました。アダルトチルドレンという言葉を知り、いろんな本を読みました。母親としてすっかり自信喪失していた私ですが、この本を読んで、私のぶつかったような壁は、私だけの問題じゃない。世の中にいくらもあることで、珍しいことでもないんだなという感じがしました。この本に出てくるお母さんたちの問題点は、普通の母親たちがみんな内に秘めて持っている要素を取り出してデフォルメしたものではないでしょうか。それを、小説として著した角田光代さんの力量に、あらためて驚きました。角田さんってすごいです。
2008.08.23
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出世ルートからはずれかけたお父さん。家庭をかえりみない夫に不満を持つお母さん。友だちのいない中学生のお姉ちゃんと、喘息のため過保護に育てられた弟。夫を亡くしてから、認知症の徴候が見えてきたおばあちゃん。そんなどこにでもありそうな家族が、夫の転勤に伴い引っ越してきたのは、東北の片田舎。築130年の旧家でした。夫の思いつきで住み始めた古い家での生活には、みんな不満ばかり。ところが、その家には伝説の妖精「座敷わらし」が住み着いていたことがわかり…幸福を呼ぶという座敷わらしは、特に何かをしてくれたわけではないけれど、家族は自然に温かくまとまり、再生していくのです。なかなかおもしろい、いいオハナシでした。でもね、ただそれだけのことです。それ以上でも以下でもありません。こんなオハナシなら、出だしからじゅうぶん想像がついていました。いつも、ハズレは絶対にないぞと信頼している荻原浩さんです。彼ならではの、ちょいとしたひねりが欲しかったなあ。とても残念。最後の一行には、軽く笑いましたけどね。
2008.08.15
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待ちに待っていたハリーポッター最終巻。もちろん、発売日に購入。早速夢中になって読み終わりました。でも、その直後から襲われた、この寂しさはいったい何?もう2度とハリーの新しい冒険を読むことはできないんだ。ハリーの生い立ちや謎やいろいろなものを共有することは、もうないんだ。なんて悲しいことでしょう。発売日のたびにコスプレまでして書店に並んでた、熱狂的ファンの皆さんも、きっと今頃淋しさに耐えてるんだろうと思いますよ。しばらくは他の本を手に取ろうとさえ思えなかったけど、やっと復活のきざしです。ここに感想を書こうという気持ちになりました。なにしろおもしろかったの一言です。のっけから、魔法の大銃撃戦。ここんところ、映画にしたらすごい迫力だろうなあ!!でも、おもしろさを説明しようとするとストーリーをばらしてしまうことになるので、感想を書くのが難しい。何をどう書いてもストーリーをほのめかしてしまうことになるんです。私は最終巻を読むまで、どうか誰も私にストーリーを教えてくれることがありませんようにと、強く願いながら待っていたんだもん、それを人に教えるわけにはいきませんよね。ただ、噂のようにハリーが死ぬことはありません。その点はご安心ください。死にはしないけれど、死ぬという噂が出た理由はわかりました。また、ハリーの大切な人が一人死にました。ハリーが彼を弔うシーンはとても美しくて、とても悲しかった。彼が初めて登場したときから、私はちょっと困ったちゃんだけど、一生懸命ハリーに尽くす彼が大好きでした。謎は全部とけた。ということらしいですが、なにしろ長い期間にわたって複雑な話が繰り広げられて来ましたから、どれがどんな謎だったのか、ちょっとうろ覚えのところも多々ありました。正直言って、「ちょっと待ってよ、これ誰だっけ?」というのも。第1巻からノンストップでもう一度読み返したいとも思うけど、当分そんなエネルギーは湧きそうにありません。そして私は、この本に出会って、好きになり、心から楽しむことができた幸運に、感謝したいと思います。ほんとうにこの本にめぐりあえてよかった。本箱に並ぶ色とりどりの全7巻。11冊のハリーポッターは、これから先もずうっと私の宝物です。きっとこれからも、読み返すことでしょう。そして、私に勇気を与えてくれることでしょう。読み終わった本に「ありがとう」を言うことは、めったにありませんが、私はこの本に最大級の感謝を捧げます。
2008.08.10
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毎日暑いです。毎年夏になると、「言うまいと思えど夏の暑さかな」を思い出すんですが、この川柳ができた頃はこんなに暑くなかったでしょ!って、八つ当たりしているこの頃のぱぐらです。さて、7月はついに、私が待ち焦がれていたハリポタ最終巻が発売されました。感想は後日アップしますが、読み終えた今、虚脱状態で、次の本を手に取る気がしません。完結したのはうれしいけど、もう2度と新しいハリーの冒険を読むことができないんだなあと思うと、悲しくて・・・後は映画の封切りを待つばかり。でもそれも、あと二つで終わりなんですよねえ。1 「八つの小鍋」 村田喜代子 短編集で、芥川賞受賞作の「鍋の中」も収録されています。 やっぱり村田喜代子さんってしっとりとして、好き。2 「天涯の花」 宮尾登美子3 「王妃マリー・アントワネット」 遠藤周作4 「おいしいおしゃべり」 阿川佐和子 犬の散歩の途中でトイレに行きたくなった私。 田舎のことゆえ、スーパーもコンビニもありません。 しかたないのでブックオフまで行き、トイレだけ借りるのは悪いと思い、 別に興味もなかったけど、一冊買いました。 それがこの本。まあ、普通におもしろかったです。5 「ときどき意味もなくずんずん歩く」 宮田珠巳 図書館に予約したら、手元に来たのは3ヶ月も後。 期待がふくらみすぎて、まあまあ、普通におもしろかったです。6 「ハリーポッター謎のプリンス」7 「ハリーポッター死の秘宝」
2008.08.03
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