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A氏:せっかく、君がこの話題は昨日で終わりにしようとしたのに、昨日午後、一番大きな「スポーツと体罰」問題が起きてしまったね。 日本女子柔道で起きた問題をマスコミが大きくとりあげはじめたね。私:驚いたね。 ロンドンオリンピックのメダリストを含む国内トップの女子15選手が実名で、岡田隆二監督の体罰やパワーハラスメントを日本オリンピック委員会(JOC)に告発したという。A氏:全日本柔道連盟を飛び越えて、直接、JOCに訴えたことは、彼女らはすでに連盟の自浄能力を信じていないね。 告発状では体罰の実態は、連盟による調査でなく、第3者機関で行うように要望があるという。 選手たちは先を読んで、冷静に行動している。 しかし、JOCの対応も遅くて、もう来週には国際試合に選手は出発しなくてはならないという。私:彼女らの案じた通り、全日本柔道連盟の岡田監督に対する処分は大甘で、文書による戒告処分で終わり。 監督続投だという。 しかも、連盟は選手へのヒアリングをしていないということで、JOCから再検討を要請されている。A氏:この自分たちの頭を飛び越して出された告発状で、上位の選手15名と監督の間の信頼感が崩壊しているのが、連盟幹部が理解できないのは真に不思議だね。 潔さがないね。 こんなセンスでは、日本の柔道がロンドンオリンピックで金1つだけというのも当然だね。私:技術だけでなく、日本柔道界の組織体質まで劣化を起こしている。 かって、大相撲が野球賭博と八百長で崩壊寸前まで行ったのと似ているね。 選手への暴力に厳しい国際オリンピック委員会(IOC)に嘲笑されるね。 東京オリンピックは厳しいね。 今朝の朝日新聞ではロス五輪の柔道金メダリストの山下泰裕氏の「柔道界の体質 払拭の時」と題したコメントが載っているが、氏は選手時代に殴られたことはないという。 柔道の創始者であり、これを国際化してオリンピック種目とした嘉納治五郎は、墓場でどう思っているだろう。 「スポーツと体罰」問題は、日本柔道で行くとこまで来たね。 連盟は今後どう出るかね。 この日本柔道界の危機に対応できる「胆力」のある人物が柔道界にいないのかね。 真のスポーツに鍛えられてアスリートなら「胆力」が鍛えられているから、迅速に効果的な対応ができるはずだがね。
2013.01.31
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私:ブログで長らく続いたこのテーマは今日で終わりにしたい。 今日は、例の朝日新聞連載「スポーツと体罰」欄の12日目の脳科学者林成之氏の「自ら判断する能力鍛える機会奪うな」というコメントを中心にまとめておきたい。A氏:氏は、脳蘇生治療の第一人者で脳の考える仕組みをスポーツに応用した著作や講演が多数あるという。私:脳科学の観点から考えると、体罰で競技力が上がることはないという。 体罰で技術は上がるかもしれないが、自分で判断する能力を鍛えていないので勝負に弱い選手になってしまう。 体罰を受けて自分は強くなれたと肯定的に考える選手もいるが、これは原理的には「洗脳」に近いという。A氏:前に内田樹氏が指摘していたように、「追い詰めて鬼にする」型の教育プログラムの方が、短期的に効果があるから、時間的余裕がなかった近代日本は、その型を追いかけて、「危機に対して、カッとならず、冷静に知的に、自分の論理を信じ、淡々と対応する力」、すなわち、「胆力」のある人材の養成をしなかったというのに通ずるね。私:林氏は、競技力を上げるにはいかに自分で考えさせるかが基本という。 体罰に頼る指導者は、人を育てることの基本を理解していないことになるという。 明快だね。 子どもも成長しようと悩むと同様に、育てる大人はそれ以上に、いかに効果的に成長させるかを、同じ目線で悩むべきだね。 最後に、この新聞連載の5日目に載ったアメフトのことにふれよう。 1980年代、米国の学校スポーツは勝利至上主義で、道徳が荒廃し、選手が発砲事件を犯し、卒業後も問題を起こしたという。A氏:それに米国は人種問題があるね。私:暴力をスポーツの指導に持ち出せば、憎悪や報復に負の連鎖がスポーツの中で起きる。 そこで、アメフトでは理想を掲げて選手の全人格的教育に力を入れ、国民の支持を集めるようになったという。 アメフトは、米国の国技だ。 日本の国技である相撲もそうありたいね。 今朝の報道で、日本の国技であった柔道のオリンピックの日本の監督が体罰していたという。 この問題は、まだ長引きそうだね。
2013.01.30
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A氏:朝日新聞の連載コラム欄「スポーツと体罰」は13日目の今日の宗教学者島田裕巳氏の「監督崇拝をやめ選手中心に考えて」というコメントを最後に連載終了となったね。私:島田氏は、以前から部活動が監督を中心とした「ムラ社会」とかカルト集団のような閉鎖性を持つこと指摘していたが、監督に絶対服従の一種の洗脳だね。 こないだ問題になった大阪市立桜宮高の生徒の一部が学校に断りなく、橋下市長の指導者総入れ替えに反対するような記者会見をしたが、生徒自身がすでに洗脳されているような気がしたね。A氏:島田氏は、退部は共同体からはずされることで、一生の問題になるという。私;最近、桑田真澄氏が体罰問題でよくテレビに登場するね。 桑田氏は、今年1月、東大野球部のコーチに就任したそうだ。 この桑田氏の中学時代は、島田氏の指摘と違うね。 まず、彼は、小学校時代、勉強もせず、野球をしていたが、その野球も体罰野球だから挫折する。 中学に入ってから母親から「このままじゃあ、人生だめになるよ」と言われる。 自己責任の追求だね。 そこで「高校はPL学園に行き、甲子園で優勝し、早稲田大学に行き、そしてジャイアンツのエースになる」という目標を立てる。A氏:大学以外はほぼ目的を達成しているね。私:しかし、簡単な道のりではなかった。 中学校に入ったときは、同級生が230人くらいいたが、成績はビリ。 練習が終わると夜9時になる。 それから毎日30分勉強をちゃんとやる。 授業中は一度も寝たことはないという。 野球と同じで授業に集中した。 宿題は休み時間や昼休みにした。 ついに学力ではトップクラスを維持するようになる。 野球も中学生の時にぐんと伸びる。 桑田氏は野球よりも「努力することの大切さ」は勉強から学んだという。A氏:次はPL学園入りだね。私:それが簡単にいかなかった。 中学生の時に野球部に入り、準硬式野球で大会制覇をしたので、PL学園から特待生で来てほしいという誘いが来た。 ところが、別の高校では桑田氏がくれば、他の野球部員を全部まとめてとってやるという。 PL学園は全国区だから、桑田氏だけほしい。 先生は、たくさん部員をとってくれるその別の高校を選択したいから、桑田氏のPL学園入学はダメだという。 反抗する桑田氏に「友情がないのか」という。 PL学園に入るのが長い夢だったと言っても先生は絶対許してくれない。A氏:まさに「ムラ社会」だね。私:彼は偉かったね。 この「ムラ社会」から脱出する選択をした。 父親の了解を得て中学3年の3学期に隣の中学に転校し、そこからPL学園に入学出来た。 PL学園に入ったとき、最初、練習時間は9時間だった。 高校1年で優勝したとき、桑田氏は監督に「練習時間を3時間にしましょう」とお願いした。 監督は甲子園で一番多く勝っている監督と言われた中村順司氏だ。 「もし、今度、優勝しなかったら、もとに戻してもいいです」という桑田氏の説得で、監督は全体練習を3時間として、後は個人がやりたいランニングとかバッティング練習をするようにした。A氏:監督も偉いね。私:体調が悪い人は休養するということになった。 「自己責任」、「自主性」の確立だね。 これがこれ以後、PL学園が圧倒的に強い原因になったという。
2013.01.29
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私:「スポーツと体罰」のタイトルのこのブログは、連載5回目だね。 扱う範囲が広がって、「子どもの教育と体罰」になってきたね。 もっとも、本質的には同じ問題だがね。 そう言えば、俺の子ども時代には親から体罰を受けたという記憶はないね。 子どもを育てるのは母親が中心で、小さい時、叱られたことや、押入れに入れられたことはあったがね。 今から思うと、もっと素直に親の言うことを聞いて、あまり心配かけないようにすべきだったと今更ながら反省しているよ。A氏:「孝行したいときには親はなし」か。私:最近は、親も長生きだから、俺はわが子のときは、気がつかなかったが孫をみてそう思ったね。A氏:俺の親も、注意されたことはあったが体罰はゼロだったね。私;俺たちの小学校時代はまさにフルに軍国主義時代だ。 だけど、俺の小学校担任は6年間で3人の男性教師が交替したが、3人とも体罰はゼロだったね。 他のクラスにはいたようだったがね。A氏:俺のクラスも体罰ゼロだったね。私:俺たちの小学校時代の先生は、大正・昭和初期のデモクラシー時代に育っている人が多いせいか、体罰はなじめなかったんだろうかね。 ところで、3年ほど前に、このブログで取り上げた「名ばかり大学」の読書感想に校内暴力で興味あるメモがブログにある。 ここに再録しておく。 1970年から1980年の約10年間で、普通高校への進学率が約1割上昇し、同時に起こったのは全国の実業系高校の「権威」失墜だ。それまでは、優秀な中学生でも、家庭の事情で、工業高校や商業高校に進学し、安定した職業を得ており、これが普通高校の競争を緩和していた。 これが崩れると、普通高校進学者が増加し、競争は激しくなり、普通高校の格付けが始まる。 この高校の環境変化に対して、愛知県は高校の学力向上のため、高校進学率を90%に限定し、仮に進学意欲があっても、学力最下層の高校への進学を拒否した。 結果、高校生の学力は向上し、国公立大学合格者が続出するようになる。A氏:しかし、進学意欲があっても高校にいけそうもない子は荒れるだろうね。私:その通り。 愛知県は、校内暴力の先進県として有名になり、暴れる中学生に手を焼く。 これに対して「管理教育」を徹底し、教師の暴力と暴言によって、中学生の暴力を抑えた。A氏:「管理教育」の成功だね。私:短期的にはね。 シッペ返しは、この世代が親になったときに出た。 1996年の幼児虐待死の件数で愛知県はトップとなる。 1000人あたりの「いじめ件数」でも最多となる。A氏:暴力の世代連鎖だね。私:どうも、「子は宝」の良き伝統は消え、そのシッペ返しに日本民族は少子化で滅亡かね。 教育の基本理念を忘れた結果だね。 体罰問題も同様だね。
2013.01.28
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私:今朝の朝日新聞では、昨日の夕刊の愛知・豊川工高陸上部の体罰の続報があり、昨年2人が退学・転校した事実があったという。 校長はこの事実を把握していたが、保護者や被害者本人に「伏せておいてほしい」と求められたという。A氏:「体罰」を通じて指導者と選手・親の支配、依存の関係の典型があらわれているね。私:この教諭は、昨年4月から約30人いる部員のうち10人に平手打ちや蹴るなどの体罰を繰り返しており、県教委で今月調査して発覚し、同校は教委の指示で、この教諭を陸上部の指導から外したという。A氏:今朝の朝刊の「スポーツと体罰」連載欄は11日目だが、新潟大の世取山洋介准教授が、1986年から87年に、小中学校の教師約580名のアンケート結果を示しているね。 多くの教師は体罰の教育的効果は薄く、否定的効果が多いことを理解していたという。 世取山教授は、問題になった桜宮高の顧問が「自分が間違っていた」と言えるような冷静な議論の場が必要だと言っているね。私:話は「体罰一般論」になるが、例の戸塚ヨットスクールの戸塚宏氏が1983年に「私はこの子たちを救いたい・"殴らない父"と"愛しすぎる母"へ」という本を出しているという。 そこに「日本の歴史が二千年あるとしても、体罰を否定しているのは、最近の三十年間だけで、あとの1970年間は、肯定されているのである」と書いてあるという。 戸塚氏は、戦後の"殴らない父"に不満を持っていたようだ。 この戸塚氏の文で、金沢学院大学の教育史の江森一郎教授が体罰を歴史的に検証することを思いつき、「体罰の社会史」という本を1989年に出版している。 この本と戸塚氏の本とも、図書館にあるので予約したよ。A氏:実際に、体罰の歴史はそんなに古いのかね。私:江森氏の歴史的検証によると戸塚氏の説は歴史的事実と違うね。 「体罰の社会史」を読んだ人の要旨を引用すると、江戸時代以前の体罰否定論者はおそらく最澄と道元だろうということで、江戸時代の初め頃から体罰が忌まれるようになったという。 水戸黄門や闇斎、素行、藤樹、蕃山といった儒学者や心学者も体罰を否定。A氏:江戸時代は寺子屋があるが、体罰はどうだったのかね。私:寺子屋でも体罰はあまりなされていないそうだ。 興味あることに、幕末に日本に来た外国人の多くは、日本では子どもに対する体罰がほとんど行われていないことを書き記しているという。 欧米のほうが子どもへの体罰は一般的だったようで、外国人は奇異に感じたのだろうね。 日本では子どもが甘やかされ、大事にされていることに驚いていたという。A氏:日本は伝統的に「子は宝」だからね。 欧米人には、「子どもは動物」と同じで、子どもはムチでしつけないといけないという考えがあるらしい。 日本人と逆だね。私:日本の伝統思想の中に国民の感覚として、体罰を残酷とみる見方が定着しているのが欧米と基本的に違うね。 フランスでは今日でも、家庭での体罰は必要悪と考えられ、そのために毎年10万本以上のムチが売られているという。 わが国の近世(江戸時代)教育史に比べると、「西欧の教育史は体罰史である」と言ってもよいほど体罰で色どられている(ちなみに、中国近世においてもそうだった)という。 日本で体罰が肯定される動きが出るようになるのは日露戦争前後が一つの節目だと、江森一郎氏は言う。A氏:体罰肯定の考えは、欧米の影響と明治の軍隊の影響だろうね。 だから、明治後半から体罰肯定の考えが出てくるんだね。私:子どもには厳しくするほうがいいという考えは日本の伝統とは違うようだね。 やはり、伝統は「子は宝」思想だね。 日本は"殴らない父"と"愛しすぎる母"の歴史のほうが長いというわけだ。 それと「体罰」は欧米と違い、本能的に嫌う国民性があるね。 膨大な若い特攻隊員の遺書には「お母さん」はあるが「お父さん」は少ないという。
2013.01.27
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A氏:今日の夕刊で、またまた、体罰問題のニュースが載っているね。 愛知県立豊川工業高校の陸上部の監督が、体罰をしているというのが生徒でのアンケートで分かったという。 この陸上部は、全国高校駅伝では14年連続出場しているという。私:この教諭は2009年に男子部員にデッキブラシで体罰を加え、ケガを負わせたとして、訓告処分を受けていたという。 処分は公表されていない。A氏:訓告処分では教諭は反省していなかったのだね。 「まだ、反省が足りないのか」と校長がデッキブラシでこの教諭に体罰を加えたらどうかね(笑い)。私:この報道と並行して、新聞では広島県教育委員会で教職員向けの「体罰根絶」マニュアルを昨年10月に作っていることを報じているね。 体罰や体罰に類する行為を14例あげ、適切な指導方法を説いているという。A氏:新聞では、そのうち6例を引用しているね。「授業中に居眠りしている生徒の後頭部を教科書の平らな面で1回叩く」というのは、体罰に当たるケースとしているね。私:マニュアルではその対処方法として、3度注意しても起きなかったら別室で注意するなどの方法をすすめているね。 もっとも、俺たちも高校生くらいになると、眠くなる授業も結構あったがね(笑い)。 このマニュアルを作った教育委員会の担当者は「体罰に頼るのは指導力不足」と話しているという。
2013.01.26
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A氏:今朝の朝日新聞の朝刊の「私の視点」欄で、スポーツライター島沢優子氏と首都大学東京特任准教授の佐々木宏氏の二人が、例の大阪市立桜宮高校のバスケットボール部員の自殺に関連して、「スポーツと体罰」の関係を述べているね。私:島沢氏は、高校のバスケット部時代、監督に56発、コブシで殴られたことがあるという。 「暴力のバトン捨て去ろう」として、問題点を3つあげているね。 第1は、暴力で育てられた選手がコーチになれば、同じ方法論をとるだろうということだ。 「殴る蹴るで育てる」のバトンがリレーされること。 第2は、スポーツの現場で暴力に頼らない指導論が確立されていないこと。 指導概念を持つサッカーでも全国上位の少年クラブの監督の中には選手を殴る人が存在するそうだ。 第3は、指導者と選手・親の支配、依存の関係。A氏:もう一人の佐々木氏のコメントは「コーチング必修で体罰防げ」と、たまたま、島沢氏の第2の指摘に対する回答になっているね。 佐々木氏は、今度の桜宮高校の問題でマスコミや行政のキャンペーンで、社会的にスポーツの体罰への監視が強化されて、一定の効果をもたらすだろうが、抜本的に抑止されるとは考えにくいという。私:それは、教員育成課程に「学習コーチング」科目を必修化していないからだという。 教員は具体的な教育方法、すなわち、ツールを知らないために、自己流の体罰に頼るというわけだ。 教員養成課程で「学習コーチングスキルと理念」を獲得し、教育の本質を知った教員の卵たちは、体罰による「外的な動機付け」がいかに不合理で、社会の生産性を低下させるかを知るだろうと佐々木氏は言う。A氏:そう言えば、朝日新聞ではスポーツの頁で、先週から「スポーツと体罰」という連載コラムをスタートしているね。 今朝は9日目で、桜花学園高校女子バスケットボール部の井上真一監督のコメントが載っているね。私:井上氏は、昨年12月の全国高校選抜優勝大会で高校通算51度目の全国制覇を果たした名監督だね。 氏は早大に進学してバスケット部に入った時、いじめに近いシゴキを受け、すぐにやめたという。 大学の卒業論文にはシゴキによる死亡例など、スポーツが抱える矛盾点について調べたという。 指導者は選手を大切にし、選手は指導者をリスペクトするという、指導者と選手の信頼関係が大切だという。A氏:だから、監督として高校通算51度目の全国制覇という好成績を果たしたんだね。私:この連載コラムの5日目には、元ワシントン大アメフット部の吉田良治コーチのコメントが載っているが、米国では暴力による指導が容認されることはないという。 コーチが暴力やパワハラなど、選手の人権を無視する指導をすれば即解雇だという。 学校は違反があれば、徹底的に調査する機関を持っている。A氏:しかし、それもここ30年くらいの努力の結果のようだね。 力や権力で押さえつける指導では、従順な人間が育っても、社会的に貢献できる、自ら考ええて問題の解決法を導き出せる人材は育たないという。私:昨日のブログの内田樹氏のいう日本の近代化で育成に失敗した「胆力」のある人材は育たないということだね。 7日目のコメントは、豪州出身のラグビー日本代表のエディ・ジョーンズ ヘッドコーチのものだね。 ジョーンズ氏は、13歳の時、授業で米国人の先生に髪の毛をつかまれ「同じ事をしたら許さない」とその場で言ったという。 何が許され、何が許されないか、豪州では小さい時から、その線引を親が教えるという。A氏:ジョーンズ氏は日本のラグビー文化を学ぼうと、テレビドラマ「スクール・ウオーズ」を見たが、高校の先生が生徒をたたいていたのは、選手に対する尊敬の念がなく、いい影響をもたらさないという。 殴るよりも説得して分かってもらうほうが大変だから、体罰はイージーな方法だという。私:ジョーンズ氏がサントリーの監督時代、一人の選手が練習を怠った。 監督室に呼び、「明日練習しなくていい。会社で仕事してくれ」と伝えた。 彼は翌日、泣いて謝った。 それから彼は変わったという。
2013.01.25
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私:例の大阪市立桜宮高校のバスケットボール部主将の自殺問題で、一挙に部活と指導者の暴力が問題になったね。A氏:このスポーツと暴力の問題は2年前に、このブログでは、まず、野球で取り上げているね。 武芸家の甲野善紀氏は、人の身体能力は奥が深いから、その能力を発揮するには知的な工夫が必要だという。 だから、甲野氏は、スポーツにも個性的な工夫を尊重する。 怒鳴る高校野球に大いに批判的だ。 プロ野球の巨人にいた桑田真澄投手は、現役のとき、甲野氏の指導を受けたことがあり、同じように怒鳴る高校野球には批判的だった。A氏:君のブログ「『野球道』の再定義」絶対服従からリスペクトへ」によると、怒鳴る高校野球は飛田穂洲の「野球道」からきているのだという。 それは「精神の鍛錬」「練習量の重視」「指導者や先輩への絶対服従」でサムライ野球だが、これには、なぐるなどの暴力や暴言を伴う。 桑田選手もグランドで殴られない日はなかったという。私:その桑田氏が早大大学院社会人1年制コースを首席で卒業し、最優秀論文を受賞したのが「『野球道』の再定義による日本野球界のさらなる発展策に関する研究」だ。 この論文は、体罰という暴力や、汚く罵る監督やコーチや先輩の言葉の暴力の全否定だね。A氏:君のブログ「教える力 育てる力」では合気道6段の評論家内田樹氏は、日本のスパルタ教育も、それなりの効果があるから、つい、その方法を採用してしまうのだという。 人を限界状況に追い込むと、思いがけない力を発揮する。 日常と切り離すわけだ。私:火事場の力持ちだね。 日露戦争以降の日本の軍隊は、この方法を体系的に導入したという。 ところが米軍は反対の発想で、飲食ともに日常生活の延長のように配慮する。 彼らには「人間というのは日常的な合理性の中で生きているほうが通常はパフォーマンスが高い」という経験則があるからだという。A氏:米国流は甲野流と通ずるところがあるね。私:しかし、この限界状況に追い込む日本式は深刻な難点があると内田氏は言う。 それは、「胆力」がないことだという。 人間を追い詰めると恐怖や苦痛や不条理に対して、「鈍感」になる。 これは「胆力」があるとは違う。 氏の言う「胆力」とは「危機に対して、カッとならず、冷静に知的に、自分の論理を信じ、淡々と対応する力」というような意味だね。 「胆力」を鍛えるというのは、幕末から明治初期までの教育では、重要なプログラムだったが、それから後は、体系的に整備されなかった。 「追い詰めて鬼にする」型の教育プログラムの方が、短期的に効果があるから、時間的余裕がなかった近代日本は、その型を追いかけたという。 行き着いたところは「未完のファシズム・『持たざる国』日本の運命」だね。A氏:ところで、橋下徹大阪市長は部活動の指導者の暴力反対を表明したが、同じ日本維新の会の石原慎太郎共同代表とは全く理念が違うね。 石原氏が1969年に出版した「スパルタ教育」には、強い子供に育てるための100ヶ条が書かれていて、その12条に「子どもをなぐることを恐れるな」というのがある。 教育理念で二人は対立的になったね。私;石原氏は、少年を更生させるので有名な戸塚ヨットスクールの支援者だね。 ヨットの演習のために特別にデザインされた、極めて乗りにくい小型のヨットに子供を一人で乗せる。 こらえきれずに転覆した船を自力で元に戻し船にはい上がっては、また帆走させる作業の反復をさせる。 それによって自力での努力の末の達成感を味わわせ、その満足が不思議なほど早く子供たちに自ら一人前としての充実感を与え彼等をタフな人間に変えてしまうという。A氏:人間を極限まで追い詰める近代の日本式の方法だね。私:この方法で、恐怖に鈍感になるから、それなりの効果もあるが、演習は死との賭けだね。 だから、戸塚ヨットスクールでは、この方法で少年が一人死亡し、生徒の死亡事故の責任を問われ戸塚宏氏が刑務所に入れられた。 しかし、氏は出所後も少年の更生に、この方法を続けているという。
2013.01.24
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私:昨年の12月第1週の朝日新聞の書評で今野晴貴著の「ブラック企業」という文春新書が紹介されていたので、図書館に予約したが、予約待ち数が多く、まだ入手していない。 今野氏著の他の著書「ブラック企業に負けない」も予約したが、このほうは待ちが少ないので早く入手できそうだ。A氏:昨日の朝日新聞の夕刊の「文芸批評」欄に「『ブラック企業』と呼ぶ意義」と題して、その著者との談義が載っているね。 「ブラック企業」とはもともと「違法・脱法的な企業」を指す呼称だが、ネットで若者たちが、新しい意味を持つ呼称に変えて使い出した。 それを受け、著者が「ブラック企業」という本にした。 著者はNPO法人「POSSE」代表である。 今野氏は本の発行にあたり「ブラックという名に若年層が『こんな働かされるのはイヤだ!』という思いを、社会に反映させていく必要がある」と思ったという。私:「新ブラック企業」の定義は次の3つからになるという。 1.「君の代わりはいくらでも居る」との圧力を背景に若者に異常な長時間労働を強いる。 2.大量に採用し、直後から生き残り競争を課して、大量に辞めさせる。 3.優秀・従順でない社員はパワハラで精神的に追い込み、「自己都合」退社させる。A氏:今野氏に相談に来る若者の多くは、会社から「低能力者」との認識を刷り込まれ、「私が悪いのだ」と自己否定しているという。 今野氏は、若者が「辞めた自身」に向けている攻撃の矛先を「辞めさせた企業」に向けようとして、その試みで本を書いたという。私:このような企業が生まれるのは、会社の過大な命令権を容認してきた日本の土壌があるというね。A氏:今野氏は、労働基準法が骨抜き状態なので「労働時間に歯止めをかけることから始めよう」と訴えるという。私:単身赴任、サービス残業で滅私奉公する正社員のモデルは先行世代が作ったという。 しかし、俺たちの高度成長初期の世代は、最初、残業が多かったが労働基準監督署がうるさかったし、産業界が長時間労働は、まだ、先進国型でないので恥ずかしいとして、欧米に追いつけと「時短運動」をしたね。 週6日制が1960年代に隔週5日制となり、次に1970年代後半には週5日制が定着し労働時間を逐次減らしてきたと思う。 ちょうど、子どももできた頃なので、増えた休日には家族でマイカーでドライブをした。 大衆消費時代の到来だね。 ムダ排除で、生産性向上とともに、残業時間も減ってきたね。 ある学者が会社ではムダを省き禁欲的だが、個人生活では消費に走るという矛盾した2面性があると指摘していたね。A氏:その「時短運動」の潮流はいつ大きく変わったのかね?私:一時期、不景気だったドイツがドイツ病から抜けだして、今、ユーロ危機のヨーロッパで一人健在だが、労働時間が短いので有名だね。 その労働時間の短さと効率的な働きは驚くべきものだという。 ドイツ政府は「休暇法」で有給休暇を完全に消化することを義務付けている。 完全週休2日制で、日曜と祝日の労働は禁止。 労働基準監督署の監視も厳しい。 もちろん、サービス残業なんて無い。A氏:長時間労働は、労働者の人格を疎外するだけでなく、生産性も阻害していることを知るべきだね。私:それにしても、現在の日本は国際的にも問題な「ブラック企業」がある一方、こないだ、このブログで取り上げた新幹線の清掃業者のテッセイのように、従業員を「リスペクト(尊敬)」し、従業員が「プライド(誇り)」を持ち、海外にも誇れる企業もある。 企業も多様になったね。 それだけ、日本企業の競争力がなくなってきたのかね。
2013.01.23
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A氏:君が昨日このブログでふれていた給与を増やした企業への減税について、今朝の朝日新聞で、政府・自民党案について、詳しく報じているね。私:日本の雇用者が約5500万人。 単純に雇用者当たり年2万円、給与とボーナスが増えるとすると、増額は年1兆円を超える。 その1割を法人税から差し引くので、減税は1千億円規模だという計算になる。A氏:実施は13年度から約3年で、大企業は1割だが、中小企業は2割まで法人税を減税される見込みだという。私:ところで、話は違うが、同じ朝日新聞で、パナソニック、シャープのテレビメーカーの苦境について、家電量販店で手堅い経営で知られているケーズホールディングスの加藤修一会長が、 「テレビメーカーが地デジ移行の特需に合わせて工場を広げるなどの大型投資を進めたのは、地デジ移行後に売れなくなったらどうするという考えがなかった」 と批判したと報じているね。 設備投資に慎重であるべきだったね。A氏:テレビメーカーが早期退職制度などで、リストラを進めることは、加藤会長は 「急ブレーキは良くない。 優秀な技術者が韓国などに流出し、日本メーカーの競争力が低下する」 と心配しているという。私:昨日の朝日新聞の「限界にっぽん・雇用と成長 大阪から」欄では、安倍政権の目玉政策を担う日本経済再生本部の初会合が8日にあったと報じているね。 そして、シャープの苦境を詳細に報じている。 安倍政権では、日本経済再生本部の下に産業競争力会議を設けたという。 成長分野に税・財政を集中する「新ターゲティング・ポリシー」を立案する予定だという。A氏:経産省の幹部は新ターゲティング政策の対象に「シャープは有力な候補の一つ」と打ち明けたとあるね。 国は雇用と成長のため、シャープを支援するかもしれない。私:グローバル時代には、国内の雇用と経済成長をとげるためには、自由競争の世界だといって、政治もキレイ事ではすまないね。
2013.01.22
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A氏:こないだ、従業員の給与をあげた企業に対して、政府がその1割分だけ法人税を減税する案があると報じていたね。私:これはグローバル時代の国家と企業との矛盾の対立を鮮明に描き出している点に注目すべきだね。 企業は利益をあげたい。 そのために人件費はできるだけ抑えたい。 市場は浮き沈みがあるから、ベースは少ない正社員で固め、市場の変動は、派遣社員で吸収したい。 資金にも余裕を持ちたい。 利益をもっとあげるため、もっと賃金の安い新興国に仕事をもっていくこともしたい。A氏:ある大手企業がテレビコマーシャルで、ベトナムに工業団地を作ると宣伝していたが、どういう意図で宣伝費をかけているのかね。 新市場を拡大しているという宣伝なのかね。 それとも日本の雇用がまた減ることになるのかね。私:私企業では、急激な市場の変動に対して対応できなかった時、原発みたいに「想定外」で言い訳できない。 そんな甘い考えだと、会社が潰れる。 JALは国が支援したが、シャープにはそれはない。 ましてや、中堅・中小企業ではもっと厳しい。 経営するというのは大変だよ。 もっとも法人税を払っている小企業は少ないそうだがね。A氏:一方、国(政府)は、国民のことを考え、雇用を安定化し、賃金もあげて生活を向上させたい。 給与を倍増するという公約を掲げる政党もでているね。 そのくせ、経済成長は民間の力が基本だという民間任せ。私:だから、グローバル時代には、国と企業は対立的になりやすい。 この減税政策は、その対立を象徴的に示しているね。 こないだ、久米宏のテレビ番組でデフレ問題をやっていたが、海外の工場で安い賃金で激安商品を製造し、日本市場で家具類を販売しているニトリをとりあげていたね。 興味あることに、「ユニクロ栄えて、国滅ぶ」の浜矩子教授とニトリの社長との対談が、この番組であったね。 ニトリは、一企業としては顧客に安価なものを提供しながら利益追求という正しいことをしているんだが、国の雇用や経済という面からは問題だね。 二人の話はかみ合わなかったね。
2013.01.21
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【送料無料】新幹線お掃除の天使たち [ 遠藤功 ]私:テッセイが力を入れているものの中に、学生たちへの職場体験研修があるという。A氏:「最強のチーム」の体験はいい社会貢献になるね。私;中学生や高校生に実際に清掃の仕事を体験してもらい、仕事とは何か、働くとは何か、を考えて貰う機会を提供しているという。A氏:清掃という、身近な作業を通じて研修するので入りやすいだろうね。私:最初に訪ねてきたのは、岐阜県七宗町立神渕中学校の生徒たちだという。 その校長の願いから平成20年に実現し、それ以来、毎年、続いているという。 それ以外に都内や愛知県の中学生がテッセイでの職場体験研修により、清掃の奥深さとチームワークの大切さを、体験を通じて学んでいるという。 海外からの研修もあるという。A氏:「最強のチーム」の礼儀正しさは、日本文化の良い点を示しているね。 日本文化を体験して学ぶことにも通ずるね。私:アメリカのスタンフォード大学や、フランスのエセック大学の学生達も、制服に着替え、清掃の研修を受けるという。 日本の礼の文化に触れ、驚いているという。A氏:30年ほど前に、日本の製品の品質が高く、世界を制覇した時、その背景にQCサークル活動という小集団活動があることがわかり、欧米から多くの視察団が来たことがあるね。私:ある米国企業の重役がQCサークルの成果の謎がわからなくて、何回も日本に視察に来た。 あるとき、日本の銀行でドルを円に両替えするとき、窓口の女性が、気を利かして小銭を適当に混ぜてくれたので、この顧客に対する気配りがQCサークルの原点であると覚ったという話があるね。A氏:その銀行は、窓口担当の女性の知恵を「リスペクト(尊敬)」し、彼女は顧客に直接接する仕事に「プライド(誇り)」を持っていたんだろうね。 その米国の重役はそれに気がついたんだね。私:欧米は、第一線の労働者は出来上がっているマニュアル通りやることを要求するね。 俺は、2000年にイギリスの中小企業を視察したことがあったが、仕事をマニュアル通りやらないと警告、警告が3回あると減給とかいうルールを設けていた企業があったね。 そこには、第一線の労働者に対する「リスペクト」や第一線の労働者の「プライド」もない。 1980年代にGMが世界的に有名になったトヨタ生産方式を学ぶために、カリフォルニアのフリモント工場をトヨタとの合弁にして、管理はトヨタ生産方式にした。 その効果はまず、出勤率向上となった。 GM時代に70%台だったのが、90%台となる。 小集団活動が取り入れられ、結果、生産性は3割ほど向上した。 食堂もマネージャーと労働者は別だったのが、壁は取り払われた。 社長もその食堂で食事する。 俺は1990年頃、米国企業視察団で渡米した時、フリモント工場の成功例の発表会を聞いたことがある。 スタッフの発表とともにアフリカ系アメリカ人の従業員の一人が「私は、GM時代はnumber(数)であった。 しかし、今はemployee(雇用者)となった」 と訛りのひどい英語で発表していたね。A氏:「リスペクト」を獲得し「プライド」を持つようになったんだね。私:日本の企業文化の良い点は、消滅させずに継続して貰いたいものだね。 しかし、その日本企業文化もリストラがあり、派遣労働者が増加してきた頃から、崩れてきているようだね。 その点でもテッセイの「最強のチーム」の継続的な発展を期待したいね。
2013.01.20
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【送料無料】新幹線お掃除の天使たち [ 遠藤功 ]私:図書館に予約しておいたのが俺の順番になった。 読みやすく、1日で読了。 この本の「主人公」は、JR東日本グループ会社の鉄道整備株式会社、通称"テッセイ(TESSEI)"の人たちだね。 従業員約820名。 テッセイはJR東日本が運行する東北・上越などの新幹線の車両清掃、東京駅・上野駅の新幹線駅構内の清掃などを主な業務としている。 俺は東京駅の新幹線ホームで乗車を待つ間、折り返しの新幹線を掃除をする人々を見ることが多いのだが、その仕事ぶりがテキパキしているだけでなく、笑顔で礼儀正しいことに感心していたんだ。 実は、この本を読んで知ったのだが、この素晴らしさに関心を持った団体やメディアでは、平成20年には国際鉄道連合の分科会メンバーが視察に訪れたのが最初だという。 同じ年にドイツ国営テレビが取材にきているという。A氏:海外の団体やメディアが最初に関心をもつとはね。私:米国からは映画俳優で前カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーやラフォード運輸長官が視察に来たという。 それ以降、国内では、テレビ朝日やテレビ東京の番組でもとりあげられ、ビジネス誌でもとりあげられたという。 平成23年3月には、「日経ビジネス」誌で「最強のチーム」として表紙を飾ったという。A氏:単純な清掃作業の繰り返し業務なのに、なぜ、とりあげられるようになったのかね。私:単純ではないんだね。 折り返しの7分間の間に、22名が1チームとなって清掃をするという、かなりきつい作業だね。 しかし、単なる清掃作業にすぎないといえばそれまでだがね。 実際、7年前にはテッセイは「普通」の清掃会社にすぎなかった。 与えられた仕事は真面目にこなすけれど、それ以上のことはやらない。 「自分たちは清掃員にすぎない」という意識に染まり、なるべく目立たないよう、隠れるように作業をしていたという。A氏:数年間で「普通の清掃会社」が「最強のチーム」に変わったということか。 どう変わったのかね。私:それには、現専務の矢部輝夫氏の活躍が欠かせないね。 矢部氏は平成17年7月1日、JR東日本東京支社の運輸車両部指令担当部長から、それまで縁がなかったテッセイに異動。 最初、「あんなところに行くのかーーー」と思ったという。 しかし、どうせやるならと思ったという。 そして、辛抱強い戦いが始まるね。A氏:改革は一人で始まり、全員で終わるというが、まさにその通りだね。私:現場の人たちと話し合い、意識を変え、手間をかけて「最強のチーム」を築きあげていくストーリーは、素晴らしいものがあるね。 一言で言うと、小集団活動の成果だね。 俺たちの頃には現場でやっていたQCサークルのようなものだね。 もっとも、形だけで失敗したQCサークルも多かったがね。 小集団活動だけではない。 人事制度などの経営システムも働く人に自主性をもたせるように変えていく。 現在、テッセイという会社の輝きを根っこで支えているのは、現場で働く人々に対する「リスペクト(尊敬)」と、現場の人々の持っている仕事への「プライド(誇り)」だという。A氏:JALを再建した稲盛和夫氏も航空のことはシロートなのに、似たようなアプローチをして成功しているね。私:結局、良い経営というのはそこで働く人々に、いかに自主的にやる気をもって仕事ができるように環境を作っていくかだね。
2013.01.19
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A氏:昨日の朝日新聞のオピニオン欄の「クルーグマン・コラム」では、筆者のポール・クルーグマン教授が、「通説打破、良い兆候に注目」と題してアベノミクスを高く評価しているね。 そして、偶然か、隣の頁の「社説余滴」欄で経済社説担当の駒野剛氏が「安倍さん、やってみなはれ」とアベノミクスに励ましの言葉を述べているね。私:教授は、日本が1990年代後半のデフレ脱却のために、多額の公共投資をしたが、債務を心配して、効果が出る前に引き返してしまったとコメントしているね。 円キャリートレードで有名な2000年代初頭のデフレ対策としてとられた日銀の金融緩和も、改善の兆しが見えた時点で、引き返してしまったため、デフレは解消しなかったとコメントしている。A氏:このことから、中途半端な政策でなく、大胆な政策が重要だという教訓を日本は残しているという。。私:その大胆な政策を安倍晋三首相が打ち出したことを教授は高く評価しているね。 緩やかなインフレも好感している。 すでに始まった円安の兆候も高く評価している。 そして、アベノミクスが成功すれば、同じ悩みを持っている他の国々のよい参考になるだろうとしている。A氏:一方、「安倍さん、やってみなはれ」と題して、駒野剛氏は、アベノミクスにエールを送っている。 大体、朝日新聞の社説はアベノミクス批判論だが、氏は意見を異にするという。 安倍首相が言う「10年以上にわたるデフレからの脱却は人類史上、劇的な取り組みであろう」という使命感を評価しているようだ。 何もやらず、ジリ貧を待つよりも、大胆な政治的決断が必要だと駒野氏はみているようだ。私:その点、クルーグマン教授と似た評価だね。 駒野氏は、劇薬には副作用がつきものだから、副作用に対する対処方法も、予め用意しておくべきだとしているね。 そして明治の伊藤博文の例をあげている。 1904年、日露戦争開戦のとき、伊藤博文は米大統領に和平交渉を仲介するように大統領と親しい金子堅太郎に水面下で動くよう指示したという。 始まりに終わり方を考えるというのも、政治の要諦だという。A氏:ところで、今朝の朝日新聞は、小さな記事だが、「アベノミクス 海外から批判」とあるね。私:ドイツ財務大臣は世界で「カネ余り」がさらに進むと懸念しているという。 ロシア中銀副総裁はアベノミクスの円安で、各国がこぞって自国通貨安を競う「通貨戦争」の引き金を引きかねないとの懸念を示したと報じている。 先は分からないね。 来年夏の参院選までの動きが第1の関門だね。
2013.01.18
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【送料無料】新・国富論 [ 浜矩子 ]私:モノが国内で一貫生産のとき、企業で作ったモノが世界市場で売れれば、国内雇用も増加し、「国富」につながる。 しかし、グローバル化してくると、企業は利益をあげるために、仕事を外国に出すことが多くなる。 これは、企業の利益を増加させるが、国内の雇用を減らすので、「国富」につながらない。 これが、アダム・スミスの「国富論」と違っている、現代のグローバル化の特徴だね。 アダム・スミスのときも金融・カネは円滑な生産を行うためには重要であり、産業の黒子的存在だった。 しかし、現代のような過剰なカネはなかった。A氏:どうして余剰なカネが生まれたのかね。私:基本的に「金本位制」をやめてからだね。 1971年8月15日、アメリカ大統領ニクソンはドルの金本位制をやめ管理通貨制に移行した。 いわゆるニクソン・ショックだね。 世界の金融資産総額を対世界GDP倍率で見ると、1990年が1.77倍、2007年が3.45倍。 2007年は「カネ余り」となっている。 21世紀になって、グローバル金融市場は「カネ余り」で金利収入が期待できなくなってきた。A氏:カネ対モノの倍率が急に増加したのは何故かね。私:日銀の金融政策が影響している。 2001年3月から2006年3月まで実施された金融の量的緩和だ。 もともとは国内でカネが回り、国内経済を活性化することが目的だった。 当時のデフレ対策だね。A氏:アベノミクスに似ているね。私:世界最大の貯蓄大国日本からカネが大量に流れ出て、「カネ余り」となる。 ゼロ金利状態が続く。 カネの運用だけで儲ける円キャリートレードが生まれる。 カネは「生産的に使う」のためでなく、「カネ増やし」のための「カネ回し」となる。 カジノ金融だね。 実体経済の本来の正常な規模をはるかに上回って膨張した。A氏:そして2008年、リーマン・ショック到来で、カジノ金融が崩壊し、実体経済まで窮地に落としこむね。私:リーマン・ショック対応で、日本同様、各国は金融の量的緩和に走る。 国の借金は増えるが、経済が成長しないので財政がきびしくなる。 「カネ余り」は続く。 それ以来、各国は共通して財政規律と経済成長のジレンマに直面してきている。 著者は、最後に「グローバル時代は分かち合いの時代」として、次の5つを提言している。 発想の転換だね。 1.グローバル時代はグローバル・スタンダードの時代にあらず。 2.グローバル化は均一化にあらず、多様化なり。 3.グローバル化は巨大化にあらず、極小化なり。 4.グローバル時代は国民国家の危機のときなり。 5.地球の時代は、地域の時代にほかならず。
2013.01.17
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【送料無料】新・国富論 [ 浜矩子 ]私:アダム・スミスの「国富論」には有名な「分業」によるピン製造の生産性向上例があるね。 ピンの製造工程18工程ある。 スミス氏は実際に10人のピン工場を視察する。 分業化していて、1日4万8千本以上のピンを産出していた。 もし、分業せず、10人が、個人個人で18工程やれば、1人1日2本がいいところだという。 次の3つの効果が働いているからだ。 1.仕事が細分化されることよる個人の技能向上。 2.一つの作業から別の作業に移る時の移動ロスの排除。 3.機械化への容易な転化。A氏:しかし、それだけのピンの需要がないと意味が無いね。私:そこに「市場」の重要性が生まれる。 市場が広ければ、広いほど、品質がよくて安いピンの需要は増える。 企業の利益も増え、雇用も増え、「国は富む」。 さらに「市場」が自由貿易による「国際市場」に拡大し、ピンが「国際競争力」があれば、さらに需要は拡大し、輸出したピンのカネが収入として国にもどってくる。 これでさらに「国は富む」。私:高度成長期の日本がそうだね。 繊維、電気製品、自動車と「国際競争力」をつけたモノが世界市場で売れる。 当然、企業は儲かり、雇用は増大し、賃金も上がる。 「国は富む」ことになるね。 企業は、ただ自身の利益のためだけに活動するのだが、自分の意図しなかった社会の利益向上という目的も達成する。 アダム・スミスはこれを「見えざる手」に導かれているという。A氏:「市場が神様」なのかね。私:それが違うんだね。 アダム・スミスは分業の問題点も「国富論」で指摘している。 分業が進むほど、大多数の国民は特定の単純作業ばかりに従事する。 毎日、同じ事の繰り返しで、思考は停止する。A氏:チャップリンの映画「モダンタイムス」だね。私:国民の知的退行となる。 だから、アダム・スミスは、近代国家における大衆教育の重要性を説いているという。A氏:日本では現在、派遣社員などは分業の犠牲だね。 若者たちは草食化、無感動、マニュアル慣れして、応用力なし。 若者だけではなく、大人も問題がおきると「想定外」で逃げる。私:カネの問題に移ろう。 アダム・スミスの「国富論」では、カネはためておくためでなく、使うためにあるとある。 市場で交換するときに効率的にできる。 ところで、帆船が当初の架け橋となった「国際市場」は、20世紀に入って飛躍的に拡大する。 当時の「国際市場」は、多数の「国内市場」によって構成されていた。 基本的に、モノはそれぞれの国で一貫して作られ、そのモノが「国際市場」に供給されていた。 しかし、現在の「グローバル市場」は単一市場で、それに向かってモノが供給される。 「国内市場」で一貫して作られるものは少なく、細分化した「グローバル・サプライ・チェーン」の国々を経由して、強大な「グローバル市場」に供給される。 アップル社のiPhoneやiPadは、世界中の部品メーカーや組立てがチェーンをなして作られ、世界市場に供給される。 2011年のタイの洪水でHDDの供給がストップし、世界中のコンピュータメーカーが減産。 東日本大震災でスペインの自動車工場が減産。 トヨタのあるエンジン部品は、日本国内の外注からインドネシアに渡り、加工され、最後にトヨタのエンジン工場に供給される。A氏:そうなると、個々の企業の利益追及が、「国の富み」と合致しなく事態が生じてくるね。 浜氏は、以前「ユニクロ栄えて、国滅ぶ」という一文を雑誌に書いているが、これが現在のグローバル経済の特徴だね。 それは、個々の企業の利益追求は、必ずしも「国富」につながらない時代になったということだね。私:クルーグマンが言っていたように、現在、アメリカの企業は記録的な利益をあげているのに、アメリカ国内では、失業率は高く、労働者の賃金も低下し「国は富んでいない」。明日は、その問題に移ろう。
2013.01.16
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【送料無料】新・国富論 [ 浜矩子 ]私:人類は、今日までの歴史の中で3度のグローバル化現象を体験している。「第1次グローバル化時代」は15世紀半ばから17世紀半ばにかけての「大航海時代」で、「帆船」の技術発展が背景にある。「第2次グローバル化時代」は18世紀から19世紀で、「産業革命」が背景にあり、列強の植民地化時代でもある。「第3次グローバル化時代」はグローバル化は1989年11月のベルリンの壁崩壊以降から始まり、今日に至り、すでに20年以上を経過している。 背景にITの革新的な進歩がある。A氏:ヒト・モノ・カネのグローバル化でカネが先行したね。 モノには一定の人格性があるし、ヒトは育った固有の文化的背景がある。 その点、カネは無人格で、国境を越えて自由に動ける。 最初、カネの流れは、モノの流れに密着し、それを支えるものだった。私:「第3次グローバル化時代」では、グローバル化とIT化で、カネは急速にモノと袂を分かち独り歩きをするようになった。 この時代はさらに、また、3つに分かれる。 「第1」は、1990年代の「ニュー・エコノミー時代」。 アメリカン・スタンダードがグローバル・スタンダードなった時で、カネがモノを離れて独走しだす。 「第2」は、2000年代の「ゴールディロックス・エコノミー時代」。 21世紀あたりから、リーマン・ショック前夜までの期間で、世界的にIT化で素人も投機でき、物価も安定し、金利も程よく低く、中国をはじめとする新興諸国の経済も順調に発展。 その裏側で格差と貧困が深まっていたが、表の華やかさに隠れていた。A氏:そして、リーマン・ショックで崩壊するわけか。私:「第3」は、そのリーマン・ショック以降のグローバル化だね。 世界各国は、グローバル経済の荒波と風雨から、わが身を守ろうと行動しだす。 浜氏は、TPPは、その一例で、ヒト・モノ・カネが国境を越える範囲を限定しようとするものだという。 FTA、PTAも同様の囲い込みだね。A氏:かってのブロック経済化だね。私:浜氏は、日本は世界に冠たる成熟債権大国だという。 対外債権の規模が世界一。 経済社会的なインフラの充実ぶりは世界に類を見ない。 これほど富の蓄積を形成しているのに、その上手な使い道を工夫しないのか。 なぜ、貧困問題があるのか。 日本の若者たちは、なぜ、非正規雇用の悲哀に甘んじなければならないのか。 ワーキングプアという言葉がなぜ、使われるのか。 以上、浜氏は問うているね。 明日から、本論のアダム・スミスに移ろう。
2013.01.15
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1夜にして、これほど天気が変わるものかと、目の前の道路に積もった雪を見て驚く。 昨日まで、横浜は晴天続きで、自然公園ウオーキングをしたいと思っていた。 それが、ついつい雑用にはばまれ、1週間過ぎてしまった。 昨日の天気予報では、今日から朝から雨になるということで、雨になる前にと、昨日は久しぶりに自然公園ウオーキングを決行。 午後1時半頃、厚いジャンパーを着て歩き出すと、20分くらいで、少し汗ばむ。 案外暖かい。 2時間、約12000歩で、少し疲れを覚えた。 久しぶりのウオーキングのせいか。 今朝は、最初は予報通り、強い雨が降っていた。 ところが、午前8時くらいだろうか。 大粒のボタ雪に変わった。 眼前の風景が一変する。 どんどん積もる。 冷たい風も強く吹いている。 あっという間に10センチくらい積もっただろうか。 横浜は、ここ約10年ぶりくらいの大雪らしい。 玄関の出入り口だけ、長靴をはいてスコップで除雪する。 テレビでは関東各地の電車が運航停止という報道を流している。 今日は、休日なので通勤、通学に影響がないのは何よりだが、成人式にでかけた成人、特に着物姿の人には大変な雪であったろう。 午後4時頃、ようやく雪はやみ、小雨に転ずる。 1日にして、この天気の変わり様にただ唖然とするだけだった。 明日は、気温は低いがまた、晴天にもどるという天気予報である。
2013.01.14
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新・国富論 グローバル経済の教科書 (文春新書) (新書) / 浜矩子/著私:この「新・国富論」は、アダム・スミスの有名な「国富論」を読み解きながら、今の世界経済を読み解こうというものだね。 しかし、最初は、世界経済の現状の説明から始まっている。 ユーロ危機で、最後に問題になったのはイタリアとスペインの国債発行の大きさだという。 この国債が暴落したら、ギリシャ危機とくらべものにならない。 そのユーロ危機を救ったのが、欧州中央銀行だ。 イタリアとスペインの国債買取りを表明したからだ。 しかし、欧州中央銀行というのは、中央銀行であるからには、経営と財務は健全でないと通貨の番人としての信用を失う。A氏:それが評価の低い国債を買い取るというのは危険な行動だね。私:民間経済が変調をきたしたときに、真っ先に出動するレスキュー隊が財政で、最後のレスキュー隊が中央銀行だ。 今のユーロ圏は、この最後の貸し手が最前線に出て体を張っている姿で、通貨の番人としては、「欧州中央銀行は失格だ」と浜氏は言う。A氏:本来なら、「市場の失格」を補うのは財政の役目だが、財政も借金で火の車だ。 そのために本来、財政がやるべき仕事まで中央銀行に押し付けられる。私:アメリカも日本も同じ。 アメリカの中央銀行・連邦準備制度理事会(FRB)は2012年9月に量的緩和第3弾に踏み切った。 政策的に金利は事実上、ゼロに等しいところまで抑えこまれている。 グローバル時代には、カネは低金利国から、高収益をもとめて、どんどん国外に流出する。 だから、いくら金融を緩和しても、カネは国内で回らないことになる。A氏:日本も同じだね。 低金利で量的緩和(円キャリートレード)の元祖の日銀は、すでに大量の国債を買っている。 2012年8月には、日銀が保管する国債残高がはじめて、銀行券の発行残高を上回ったというね。 これでは国債買い取り機関だね。私:アベノミクスではもっと国債買い取りを要請しているね。 しかし、現在、欧州中央銀行も、FRBも、日銀も決して越えてはいけない一線を守っているという。 それは、政府から国債を直接買うことはしていないことだと浜氏は言う。A氏:アベノミクスではどうなるかね。 新国債をすぐ市場から買えば、形式だけで事実上は直接買うのと同じだね。私:明日は、グローバル時代とカネの動きの話に移ろう。
2013.01.13
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新・国富論 グローバル経済の教科書 (文春新書) (新書) / 浜矩子/著 私:これは図書館に予約するとかなり入手が遅れるので、新書版なので購入したよ。 読み始めたばかりだ。A氏:君は浜矩子氏ファンだね。私:同じく水野和夫氏ファンでもあるがね。 この本の「はじめに」では、グローバル経済の状況が、世界の国々の政策形成と政策運営を難しくしていると説明しているね。A氏:ヒト・モノ・カネはグローバル化する。 しかし、国々とその政策はグローバル化できない。 この矛盾のせいだね。私:だから、国々の政策は何をやってもうまくいかない。 浜氏は、「はじめに」の終わりの方で 「そのことに業を煮やした政治家たちが、中央銀行に国債を買わせたり、無理矢理にインフレの火を燃え上がらせようとする。 自国通貨が安くなることを、あたかも最大の勝利であるかのごとく喜ぶ」A氏:アベノミクスへの痛烈な批判だね。私:日銀が安倍晋三内閣の要請に応じて、2%の「物価目標」で金融緩和をする見込みということで、金利が下がると予想される。 だから、円が売られ、円安が促進される。 これで円安で有利な輸出関連株が買われて値上がりする。A氏:円安は、経常収支の赤字も関係しているね。 海外への支払いに円を売って外貨に替えるためだね。私:経常赤字は海外から日本に入ってくるお金より、日本より出ていくお金の方がより多いことになる。 だから、今まで、日本国債を買い支えてきた国内資金が減ってくるということになる。 アベノミクスでさらに日本国債を売るとなると、国債を買い支えるお金がもっと必要になるのに、一方では経常赤字で、その資金が不足することになるかもしれない。A氏:そうなると外資が入り国債が値下がりすることにもなりかねないね。 国際収支に注意していないと危ないね。私:安倍総理は、経済成長はGDPで、2%上昇目標だと言っている。 水野和夫氏は、以前、「成長神話の崩壊」で、経済指標として、GDPの成長率は意味が無いとしているね。 アップダウンを繰り返し、一喜一憂だが、トレンドは下降しているだけだから、その方の対策を急ぐべきだという。 必要な経済指標としては雇用関係の指標と国際収支の2つだけをあげていた。 A氏:その2つのうちの国際収支が赤字に転換しだしたのは心配だね。私:いずれにせよ、今日入手した「新・国富論」を集中的に読んでいきたい。
2013.01.12
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A氏:今日の夕刊を見ると、安倍内閣は緊急経済対策を決定し、公共事業中心に20兆円を投ずるという。 アベノミクスの第1弾だね。私:バブルがはじけてデフレになってから、過去、小渕、森、小泉、麻生、鳩山、菅と政権は続いたが、今回の安倍内閣の経済対策の規模は最大だという。 そのうち、補正予算は10.3兆円で、さらにそのうち、5兆円超が公共事業。A氏:経済成長はGDPで、2%上昇目標。 60万人の雇用を創出するという。私:目標数字が出ると、3年半前の民主党のマニフェストを思い出すね。 ところで、円安や株高がどんどん進んでいるね。 俺には、このカネの動きがハゲタカの動きに見えてしょうがないね。 しばらく様子見だね。
2013.01.11
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A氏:年末に朝日新聞は、「手抜き除染」を写真付きで掲載していたが、年始まで放置されていたことを報じているね。 写真は、昨年12月14日に現場責任者が落ち葉の塊を両足で川に蹴りだしているところをとっている。 それから12月26日に現場監督から草木の投棄を指示された20代男性が実名で「手抜き情報」をファクスで、環境省本省と環境省福島環境再生事務所に送ったという。 この男性は、連絡先とし自分のてメールアドレスを記しているが、今月8日時点で問い合わせはないという。私:環境省の対応は年を越えたね。 石原伸晃大臣が新年初登庁した1月6日に「除染適正化推進本部」の設置がきまったという。 何が「適正」なのかね。A氏:この前「ルポ イチエフ」で原発の第1線で働く下請け労働者の実態を知ったが、この除染作業の第1線労働者も4次、5次の下請け労働者ではないのかね。私:放射能相手の仕事は相手が見えない点が、通常の仕事と基本的に違うね。 セシウムが除かれたのか、目で確認できないしね。 線量計で測るしかない。 それに「除染」という言葉がよくないね。A氏:汚れた自動車を水できれいに流し落とすときは、汚れた水は下水管に流せば終わりだが、除染の場合、洗い流した水をきちんと、確保しておかねければならないからね。私:除染でなく、放射能物質の移動だね。 指定された移動先にきちんと到達させないと作業を完成したことにならない。 洗い落としてきれいにするのでなく、放射能物質の捕獲作業だね。 捕獲した放射能物質は、所定の「オリ」に閉じ込める作業だね。 石原大臣はなれないポジションの仕事だが、この問題を安倍晋三内閣の最初の汚点にしないようにしないと、原発事故関係だけに感情的になりやすい。 命取りにならないとも限らないからね。
2013.01.10
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私:この本は、昨年の12月9日の朝日新聞書評欄で、韓国大統領選に関連して紹介されていたので、図書館から借りた。 発行が、2006年だから、韓国は当時は盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代だね。 その後、2008年に、李明博(イ・ミョンバク)大統領となるが、この本の発行後だ。 古いので、参考になるかと思ったがとりあえず、書評推薦なので一読したが、ガッカリであった。 書評はなんで今頃、こんな本をとりあげたのかと思った。A氏:このブログで同じ韓国問題を扱った「怒りのソウル・日本以上の『格差社会』を生きる韓国」と比較してどうだった。私:「怒りのソウル」のほうがよかったね。 発行が2年違うと、政治経済は大きく変わっているね。 「脱日する韓国」には韓国内の格差問題は一切出てこない。 まぁ、主題が韓国の「反日」が問題だから仕方がないかも知れないが、突っ込みが浅いね。 ところで著者は韓国内の「反日」の原因に2つの仮説を立てて説明している。 1つ目は、韓国は儒教(朱子学)の影響が強く、リーダーに道徳志向性を求めるという。 日本が「正しい歴史認識」を持たないと「道徳的態度」でないと批判し「反日」となるという。 2つ目は、儒教の徳治主義で、序列が上位の者=力が強い者に、より高い道徳性をもとめるという。A氏:要するにリーダーは、統治能力よりも、道徳性や倫理性が強く求められるわけだ。私:しかし、韓国の歴代大統領は不思議なほど、最後は不祥事が暴かれていることだね。 そして、その反動なのか「反日」になるようだね。A氏:国民が儒教的だから、追及が厳しいのではないの。私:それはおかしいね。 大統領本人も韓国人であり、儒教的な国の代表なのだから、不正なことはしないはずなのにね。 軍事政権時代の12代大統領全斗煥と13代大統領盧泰愚両氏は刑務所入り。 盧泰愚氏は数百億円も不正に蓄財していたことが発覚している。 民間出身の14代金泳三大統領も次男が利権介入による斡旋収賄と脱税で逮捕。 15代金大中大統領も息子は3人全員賄賂で逮捕、北朝鮮への不正送金問題もある。 この「脱日する韓国」本で描いている時の大統領である16代盧武鉉大統領は庶民の出だというが、これも税務職員だった兄は収賄で逮捕。 在任中の収賄疑惑により退任後に捜査を受け、そのためか自殺したが、他殺説もあるという。 著者の澤田氏は自殺までは思いつかなかったろう。A氏:そして、17代の現役終了間近かの李明博大統領も土地購入不正疑惑で、側近や親族が逮捕され起訴されている。 この見事な各大統領の共通性はどこからきているんだろうね。私:そして、その前後に不思議に強い「反日」姿勢になるのも似ているね。 不祥事がバレそうになると「反日」で外に目をそらせようしているだけなのかね。 それから、「脱日」という発想がおかしいね。 グローバル経済では、日本同様に資源のない韓国は輸出が重要だから、世界を相手にするのは当然だし、それで経済成長をしてきたので、日本以外に多くの外国資本が入ることは当然だね。 だから、1997年のアジア通貨危機で影響を受け、IMFが韓国の経済に介入し財閥解体も行なわれた。 さらにリーマン・ショックで韓国は通貨危機に陥ったね。A氏:そして、中国の急速な経済発展で、当然、中国との貿易も人事交流も急速に盛んになり、日本の比重も相対的に低下するのは経済の自然の流れだね。私:それにしても驚いたのは韓国では小中学生のうちから海外留学が増加していることだね。 1997年には3274人だったのが、2000年には1万人を超えたという。 親が高給取りでないとこれは不可能だから、教育の格差は日本よりひどい。A氏:儒教的な社会だからという論理と、格差が拡大している社会とは矛盾しないのかね。私:韓国は、人口あたりの自殺者は、最近、日本を超えて1位になっているし、しかも、若者に自殺が多いという。 大学進学率も80%で世界1位だ。 一方、少子高齢化も日本並みに急速に進んでいる。 もっと、突っ込んだ分析がほしかったね。 まぁ、これで年末年始の読書のために、図書館から借りた本5冊は読了した。
2013.01.09
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大学を出て、就職して、同じ電気学科の同窓生27名は日本全国に散った。 27名の同窓会は、昨年まで毎年、泊まりこみでやっていた。 もっとも、卒業時は27名だが、1名は30歳代でなくなっている。 後、26名は健在で、3年前まで、泊まり込みの同窓会をやってきた。 ところが、3年前にさらに1名急死した。 病気で入院していたわけでなく、ピンピンコロリであった。 その頃から、全国から集まるのは、年をとると負担に感じたのか、毎年やるのは各地区で別々にやることにきめた。 偶然、横浜地区は、8人が住んでいる。 皆、郊外住宅地の戸建に住んでいる。 高度成長期の初期の頃を、走った者の都市化の典型的な生活スタイルの流れだ。 今は子どもは成長し夫婦二人暮らしが多い。 一人だけ、奥さんを早く亡くし、一人住まいの者がいる。 彼は、年末は家の大掃除などで多忙で、彼の都合で忘年会を新年会にきりかえた。 今日、8人全員が集まっての新年会だ。 実は、一昨年までは、9名だったが、1名が昨年亡くなった。 これも病気で入院していたわけでなく、ピンピンコロリであった。 じわじわと他界する者が出るのは同窓会の宿命であろうか。 次回は8人皆無事再会できるように祈り、各人、握手をして別れた。
2013.01.08
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ルポ イチエフ 福島第一原発レベル7の現場私:昨年の12月9日(日)の朝日新聞の書評欄で興味を持って図書館に予約して、27日に借り出し、年末年始の読書に間に合った。 福島第1原発事故の対応に現場第1線で作業した人々、50人の取材ルポ。 「イチエフ」とは原発労働者が福島第1原発を指していう言葉だ。 人によっては、取材に応じると職を失うということで拒否したり、匿名を条件としたりする人がほとんどだったという。A氏:第1線労働者の立場がよく理解できるね。 雇い主の気にさわって、クビになったら、他に職はないからね。私:原発労働のことは、ブログでもときどき取り上げたが、改めてこの本を読むとその階層の凄さに驚くね。 東京電力から日立、東芝、東電グループなどの「元請」から、1次請、2次請、3次請と降りていく。 これらを「登録業者」という。 東電のルールでは、「登録業者」の作業員でないと、原発の作業はできないことになっている。 ところが、現実には4次、5次と7次まであり、これらを「人夫出し(派遣)」という。 これらの派遣労働者は、形式的には「登録業者」に所属する作業員ということで、原発で働く。 この階層構造が原発労働の諸悪の根源だね。A氏:下に降りるに従って、途中で給与のピンハネが行われる。私:末端の作業者には、「元請」の半分から三分の一しかいかない。 安全管理もおろそかになる。 土木建設業の下請けの安全管理のほうがまだしっかりしているね。A氏:技術的には最先端であるべき職場なのにね。 最も、非近代的とはね。私:それから、50人のインタビューをした人で、原発事故前から原発で働いていた人がいたが、最初、職場に刺青の人が多いので驚いたという人がかなりいたね。 ところで第1線労働者の間では作業現場で被曝することを「食った」というんだね。 「食った」量をごまかすのは、一定の量以上「食う」と失業保険なしでポイだからだね。 ところが、第1線ほど「食った」量が多い。 事故前の2009年のデータによると、年間10ミリシーベルト以上被曝した下請け労働者257人。 東電社員が2名。 いかに原発が下請け労働者に依存しているかがわかる。 事故発生のときは、1時的に、東電社員の被曝量が多いが、その後は下請け労働者の事故収拾の人海戦となるね。 「食った」線量が制限を超えると「使い捨て」になり、また、新規の下請け労働者が派遣される。A氏:「使い捨て」の連続だね。私:俺はこの本の原爆労働者の実態を読んでいくうちに、昨日まで読んでいた「生還」のペリリュー島の玉砕戦を連想したよ。 水素爆発をしたときのガラクタで、極めて危険な原発敷地内で、線量計をピーピー鳴らしながら、人海戦術で放射能と戦っている労働者は、武器弾薬が不十分で、戦力が強大な米軍と戦っているペリリュー島の第1線兵士と同じような気がしたね。 米軍と日本軍が違うのは、兵士の扱いだという。 日本軍では軍人とは将校のことで兵隊は軍人でも人間でもなかったという。 原発労働者は「使い捨て」で人間ではない扱いなんだろうか。A氏:原発の事故については、放射能を「食い」ながら、なんとか最低線に事故を抑えた2万3千人の下請け労働者はもっと評価さるべきだね。私:今日現在も「イチエフ」では下請け労働者が、ピンハネされた安い賃金で、粗雑な管理下で、多量の放射能を「食い」つつ、事故の収拾のため作業している。 原発ゼロだとか、脱原発だとか、卒原発だとか言う前に、足元の下請け労働者に感謝すべきだね。 「イチエフ」で事故収拾の陣頭指揮をとった吉田昌郎前所長は、昨年8月に 「私自身は仕事柄、現場に行けない。 しかし、現場に飛び込んでいってくれた連中がたくさんいる。 この人たちがいたからこそ、事故収束をこのレベルまでもっていけたと思っている」 と感謝の弁を語っていたという。
2013.01.07
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私:グアム島から来た海兵隊は生存日本兵を掃討する前に、降伏勧告をすることにした。 そして、グアム島に戦犯裁判の証人でいた第4艦隊参謀長だった澄川道男海軍少将を勧告者として選んで、ペリリュー島に来てもらう。 少将がメガホンで呼びかけたが反応がないので、文書にして署名して、彼らの通り道らしいところに吊るした。A氏:日本兵の反応はどうだったのかね。私:米軍の謀略を疑い無視だね。 仲間で議論しているうちに、降伏しようと言い出した1人がいたが、あるとき背後から撃たれて死亡するという事件が起きる。 この日本軍の残留兵34名の中に土田喜代一上等兵がいた。 彼はこの戦争は2年持てばよく、それ以上の戦いになると負けるだろうと思っていたという。 彼は海軍所属で陸軍の残留兵にたまたま合流したもので、陸軍の兵士と違い、多少、柔軟な思考を持っていたのだろう。 そこで、投降勧告の敗戦を信じた彼は、4月2日、仲間に書き置きして、一人脱走して投降する。 そこで、彼の情報から潜伏兵の家族に手紙まで書いてもらい、これを澄川少将が壕の近くまで行って読み上げる。 そこで、彼らは、壕を出て、澄川少将と話し合うが、一人の陸軍軍曹が頑として投降に反対する。 しかし、澄川少将の「とにかく私に命を預けろ」という一言で納得し、投降となった。 ときに昭和22年4月22日。 土田上等兵を含め、投降した34名中、陸軍は22名、海軍は12名。 陸軍の22名中、もとは水戸大隊だから、18名は茨城県出身。 A氏:1ヶ月間ほどの説得だったわけだ。 いかに「戦陣訓」と「鬼畜米英」が彼らの身にしみつていたかだね。私:彼らは投降して「鬼畜米英」の素顔を知ることになるね。 投降して、すぐ予防注射をするとき、まだ、毒殺されると思い拒否する。 仕方がないので、最初に澄川少将がやった。 そして、2時間近くたっても問題ないので、ようやく注射をうけるという状態。 投降生活中、捕虜の扱いも兵隊と同じという米軍の発想に、日米の軍隊の違いを知る。 日本軍では軍人とは将校のことで兵隊は軍人でも人間でもなかったという。 消耗品だね。 これでは負けて当たり前と思ったという。 しかし、米軍側の別のペリリュー島戦記には、戦闘中、日本兵の投降者を射殺した例があるようだ。 投降生活は2週間で終わり、航路、日本に向かう。 舟は民間の舟で船員は全部日本人。 これではじめて敗戦を信じることになる。A氏:一旦、身についた思想というのはこわいものだね。私:米軍からの支給品を持って舟を降りようとしたら、船員たちに税関で取られると騙され、舟に置いてきてしまう。 舟を降りて税関を待ったが来ない。 舟は出ていく。 詐欺にかかる。A氏:当時、日本はモノ不足で、国民の気持ちも荒れていたんだね。 国を命を賭して守ってくれた兵隊だという気持ちはもう皆無だね。もっとも、特攻隊崩れが、飛行機で軍需物資の余りをネコババしたこともあった。私:故郷に帰れば戦死者扱いで、配給もすぐに受けられない。 もたもたしている役所に怒って怒鳴り込んだ者もいたという。A氏:浦島太郎だね。私:生還した34名の潜伏生活は集団活動としてはいろいろあって、生還者は潜伏生活については多弁でなかったという。 人間の極限状態を生きてきた者としては当然かもしれないね。 34名が再会したのは、16年後。 「三十四(みとし)会」とこの戦友会を名付けた。 戦友会は自費で何回も遺骨収集にペリリュー島に渡っている。 最初に投降した土田氏は、 「いろいろな思い出の残る島に自分の骨を埋めてもらいたい。 それが1万数千名の戦友に対する努めのような気がする」 と言っているという。 この土田氏の言葉でこの本は終わっている。
2013.01.06
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私:米軍は1週間にわたる徹底的な艦砲射撃、空爆の効果で、2、3日で戦闘は終わるだろうと予測していた。 しかし、米軍が上陸すると、日本軍は組織的な反撃をしたので、米軍はかなりの犠牲者を出す。 サイパン島もグアム島も1ヶ月たらずで玉砕しているが、戦法を変えたペリリュー島の日本軍の攻撃で、米軍は多くの死傷者を出す。 この本では、約220頁にわたり、戦いの詳細を描いている。 最後は、洞窟を利用したゲリラ戦となるが、弾薬・食料ともに尽きてきた。 特に飲料水は雨水中心なので、水不足に悩まされる。 米軍は戦車、火炎放射器などを使い、洞窟や壕を虱潰しに攻撃する。 日本軍の夜襲を警戒し、照明弾を頻繁に打ち上げ続けて昼のようにしたので、夜襲でも日本軍はかなりの損害を出すようになる。 かくして、米軍が、「作戦終了」宣言をしたのは11月27日午前7時であった。A氏:米軍が上陸してから、2ヶ月半、74日の戦闘だね。私:日米両軍の死傷者数は次のようだ。 戦死戦傷計日本軍10,02244610,468米軍1,6186,8328,450A氏:死傷者数合計の値は近いが、戦死者の数がまったく違うね。私:日本兵は、負傷しても、同僚の迷惑になったり、捕虜になることを恐れたりして、自決することが多い。 反対に米軍は、病院船がいる。 日本軍には手当する病院はない。 傷口からウジ虫が湧いてもそのままだ。 そして、米軍は負傷者の交代要員がすぐに補充される。 日本軍は多少の負傷でも動ければ戦わなくてはならない。 しかし、「作戦終了」後に、まだ、壕には80名ほどの日本兵がいた。 12月末、米軍は小さな洞窟や壕に潜んでいる日本兵の大掃討作戦を開始する。 日本兵にはもう弾薬もほとんどないし、食料もなくなってきていた。 これで日本兵は40名ほどに減る。 しかし、自然の力はすごいもので、ジャングルが回復する。 これは生存者には都合がよかった。 残った三十数名の日本兵は、数名ごとのグループに分かれ、洞窟や湿地帯に潜む。A氏:潜伏生活の始まりだね。 問題は食料と衣服だね。私:これが全部、米軍のものを盗んだんだね。 人によっては、5年分も溜め込んだという。 銃も日本のものは故障したので、米軍の自動小銃を盗み、短く改造して持つようになる。 兵士にはいろいろ器用な人がいるから、将棋や花札を作り、これが娯楽になる。 中に、ストーリーテラーがいて、恋愛物語などを作成し披露する。 夜、米軍が映画鑑賞をすると米軍服で紛れ込み、映画も見たという。 もっとも英語はわからなかったが、ニュース映画で日本が出るのが見られた。A氏:そのうちに、日本が負けたことを知らなかったのかね。私:こうして潜んでいれば、いつかは日本軍が迎えに来ると思っていた。 戦陣訓の「虜囚のはずかしめを受けず」で降伏するつもりはないし、米軍は鬼畜だから降伏すれば殺されると思っている。 日本の敗戦の昭和20年の8月も過ぎ、昭和21年も過ぎ、潜伏生活は続く。A氏:どうして見つかったのかね。私:昭和22年3月、日本兵の2人がパパイヤをとりに丸腰で出かけたら、ばったり、米軍パトロールに出会い捕まる。 悲鳴を聞いた戦友たちが発砲して助けだす。 しかし、これでかなりの数の日本兵がいることがバレル。 米軍は急遽、海兵隊をグアム島から派遣する。 これから後のことは明日にしよう。
2013.01.05
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私:西部邁ゼミナールでペリリュー島の玉砕の話を聞くまで、この島の玉砕のことは知らなかった。 そこで図書館でこの本を借りた。 2年ほど前の刊行なのですぐ借りられた。 400頁ほどの大著だね。A氏:玉砕というと、アッツ島、サイパン島、グアム島、硫黄島をすぐ思いつくね。 しかし、俺もペリリュー島の玉砕は知らなかったよ。私:ペリリュー島はパラオ諸島の中の1つの小さな島だね。 東西約3キロ、南北約9キロという小島。 東洋一という飛行場があり、米軍にとっては、フィリピンや沖縄の空爆の拠点となる。 著者は、この島で1万人の日本兵と延べ4万5千人の米兵が繰り広げた苦闘は、その密度の濃さと激しさで他に類例を見ないという。 兵員の数だけでない。 米軍の火力は、空爆、艦砲射撃、陸上の大砲・バスーカ砲、自動小銃と、数の上でも、性能でも圧倒的に優れ、彼我の差は歴然としている。その中での戦闘だね。 ところで、この日本軍の1万人というのは、もとは関東軍の水戸連隊で満州の黒竜江省にいた。 20歳から22、23歳の若者ばかりの精鋭だ。 これが、南方の形勢不利を挽回するために、昭和19年3月10日、ペリリュー島に転進命令がでる。A氏:極寒の地から酷暑の地へと一挙に気候が激変するね。私:防諜上、一般の兵士には転進先は知らせない。 「演習」という名目だ。 満鉄の無蓋列車で大連に着き、海に関係する演習を行ったので、兵士はうすうす、南方に行くのではないかと感じだす。 演習は10日間で終わり、大連港から、物資とともに3隻の輸送船に乗って、3月28日出港。 積み込んだ軍需物資は1会戦分だけと言って、2、3ヶ月の戦闘用分を積み込んだという。 当時の戦況では、追加の物資は期待できない。 事実、本格的な組織的な戦闘は2ヶ月ほどであった。 一旦、横浜港に寄り、駆逐艦2隻の護衛で南下する。 そして、パラオに着いたのは4月24日。A氏:1ヶ月ほどのえらい長い船旅だね。私:敵襲を避けるために太平洋上をウロウロしてためだね。 しかし、米軍は日本軍の移動を知っていた。 米潜水艦の情報や、暗号解読で知っていた。 ペリリュー島の守りは、従来のサイパン島、サイパン島の水際撃滅のバンザイ攻撃という一斉突撃の日本の伝統的な戦略は、簡単にやられることから、戦略を転換し、「徹底抗戦」の戦略となった。 ペリリュー島の強固な珊瑚岩という自然壕を利用して強固な洞窟を大小500ほど作る。 兵士は満州の荒野に見られなかったジャングルに驚く。A氏:洞窟は後の硫黄島と同じ戦略だね。私:こうして、演習などで準備して敵襲を待つ。 9月7日から米軍の猛烈な艦砲射撃がはじまり、飛行場の滑走路は穴だらけ。 濃い緑の木々に覆われていた山肌は露出した。 さらに空爆もはじまる。 大ジャングルは1週間の砲爆撃で裸の山となる。 しかし、頑強な洞窟に守られ、日本軍の被害はほとんどなかった。 こうして、米軍は9月15日の早朝に上陸を開始した。 戦闘はいよいよ、本番に移る。 それからは明日の話題にしよう。
2013.01.04
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私:こないだ、西部邁ゼミナールを見ていたら、ジャーナリストの東谷暁氏が、送配電分離に反対の主張を述べていた。A氏:米国はエンロン事件でケチをつけているね。私:ところが、東谷氏は福島第1原発事故で東電がバッシングされているのはおかしいという東電バッシング擁護論者だね。 事故の原因は東電でなく、千年に一度という地震と津浪だという。A氏:「原子力村」の「安全神話」で地震・津波対策に弱点があったのではないのかね。 福島第1原発は、地震・津浪が来たとき、自動停止まではうまくいった。 しかし、原発は冷却水の供給まで継続していないと安全停止でない。 そんなことはシロートでも分かっているのに、冷却水電源の全喪失。 対策が甘かったね。 だから、天災でなく「人災」だよ。私:東谷氏は、世間では、学者が貞観津浪があったことを東電に警告したのに東電はこれを無視したというが、東電は貞観地震の警告を受け、自ら、地質調査もして、津浪の想定高さを5メートルとしたのだという。 だから、東電はきちんとやることがしていたんで、地震と津浪が原発事故の原因だという理屈だね。A氏:「想定外」論理だね。 自然現象だから、5メートルを超えることもある。 そのときでも非常用電源の喪失のないようにすべきだったのがしていなかったのだよ。 だから、水素爆発までいった。 これだけの被害を出して、まだ「想定外」で逃げようとするのは分からないね。 千年に1度であろうと、放射能被害は、歴史上の地震・津浪の被害とは同列ではない。私:東電の貞観地震の地質調査は、専門家のチェックをうけたのかね。 疑問だね。 岩手県宮古市田老の高さ10メートルの巨大防潮堤(全長約2・5キロ)は、住民らから信頼感を込めて「万里の長城」と呼ばれていたが、津波はそれを乗り越え、集落をのみこみ大きな泥沼を作っていたという。 ここでは津浪の「想定高さ」は10メートルだ。 東電の5メートルと違う。A氏:同じ津浪を受けた東北電力の女川原発の津浪の「想定高さ」は、9メートルだね。 この原発は冷却電源を確保できたので、冷却停止で問題なかったし、逆に津浪に襲われた住民の避難場所に一時なっている。 とにかく、東電の5メートルはおかしいね。私: そして、東谷氏は、関東大震災がくる確率が高いのに皆、のんびりとしているという。 これは、東電の原発擁護論と無関係だね。 もし、関東に原発があれば、事故を津浪や地震のせいにできないから専門家のチェックを受けるまで、稼働停止だよ。 だから、菅直人元首相は、東海地震の確率が高いので、御前崎原発を地震・津浪が来ない前に停止した。A氏:今、稼働しているのは大飯原発の2基だが、活断層かどうかで、専門家の地質調査でもめている。 もし、活断層ならこれも地震・津浪が起こる確率が低くくても停止だね。私:原発停止は地震の確率の問題ではないよ。 地震が起きても、最低、冷却停止し放射能を出さないことだよ。 放射能のこわさを、3.11で分かっていないのだね。 こういうジャーナリストが、事故からそろそろ2年たつというのに、まだハバをきかしているとはね。
2013.01.03
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私:今朝は朝刊なし。 こういうときは、インターネットかテレビ報道が頼りだね。A氏:君が心配いていた米国の「財政の崖」問題は、インターネットでは、上院での採決は元日の午前2時(日本時間1日午後4時)という異例の時間に行われ、賛成89反対8で、富裕層の増税と中間層の減税恒久化が盛り込まれた法案は可決されたという。私:なんとか「財政の崖」を脱出しそうだね。A氏:オバマ大統領は上院での可決を受けて声明を発表し、下院に対し法案を早急に可決するよう求めたという。 今後の焦点は現地時間1日昼から再開される下院での審議に移るね。 年収40万ドル超の個人および同45万ドル超の世帯を対象とした増税も盛り込まれ、最高税率が現在の35%から39.6%に引き上げられる。 この層については、キャピタルゲイン税や配当税も15%から20%に戻す。 遺産税については、1000万ドル以上を対象とした税率を35%から40%に引き上げる。 失業保険給付の1年延長も盛り込まれた。私:「世界の99%を貧困にする経済」を書いたスティグリッツ教授が主張する富裕者への増税と富裕者に多いキャピタルゲインへの増税、遺産税の増税が少しではあるが改善されたね。 国家の危機だから「レントシーキング」が弱まったのかね。 格差が解消する方向に一歩前進かね。A氏:昨日の朝日新聞の元旦号に新連載の「危機を越えて」が始まったが、第1回はカリフォルニア大のロバート・ライシュ教授のインタビューだね。 米国経済は低迷しているが、教授は「中間層復活 それしかない」としているね。私:米国経済の7割は個人消費に依存しているが、その担い手である中間層の購買力の低下が、米国経済の足かせになっているという。 収入源を補うために、まず、主婦などの女性が働き出し、次に長時間労働となる。 それでも足りないので、大きく値上がりが期待された住宅を担保に借金する。A氏:借金消費となったね。 そして、リーマン・ショックで、住宅バブルがはじけて借金が残り、新たな借入れは不可能になった。 今の米国は富が集中化して、これほど集中化したのは大恐慌直前の1928年以来のことだという。 クルーグマン教授も指摘していたね。私:元気な消費者がいなければ、企業は投資しない。 雇用も増やそうとしない。 今の2大政党で、この問題が解決できないと、国民の不満が鬱積し、「第3局」が台頭しかねないと教授は言う。A氏:オバマ大統領が雇用増のため「製造業の復活」を言っているが、教授は製造ラインのロボット化が進んでおり、生産拠点も海外に多いので、期待していない。 ロボット化はクルーグマン教授も指摘していたね。私:ライシュ教授は、格差拡大は、中国、ロシア、インドのような新興国でもみられ、そのため国の経済成長が鈍化しているという。A氏:隣国の韓国もそうだね。私:しかし、米国経済は、回復が鈍いといえ、年2%前後の成長をしているのは起業したスモールビジネスが育ち、ベンチャー企業への投資活動が活発なためだという。A氏:シェールガスなどの技術がそうだね。私:ライシュ教授は、残念ながら日本にはそれがないという。 人的資源の活用が問題だね。 日本の大学問題もその視点で考えるべきだね。
2013.01.02
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私:あけましておめでとう。 年末、米国の議会では「財政の崖」で最後の最後まで、富裕層の課税で民主党、共和党のせめぎあいの攻防が続いたね。 しかし、米国の99%の貧しい人の格差対策は、議会ではあまり大きな問題になっていないようだね。A氏:ところで、昨日の朝日新聞の「ニュースがわからん!」コーナーで、米国の銃規制の問題で、全米ライフル協会(NRA)の行動が分かりやすくまとめられていたね。 俺は「世界の99%を貧困にする経済」にあった米国の「レントシーキング」がらみで気になって読んだね。私:昨年の12月14日、米国コネチカット州のサンディフック小学校で発生した銃乱射事件で、小学校の児童20人を含む26人が死亡、1人が負傷、事件当時20歳だったアダム・ランザ容疑者も自殺したという事件が起きた。 これで、銃規制が問題になったね。A氏:ところが、全米ライフル協会は銃規制で解決するのでなく、「米国のすべての学校に武装した警官を配置」という提案をしているという。 問題の認識が全く違うね。 銃規制の方にいかないね。 逆に自衛のための銃増加だね。私:オバマ大統領は一部の銃規制を考えているようだが、議会でまたもめるだろうね。 全米ライフル協会は銃所持の権限擁護が一番の目的で会員が約400万人。 銃メーカーからも献金を受け、資金は潤沢。 今の議会で共和党議員の88%、民主党も11%が全米ライフル協会から献金を受けているという。 典型的な「レントシーキング」だね。A氏:最新の世論調査では銃によっては規制すべきだという賛成が多いという。私:しかし、憲法にも銃所持の規定があり、全体的に銃保持を認める国民の認識が歴史的にあるようだね。A氏:経済で言うと、市場主義、新自由主義が信じられているのと同じだね。私:それと同じで、銃保持の認識は国民の思想の根底にあるだろうし、それに乗じて、全米ライフル協会も、献金をもらっている議員も銃規制に反対するだろうね。 特に共和党は強く反対するね。 富裕層の増税に反対するようにね。 これによって、26人の死者が出ても、「レントシーキング」で、銃規制はなく、銃メーカーはますます、儲かる。 銃社会は変わらないね。 また、銃乱射による国民の犠牲は出るだろうね。 同様に1%の富裕者と99%の貧者という、「富者はますます富み、貧者はますます貧する」という米国の経済格差構造も、「レントシーキング」で今年も変わらないようだね。 日本の方は、今年はどう変わって行くかね。 政治は、悪しき過去の自民党時代にもどるのかね。 デフレも相変わらず続くだろうね。
2013.01.01
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