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私:米コーヒーチェーン大手のスターバックスのハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)は29日、トランプ大統領が出した難民らの入国を制限する大統領令を受け、世界中で今後5年間に1万人の難民を雇用する計画を策定中だと明らかにしたね。 A氏:シュルツ氏は、ネット上に掲載した従業員向けのメッセージで「深い懸念と沈んだ気持ち、そして固い決意でこれを書いている」とした上で、「我々は、この国の良心やアメリカンドリームに疑問符がつくという、かつてない時代に生きている」と、トランプ政権の方向性に懸念を示したという。 さらに、「戦争や暴力、差別などから逃れてきた人たちを歓迎し、5年間で1万人の難民を世界中の店舗などで雇用する計画を立てている」と明かした。 私:シュルツ氏はまた、「メキシコとの間に壁ではなく橋を架ける」と明言。 メキシコのコーヒー農家などへの寄付や投資などを通じ、トランプ政権が検討している関税や入国制限などに対応する考えを示し、同社の従業員に対しては、「あなたたちの声と一票が何より大切になっている」として、政治家に個々の思いを届けるよう呼びかけたという。 A氏:移民問題はすでに多くのIT企業トップが多様な頭脳を世界中から集めているので、トランプ氏に反論を示し、かえって企業の競争力を低下させると反対しているね。 私:欧米先進国も反対し、国内の司法機関の憲法違反との反対もある。 トランプ氏はどこまで強引に押し切るのか。 これから、泊まりで出張するので、明日2月1日のブログは休ませてもらう。 1日だけだがね。
2017.01.31
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私:この記事では、トランプ氏が名指しで批判してきた空調機器大手キヤリアがメキシコへの工場移転計画を見直したことを取りあげているね。 昨年11月の大統領選でトランプ氏は、モーガン郡で75%を得票し、19%の民主党候補クリントン氏を圧倒し、同州を含む五大湖周辺の「ラストベルト」で勝利を重ね、大統領選を制した。 A氏:トランプ氏は当選後、「私は感謝祭の日もキヤリアを米国に残すために働く。交渉は前進中」(昨年11月24日)とツイッターで発信し、同州知事でもあったペンス次期副大統領(当時)を伴ってキヤリアを訪問。 その後、同社の計画変更が発表され、トランプ氏は「1100人以上」の雇用が守られると胸を張った。 企業経営への異例の介入は、トランプ支持者には「実業家の行動力」の象徴として大歓迎された。 私:だが、キヤリアの工場周辺から聞こえてくる声は歓迎一色ではない。 トランプ氏は「1100人以上の雇用を守る」と誇ったが、実際に守られるのは730人ほどで、残りは解雇される見通し。 オートメーション(自動化)の波もあり、トランプ氏は昨年12月1日に工場を訪問した際に、キヤリアが工場の「修繕」のため1600万ドル(約18億円)を投資するとし、「素晴らしいクリスマスになる」と絶賛したが、その4日後、親会社の幹部がテレビのインタビューで、修繕とは「競争力を高めるための自動化」と説明し、「究極的には雇用減を意味する」と述べたという。 A氏:ある従業員は、クリスマス休暇後に職場に戻ると、管をネジで連結するラインに新しいロボットが導入されていた。 「実はその仕事は私が昨年の夏まで2年間やっていた仕事なんだ」という。 トランプ氏らが選挙戦で自由貿易を批判していた昨年、米通商代表部のフロマン代表(当時)も、雇用減や賃金の伸びの停滞は「グローバル化というよりも自動化の産物だ」と繰り返し訴えていたという。 私:トランプ氏は個別企業の経営判断に介入して成果を強調するが、効果の持続性には疑問がつきまとう。 海外移転を一時的に止めることはできても、自動化の波は止められそうにない。 A氏:雇用増加のために自動化中止の大統領令でも出すかね。 私:キヤリア従業員が所属する全米鉄鋼労働組合(USW)支部のチャック・ジョーンズ組合長(65)の元に脅迫が届いているという。 ジョーンズ氏は、トランプ氏の発表に誇張が含まれていたとして、米メディアでトランプ氏を批判したんだね。 脅迫はその直後から始まったという。 トランプ氏は「1100人以上」の雇用を守れたと誇ったが、ジョーンズ氏によると、実際に維持される雇用は730人ほどで、「大喜びした翌日に解雇を知った労働者がいる。正直になれ、労働者をだしにするな、と腹を立てただけだ」と、ジョーンズ氏は今も怒りが収まらないという。 A氏:ところが、トランプ氏はジョーンズ氏を名指しし「労働者の代表としてひどい仕事をしてきた」「話す時間を減らし仕事に使え」と批判した。 その直後から、ジョーンズ氏の携帯電話も事務所の電話も鳴りっぱなしになり、そこに脅迫が含まれていたという。 私:ジョーンズ氏はトランプ氏が一般市民が相手でも個人攻撃をすることを憂慮していて、「一連の個人攻撃は『私を批判しない方が身のためだ』というトランプ氏のメッセージだ。大統領がすることではない」という。 トランプ氏のメディアの個別攻撃もすごいね。 NYタイムズは、誰か買収し廃刊さるべきだといい、ワシントン・ポストも攻撃している。 トランプ氏のツイッター騒動はますます問題になってきたね。
2017.01.30
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私:囲み記事だが、フェイスブック(FB)のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は27日、自身のFBに投稿し、移民や難民の入国を制限する大統領令などに懸念を示したという。 A氏:ザッカーバーグ氏自身、曽祖父母がドイツ、オーストリアなどからの移民で、妻プリシラさんの両親も中国とベトナムからの移民だったと説明し、「米国は移民から成る国で、我々はそれを誇りにすべきだ」「助けが必要な難民には門戸を開くべきだ」などと、移民や難民受け入れを制限する大統領令に懸念を示したという。 私:また、数年前に中学校で授業をしたとき、「最も優秀だった生徒の何人かは不法移民だった」とし、「世界中から集まる優秀な人たちがここ(米国)で生活し、働き、貢献することが、我々の利益にもなっている」とも述べ、投稿には、数時間で約23万人が「いいね!」をしたよいう。 シリコンバレーにはインド人が沢山活躍しているね。 A氏:このところ、トランプ大統領が始めた外交は必ずしもうまくいっていないね。 メキシコとの間に壁を作るという命令に伴い、費用は全部メキシコ負担ということは、メキシコ大統領の強烈な反対で、現在、費用の話合いは棚上げになっているね。 私:トランプ米大統領にとって就任後初めての首脳会談となったメイ英首相との会談は、二国間の「特別な関係」が強調されたが、奔放なトランプ氏と堅実なメイ氏の「違い」も垣間見え、20分足らずの共同記者会見はぎこちなさが残ったという。 A氏:英国が望む金融規制改革を米が認める可能性はないし、農業分野の自由化では、英国の農業が破壊される。 両国にとって意味のある自由貿易協定合意できないだろうという。 これから、日本だが、自動車をめぐって、どうなるかね。 私:今まで、築いてきた安定してきた国際関係までもが、これから、大きく変わってくるだろうね。 今年の世界の国際関係に大きな不安要因だとなりつつあるね。
2017.01.29
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私:安倍首相は27日、成長戦略をつくる政府の未来投資会議で、退任した企業の役員が相談役や顧問に就く慣行を問題視し、企業統治(コーポレートガバナンス)の強化を指示したと新聞は報じているね。 A氏:元社長らが経営に関与し続けることが、不採算事業からの撤退判断の遅れにつながっているケースが多いとみており、企業の収益力の向上につなげたい考えだね。 安倍首相は会議で、「(人工知能の活用など)第4次産業革命が急速に進む中で、大胆な経営判断の遅れは致命傷になりかねない」と指摘。 「不透明な、退任した経営トップの影響を払拭し、取締役会の監督機能を強化することで、果断な経営判断が行われるようにしていく」と述べ、具体的な制度は今後、未来投資会議で検討するという。 私:日本企業の収益率は米国企業の半分程度にとどまり、社長経験者が退任後も顧問や相談役として経営に関与する企業では、元社長が手がけた事業からは撤退しにくいことが一因と考えられ、別の企業の社外取締役などとして能力を生かす仕組みが必要だという。 A氏:しかし、これも関連会社天下りで、好ましくないね。 私:新成長戦略の主なテーマとして次のようなものがある。 ・医療介護、自動運転、農業などで官民がデータ共有 ・自動運転の実現に必要な制度の整備 ・サイバーセキュリティーの確保 ・革新的なサービスの実験の際、現行法を適用しない制度の創設(日本版レギュラトリー・サンドボックス) ・行政手続きの簡素化・IT化 ・ICT(情報通信技術)を活用した先端農業の環境整備 これをみると情報技術の革新が中心的な役割となっているね。 A氏:そのほかに、このブログの「22日の朝日新聞・日曜書評より」でとりあげた山口栄一氏〈著〉『イノベーションはなぜ途絶えたか 科学立国日本の危機』で問題提起しているように「SBIR制度」の見直しが必要だね。 私:この制度は、かって、米国政府は「大企業はもはやイノベーションを起こせない」と見切りをつけ、技術革新の新たな担い手として大学院生らの起業を支援する「SBIR制度」を創設し、これが卓越した審査・報償方式によって目覚ましい成果を上げた。 日本もマネをして始めたが実際には「パフォーマンスの低い中小企業」への補助金制度と化し、国税の浪費に終わったという。 この制度の失敗の反省と見直しも必要だね。
2017.01.28
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私:今月の「池上彰の新聞ななめ読み」では、トランプ大統領就任演説の日本語訳について、新聞各紙の比較をしていたね。 池上氏は、大統領の就任演説は、「アメリカ第一」主義で、アメリカさえ良ければいいという徹底した方針を貫いていることと、使う英文がアメリカの小学生レベルで、英語が苦手な人にも理解が容易という意味で、わかりやすいという。 A氏:ツイッター式だね。 私:新聞各紙は英文と日本語訳の両方を掲載していて、読み比べると、日本語訳が随分異なるので、各社の英語力ないしは日本語力が比較可能だという。 まず、トランプ大統領が列席者にお礼を述べた直後の文章。 英語の「restore its promise」を読売と日経は「約束を復活させる」、毎日は「約束を守るという偉大で国民的な取り組みを始めた」と長いが、池上氏は、読売や日経が「約束を復活」と訳した箇所を、毎日は「約束を守る」としていて、「約束を復活」が直訳だとすれば、「約束を守る」方がこなれているという。 朝日は「可能性をよみがえらせる」と他紙とは大きく異なるという。 A氏:次に、英語の「joined in」だが、読売は「加わっている」、日経は「結集した」、毎日は「始めたところです」、朝日は「一つにまとまっています」と随分と印象が異なるね。 ところで、読売と日経は「である」調、毎日と朝日は「ですます」体に訳しているという。 どちらがいいだろう。 私:池上氏が、各紙を読み比べて気づいたのだが、朝日だけは、途中で演説の意味を解説しているという。 俺が驚いたことに、トランプ氏の演説に聖書からの引用があったことだね。 その部分について、各紙は担当者が訳している文章だが、朝日だけは「旧約聖書詩編133からの引用」と明記し、「見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び」という日本聖書協会訳を使用しているという。 池上氏は、ここに教養の違いが出た気がしますと朝日に軍配をあげているね。
2017.01.27
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私:韓国の体育行政機関の一つ、韓国体育会は25日、来月開幕する冬季アジア札幌大会の選手らが宿泊する「アパホテル&リゾート札幌」(札幌市南区)の客室内に、南京事件や慰安婦問題に否定的な書籍が置かれているとして、大会の組織委員会に書籍の撤去を求めたと発表したね。 A氏:もともと、ホテルに本が置いてあるのは、珍しいことではないね。 私:俺は、若い時、欧米のホテルに泊まった時、ほとんどのホテルに「聖書」が備え付けてあったね。 そのうち、仕事で日本のホテルに宿泊する機会が多くなったが、同じく「聖書」が置かれているのをよく見かけたね。 欧米のホテルのマネかね。 A氏:そのうち、「仏教書」を備え付けているホテルもでてきたね。 これくらいなら、問題ないが、アパホテルはちょっと特殊かもしれないね。 韓国だけでなく、在日中国大使館の張梅・広報部参事官は25日、記者会見で「アパホテルが部屋内に右翼史観を宣伝する本を置くことは、中国の観光客に対する公然たる挑発行為で、観光・旅行業界の基本的なモラルにも反している」と述べたというね。 私:実は、俺は10年くらい前に、東京駅近くで朝早くから用事があったので、横浜からラッシュアワーで行くのが嫌で、前夜、東京駅近くのアパホテルに泊まったことがある。 そのとき、ホテルに備え付けの本にはビックリしたね。 近代日本の侵略性を否定した航空幕僚長・田母神俊雄氏の論文『日本は侵略国家であったのか』が備え付けてあって、異色のホテルだと思ったね。 A氏:内容は政府見解と明白に対立するものであり、これが問題となり田母神俊雄氏は更迭された原因となった論文だね。 私:今回、問題になった本は『理論近現代史学II』というらしいが、著者の元谷外志雄氏はアパグループの代表者。 安倍晋三首相の後援会の「安晋会」の副会長であり、ウェーブ産経(産経新聞の愛読者のクラブ)代表幹事で、航空自衛隊小松基地金沢友の会会長などを務めるという。 これらの活動から保守派財界人と評価されているとのこと。 新聞はアパホテルを経営するアパグループは、24日付のホームページで「2015年4月に選手村としての宿泊について打診があった段階で、代理店を通じて客室内のすべての情報物の撤去の依頼を受けた」「今後、書面で正式な要請があればお応えする」と、アジア大会での対応について説明していたという。 どうなるかね。
2017.01.26
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私:今年、春には、フランスの大統領選がある。 米国同様、分断社会をかかえたフランスにも「トランプ現象」が起きるだろうか。 これについて、今月の「ピケティコラム」はふれているね。 EU離脱のマリーヌ・ルペン氏が率いる右派ナショナリストが勝利に近づいている可能性も排除できないし、激変は回避できても、その次の大統領選では、ルペン氏の政党がフランスのリベラル右派勢力に唯一対抗できる位置に立つリスクは、もはや現実のものだという。 A氏:かたや急進左派は、ジャンリュック・メランション氏の勝利が期待されているが、ルペン氏とメランション氏には共通点があり、2人ともEUに関する条約をやり玉に挙げ、国や地域同士が激しく競い合う今の体制を疑問視し、その姿勢がグローバリゼーションから取り残された人びとをひきつけるという。 私:ピケティ氏は、この大統領選のリスクは、他の全ての政治勢力――大メディアも――が両候補を酷評し、「ポピュリスト」のレッテルを貼って、それでよしとすることだという。 この新手の侮辱表現は米大統領予備選でのサンダース氏の健闘にも使われた。 ポピュリズムとは、先進国の庶民層がグローバリゼーションと格差拡大に直面して抱く「自分たちが見捨てられた」との感情がもたらす、混乱しているものの理のある反応。 A氏:リベラル右派勢力(フランソワ・フィヨン氏)と中道勢力(エマニュエル・マクロン氏)は残念ながら庶民層の現実を無視する戦略をとろうとしていて、2人とも2012年のEU財政協定を維持する立場。 あらゆる世論調査で確かめられるように、2人に魅力を感じるのはグローバリゼーションの勝ち組だという。 しかし、ピケティ氏は、この財政協定がとんでもない間違いで、ユーロ圏は将来への投資ができなくなり、致命的なわなにはまりこみ、この規模の公的債務を削減するには例外的措置をとらざるをえないという。 何十年にもわたってプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化し続けるしかないが、あらゆる投資能力に延々と負担がかかり続けると反対だね。 私:過去に英国は1815年から1914年まで1世紀をかけて巨額の黒字を捻出し、これにより年金を支給し、仏革命戦争で負ったGDPの200%もの債務を減らしたが、この選択は不幸ももたらし、教育への過小投資につながり、英国が後に失速する原因となった。 対照的に、1945年から55年まで、仏独は同様の債務から迅速に解放された。 それは債務取り消し、インフレ、民間資本への特別な課税が併せてあったからで、これで両国は成長に投資することができた。 同じことが今なされなければならないとして、ピケティ氏は、「ユーロ圏議会」発足をドイツに認めさせて民主的手続きを踏んだ上で債務を軽減するのだと主張する。 さもないとイタリアで起きている投資の遅れと生産性の低下がやがてフラン、ユーロ圏全体に広がるだろうとみる。 A氏:ピケティ氏は、大切なのは、EUルールに本質的な疑問を提起する候補を指名争いで選ぶことだと主張する。 頼みは急進左派ポピュリストだね。 私:右派ナショナリストの国民戦線が権力につくことを望まないのであれば、「万事休す」といわないまでも、事態は切迫しているとピケティ氏は指摘する。 4カ月もしないうちにフランスに新しい大統領がうまれるが、「トランプ」や「ブレグジット(英国のEU離脱)」に続き、世論調査はまた間違うかもしれないね。 昨年は、「英国のEU離脱」と「トランプ」で世界の潮流は変わりつつあるが、これに今年はフランス大統領選は追い打ちをかけるのか。 話は、ぐっとマイナーになるが、今度の都議会議員選挙も、長年続いた都政の潮流を大きく変えることになるようだ。
2017.01.25
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私:政権批判の映画を世に出し続けてき、かつてはトランプ氏に手厳しい発言もしていた米アカデミー賞監督オリバー・ストーン氏が「トランプ大統領もあながち悪くない」と意外な「評価」をしているというので、朝日新聞が、ロング・インタビューしているね。 まず、驚いたのは、ストーン氏が、ヒラリー・クリントン氏が勝っていれば危険だったと感じていたということだね。 彼女は本来の意味でのリベラルではなく、米国による新世界秩序を欲し、そのためには他国の体制を変えるのがよいと信じているという。 ロシアを敵視し、非常に攻撃的で、彼女が大統領になっていたら世界中で戦争や爆撃が増え、軍事費の浪費に陥っていて、第3次大戦の可能性さえあったと考えているという。 A氏:トランプ氏は「アメリカ・ファースト(米国第一主義)」を掲げ、他国の悪をやっつけに行こうなどと言わない。 この結果、政策を変えるべきだと考える人たちに近くなっているという。 米軍を撤退させて介入主義が弱まり、自国経済を機能させてインフラを改善させるならすばらしいことで、これまで米国は自国経済に対処せず、多くが貧困層で、自国民を大事にしていなかった。 ある面では自由放任主義かと思えば、別の面では規制が過剰で、トランプ氏もそう指摘しており、その点でもストーン氏はトランプ氏に賛成だという。 私:トランプ氏は、イラク戦争は膨大な資産の無駄だった、と明確に語っていて、ストーン氏は、これは正しい意見だとしている。 例えばロシアや中国、中東、IS(過激派組織「イスラム国」)への新政策では、テロと戦うためロシアと協調したいと発言しており、これは正しい考えだという。 A氏:ロシアが米国にサイバー攻撃したという問題について、米国の情報機関についてストーン氏は極めて懐疑的で、CIAは長年、多くの間違いを犯してきているという。 キューバのピッグス湾事件やベトナム戦争、イラクの大量破壊兵器問題がそれ。 米国は世界をコントロールしたがり、他国の主権を認めたがらず、多くの国家を転覆させてきており、そんな情報機関をけなしているトランプ氏に、ストーン氏は賛成だというが、そうしたことは社会で広く語られていないのは、米国社会のリーダー層と反対の立場となるからだという。 私:米政府による個人情報の大量監視を暴露したCIA元職員エドワード・スノーデン氏を描いたストーン氏が監督した新作映画「スノーデン」は スノーデン氏の証言に基づいてつくっており、彼が09年に横田基地内で勤務していた頃、日本国民を監視したがった米国が、日本側に協力を断られたものの監視を実行した場面も描いているという。 スノーデン氏は、日本が米国の利益に背いて同盟国でなくなった場合に備えて、日本のインフラに悪意のあるソフトウェアを仕込んだ、とも述懐しているという。 A氏:そんなことがあったんだね。 私:これは戦争行為ではないかと、確認をとろうにも米国家安全保障局(NSA)側と話すことは認められなかったが、ストーン氏は経験上、スノーデン氏は事実を話していると思っているという。 米情報機関は映画の内容を否定するだろうし、米大手メディアも取り合わないという。 大統領就任後、トランプ氏はCIAの影響で反ロシアに陥るかもしれない可能性はあるが、トランプ氏はビジネスマンで、貿易を好む限り、ビジネスマンは戦争をよしとしないという。 A氏:映画「スノーデン」の制作にあたっては、米国のどの映画スタジオにも断られ、大変だったという。 彼らの多くは政府と関係があり、政府の何かを踏んでしまうのを恐れて自己規制したのだと思うという。 制作にはとても困難を伴い、なんとか小さな配給会社が見つかったという。 今回、ワーナーにも断られ、米国がテロとの戦いを宣告した01年以降、米国に批判的な映画をつくるのが難しくなり、そうした映画がどんどん減っていて、米軍が過剰に支持・称賛されたり、CIAがヒーローに仕立てられたりする映画やテレビシリーズが目立ち、非常に腹立たしいことだと、ストーン氏はいう。 私:映画「スノーデン」の制作資金は、少額資金を集めながら悪戦苦闘し、フランスとドイツからの出資が支えとなり、欧州議会がEU加盟国にスノーデン氏の保護を求める決議をするなど、欧州はストーン氏に耳を傾けているという。 2度の大戦を経た欧州は国家による監視を好まず、その危険性も理解しているという。 英国は例外だが。 その欧州は、今、米国同様、分断現象を起こしているとはね。
2017.01.24
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私:多くの地方がそうであるように、鹿児島県も人口減少に直面していて、県の人口は10年前より約6%減り、今後もその傾向が続く。 市場が縮小してお金の貸出先が減れば、収益も先細り、長引く低金利も収益の押し下げ要因となっている。 その中で鹿児島銀行は健闘しているという記事だね。 A氏:上村頭取は、「薩摩の先祖は明治維新を成し遂げた。俺たちにはそのDNAがある。未来の鹿児島とこの銀行をどうしたいかを描き、そのためにあらゆるジャンルへ顔を出して手を染めておく」という。 私:前例踏襲型で変化を好まないとされる銀行だが、鹿児島という保守的な土地柄もあり、鹿銀も例外ではなかった。 「支店長だった40代のとき、牛の肥育農家に融資をしようとしたら、『担保のない先に貸せるか』と部長や常務に一蹴された」と、上村頭取はいう。 「地域に密着するといいながら、大切な農林水産業に金を貸さない地銀があるものか。偉くなったら俺が変えようと思った」という。 A氏:頭取に就任した10年から、挑戦がはじまるね。 畜産業者が飼う牛の価値を1頭ずつ算出し、それを担保に融資をする独自システムを開発し、畜産業者への融資を増やしたという。 私:今度は農業法人「春一番」を立ち上げた。 資本金は5千万円。このうち6割超を鹿銀と、同行などが設立したファンドが出資し、銀行員が出向した。 銀行による農業法人への出資は、三井住友銀行などが出資したコメの生産を手がける「みらい共創ファーム秋田」(秋田県大潟村)があるが、鹿銀のように行員が出向して農作業をするのは異例だという。 A氏:鹿銀内部でも、「春一番」設立は驚くべき出来事で、支店勤務の次は本部のしかるべき部署にという、鹿銀の人事はそういうルートが一般的で、現役の支店長が新設の会社に出向するのはにわかには信じられないこと。 昨年9月の支店長会議で上村頭取がこの人事を発表すると、「頭取が冗談を言った」と受け止めた人もいたという。 私:前例を打ち破り、あえて「春一番」に働き盛りの管理職を出向させた鹿銀の狙いは農協に負けない農業経営のプロを内部で育て、農業金融の世界に風穴を開けることにあるという。 A氏:ライバルの農協は強大だね 「春一番」は、まずは野菜販売の実績を積んで、ブランドを確立し、次に「農協より高く買う」という触れ込みで、県内の農家が生産した野菜を買い、「春一番ブランド」で出荷する。 農家との関係が深まれば、農業の運転資金や設備資金といった融資に加え、住宅ローンやカーローンなどの資金需要の開拓につながる。 「今は小さな組織だが、農協が無視できない存在にしていく」と、上村頭取は意気込むという。 私:鹿銀が農業とともに成長を狙う医療介護分野。 ここで力になっているのが独自システム「トロボメディカル」で、例えば、パソコンで「東京都」「開設予定」という条件で医療機関を検索すると、新設される施設の名前がずらりと表示される。 その一つをクリックすると、医師数や病床数、理事長の年齢といったデータが出て、地図には、周囲のライバル施設が表示され、どこの薬局や介護施設と連携しているかをチャート図で見ることもできる。 A氏:これを使えば、病院を取り巻く市場調査のプロになれるという。 鹿銀の医療介護業への融資残高は、2016年3月末時点で約2750億円で、法人向け貸し出しの約2割を占め、3年前より3割以上増加。 高齢化で市場自体が膨らんでいることもあるが、システムの力も大きいという。 私:15年からは、システムの販売も始めた。 システム会社などとの共同出資で、IT企業「サザンウィッシュ」を東京に設立し、首都圏を中心に営業し、これまでにみずほ銀行や製薬大手エーザイなどに販売したという。 地銀の明治維新の発足地点になるだろうか。今後の活躍を期待したい。
2017.01.23
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私:今週の日曜書評で興味を持ったのは2冊だね。 1.ロバート・B・ライシュ〈著〉『最後の資本主義』評者・諸富徹(京大教授・経済学) 著者は経済学者で、オバマ大統領のアドバイザーなど歴任し『暴走する資本主義』などの著書がある。 近年の格差拡大と、再分配政策の重要性は、広く認識されているが、著者は、政府が再分配しても問題を解決できないと訴えるという。 それは、そもそも「市場ルール」が圧倒的に大企業に有利だからで、その傾向は1980年代以降、特に顕著。 著者はそのことを、所有権、独占、契約、倒産、(それら各プロセスの)執行について圧倒的な説得力で例証していく。 市場が巨大な格差増幅装置として働く限り、政府が事後的に是正しても効果は雀の涙だという。 A氏:米国で60年代まで経済成長と中間層形成が両立しえたのは、米国社会で労組、農協などの「拮抗力」が存在し、政府が市場ルールを通じて大企業や富裕層を牽制しえたからだというが、これはよく言われるね。 それが、いまや拮抗力は打ち破られ、民主党までもが政治資金を獲得すべく、金融機関、大企業、富裕層になびいている。 モルガン・スタンレー様々だね。 私:政党に見放された国民のワシントン不信は、今度の米国大統領選で顕著に表れたという。 トランプ現象だね。 著者は是正に向けてまず、拮抗力を取り戻すべきだと提言。 今後の米国の政治的対立軸は、共和党/民主党から、現体制支持派/反体制派にシフトする兆候が現れているという。 A氏:トランプは共和党でなく、反体制派の支援を得たのかね。 私:著者は、新しい多数派形成で市場ルールを組み直し、逆再分配を止めるべきだという。 「政府による事後的再分配」から「市場ルール改革による公正経済」へ。 本書は中間層が没落し、格差が拡大し続ける中で資本主義改革の新しいアジェンダを打ち出した点で、経済論壇の風景を一変させうる重要な問題提起の書だと評者は言う。 A氏:トランプ新大統領はそのような政策をとるだろうか。 私:それが、彼の支援者の期待に応えられるかのカギだね。 2冊目は 2,山口栄一氏〈著〉『イノベーションはなぜ途絶えたか 科学立国日本の危機』・評者・小林雅一(ジャーナリスト) かつて「科学立国」と呼ばれた日本の産業基盤が揺らいでいて、1980年代に栄えたエレクトロニクス産業は今や衰退し、医薬品など21世紀を担うバイオ分野でも国際競争から脱落。 本書によれば、その主な原因は「イノベーション政策の失敗」にあるという。 A氏:アベノミクスの「3本目の矢」の問題だね。 私:日本では90年代、製造業など大手が基礎研究所を廃止したことで産業競争力が衰えたが、同時期、実は米国もAT&Tやゼロックスなど大手企業が基礎研究から撤退した。 A氏:しかし、米国はその後、ITや医薬品などで技術革新が巻き起こったが、日本はそうならなかったね。 私:両者の違いはどこにあったのか? 当時、米国政府は「大企業はもはやイノベーションを起こせない」と見切りをつけ、技術革新の新たな担い手として大学院生らの起業を支援する「SBIR制度」を創設。 これが卓越した審査・報償方式によって目覚ましい成果を上げた。 日本政府も追随しようとしたが、実際には「パフォーマンスの低い中小企業」への補助金制度と化し、国税の浪費に終わった。 日本で企業家精神が育たないのはリスクを避ける国民性ではなく、制度設計に問題があるという。 著者は、これを修正すれば、産業競争力は復活するという。 どのような修正をするのか、書評ではふれていないが、読んでみたいものだね。 図書館にネット予約したが、すでに12人予約待ち。で、入手は3月くらい後になるか。
2017.01.22
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私:20日に米国大統領に就任したトランプ大統領は、就任早々に、オバマケアの見直し、TPP離脱をきめたね。 メキシコとカナダとの間で結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しもするね。 A氏:メキシコのペニャニエト大統領はツイッターでトランプ米大統領の就任を祝福したが、NAFTAの見直しには、断固とした姿勢で臨む考えもにじませた。 私:フランスのオランド大統領は20日、訪問先の仏東部で「国境を閉じることは産業の妨げになる」と強調。 「我々は開かれた世界経済のもとにあり、孤立するのは望ましくない」とも指摘し、保護主義的な姿勢を取るトランプ氏を批判。 しかし、トランプ氏と共通する「自国中心主義」を掲げ、独仏で勢力を伸ばす右派勢力は20日、就任を手放しで歓迎した。 9月に総選挙を予定するドイツの新興右派政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は、ペトリ党首らの連名でトランプ氏に祝電を送り、「われわれは、ドイツと欧州に害をもたらしたメルケル首相の(難民)政策に反対する唯一の政党であり、あなたの同盟者だ」とアピール。 A氏:4~5月のフランスの大統領選に向けて勢い付く右翼・国民戦線(FN)のルペン党首も、仏メディアに「新しい時代の幕開けだ」とトランプ政権の誕生を歓迎。 FNは、欧州連合(EU)から主権を取り戻すと訴えて国境の再構築などの政策を掲げており、「これまでとは違う米国の大統領は、国家の主権という考え方を受け入れてくれるだろう」と強調。 私:イスラエル寄りの姿勢を鮮明にしているトランプ大統領に、イスラエルのネタニヤフ首相は20日、ツイッターで「おめでとう、我が友、トランプ大統領。両国の同盟を今までになく強いものにするため、密接に働くことを楽しみにしている」と述べた。 A氏:台湾を巡っては、トランプ氏は今月、中国と台湾がともに「一つの中国」に属するという中国側の原則について「すべてが交渉対象となる」と語り、中国側を牽制しているが、20日、台湾の蔡英文(ツァイインウェン)総統はツイッター上で、トランプ氏に「おめでとう。民主主義が台湾と米国を結び付けている。私たちの友好と協力が前進することを期待している」と呼びかけた。 ツイッターが多いね。 私:ところで、トランプ政権の財務長官のスチィーブン・ムニューチン氏はゴールドマン・サックスの元幹部だね。 興味あることに、クリントン政権時代の財務長官は、ロバート・ルービンで元ゴールドマン・サックスの会長、そして、共和党政権に変わってブッシュ(ジュニア)政権の財務長官はヘンリー・ポールソンで、これも驚くべきことに元ゴールドマン・サックスの会長。 オバマ大統領の選挙のときも政治資金の最大提供者はゴールドマン・サックス。 ヒラリーの義理の息子のヘッジファンドも大量のゴールドマン・サックスのカネが行っている。 トランプ大統領は、米国エスタブリッシュメントからの離脱と言うが、閣僚の顔ぶれを見るとTPP離脱のような歯切れの良さがないようだね。
2017.01.21
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私:東芝は15年に利益水増し問題で「組織的」な不正の存在が認定され、田中久雄社長ら歴代3社長や役員計9人が引責辞任以後、1年半たっても経営再建のめどが立たないどころか、ますます、悪化しているね。 米国での原発事業を巡る損失額が、7千億円規模に膨らむ恐れが出てきた。 A氏:15年春に発覚した一連の不正会計問題の反省をもとに、東芝は同年12月に経営再建に向けた「新生東芝アクションプラン」を発表し、再発防止に向けて内部管理体制を強化するとともに、原子力事業と半導体事業の「2本柱」への注力を打ち出したね。 昨年6月に就任した綱川智社長はこの「2本柱」体制を引き継いだが、主力のフラッシュメモリーの販売が好調な半導体事業が引っ張る形で業績が回復してきた矢先に、もう1本の柱である原子力事業で巨額の損失が発覚し、「2本柱」による再建シナリオは大きく崩れている。 A氏:損失額はまだ精査中とはいえ、7千億円規模となれば、昨年9月末時点の自己資本のほぼ倍に当たり、資本増強を急がなければ債務超過への懸念も強まるという。 東芝は、すでに、東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定されており、市場からの資金調達は事実上、難しいなど手段も限られており、当面は主力取引銀行などからの支援が頼みだ。 ただ、当初数千億円とされていた損失額がさらに膨らむ恐れが出てきたことで「底が見えない怖さはある」(銀行幹部)との声も上がり、主要行が打ち出している東芝への当面の資金繰り支援についても、一部の金融機関は同調に難色を示す可能性もあるという。 再建は遠のいたね。 私:ところで、今回の経営危機は、はじめに、前相談役の西田厚聡氏と前副会長の佐々木則夫氏との対立があったといわれていて、佐々木社長時代、西田会長が公然と経営を批判したことが、同社の“歪み”を増幅させたようだという。 A氏:東芝には、過去にも新旧の社長の対立があったが、再生したことがある。 1957年、石坂泰三氏は販売部門出身の岩下文雄氏に社長の座を譲るが、業績が悪化。 岩下氏の経営手腕に不満を持った石坂氏は、石川島播磨重工業(現IHI)会長だった土光敏夫氏を招へいし、1965年、土光氏は東芝社長に就任した。 私:翌年の1966年(昭和41年)に再建に成功するね 土光社長は、徹底した現場主義で、工場が8時半開始なのに、本社が9時始まりなので、始業時間を工場に合わせた。 前社長の岩下氏は、社用車で10時頃出社し、エレベーターで最上階の社長室に直行。 社長室の隣にスタンドバーがあり、そこでくつろいでから、4時ころには退社だったという。 これに対し土光氏は、鞄持ち無しで一人でタクシーで8時頃、本社に入り、8時半までは社長室には誰も入れるように、ドアは開け放たれた。 スタンドバーは撤去され会議室の一部になった。 部長は個室を取り払い、皆のいる大部屋に机が移動された。 俺の知人が、昼間、専務室に訪れたら専務は「ちょっと暗いから、窓際で話しましょう」と言ったという。昼間は電灯は消したいたんだね。 知人は、課長教育で、夜、講義をしたが、終わって宿舎までの彼のタクシー代は、課長連中のカンパで払っていたという。 A氏:その50年前の東芝の出来事は、1966年に出版した経営評論の草分け、三鬼陽之助氏著の「東芝の悲劇」のタイトル本で有名だね。 私:しかし、今度の「東芝の悲劇」は債務超過の懸念まで出ているから、そう簡単に解決しそうにない状況だね。
2017.01.20
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私:今上天皇の退位問題が、現実化してきたが、このブログでは下記のようにすでに知的街道ができ始めたね。 「天皇と『公務』」小熊英二氏:「生前退位、明確な基準必要」木村草太氏、「退位問題に思う 天皇制と民主主義の矛盾」京大名誉教授・佐伯啓思筆、 朝日新聞の「フォーラム」欄では、18,19の連日この問題をとりあげたね。 A氏:18日は、元最高裁判事、東北大学名誉教授・藤田宙靖氏へのロングインタビューだね。 藤田氏は、「生前退位」の制度が、政治利用されることは絶対に防がなくてはならないとして、特別法で「今上天皇は何月何日に退位する」といった内容の規定にとどまる場合、安定的な皇位継承の憲法の趣旨に反するものとして、違憲の疑いがあるとしているね。 そして、今上天皇の特殊な事情に基づく退位でなく、一般的なルールを設定すべきとしており、憲法改正の必要はないという。 私:「陛下が辞めたいとおっしゃるから一代限りで退位を認める」という政府や有識者会議が取ろうとしているルール設定不在の議論では、一般ルール設定というワンクッションがないので、陛下のお言葉と政治が直接結びついてしまい、陛下の政治介入という禍根を残すおそれがあるという。 A氏:作家・高橋源一郎氏は、12月23日、天皇の一般参賀の人々とともに、皇居の中に入っていったが、皇居に入るのは初めての経験で、皇居へ足を運んだうえで考察し、そのとき感じたことを寄稿している。 私:午前10時を過ぎて、広場に面した宮殿のベランダに、「その人」が現れ、一斉に、日の丸の小旗が振られたが、それは、もしかしたら、写真を撮るために向けられたスマートフォンの数よりも少なかったかもしれないと高橋氏は書く。 高橋氏は、陛下のことを「その人」と書いているね。 そして、高橋氏は、1947年1月、「進歩派」の代表的な作家・中野重治の雑誌に載った文章を想起する。 A氏:要するに、個人の人権を尊重した憲法の公布を告知する天皇の姿に触れながら、誰も、その天皇自身の「人権」には思い至らないという矛盾だね。 その底の浅い理解の中に、中野は、民衆の傲慢さと、「戦後民主主義」の薄っぺらさを感じとったのであると高橋氏はいう。 高橋氏は「中野の指摘に、誰よりも敏感に反応したのは、実は、いまの明仁天皇だったのではないかと。わたしには、そう思える。明仁天皇が、中野の文章を読んでいるのかどうかはわからないが」という。 私:明仁天皇は、天皇即位後、25万字にのぼる「おことば」を発表し、明仁天皇の、第一の「仕事」とは、「おことば」を発することなのだという。 高橋氏は、ここしばらく、その、膨大な「おことば」を読んで過ごしたが、そこには、迷い、悩み、けれども愚直に世界とことばで対峙しようとしている個人がいるように思えたという。 美智子妃と結婚する直前、皇太子時代に、こんなことを友人にしゃべった、と伝えられている。 ――ぼくは天皇職業制を実現したい。毎日朝10時から夕方の6時までは天皇としての事務をとる。そのあとは家庭人としての幸福をつかむんだ―― その願いが完全に実現することはなかったが、少なくとも、中野が案じた「家庭」をつくることはできたと高橋氏はいう。 A氏:「個人」として、「象徴」の意味を考えつづけた明仁天皇がたどり着いた結論は、彼がしてきた行いと「おことば」の中に、はっきりした形で存在している。 「私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました」 私:「その人」が訪れるのは、たとえば被災地で、そこを訪れ、被災者と同じ「目線」でしゃべることができるように、「その人」は跪き、もっと大切にしている仕事として、「慰霊」の旅があり、「その人」は、繰り返し、前の戦争で亡くなった人たちの「いる」場所に赴き、深い哀悼の意を示す。 弱者と死者への祈り。それこそが「象徴」の務めである、と「その人」は考えたのだと高橋氏はいう。 A氏:戦後71年、個人として振る舞うことを禁じられながら、それでも、「その人」は、ただひとりしか存在しない、この国の「象徴」の義務として、そのことを告げつづけている。 私:だが、70年前、中野重治が悲哀をこめて書いたように、その天皇がほんとうには持つことのなかった「人権」について考えられることはいまも少ないと高橋氏は指摘する。 天皇制の一面を高橋氏は追求しているね。
2017.01.19
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私:トヨタが、稲作で、お家芸の「カイゼン」を農業に応用して作業時間短縮の実証実験に成功したという。 田植え期の黄金週間はまったく休めなかったが、2年前から交代で2日ずつ休めるようになったという。 A氏:君が言うように長時間労働はムダが多く、生産性が低いからだというのを示しているね。 私:兼業農家が大半を占める国内のコメづくりは大規模化が遅れていて、高齢化などで農業法人などが引き継いだ水田も広範囲に散らばり、農作業を効率的に進められない課題を抱える背景があった。 この問題解決のために、スマホで作業データを共有し、現場での「カイゼン」の取り組みを進めやすくする方法をとった。 A氏:トヨタが開発したのは作業全体の管理システム「豊作計画」というものだね。 愛知県弥富市の農業法人「鍋八農産」などが作業データを集め、システムを改善してきた。 私:同法人は、約2千カ所に散らばる約140ヘクタールの水田を11人で作業している。 実証実験では、作業員一人ひとりが管理システムが入ったスマホを持ち、画面で作業場所や内容、次の作業などを共有。 作業全体の進み具合やトラブルなどをスマホで把握でき、応援の手配などが効率的にできるようになった。 A氏:田植えに必要な苗の数を予測する精度も高め、苗の廃棄率を約22%から2%に減らしたというから、工場でいう「不良率」も「カイゼン」されたわけだ。 私:現場の「カイゼン」に詳しいトヨタ社員の指導も受けたという。 「カイゼン」は、水田が広範囲に散らばる兼業農家の大規模化による生産性向上に大きな力となるのは、喜ばしいニュースで、これからも、その適用範囲を拡大してもらいたいね。
2017.01.18
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私:その人気から将来の首相候補とも目される衆院議員の小泉進次郎氏(35)が、同世代の自民党衆院議員の村井英樹氏(36)、小林史明氏(33)らとともに、「人生100年時代」の社会保障改革の提言を出したということで、3氏にロングインタビューをしているが、インタビューの中心は小泉進次郎氏だね。 ばらまきになりがちな社会保障と一線を画す、いわば「若手政策の乱」だという。 A氏:昨秋出した提言には、人生100年型年金、健康ゴールド免許など、健康や長寿のために自助努力や負担を促す具体策が入り、ユニークで新鮮な内容。 30代の国会議員20人が半年で計50時間、思いを真剣にぶつけ合ってまとめたという。 どの議員にもこの国のかたちを真剣に議論する場がないことへの飢えのようなものがあり、貴重な経験だったという。 きっかけは1年前、低年金の高齢者に1人3万円の臨時給付金を配る案に、若手議員が強く反対の声をあげたことで、子育ての政策はしっかりやる、でも財源はないという一方で、給付金にかかる4千億円の予算はぽんと出る。 これは、いったい何だ!という小泉氏らの声に、党側は案を通す代わりにその後の社会保障を考える場はつくる、と約束したのだという。 私:「人生100年時代」を政党が真正面から掲げて将来像を語る提言は、世界初ではないないかと小泉氏はいう。 いまの日本の10歳の半数は100歳以上生きるとの予測もあり、100年生きても大丈夫な社会設計の準備は、次世代に対する責任だが、いまは80年が基本。 医療や技術の進歩で、予想外の長生きをしたらどうしようという不安があり、長生きを喜び、リスクにならない社会を描く必要があるという。 A氏:将来推計では日本の人口は2100年に5千万人を切るというのを考えれば、たとえ人口がいまの半分の6千万人になっても、未来に自信と楽観をもって生きられる国にしたいという。 出生率がきょうにも人口水準が維持できる2・07に上がっても人口減は止まらないし、避けられない現実なら、嘆くことに何の生産性もないから、どうしたら豊かさや活力を次世代に引き渡せるか真剣に考え、強みに変えていこうじゃないか、と。 それこそ日本が世界で最初に成し遂げる、国家の新たな発展モデルだという。 私:人口減は何十年も前から予測されていたのに、無策だったのは、おそらく『自分ごと』ではなかったからで、小泉氏らは全員が自分ごとだという。 30年後に人口が1億人になった日本を、自分の将来として考えられる世代で、そのとき小泉氏は65歳で、政治家として30年前に言ったことの責任をとらなければいけないという。 小委員会での人口減に向き合う危機意識の強さは、前例にないもので、小泉氏はそこに真摯さと健全な危機感を感じたという。 A氏:あえて一度、財源がないからこれしかできないという制約を解き放ち、あるべき日本の将来像と理想を描き、そこから現実的な対応を逆算し、大きなことに手をつけられないという発想から、抜け出すため、財源不足は、提言ではふれなかったという。 私:政治は時代の空気を無視できないので、2020年までの大きなストーリーを構成するのはアベノミクスと東京五輪・パラリンピックで、20年9月6日にパラリンピックが終わる、そこから日本の地力が問われるという。 政治家が政治に希望を失ったら終わりで、昨年はまちがいなく、世界で新たな国際秩序に向けて調整が始まった転換の年。 不確実で不安定な時代に突入することを示す決定打が続き、日本は人口減と少子化、高齢化という下押し圧力が、より厳しくなる中で、日本はどう生きるか。 裏を返せば政治の出番で、小泉氏はトランプ氏勝利のニュースを見て、ちょっと語弊があるけれど、少しわくわくしたという。 A氏:小泉氏は、日本人の底力が試される時代が来たぞ、ってねという。 この時代を生きる小泉氏らの世代は、新しい日本の発展の土台をつくる役割を担う。 答えがある時代に、政治の力は発揮しどころがなく、それは官僚がやっていればいいという。 私:このブログでも農業改革に関連して、小泉氏の知的街道があるね。 「農協圧力、監視を強化 公取委、TPP発効前に」、「『攻め』の農業改革、道半ば:「『したたかさ』か『情熱』」か」、「小泉氏『改革、考え方に開き』全農会長おひざ元・佐賀視察」、「全農、守りの改革 値下げPR、まずは肥料 小泉氏らが『包囲網』」、「規制改革、まずは農業 推進会議、生乳流通・資材価格に照準」 A氏:小泉氏は言う。「昨年の農業改革の議論では、本当にヒリヒリする神経戦がいっぱいあって、精神的にも体力的にも、かなりピークの状態でした。でも同時にやりがい、うれしさのようなものがあった。将来を考えたら、どんどん課題は大きくなる。経験知を積んでおかないと、次の高さは跳べません」 私:最後に小泉氏は今後のことにふれて言う。「小委員会には優秀な人たちがいて、すごく自民党の可能性を感じました。あまり知られていない同世代の議員の中にはこの人もあの人もいる、という評価は必ず生まれると思う。なんだ小泉進次郎たいしたことないじゃないか、と。これからの日本は、だれか1人の力でどうなるものではない。総力戦の時代なんです」 小泉氏が、総理になるまで、俺は生きていないのが残念だね。
2017.01.17
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私:NTTは鵜浦(うのうら)博夫社長が就任した12年以降、「プロバイダーからバリューパートナーへ」と企業体質を変えようとしているという。 NTTは従来、電話のような電気通信網、インターネットのような情報通信網の提供業者だったが、21世紀に入って通信網、つまり「土管」の提供だけでは付加価値を得られなくなった。 また、情報通信分野は米グーグルなど新興企業が台頭し、多くの競争相手が増え、競争が激化してきたことが背景にある。 A氏:生き残るには、自前の技術と取引先の持つ技術や知恵とを組み合わせ、一緒に新しい価値をつくってユーザーに届ける事業モデルに転換する必要があった。 私:新聞記事ではNTTが、「異質なパートナー」とコラボして開発した事例をいくつか紹介しているね。 まず、東レとのコラボだね。 14年1月には、共同研究の着手から1年も経たずに、東レの極細繊維を使った新しい電極で、体から発する微弱な生体信号を覚知して服を着たまま心拍数や心電、筋電が測れる「hitoe」が完成。 東レの繊維加工技術部の佐藤雅伸氏は「NTTが研究にかける人材の豊富さがすごかった。非常に早く完成した」と振り返るという。 A氏:これと関連して、スポーツ衣料大手ゴールドウィンはトレーニング用に「hitoe」を商品化し、他の連携企業は医療機器としての利用や炎天下で働く人たちの健康管理用に使うことを検討中だという。 大林組は、「hitoe」を使って建設作業員の健康管理を行うという。 私:楽天野球団とのコボでは、NTTメディアインテリジェンス研究所の画像処理技術の専門家、三上弾・主任研究員は、投手が投げたボールの球筋を再現するVRを開発。 一方、楽天はライバルチーム投手の球筋の3次元データを独自に集計し、そのデータを三上氏がVRに生かした。 16年のシーズンで銀次選手らが試験的に使いながら開発を進め、ゴーグルのようにかぶるディスプレーで見える像と現実との間の微妙な差を、選手らの意見を聞きながら修正した。 VRを使うことで、1打席目から余裕を持ってバッターボックスに立てるようになった。 三上氏は「選手の意見を聞きながら開発しなければ実際に役立つものは作れなかった」と言う。 楽天の上田氏は「新しい武器を得た。17年のシーズンでは本格的に選手強化に活用する」と話す。 このVRシステムはNTTデータが米大リーグ向けの販売を検討中。 A氏:その他、松竹とはIT技術を活用した歌舞伎の新しい演出方法、第一興商とは音声認識によるカラオケ楽曲の検索、ファナックとは製造現場を最適化するIoTシステム、クボタとは新しい農業支援システムの開発、三菱重工業とは制御システム向けサイバーセキュリティー技術などのコラボがあるね。 私:研究所から始まったオープンイノベーションの成果はNTTの11兆円を超える連結売上高に比べれば今はまだ極めて小さい。 NTTは独占企業だった電電公社が民営化した巨大組織だが、こうした新しい取り組みを組織全体の進化にまでつなげるには、価値のある成功例を重ねていくしかない。 「単なる商品化を狙うな。新しい市場をつくり、普及させることを狙え」と篠原副社長は開発陣に高い目標を掲げさせ、げきを飛ばし続けているという。
2017.01.16
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私:この連続3回の対談のゲストは、ワシントン在住の評論家、国際政治・米国金融アナリストの伊藤貫氏で、鋭い評論で、対談は8月なのにすでに、現在の米国のトランプ現象を予告していたような内容だったね。 A氏:1991年にソ連崩壊以後、アメリカは、世界の主要国のパワーバランスでなく、グローバル化による世界制覇の道を選んだ。 このとき、EUの中で、アメリカ寄りの国はイギリスであって、これはイギリスのエスタブリッシュメントの意図を示していたが、国民はなぜ、自分の国はアメリカや、EU本部の言うがままになっているのかという不満が生まれる。 私:そして、実は、イギリスは過去25年間で、ヨーロッパで格差が一番大きい。 これが、イギリスのEU離脱の背景にあり、これはアメリカのグローバル化が25年たって、崩壊の兆しとなったと言える。 A氏:アメリカが世界の政治的、軍事的システムを支配するには、全世界のGDPの最低4分の1は必要だと言われるが、第2次世界大戦終了時は50%で一極支配は容易だった。 しかし、ニクソン政権時代は30%、冷戦終了後は25%、現在は16%で、一極支配にムリが出てきた。 世界を支配するために、アメリカ軍は100万人いたが、現在は50万人。 しかし、アメリカのエスタブリッシュメントは支配欲が依然として強い。 私:そこに登場したのがトランプだね。 彼は、アメリカは、世界1の借金国なのに、なぜ、世界中で戦争をするのかという国民の不満を代弁した。 A氏:ところで、米国の金融資本は、現在、100万分の1秒の速さで、何兆ドルというカネを動かしている。 世界の国にはそれぞれの社会なり、文化があるが、このカネはそれと無関係に利益をもとめて動き回るので不安定。 日本の企業は賃金にまわさず、多くの内部留保をもっているは目先不安定だから。 日本の証券市場でも7割は、100万分の1秒の速さで動く何兆ドルのカネの一部だ。 私:しかし、この25年間、アメリカの9割の人の実質所得はジリジリさがり、資本が主役で、人間は奴隷化しつつある。 資本が主役というので、興味あることは、クリントン政権時代の財務長官は、ロバート・ルービンで元ゴールドマン・サックスの会長、そして、共和党政権に変わってブッシュ(ジュニア)政権の財務長官はヘンリー・ポールソンで、これも驚くべきことに元ゴールドマン・サックスの会長。 オバマ大統領の選挙のときも政治資金の最大提供者はゴールドマン・サックス。 ヒラリーの義理の息子のヘッジファンドも大量のゴールドマン・サックスのカネが行っている。 アメリカの投資銀行で一番能力が高いのはゴールドマン・サックスだが、ロシアのエリツィン政権時代に国債発行したのもゴールドマン・サックス、ギリシャ危機をデリバティブでごまかしたのも、ゴールドマン・サックス。 A氏:世界がゴールドマン・サックスにあやつられているみたいだね。 その不満が、イギリスでは国民投票でEU離脱、アメリカではトランプ現象だね。 アメリカの民間企業の収益で、金融によるものは半世紀前は15%くらいだったのが、 現在、民間企業の収益の40数%を金融業が占め、半世紀で3倍になっている。 もうけのほとんど、金融業者がもっていくわけだ。 このおかしな構造にノーと言いたい人たちがトランプに頼るわけだ。 私:アメリカでは、0.1%層、1%層、10%層の差别があって、ここ20年の資本取引の利益半分を0.1%層が得ている。 そして、アメリカの共和党、民主党への巨額な政治献金はこの0.1%層から出ている。 だから、経済、外交、軍事政策は、この0.1%層を敵にまわせないという異常さだ。 0.1%層は政治権力を持ち、1%層は単なる金持ち、10%層は生活レベル向上しエスタブリッシュメント意識がある。 しかし、ボトム5から6割は生活レベルが下がり、悲惨な状況になっている。 トランプ人気を支えているのは、燎原の火の如く広がった格差に対する不公平への国民の直感。 A氏:アメリカの地方の疲弊はすごいらしい。 人口数千人から1万人くらいの小さな町では空き家が3割、可処分所得がない、そういう国民生活苦をマスコミは意図的に報じない。 私:3回目の28日は、経済問題でなく、核武装問題なので割愛したい。 このブログの「資本主義の終焉と歴史の危機」水野和夫著に、アメリカは「電子・金融空間」を作り、資本主義の延命策をはかったとあるが、これはトランプ政権でどうなるだろうか。
2017.01.15
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私:「ポケモンGO」は、ゲームの記録を次々と塗り替えたが、野村達也氏はその生みの親のひとり、シニア・プロダクトマネジャーだ。 しかし、彼の人生は波乱万丈だね。 A氏:野村氏(30歳)は、いまは日本国籍だが、中国・黒竜江省の寒村に生まれ、父方の祖母は日本人で、戦時中に旧満州に渡ったが戦後取り残され、中国人の祖父と結婚し、母方は中国人だが、物心ついたときには、母について早朝から豆腐を売り歩いていた。 村に娯楽はなく、4人の姉と野山で遊び、冬は板からそりを作り、9歳のとき、一家は豊かな生活を求めて親類を頼り日本の長野市に渡った。 私:移住した一家はほとんど、日本語が話せず、苦しい生活を送り、父親は工事現場などで働き、母親は豆腐工場で働いて家計を支えた。 野村氏は小学校6年生から新聞配達を始め、同級生がまだ寝ている薄暗い時間に起き出し、雪の中を自転車で約200軒回った。 野村氏は「つらいと思ったことはなかった。普通の家のレべルよりずっと下から出発して、がんばればどんどん生活が良くなることが実感できたから」という。 A氏:もう、この頃からゲーム好きで月に3万6千円のアルバイト代をためてパソコンやゲームを買い、独学でプログラミングを学んだ。 大学は地元の信州大学工学部(おそらく電子工学科)に進み、コンピューターのCPUを設計し、苦学して、次にスーパーコンピューターの研究を東工大大学院で行い、多くの外国留学生とも友だちになり、英語を身につけた。 私:2009年にグーグルでインターンをしたのをキッカケで11年にグーグルに入社。 グーグルでの仕事は刺激的で好きなことをやれたという。 「ポケモンGO」のアイデアが芽生えたのは13年末で、グーグルは毎年エイプリルフールにちなみ仕掛けをするので、野村氏は、次回のネタを考えながら出張できた都内で、「ポケモンセンター」の前を通りかかった時、幼い頃、夢中になったゲームの記憶がよみがえり、「これだ!」となった。 A氏:作ったのはグーグルマップに隠したポケモンを集める「ポケモンチャレンジ」で大いに評価され「ポケモンGO」のコンセプトが生まれた。 私:野村氏は、14年にベチャー企業のナイアンティック社に移るが、CEOが、「ポケモンGO」の開発を「ポケモン」社長の石原氏に打診をする。 石原社長は「野村君がプロダクトマネージャーをやってくれるなら引き受ける」と条件を出した。 プロダクトマネージャーは、ゲーム全体を決める重責。で、カメラマンをいきなり映画監督にするような提案だ。 石原社長は野村氏と食事をしながらの5分ほどの会話で「生い立ちからこれまでの大変な道のりを、笑いながら軽やかに語ってくれた。人を引きつける力をすごく感じた」という。 A氏:野村氏の人柄を石原社長は見抜いたんだね。 それが「ポケモンGO」の開発成功の推進力となった。 私:「ポケモンGO」の熱狂は落ち着きつつあるが、野村氏は「ただのゲームで終わらせたくない」として、今年も次なる仕掛けに挑戦するという。
2017.01.14
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私:今回のコラムではクルーグマン教授は、トランプ氏のまやかしの政策を報じて、実効性のある真の報道をしていないと、マスコミなど報道機関を批判しているね。 例えば、トランプの口先介入で、米空調大手キヤリア社がメキシコへの雇用移転をやめたという話で、800人の雇用が維持されたと報じるものもあれば、機械で置き換えられるだけだろうと伝えるものもあったが、最も好意的な解釈をしたとしても、米国全土では職が守られた労働者の約100倍にあたる人数が、その同じ日に失業している。 まるでトランプ氏が本質的な意味あることをしたように感じたかもしれないが、そうではなく、まやかしの政策で、本物の成果のためではなく、うぶな田舎者にすごいと思わせるための見せ物だと教授は厳しい。 A氏:米国経済は巨大で、雇われている人は1億4500万人にのぼり、絶えず変化もしていて、産業や企業には盛衰があり、勝者も敗者もいる。 その結果、雇用は常に揺れ動き、より多くの雇用が生まれるのと同時に、多くの職が消えていき、自己都合ではない、「会社都合」による平均的な1カ月間の離職者は150万人で、実働日1日当たり7万5千人だが、労働市場では平常通りに時が流れているというわけで、教授の言うようにトランプ氏がいう800人の雇用維持は政策と無関係の数字だね。 私:同じことが、フォードがミシガン州で700人の雇用増を決めたという大げさな宣伝にも当てはまる。 また、ゼネラル・モーターズ(GM)がシボレー・クルーズをメキシコで製造しているという、事実と異なるトランプ氏の糾弾も同じで、メキシコの工場は主に他国の市場向けで米国向けではない。 次期政権はフォードの決定に何か関与したのか? 政治的圧力でGMの戦略を変えることはできるのか? ほとんど関係がない。 個別問題への大統領の干渉が、19兆ドル(2185兆円)規模の経済に重大な影響を与えることは決してないと教授は指摘する。 A氏:それならなぜ、こうした話題がこれほどメディアの注目を集めるのか。 教授は、次期政権がまやかしの政策をとろうとする動機は、明白で、いい加減なポピュリズムとぴったり寄り添うものでもあるという。 私:本物の政策とは、米国のような裕福な大国では多額のお金が絡み、経済に幅広く影響を及ぼすもので、例えば、医療保険改革法(オバマケア)の廃止は、まさに本物の政策で、実施すれば、低・中所得世帯向け保険への、何千億ドルもの補助金を奪い取り、約3千万人が無保険になる結果をまねくだろうからと教授はいう。 A氏:トランプ氏は白人労働者階級の有権者から圧倒的な支持を得て、有権者たちはトランプ氏が味方だと信じたが、トランプ氏の本物の政策の主題は、不気味な貿易戦争以外は、ごくふつうの現代の共和党党政策で、億万長者に対する大幅減税と、多くのトランプ支持者に不可欠なものまで含む公共政策の容赦ない削減なのだと教授は言う。 私:ペテンを続けるためにトランプ氏にできることは何かというと、あちらこちらでいくらかは雇用を守ったと長々と語られ得る、人目を引くが、実際は取るに足りない干渉。 この巨大な国で、実際の効果は、誤差の範囲にすぎないだろうが、おそらく少なくとも、宣伝戦略としてはしばらくの間はうまくいくかもしれないと教授は言う。 A氏:雇用を守ったとするトランプ氏の主張の根本的なまやかしぶりを伝えず、その主張を繰り返し大きく取り上げるのはジャーナリズムの背信行為で、記事を読み進んでいけば、結局は偽りを暴いていても、同じことで、見出しを見て主張は妥当だと思うのが、ほとんどとは言わないまでも多くの読者なのだからと教授は指摘する。 私:さらによくないのは、まやかしの政策に関するニュースに追い出され、論じられるべき政策が取り上げられなくなることで、まやかしの政策に、やがてメディアが反発し、キヤリア社のメキシコへの雇用移転をやめたという話のような人気とり策を単にばかげたものだと扱うようになるかもしれない。 しかし、これまでのところ、楽観できる要素は何一つないと教授はやや悲観的だね。 この記事は、昨日のトランプ氏の初の記者会見前に書かれた記事だろうが、すでに報道機関の姿勢を予告したものになっているね。 それと、トランプ氏のツイッター騒動はいつまで、続くのだろうか。
2017.01.13
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私:昨日はブログで中国の「元安」の問題を取り上げたが、今朝の新聞によると中国についで、次の経済大国として期待されるインドの貨幣「ルピー」が問題を起こしていることが報じられているね。 A氏:昨年11月8日夜、モディ首相がテレビ演説し、不正蓄財や偽造紙幣を根絶するため、最高額紙幣だった1千ルピー(約1700円)と500ルピー(約860円)の紙幣を翌9日午前0時で無効にすると宣言したんだね。 先月末の期限までに旧札の9割以上は銀行を通じて回収されたが、新札の供給は遅れ、深刻な現金不足が続いており、廃貨の無効を求める訴訟が起こされ、最高裁で係争中。 私:驚いたことに、インドでは所得税を払う人が人口の約2%にすぎず、多くの庶民は課税対象になりにくい現金取引の世界で暮らす。 「ならば現金を無効にしてしまえ」とモディ首相が昨年11月に強硬策に打って出たわけだ。 成長の足を引っ張る「地下経済」の根絶を狙う巨額の「廃貨作戦」だが、大混乱を招いているという。 A氏:町工場や農家など昔ながらの現金取引に頼る経済は途上国に広く存在し、政府が実態を把握できず、課税もできないため、「インフォーマル・セクター(「非公式部門」)」と呼ばれる。 物やサービスの質は悪くても値段は安く、大量の雇用も生み出す低所得者層には不可欠な存在だ。 インドの場合、GDPの23%に匹敵するという世界銀行の推計があり、雇用の9割を占めるとされる。 私:一方、「非公式部門」では労働法は無視され、雇用環境は悪く、汚職や不正蓄財、密売などの温床にもなり、所得税も、消費税のような間接税も払わないため、政府の財政を圧迫。 インドの人口約13億人のうち納税者は3千万人に届かず、財政赤字の原因となり、好調を維持する経済の不安要因とみられてきた。 A氏:モディ氏の廃貨宣言は巨大な「非公式部門」に流通する現金を「ブラックマネー」と位置づけ、一気に「公式部門」に組み入れる試みだ。 無効化された旧札は総額15兆ルピー(約26兆円)で、先月31日、テレビ演説でモディ氏は、ヒンドゥー教の宗教用語を用いて「歴史的な浄化の儀式が進行中だ」と強調した。 一方で政府は、国民が新札で再び現金取引に依存することを警戒し、口座引き出し制限を維持し、透明性が高いカードや電子取引を国民に勧めている。 私:インド人でノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・セン米ハーバード大教授は、 モディ氏の廃貨宣言は、経済全体に打撃を与え、貧しい人ほど職を失い、ささやかな商売が難しくなっていると評価している。 キャッシュレス化が正しいとしても、誰かにしわ寄せが行くことなく、何年もかけて実現されるべきことだという。 「非公式部門」は日本や米国にもまだ残っているが、それをなくすのが理想だとしても、「ならば一晩でやってしまおう」というのはばかげており、「非公式部門」は経済の進歩の結果として解消されるもので、人々を脅してなくせるものではないと教授はいう。 いずれにせよ、インドの経済成長に悪影響を与えないことを期待したいね。
2017.01.12
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私:昨夜、NHK・BS1の午後10時からの国際報道番組で「大暴落?止まらない人民元、中国政府と国民の攻防」という特集をやっていたが、今日の朝刊でもふれているね。 中国経済が減速や、トランプショックのせいか、元が安くなっていて、中央銀行の中国人民銀行が、元安阻止の為替介入しており、対ドルの元相場は過去3年間で約12%値下がりし、約8年半ぶりの1ドル=7元台に近づいているという。 A氏:NHK・BS1の報道では、中国の富裕層が元を売って、ドルに替えているので、元の流出に拍車をかけていると報じていたね。 政府の規制もはじまったが、その手をくぐって、元の流出が止まらないようで、そこでテレビは「中国政府と国民の攻防」だと報じているが、新聞のほうは何故か、その報道はないね。 私:人民銀は、元の値下がりを止めるためドル売り元買いの為替介入を繰り返しており、外貨準備高は、2016年末にはピーク時より約1兆ドル(約116兆円)減り、急な減少を金融市場が懸念し、さらに元安が進む循環を招く可能性もあるという。 A氏:人民銀が、7日発表した16年末の外貨準備高は、前月から410億ドル減って3兆105億ドルとなり、過去最大だった14年6月の3兆9932億ドルと比べ、2年半で4分の3になった。 私:元を買い支えるために外貨準備のうち米国債を急ピッチで売ったため、昨年10月末時点の米国債保有量では中国が日本に抜かれる「再逆転」まで起きたね。 大規模な為替介入を続ければ、外貨準備はさらに減り、心理的節目の「3兆ドル」を割り込んで市場の不安が高まり、企業や個人が元を売る動きが加速しかねない。 このため、当局は水面下の指導などでお金の流れを操作し、市場に働きかける手法を駆使しているという。 A氏:中国では、ほとんどの中小企業が相場変動に備えた為替予約などの取引をしていないとされ、元安が進むと企業の外貨建ての借金が膨らむことを当局は懸念。 10日発表された昨年12月の生産者物価指数(PPI)は前年同月比5・5%上昇と、5年3カ月ぶりの上昇幅を見せ、元安で原材料などの輸入価格が上がり、企業収益を圧迫することも心配され始めたという。 私:米国でのトランプ政権誕生や、FRBによる利上げ観測で、今後も元安ドル高傾向は続くとの見方が強く、外貨準備の減少を避けるためにも、中国はこれ以上の介入をやめ、元の再度の切り下げに動く可能性があるとみられるという。 中国経済のさらなる減速は世界経済に大きな影響を与えることが懸念されるね。
2017.01.11
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私:文科省は15年6月、国立大に対し、教員養成系と人文社会科学系の学部・大学院について「組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組む」よう通知。 神戸大も文学部の入学定員を15人減、文系分野が中心の国際文化、発達科学の2学部を国際人間科学部に改組して50人減で、逆に理系では工学部で25人増、理学部で13人増、農学部で10人増そした。 A氏:茨城大は、17年度の人文学部の定員を「人文社会科学部」に改組するのに伴い35人減、教育学部も教員免許取得を卒業要件としない課程を廃止し、75人減だが、一方、学科を改組した農学部は45人増、工学部は40人増。 私:河合塾が17年度の国立大の入学定員を「文」「理」「その他」の3系統に分けたところ、文系(人文・社会科学、教育)が3万6945人で全体の38・6%と、2年前から1・4ポイント減。 これに対し理系(理、工、農、医療)は5万5184人、57・7%で、0・9ポイント増。 それ以外の生活科学、芸術、体育などが3474人となっているという。 A氏:このブログでは、文系の重要性としてのリベラルアーツの重要性を下記のように「リベラルアーツ知的街道」でとりあげてきたね。 「『文系学部廃止』の衝撃」、その1、その2、その3、「東工大、集う文系の達人 中島岳志氏・磯崎憲一郎氏ら次々教授陣に 教養重視の伝統」、 「大学病院革命」、「リベラルアーツ最前線 米国の作文教育から学ぶ」、「12月11日・朝日新聞日曜書評より」などで、 関連して、「禅と経営・一流が実践する仕事の法則」があるね。 しかし、文科省の方針は変わらないので、文系は今年は「狭き門」だね。 私:また、文科省は、私大の入学者が定員を一定以上超えた場合、大規模大ほど経常費の補助金を渡す条件を厳しくする方針で、18年度まで段階的に定員管理を厳しく実行する。 大・中規模大は関東、関西、中部の3大都市圏に多いため、学生を地方に分散させるねらいがあるという。 国立大は、文系の定員が縮小し、理系が拡大する「文縮理拡」だが、今年の国公私立を合わせた受験生の志望動向は昨年と同様、理系に比べて文系学部の人気が高い「文高理低」だという。 A氏:「文高理低」の要因とされるのが就職状況の好転で、大学生の就職率はリーマンショック(2008年)後の12年から5年連続で改善したのを受け、文系の人気が昨年ごろから回復してきたという。 理系は就職の低迷期は好まれるが、文系の方が幅広く就職先を選べるイメージがあるためとみられるという。 経済状況が大きく悪化しない限り、文系人気は続くだろうという。 私:全体的には大規模私大の合格者数は抑え気味になると推測され、文系志向の高まりで、私立も国立も文系は合格が難しくなるとみられる。 地方や定員割れの私大では定員厳格化の影響は少ないが、競争で難易度が増す大学と、そうでない大学の二極化が顕著になると思われるという。
2017.01.10
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私:ロシアが米大統領選にサイバー攻撃で介入したとされる問題で、米情報機関をたばねる国家情報長官室は6日、ロシアのプーチン大統領の指示があったと断定する報告書を公表。 最初、懐疑的だったトランプ氏は、6日にこの調査結果を受けると一転、「情報機関の仕事に絶大な敬意を持っている」と持ち上げた。 問題が表面化してもプーチン氏に好意的だったトランプ氏だが、就任前にサイバー問題という重い現実を突きつけられたことになる。 「ハッキングを許した民主党全国委員会(DNC)の大きな怠慢だ。共和党全国委員会(RNC)は強固な防御を持っていた!」と、トランプ氏は6日夜、ツイッターにこうつづった。 A氏:サイバー問題に詳しいスタンフォード大学のシニア研究員ハーバート・リン氏は「共和党がハッキングされていないとは考えられない。ロシアは可能な限り情報を集め、有効に使おうとして保持し続ける」と指摘。 その上で、こうした形のスパイ行為は通常の兵器より大きな影響力を持つとし、「過去に例の無いようなロシアにすり寄る米大統領を持つことになる」と話したという。 私:また、報告書では「(ロシアは)比較的容易に目的が達成できると信じている」「米国が主導する民主主義的な秩序を損なおうとするもので、非常にエスカレートした」とも指摘。 ロシア情報当局が能力を向上させ、選挙後も米政府などを狙ったサイバー攻撃を試みているとしているという。 A氏:こうなると、トランプ氏は、セキュリティー対策の専門チームを設けることを決めることになった。 しかし、ロシアのサイバー攻撃を防御するのは難しい問題だという。 私:トロント大学のジョン・リンゼイ准教授(サイバーセキュリティー)は、ロシアの手法について「サイバーという要素が入っても、スパイの領域だ」と話し、冷戦時代から基本的な手法は変わっていないと指摘。 「ロシアは非常に高度な技術を用いたというより、人をターゲットにしたとされる。(偽のメールなどを送りつけて)相手から自主的にパスワードを提供させたのだろう。いかなる組織も、この手の手法には弱い」という。 対策についても「サイバー作戦は基本的に相手を欺くことに基づいている。欺かないという約束は成り立たない。ロシアは今回を完全に勝利だと位置づけ、再度行おうとするだろう」と話しているという。 ロシアのサイバー攻撃は続きそうだね。
2017.01.09
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私:モンゴル帝国(元)の襲来を、文永の役(1274年)、弘安の役(1281年)で鎌倉武士が2度にわたって食い止めた「元寇」は、ともに長年、暴風雨(神風)が勝因とされてきたが、近年、新たな見方が浮上しているという。 A氏:第2次世界大戦中には、「神国日本」を裏付ける材料として使われたカミカゼ伝説が幻だったことになるね。 私:くまもと文学・歴史館の服部英雄館長(日本中世史)は、「文永の役」について「モンゴル軍が日本に攻め寄せた夜に嵐が来て翌朝撤退したと書く本が多いが、そんな史料は存在しない」と主張する。 「神風」の元になったと思われるのは『八幡愚童訓』という鎌倉時代の史料だが、「夜中に神が出現し矢を射かけたため、蒙古はわれさきに逃げ出した」といった内容だけで、さらに、西暦換算すると、モンゴル軍の襲来時期は11月で台風のシーズンではなく、寒冷前線通過に伴う嵐が来た可能性はあるが、それで大量の軍船に被害が出たという記録はないという。 A氏:服部館長は、攻略が思うようにいかない場合、冬の前に帰国する計画だったのではとして、軍勢の数も900隻・4万人とされてきたが、これは搭載されたボートなどを含めた数字で、実際は112隻、将兵は船頭を含めて1万2千人ほどだったという。 私:続く7年後の「弘安の役」では、台風でモンゴルの軍船が一部被害を受けたと思われるが、「沈んだのは鷹島沖の老朽船だけ。本来なら大勢に影響はなかったが、食料などに不足をきたし、日本側の猛攻を受けたため撤退した」と服部館長はみる。 A氏:一方、フビライが3度目の日本遠征をやめた理由はベトナム侵攻で敗北したからとの説が有力だという。 これは、ハノイ国家大学人文社会科学大学のグエン・バン・キム副学長の説明によるもので、モンゴル軍は1258年、85年とベトナムの陳朝を攻め、タンロンなどを攻略したが、1288年のバクダン川の戦いで大敗し、多くの軍船を失った。 「フビライにとってバクダン川の敗戦が膨張政策を見直す契機になったのは間違いない」とキム副学長はいう。 私:服部館長によると、「鎌倉武士は戦の勝因を神風とは考えていなかった」らしいとのこと。 「主張したのは敵国調伏の祈祷をした社寺。武士はむしろ自らの戦績を誇った」という。 しかし、そのはるか後世、「神風」の記憶だけが歪曲され、西欧列強の脅威に直面した明治期と、「神州不滅」が叫ばれた第2次世界大戦中の2度にわたり、「元寇」は日本人の国民意識の形成に大きな役割を果たすことになるね。 A氏:「元寇」という言葉が生まれたのは江戸時代で、「寇」は「侵略」を意味する言葉。 モンゴル帝国の伸長に関しては一国にとどまらない世界史的視野での議論が欠かせないため、先月も東京・昭和女子大で国際シンポ「ユーラシアにおけるモンゴルのインパクト」が開催されたという。 私:この記事で紹介された服部館長の「神風」否定説は、すでに、服部英雄氏の『蒙古襲来』(2014年、山川出版社)で発表され、学界の内外に一大センセーションをまきおこしたという。 また、新井孝重氏『戦争の日本史7 蒙古襲来』(07年、吉川弘文館)は従来説等をバランスよく俯瞰しているという。 しばしば、歴史は、為政者の都合のいいように歪曲されるね。 「神風」もその例ということか。 そして、それは「幻」ではすまず、「神風特攻隊」という現実となり、「カミカゼ」という言葉を世界に広めたね。
2017.01.08
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私:佐伯教授の1月の「異論のススメ」は今、問題になっている「天皇退位」問題をとりあげているね。 政府は、特別措置法で処理したいらしいが、違憲だという学者もいるね。 教授は、それほど強い意見もないが、制度としての皇室制度の存続と、天皇の生身の身体の間には、どうしても不都合を生じる可能性があるとしている。 A氏:ところが実は、その「天皇制度を確かな形で存続させること」が、ある意味ではたいへんに難しいのであり、そこにきわめて重要な問題が潜んでいるという。 それは、戦後憲法のもとでは、天皇の地位は、あくまで国民の総意にもとづくものであり、その地位の継承や安定性は、「皇室典範」によって規定され、その「皇室典範」は通常の法律と同様に、国会で改正できる。 端的にいえば、国会の意思によって皇室の在り方を改変できるのみならず、「国民の総意」によって、憲法改正をへれば、天皇制度を廃止することもできると教授は指摘する。 私:戦前の「皇室典範」は憲法の外にあり、国会によって改正できるものではなかったが、一方で、明治国家は西洋型の立憲君主制を模倣しつつ、他方では、あくまで天皇に対し「神聖にして侵すべからざる」存在としての神格を与えた。 天皇は、立憲主義の範囲におさまる部分とそれを超え出た部分の二重性をもっていたことになる。 これは一種の矛盾であり、その矛盾が「統帥権の独立」などという形で現れもした A氏:司馬遼太郎が、昭和の軍部が権力を握ったもとは、この「統帥権」であったとしているね。 軍部は「統帥権」を利用して、軍部独裁を築いた。 私:戦後日本の「国のかたち」は、象徴天皇による形式上の立憲君主制であり、あくまで民主主義によって支えられる天皇制(君主制)ということになった。 ところが、教授は、話はそう簡単ではなく、憲法にはまた、皇位は世襲であり、皇室典範にしたがって継承される、とあり、日本国、および日本国民の統合の象徴としての天皇は、単なる王家の一族でもなければ、単なる制度でもなく、日本の歴史の持続性、国民統合の継続性を示すものとされており、それが、皇位は世襲される、ということの意味であろうという。 A氏:教授は、天皇の位置は明らかに民主主義の原理からは外れており、皇室は、表現の自由も選挙権も信教の自由ももたない、つまり基本的人権をもたないという意味で、近代憲法の枠外の存在というほかならないという。 私:それは、日本の天皇制度と、西洋から導入した近代的な立憲主義や民主主義の間に何か根本的に食い違いがある、という事実であり、日本の政治体制は、基本的には君主国である英国に近いが、それでも大きな違いがあると教授は指摘する。 A氏:教授は、原点に戻り、日本の天皇制度の伝統的な本質は、三点に要約できるとしている。 第一に、天皇の地位は血脈による世襲であること。 第二に、天皇は、人であると同時に、何らかの意味で聖性を帯びていること。 すなわち、一方で神をまつる「祭祀(さいし)の長」であると同時に、他方で、その聖性を「たてまつられる」という二重性をもつ。 第三に、天皇は、形式上は政治の主宰者であるが、自らは祭祀や儀礼によって権威を代表し、実際上の政治的な権力には関与しないこと。 私:そして、教授は、これは、あくまで世俗的な征服王朝から始まった英国流の君主とも 違い、おそらく世界(先進国)には例を見ないものであろうとし、戦後の日本では、第 一と第三の特質は残したが、第二の聖性は否定したが、しかし、本来はこの三者は簡単 には切り離せないという。 教授は、われわれは、いまでも第二点の「聖性」を心のうちにもっているのではなかろうかとし、それは天皇個人というよりも、天皇という制度そのものが暗示するものであるという。 そもそも、天皇を抱く日本の歴史的な「国のかたち」と戦後の民主主義や西洋流の立憲主義の間に齟齬が生じるのは当然で、この齟齬を全面的に解決する方策はないが、天皇の退位問題を通してわれわれが見るべきものは、こうした困難な事情ではなかろうかと教授は言う。 A氏:敗戦後、GHQが新憲法作成で天皇の強大な権威を縮小したが、十分に検討しないで天皇制に手をつけたツケが来ているのではないかね。 私:教授が指摘するように、この問題は簡単に解決しそうにないね。
2017.01.07
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私:池澤氏は先日、日本の小説では主人公の男性はもっぱら姓で呼ばれ、女性の方は名で呼ばれ、習慣的にそうなっていることに気づいたという。 かつて日本では女の名が優先された、というのは丸谷才一氏の説で、「お軽・勘平」とか「小春・治兵衞」、「お初・徳兵衞」であったという。 A氏:小説で、女が名で呼ばれるのは、社会に出て姓で呼ばれる場面が少なかったからで、子供や使用人と同じ扱い。 私:池澤氏は、先日、フィンランドの外交官の半分が女性であるという話を聞いた。 日本の場合は外交官の中で女性はわずか5・3%。 お隣の韓国では外交官試験合格者の七割強が女性であるという。 A氏:日本での女性の社会進出率は極端に低く、先進国中最低はおろか、144カ国の中で111位というまこと情けない位置で、2012年には101位だったから、更に下落。 ちなみにフィンランドはこのリストで2位。 女は家で子供を育てていればいい、という考えが今もって国会と政界と財界の中心に腰を据えていて、いわゆるガラスの天井がとても低いところにある。 社会が育児を支援しなくてどうして出生率が上がるだろう。 この事態を明快に訴えたのが去年の「保育園落ちた日本死ね」というブログの言葉で、「どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか」は政策の欺瞞を正面から突いたと池澤氏は評価する。 私:池澤氏は言う。 「実際、このままで行けば日本は死ぬ。正月から敢えて縁起でもないことを言うが、出生率が上がらず、国民の半分の才能・能力を捨てて、既得権益にしがみつく男どもの言いなりになっていたら、日本は死ぬ。男女格差、今は世界で111位、最下位まで33位分しかない。『どうすんだよ』。」 昨日のブログ「2020年代、『3度目の日本』創造」の堺屋太一氏のいうように、「荒涼たる日本が残るのか、それとも新しい楽しみが生まれるのか」だね。 A氏:池澤氏は、ここ数年、「日本文学全集」というものを作ってきたが、その途中で不思議に思ったのは、奈良時代から平安時代まであんなにたくさんいた女性の歌人や作家が、ある時期から急に姿を消したことだという。 「万葉集」から「源氏物語」や「枕草子」へ、女性は大いに活躍。 紀貫之などそれにあやかりたくて「土佐日記」を女性になって書いたほど。 盛期を終えた後、明治になって樋口一葉が現れるまでの間、日本文学史に女性の名はまこと少ない。 私:そうだね。 平安時代以降、女性の活躍が急にしぼむね。 分水嶺は応仁の乱だったといい、支那学の内藤湖南は、「応仁の乱の前の日本はまるで外国のようだ」と言っているという。 戦争が終わって、憲法が新しくなって、女性の地位は本来の位置に戻るかと思われたが、背を伸ばして立てば頭をぶつける低いところに今もガラスの天井があり、女たちは今もって腰をかがめることを強制されていると池澤氏は指摘する。 A氏:しかし、池澤氏は「ぼくが知るかぎり唯一の例外は文学だ。芥川賞を例に取ると、ここ数年の受賞者は男性が6名、女性が7名。選考委員の性比は女性4人、男性6人。ぼくが選考委員になった22年前には男が10人に対して女性は2人だった」という。 私:池澤氏は、文学はこの方面で社会を牽引し、古代に回帰させているという。 しかし、企業でもこのブログの「カルビー 女性奮闘、さくさく時短術」でとりあげたカルビーの松本会長のように、09年6月に就任したときに、カルビーに感じたのは「なんだ、男村じゃないか」だという。 すぐに「女性の活用なくして成長なし」と社内に宣言した。 そのとき、ある部長は、「この会社、1世紀遅れているね」と会長に声をかけられたことを覚えているという。 カルビーは女性の活躍で、会社は急成長している。 昨日のブログの堺屋太一氏のいう「3度目の日本」創造には、女性の活躍が鍵をにぎっているのだろうか。 奈良時代から平安時代の頃のように女性の活躍が期待されるね。
2017.01.06
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私:厚生省(現・厚生労働省)の技官だった吉田寿三郎氏は、66年の「丙午(ひのえうま)年」の出生数は激減していたことで、日本人は出産をコントロールする技術を習得しており、将来の人口もそれほど増えず、未来は高齢者ばかりの社会になると予測していたという。 当時、堺屋氏は、大阪万博の政府館の準備を担当していたので、その展示で、この少子高齢化のことを国民に伝え、出生数を保つよう呼びかけて欲しい、と吉田氏は求めたという。 A氏:そこで堺屋氏は、厚生省の人口問題研究所(現・国立社会保障・人口問題研究所)に問い合わせたが、日本の問題はむしろ「人口過剰」にある、といわれてしまったという。 当時、マーガレット・サンガー女史再来日など、産児制限の運動などもあったようだね。 私:そこで、4話構成の著作「団塊の世代」の最終話は2000年ごろの日本が舞台で、経済は停滞し、老人世代と現役世代の亀裂も生じつつあり、「日本民族の春と夏は短かった」「今は民族の秋」と登場人物が語るというものにしたという。 A氏:当時、人口減という未来予測に霞が関の官僚たちから批判を浴びたが、結局、その通りになり、大変な少子高齢社会で、年金など社会保障の費用が膨らんで、若い世代の負担になっている。 地方の衰退も深刻で、堺屋氏は、小説を書いた頃に、対策を立てておけばよかったという。 戦争中に「生めよ殖やせよ」と呼びかけた問題を意識して反対する人たちがいるが、出産を政府が国民に勧めればよかったという。 私:堺屋氏はさらに言う。 今の日本は3度目の敗戦状態にあり、1度目は黒船に敗れて開国を強いられた江戸時代末期、2度目は太平洋戦争での敗北、今回は敵がいないだけに、たちの悪い敗戦だという。 今の日本の基本構造は、70年代からの官僚主導でつくられ、官僚は東京一極集中や正社員中心の労働形態、さらには人生の規格化まで生み出した。 就職して金をためてから結婚し、小さな住宅を買う、という生き方が普通になった。 A氏:我々世代がそうだね。 でも、昭和時代の終わりから経済は失速し、低成長に。 若い人たちは車やブランド品をもう欲しがらないし、未来への不安があるから夢も抱きにくい。 私:この3度目の敗戦状態から、日本を作り直すのは、東京五輪後の2020年代の仕事で、団塊の世代は70歳代後半に突入していく。 彼らは日本を繁栄させてきたが、年金や医療費などの社会保障費を膨らませ、繁栄を食いつぶし去っていく。 問題は、その後。 荒涼たる日本が残るのか、それとも新しい楽しみが生まれるのかと堺屋氏はいう。 A氏:官僚主導で日本は「守旧」の病に侵されてきたが、ある時点でぽこっと切れる。 その1度目が明治維新で、2度目が終戦、3度目が2020年代。 つまり「3度目の日本」がそのとき登場すると堺屋氏はいう。 私:今から「3度目の日本」を作っていかないと間に合わない。 もし変われなかったら、徳川時代が続いて明治維新がないようなもの。 日本は世界中から忘れられた「魅力のない国」になると、堺屋氏は指摘し、「3度目の日本」を17年の流行語大賞に入れたいという。 堺屋氏は、「若い世代は、自分が何が好きなのかを一人ひとり考え、それを実行してほしいですね。世間から笑われたり、そんなの無駄やと言われてもいい。高度成長期は一人ひとりが経済成長し、その蓄積が高度成長になったように。今度は一人ひとりが『好きなこと』をやる。その蓄積が日本全体で大きな創造になる」という。 今年は、内外ともに多難な年になりそうだが、若い人中心に「3度目の日本」の方向に動くことを期待したいね。
2017.01.05
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私:昨日に続き、ネットの記事に代表されるような現代の情報の問題をとりあげている。 例としてまず、あげているのが、講談社の雑誌「フライデー」が昨年12月、俳優・成宮寛氏のコカイン吸引疑惑を報じると、編集部には抗議の電話が殺到し、2週間で計1千件を超えたというものだ。 講談社の乾智之・広報室長は、批判が一気に広がった背景に「ネット、とりわけ『まとめサイト』の影響があった」とみているという。 A氏:例えば「NAVERまとめ」サイトは、一般の人があるテーマについて主にネット上で集めたデータや文章を引用・要約し、見出しをつけた「まとめ記事」として数多く投稿しているものだ。 成宮さんに関する「まとめ記事」は約360本で、100万回以上閲覧されたある投稿には「弟の学費を稼ぐためアルバイトに明け暮れた」と成宮さんに同情的な記述が目立つ。 また、130万回以上閲覧された投稿では、成宮さんの尿検査が陰性で、事務所が「法的措置を取る」と主張したことなどを紹介しているという。 私:情報源のフライデーの発行部数は約26万部だから、誌面の読者とは桁違いな数の人々が「まとめサイト」を見て、「単純化された断片情報によって批判が高まっていった」とフライデーの乾氏は言っているという。 より多くの情報や知識が集まり多様性が生まれる一方で、情報自体の信憑性(しんぴょうせい)を見極めることは非常に難しくなるね。 A氏:これは、米国も同様でこのブログの「メディアで何があった」で、今回の米大統領選では、地方紙の衰退に象徴される米メディアのチェック機能低下が表面化する一方、ネット上では様々な虚偽ニュースが拡散し、トランプ氏の当選の背景には、米メディアの構造問題があると指摘されているのと似ているね。 私:昨年、肩こりの原因を「幽霊?」と記述するなど内容のずさんさが問題になった、医療情報サイト「ウェルク」などDeNAが運営する10のサイトが閉鎖に追い込まれた。 ウェルクは月間のべ2千万人が利用する人気サイトだった。 同社は「スマホの普及で、移動中などに、パッと浮かんだ疑問にコンパクトな情報を得たいというニーズが生まれている」と、情報サイト事業に参入したもの。 A氏:「学ぶこと」も省力化、単純化され、昨年23万部のベストセラーとなった『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』(井堀利宏著、KADOKAWA)は、図表を多く用い、1項目30分×20項目、計10時間で終わるという構成で、シリーズ化され「経営学」「哲学」も出た。 私:洪水のように情報があふれるネット時代だが、我々の脳の処理能力は、2万年前のクロマニョン人とさほど変わらないと指摘するのは、国立遺伝学研究所の有田正規教授(生命情報学)で、「まとめサイト」などは「生物としての人間が限界を超えた情報を処理するために生み出した処方箋」だという。 さらに教授は、「ただ一部では間違った情報が拡散するなどの副作用も出ている。一定の時間をかけて体系的な知識を身につけ、誤りをより分けたり、批判的に咀嚼したりできるような教育が重要だ」と言う。 情報があふれているときに、とにかく、ネット情報だけで、ものごとを決めつける思考構造は危険だし、自分というものをしっかり持つべきだね。
2017.01.04
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私:元フジテレビアナウンサーで、フリーとして活躍していた長谷川豊氏(41)は昨年9月、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」と題してブログに投稿して批判が殺到、レギュラーの8番組すべてを降板になったという。 膨らむ社会保障費を取材する中で、医師の指示を守らず暴飲暴食を繰り返すなどして人工透析に至る患者がいることを知り、「そういう人には何らかのペナルティーも必要ではないかと伝えたかった」のだという。 話題になった「保育園落ちた日本死ね」というブログが脳裏をよぎったという。 「ネットでは過激な本音がビューを稼ぐ。あえて暴論や極論を書くうちにエスカレートしていった」という。 何がそこまで駆り立てたのか、「世に影響を与えたいというか、存在の承認欲求でしょうか。今思えば、ネットの雰囲気に完全にのまれ、まひしていた」という。 A氏:山口真一・国際大講師(ネットメディア論)は「ネットを意識するあまり、注目されようと過激な言動に走り炎上するのは若者だけでなく知識人も陥るワナ」と指摘する。 さらに、ネットが人々の価値観も変えつつあると山口氏はいう。 「一昔前は、おいしい店は秘密にしておきたかったが、今は人に自慢し、共感も得たいから、本当に食べたいものより話題のパンケーキ屋に行く。評価されたい自分に合わせるように日常を変えていく」というわけだ。 私:自分の存在を認めてほしいというのは、人間が根源的に抱える欲望。 三浦麻子・関西学院大教授(社会心理学)は「ネットはその欲求を簡単に満たせる。みんなが自分を見てくれている、と称賛・承認が欲求を強化する回路ができあがる」という。 また、「理想の自分を見せたくても、本当の自分とのギャップがありすぎると通常はブレーキが働く。でもネット空間では抑制が外れ、ギャップを埋めるために暴走してしまう。誰にでも起きる可能性がある問題です」と解説。 この「欲望←いまココ」欄は、今回を初回として、連載の予定だが、記事では、経済は伸び悩み、格差や分断が目立つニッポン。いまココにある欲望を見つめ、この社会の未来を考えるという。 期待したいね。
2017.01.03
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私:地球から探査車を動かし、クレーターや岩石を避けて500メートル以上を走らせ、慎重に進むため、500メートルの走行に1日かかる見込みで、最終的には月面の動画などを最も早く地球に送れば優勝、賞金は2千万ドル(約24億円)というレースに、米グーグルが出資し、民間の「Xプライズ財団」が主催するという。 A氏:日本では、このレースに宇宙事業ベンチャーの「ispace(アイスペース)」が中心となって運営するチーム「HAKUTO」が参加する。 全長約60センチで重さ約4キロのローバーと呼ばれる四輪探査車を開発し、鳥取砂丘を月面に見立てた走行実験やロケットの振動に耐えるための設計などに取り組んでいるという。 私:「HAKUTO」の探査車は、3月以降に完成し、夏ごろに打ち上げ予定のインドに送られ、12月28日に打ち上げられ、約38万キロ先の月を目指す。 レースに参加するインドチームと着陸機に相乗りし、無事に着陸すれば、史上初めて日本製の探査車が月面に降り立つことになるわけだ。 昨年12月上旬の時点で、レースへの参加表明をしているのは、米や欧州、イスラエルなどの16チーム。 A氏:これには月の資源開発がからむ。 NASAによると、月には鉱物だけでなく約6億トンの水が眠っていると推定され、欧米では、この豊富な資源を得ようとする民間企業の動きが活発。 「Xプライズ財団」が今年、月面レースを主催するのも、この資源開発の動きを加速させるためで、今回のレースで得られる月面で撮影された映像は、今後、月面開発や宇宙産業が活発になる中でメリットになるとみられている。 私:「HAKUTO」のアイスペース社も同様で、同社は月面レースの成果を足がかりに、資源探査を続ける計画を立てていて、2030年ごろまでに、水などが多く埋蔵されている場所を特定し、燃料を作って輸送する仕組みを作る構想を描いているという。 アイスペースの秋元衆平氏は、「水から水素や酸素を生み出せれば、宇宙船などの燃料に変えられる。月を火星探査などの中継拠点にもできる」という。 A氏:これまで月面に探査機を送り込んだ実績があるのは米国、旧ソ連、中国。 インドも17年中には、探査機を送り込む計画があるという。 日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は07年に打ち上げた「かぐや」で科学的な成果をあげたが、あくまで月を周回する探査機によるものだった。 そこで今、JAXAが手がけるのが月面着陸機「SLIM(スリム)」で、16年度中に基本設計を終え、17年度は詳細設計に移るという。 打ち上げ予定は19年度で、開発に携わるJAXAの大竹真紀子助教は「世界中が目指している精度で、挑戦的なミッション。成功させ、月などから資源を地球に持ち帰る計画にもつなげたい」という。 私:一方、宇宙資源の所有権をどう扱っていくか、という点も国際的な課題になりつつあり、資源獲得に向けた道筋や、所有権をどのように扱うべきかなどの具体案は見いだせていないが、欧米では制度整備を進める国が出始めているという。 地球上での争いを月面までもっていきたくないね。
2017.01.02
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私:ベルリンのクリスマスの市(いち)に大型トラックで突入するテロを起こしたとされるアニス・アムリ容疑者(24)の出身地はチュニジア。 A氏:チュニジアは「アラブの春」が起きた各国で唯一民主化に成功したと称賛され、2015年のノーベル平和賞を受賞しているね。 一方で、多数の若者が生活苦から欧州へ渡り、過激思想に影響され、シリアやイラクでの戦闘に加わった者も多いという。 この記事は、アニス・アムリ容疑者のチュニジアの故郷まで取材して、原因を追及しているね。 私:チュニジアの首都チュニスから南へ車で約4時間、直線距離で約120キロにアムリ容疑者の出身地ウィスレティアがあり、人口約3万人余のひっそりとした街。 アムリ容疑者は9人きょうだいの末っ子で、家は貧しく、中学卒業前に学校をやめ、家計を助けるために建築現場などで働き、酒やたばこも始め、モスク(イスラム教礼拝所)に行くことはなかったという。 A氏:もとは、イスラム教徒ではなかったんだね。 私:2011年3月、アムリ容疑者は親族らから金を募って密航業者に支払い、イタリアへ渡った。 兄やや近所の人らは「金を稼ぐためだった」と説明する。 チュニジアの過激派に詳しいジャーナリストのワリッド・メジュリ氏によると、「アラブの春」の後、2万人以上の若者がイタリアへ密航し、12年当時のチュニジアの15~24歳の失業率は37%に上っていた。 アムリ容疑者のように、欧州に行けば職を得て良い暮らしができると思っていた人が多いが、欧州社会に溶け込むのは容易ではなく、多くは差別に苦しみ、疎外感を募らせているという。 ISはソーシャルメディアなどを駆使し、苦境にある若者の心に入り込んでいったとみられる。 アムリ容疑者はドイツにあるISの武装組織のリーダーだったという。 A氏:アムリ容疑者はイタリアに渡ってから、放火などの罪で4年の禁錮刑を受け、シチリア島パレルモで服役し、収監中に過激派の影響を受けた可能性があるという。 15年7月にドイツに入ったとみられる。 故郷にいる兄は「弟が過激化してこんな事件を起こしたとは今も信じられない。弟自身は酒もたばこもやめたが、飲酒や喫煙する人を非難することはなかった」と話すが、ただ「ドイツにうんざりして、チュニジアに帰りたいといつも言っていた」とも言ったという。 私:さらに、12年ごろからは、チュニジア国内での過激化の動きも出てきて、イスラム系政党の国会議員らが若者に「シリアに行って反アサド政権の革命を助けねばならない」と呼びかけ、さらに13年に野党指導者の暗殺が起き、関与を疑われたイスラム強硬派の団体がテロ組織に指定されると、メンバーの多くがシリアやリビアに出国したという。 A氏:国連によると、これまで約5500人のチュニジア人がシリア、リビア、イラクに渡り、イスラム過激派に加わった。 チュニジア内務省によると、そのうち約800人がチュニジアに戻っていて、治安当局は一部を拘束し、残りは監視下に置いているが、把握できていない帰還者も多数いるとみられ、政府は対策の強化を迫られているという。 私:15年にノーベル平和賞を受賞したチュニジアが貧困が原因で、テロの温床になっていて、ついにドイツがやられるとはね。 記事は、チュニジアの貧困の原因にもふれてほしかったね。
2017.01.01
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