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A氏:先週、ISO9001規格の弱点は工程設計にあるという君の話で、「工程設計」の重要性は理解できたように思う。 しかし、よく知らないから、基礎からもっと説明してほしいね。私:用語定義集のISO9000では、「3.4.4 設計・開発」は「要求事項を『製品』、『プロセス』、又は『システム』の規定された特性、又は仕様書に変換する一連のプロセス」と定義しているね。 この定義の注記2に「設計・開発されるものの性格を示すために、修飾語が用いられることがある(例:製品の設計・開発、プロセスの設計・開発)」とある。 この「の」は煩わしくて不要だね。 この「プロセスの設計」が「工程設計」だね。 TSの訳では「製造工程設計」と訳していて「の」はないね。A氏:それに、一々、設計の後ろに「開発」をつけるのも煩わしいね。私:ISO9001の初版の87年版、そして最初の改定版の94年版は「設計」だけだったし、現在の2008年版まで設計についての規格内容の変更はほとんどない。 それなのに、2000年版から、「開発」が付け加わったが、その意味がわかりにくい。 審査では従来の「設計」だけのときと同じだね。A氏:簡単にまとめると定義では「製品設計」「プロセス設計」「システム設計」という3つになるようだね。私:しかし、「システム設計」でいう「システム」も「製品」の1種だから、「製品設計」だね。 要するに設計には「製品設計」と「工程設計」の2つがあり、大きく分けると2種類しかない。 これは、ISO9000の用語定義を参考にすれば、簡単に理解できるね。 まず、「3.4.1 プロセス」の定義は「インプットをアウトプットに変換する、相互に関係する又は相互に作用する一連の活動」としている。 一方、「3.4.2 製品」の定義は「プロセスの結果」と単純明快だね。 この「プロセス」と「製品」の定義を結びつけると、「インプットをプロセスで変換してアウトプット(製品)ができる」という関係になるね。 「インプット→プロセス→アウトプット(製品)」だね。 だから、「アウトプット設計」が「製品設計」、「プロセス設計」が「工程設計」となる。A氏:「インプット」はどうなるの?私:「インプット設計」は「製品設計」に含まれるね。 「製品」を構成する基本要素だからだ。 ところで、 日本は高度成長期に品質で世界を制したが、そこには「製品の品質は工程で作られる」という基本的な考えが底流にあったね。 「工程設計」がしっかりしていないと、「製品設計」は絵に描いた餅になってしまう。 逆に「工程設計」がやりやすいように「製品設計」をしないとコストアップになる。 効率的な「製品設計」は、「工程設計」と共同してやることだね。A氏:トヨタの開発センターには、千人くらいの外注など部品メーカーの技術者が共同して設計しているそうだね。私:「製品設計」と「工程設計」を並行して行う効率的な設計活動を「同時設計(Concurrent Engineering:CE)」と言っている。 こういう考えはアメリカのマネジメントで発達してきたね。A氏:ISO9001ではなぜ、そういう発想がないのかね。私:ISO9001はもともと、イギリスのBS(英国標準British Standard ・BS)5750という規格をベースにして始まったから、イギリスの製造業の慣習が基本にあるのだろうね。 イギリスは階級社会だから、泥臭い「工程設計」は、伝統的に現場任せだったんだろうね。 俺の技術経験のある知人が、イギリスの日本工場のディレクターで行ったとき、残業時間に現場の不良品の修理をしたら、イギリス人のマネージャーが慌ててとんできて、それはマネージャーのやることでないと止めに来たという。 彼は頑として日本流を押し通し、品質が向上して、イギリスの輸出に貢献し、女王勲章までもらったという。 日本では、生産技術とか製造技術部門が「工程設計」を担当していることが多い。 1990年代にある大手の会社に行ったら、生産技術部門の人たちが「品質保証部門の連中が今、ISO9001で大変だ」と他人事のように言っていた。 本当は生産技術部門が品質を達成する重要部門なのにね。 ISO9001は書類屋さんの品質保証部門の仕事になりやすいね。 その点、TSはアメリカ流の上に、トヨタ生産方式を参考にして「工程設計」を全面に出しているから、生産技術部門は他人事ではすまないだろうね。
2011.01.31
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【送料無料】銃・病原菌・鉄(下巻)「アフリカはいかにして黒人の世界になったか」私:この章の題名はあまり適切でないと思ったね。 むしろ、早くから文明がスタートしたアフリカが最初遅れていたヨーロッパの支配下になぜなったかという題名のほうが適切だと思うね。 アフリカの先住民は黒人だと思いがちだが、西暦1000年頃には、黒人、白人、アフリカピグミー族、コイサン族、アジア人の5つの人種がすでに暮らしていた。 地理的には、白人は北アフリカ、黒人はサハラ砂漠以南に分布していた。 ピグミー族はアフリカ中央、コイサン族は南端に住んでいた。 インドネシア系のアジア人はマダガスカル島に住んでいた。 言語など詳しい説明で分かりにくいが、アフリカの黒人の中心はバンツー族のようだね。 これが紀元前3000年頃、ピグミー族や、コイサン族の住む南アフリカに拡大南下する。 彼らは食料生産もしていた。A氏:本来、アフリカ大陸は、何百万年もの間、人類進化の唯一の揺籃の地だね。 それを考えると、ヨーロッパ人がアフリカに入植するのでなく、アフリカ人がヨーロッパに入植するのが当然のように考えられるね。 それが後に逆になる。私:アフリカはヨーロッパに大きく先んじて文明をスタートしている。 気候も生態系も人種も多様である。 しかし、15世紀頃からヨーロッパとアフリカと衝突し、ヨーロッパ人がアフリカへ入植したのには、ヨーロッパ人が3つの点で優位であったことだ。 1つは銃をはじめとする技術を発展させていたこと。 2つには、字を読み書きする能力を広く普及させていたこと。 3つには、探検や征服に要する莫大な資金を提供しつづけることのできる政治機構をもっていたこと。 ヨーロッパ人はなぜサハラ以南の人びとよりも、この3つの点で優位であったのか。 著者は、食料の生産の相違をあげている。A氏:アフリカでも草地はあるのではないの?私:栽培可能な野生祖先種があまりなかったことと、食料の生産に適した土地があまりなかったをあげている。 南北に長い大陸であるために、食料生産や発明が拡散しにくかった。 アフリカ大陸の食料生産に適した土地の総面積はユーラシア大陸のおよそ半分だね。A氏:しかし、家畜にできる動物は豊富だろう。私:ところが違うんだね。 アフリカ原産の大型動物は現在まで家畜化されたものはない。 家畜となるには、従順で餌代があまりかからず、病気に強く、成長に時間がかからないという条件が必要だ。 その点、ユーラシア大陸の牛、羊、馬、豚はそれに適している。 今日、ユーラシア大陸には40億の人が暮らしているが、アフリカの総人口は7億人に満たないという。A氏:「人口ボーナス」現象だね。私:著者は、ヨーロッパ人がアフリカ大陸を植民地化できたのは、白人の人種主義者が考えるように、ヨーロッパ人とアフリカ人に人種的な差があったからではないという。 それは地理的偶然と生態的偶然の賜物に過ぎないという。 ユーラシア大陸とアフリカ大陸の広さの違い 東西に長いか南北に長いかの違い そして、栽培化や家畜化可能は野生祖先種の分布状態の違いによるものだとしている。A氏:土着の食い物や土地の環境が長い間に、人種の特徴を決めてしまうんだね。私:明日の月曜日はISOの日だから、この本の続きは来週火曜日だね。 テーマはアメリカの問題で「アメリカの先住民はなぜ旧世界を征服できなかったのか」という謎に迫る。 章の題名は「旧世界と新世界の遭遇」だね。
2011.01.30
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【送料無料】銃・病原菌・鉄(下巻)「中国はいかにして中国になったか」私:この章の題名は、分かりにくいね。 それは、中国は世界でも例外的な存在で、世界で人口が最も多いのに、今日では、政治的にも、文化的にも、言語的にも、1つにまとまった国であると一般的に思われている。 実際に、紀元前221年には政治的に統一されていた。 それ以来、多少の分裂はあったが、統一されていた時代のほうが長い。 文字システムも最初から同じものが使われてきており、ヨーロッパのように何十もの異なるアルファベットが使われていたわけではない。 言語も8億人以上が北京語を話していて、世界最大の母国語集団を形成している。 他の言語も中国にあるが、北京語とよく似ている。 他の大陸諸国と比較して、どうして、中国の統一性という特徴が生まれたのかというのがこの題名の意味するところだね。A氏:そうだね。 人種的には、北部と南部は違うね。 北部の中国人は南部より背が高く、体重も重いし、色白だね。私:それらの違いがあるのに、なぜ、非常に似た言語を話し、非常に似た文化を形成するようになったかだね。 おそらく、中国も他の大陸諸国と同様に、昔は多様な言語が存在していたと考えられる。 しかし、それらの言語が消滅していったと考えられる。 それは中国人の大量移動で、人数で先住民を圧倒して、中国語を使わせていったと考えられる。 紀元前1100年から紀元前221年まで続いた周王朝の歴史記録には、中国語を話す国家が中国語を話さない人びとを征服し、併合したことが書かれているという。A氏:それから自然環境も北部と南部は違うね。私:北部は乾燥して寒い。 南部は湿度が高く、気温が高い。 緯度が同じところでも、沿岸部は標高が低く、内陸部は標高が高い。 このために、中国では、それぞれの地方にあった多様な食料生産が行われたと思われる。 そして、これが技術の発展を促す。 これらの地方文化が紀元前4000年から紀元前3000年の間に文化圏を拡大させし、相互に競争し、影響しながら融合していったと考えられる。 そして、北の黄河、南の揚子江のように東西をつなぐ地理的な状況もその融合を助けた。 これが南北の沿岸部が平らになっていることで黄河と揚子江で南北部をつなぐ運河の構想も可能となった。 このようなヨーロッパと違う地理的な要素が働いて、文化的、政治的な統一が比較的早い時期になされたという。A氏:紀元前211年には秦王朝ができるね。 秦の始皇帝は、秦王朝が登場する前の歴史書をことごとく燃やすように命じているね。 焚書だね。私:場合によっては、このような強権で文化圏を拡大していったんだね。 現在の一党独裁で統一された14億とい巨大な中国国家も、この伝統を受け継いでいるのかもしれないね。 明日は「アフリカがいかにして黒人の世界になったか」のミステリーに移ろう。
2011.01.29
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【送料無料】銃・病原菌・鉄(下巻)「オーストラリアとニューギニアのミステリー」私:ここで言うミステリーとは、石器時代には、ヨーロッパよりも進んだ文明を持っていたオーストラリア先住民が後にヨーロッパの植民地となるミステリーだね。A氏:オーストラリア先住民と言えば、アポリジニが有名だね。私:18世紀にアボリジニの独立社会は、ヨーロッパ人たちの持ち込んだ銃と病原菌によってヨーロッパ人が食料生産をしやすい地域からことごとく排除される。 ヨーロッパ人は、1世紀の植民地化のあいだに、4万年続いてきたアボリジニの伝統をほぼ一掃した。 アボリジニは4万年以上にわたって文字を持たず、狩猟生活を続けてきた。 その大陸に、イギリス人が来て、数十年くらいで文字を持ち、食料を生産でき、産業民主主義を構築した。 このアポリジニ社会の「遅れ」を、白人はアポリジニ自身に欠陥のあるように指摘する。A氏:アポリジニの顔や肌の色はヨーロッパ人と違うから、ナチス型の人種差別だね。私:しかし、著者は、それはアボリジニ固有の体質でなく、4万年前のオーストラリアの自然環境などの地理上の問題を指摘する。 今から1万2000年から、8000年前、最終氷河期が終わって海面が上昇する前には、オーストラリアとニューギニアは乾燥した低地で陸続きになっていた。 しかし、海面が上昇して、別の島となり、交流の障害となり、オーストラリア先住民とニューギニア人とは正反対の生活をするようになったという。A氏:それに自然環境が全く違うね。 ニューギニアは赤道地帯特有の気候で季節変動がほとんどなく、常時水量の豊富な川がいくつも流れているね。 陸地部分のほとんどが熱帯林で覆われている。私:それに対して、オーストラリア大陸は、地球上でもっとも乾燥した地域の一つであり、大部分が砂漠か広大な乾燥した森林地帯だね。 そして季節変動や気候変動が大きい。 ところで、ニューギニアの低地はマラリアを始めとする熱帯病が存在する。 したがって、食料生産はニューギニア高地で盛んになる。 しかも、多くの食物は自ら開発したものであるという。 このようなニューギニアが、後に白人に対して文明的に遅れをとるのはなぜだろうか。 著者は、第1の問題は、蛋白質の少ない食料をあげている。 第2はニューギニア高地のせまいことだ。 第3は、食料生産に適した高地の標高が決まっていて、標高の異なるところでは生産できないので大規模な物々交換経済が発達しなかった。 こうした理由から、ニューギニアの人口は100万人程度で推移した。A氏:たかだか100万人ばかりの人口に、ヨーロッパのような技術、文字システム、政治システムを発達させることはムリだね。 「人口ボーナス」がないね。私:しかも、人々はあちこちに分散していて、1000の異なる言語が話されている。 ところで、植民地時代にニューギニアには白人の移住はなかったね。 それはマラリアなどの熱帯病の障壁のためだね。 初期の白人移住者の多くが熱帯病で死亡している。私:オーストラリアにもどるが、白人が持ち込んだ文明は、ユーラシア大陸で1万年にわたって発達した人間社会の産物だった。 オーストラリアの自然に適した社会を作り出したのはアボリジニだ。 彼らが作り出した社会は、文字を持ち、食料を生産できる産業社会ではなかった。 しかし、そうならなかったのは、オーストラリアという環境の当然の帰結だったと著者は言う。 1世紀ほど前、白人2人の探検隊がオーストラリアの南北縦断を試みる。 十分準備して行ったが、予想もしない乾燥環境により危なくなり、アボリジニに何回も助けられる。 ところがあるとき、白人の1人がアボリジニの一人に銃を向けて打った。 それからアボリジニは助けに来なくなった。 1ヶ月も立たないうちに探検隊の2人は砂漠で餓死する。 この探検隊の人々は字を読み書きできるほど賢かったが、アボリジニの暮らすオーストラリアの過酷な砂漠で生き延びるほど賢くはなかったと著者は皮肉っているね。 明日は、「中国はいかにして中国になったか」に移ろう。
2011.01.28
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【送料無料】銃・病原菌・鉄(下巻)私:この本は、どこの書評で知ったのか、忘れたね。 原書は1997年の発行で、この和訳本の刊行が10年前だ。 だから、新刊ではない。 人類が始まって以来の歴史が、全世界にわたって、具体的に書いてあるので、読むのは面白いが、ブログにはまとめにくいね。 それで、俺が特に興味をもった点にしぼって記録しておくことにしたよ。 そこで図書館で借りたこの下巻の最後の章から、読むことにした。 1万年の単位で世界を考えると、イラクやエジプト、中国のように早くから文明の進んでいた地域が、なぜ、当時は遅れていたヨーロッパを支配下に置かなかったのか。A氏:ヨーロッパ社会は、それらの先行した社会の後を追って多くの技術を生み、逆に植民地支配まで行うね。私:紀元前8500年以降、ギリシャ文明が興り、紀元前500年にイタリアに国家が形成されるまで、家畜・植物栽培・文字・冶金・車輪・国家などの主要な発明が最初に登場したのは、肥沃三日月地帯やその周辺だった。A氏:しかし、肥沃三日月地帯は、今は風化の進んだ砂漠地帯や潅木地帯に変わっているね。私:農地を広げるために、開墾されたり、建築用や燃料用、加工用製材として採伐されていった。 降雨量も少ないので、森林再生率が低いので森林再生はなされなかった。 地表から草木が奪われると土地の侵食が進み、文明を育てた自然環境を破壊してしまった。 逆にヨーロッパは降雨量が多く、植物が再生しやすかった。A氏:しかし、中国はそれほどの自然被害がないのに、ヨーロッパに遅れをとったのは何故、だろう。 今、GDP世界2位だと言われているが、かっては世界1位ではなかったのかね。私:中国は、肥沃三日月地帯と同じくらいの古い時代に食料生産をしていたが、広大な中国大陸は地形や環境の変化に富み多様な作物や家畜や技術が生まれている。 そして肥沃三日月地帯のように生態系も脆弱ではない。 技術もヨーロッパをリードしていた。 鋳鉄、磁針、火薬、製紙技術、印刷術などさまざまな発明がされた。 政治制度も、航海技術や海洋技術も優れていた。 15世紀初頭には、乗組員2万8千人の数百隻の大船団をアフリカ大陸まで送り出していた。 鄭和の南海遠征だね。A氏:数十年後に、コロンブスが、たった3隻の船団でアメリカに到着するが、中国に比較するとオモチャみたいだね。 なぜ、中国人はその強大な力でヨーロッパやアメリカを植民地化しなかったのかね。私:著者は、それを船団の中止にあるとしている。 船団は1405年から1433年にかけて7回にわたって派遣されたが、その後は中国宮廷内の権力闘争の影響で中止なってしまった。 造船所は破壊され、外洋航海も禁止された。 そして、中国は政治的に統一されていたため、ただ1つの決定によって中国全土で船団の派遣が中止された。 中国の宮廷はその他に水力紡績機の開発も禁じ、世界の先端を行っていた時計技術を事実上葬り去り、14世紀に始まりかけた産業革命を後退させた。 中国は15世紀末以降、あらゆる機械や技術から手を引いてしまった。A氏:1つの決定に全土が従うというのは今の一党独裁政権のようだね。私:ところが、ヨーロッパはいろいろな国があって政治的に統一されていなかった。 コロンブスは探検船の派遣を3人の君主に断られ、4番目に仕えた君主によって願いがかなえられた。 もし、ヨーロッパ全土が一人の君主によって統一支配され、その君主がコロンブスの願いを断ったら、ヨーロッパ人によるアメリカの植民地支配はなかったかもしれないと著者は言うね。 歴史にイフはないというけれど、面白い比較だね。 明日は、オーストラリアとニューギニアのミステリーの話題に移ろう。
2011.01.27
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私:今日現在の図書館予約リストは下の表のようになる。No.書名予約日待ち数12/171/7現在1学歴の耐えられない軽さ・やばくないか、その大学、その会社、その常識6/121311キャンセル2特捜神話の終焉8/257413若者よ、マルクスを読もう・20歳代の模索と情熱9/19131194灘校・なぜ「日本一」であり続けるのか9/1911985ネット・バカ・インターネットがわたしたちの脳にしていること10/153730286移行期的混乱・経済成長神話の終わり10/319647減速して生きる・ダウンシフターズ11/75328抱影11/78564439二人静 11/740322510銃・病原菌・鉄 (下巻)11/741読書中11銃・病原菌・鉄 (上巻)11/773563212大いなる不安定・金融危機は偶然ではない、必然である11/1084113蟻族・高学歴ワーキングプアたちの群れ11/1434231514ゴールドマン・サックス研究・世界経済崩壊の真相12/128231815バンコク燃ゆ12/541読書中16策謀家チェイニー・副大統領が創った「ブッシュのアメリカ」12/12127617がん再発を防ぐ「完全食」12/151貸出準備中読了18自由貿易の罠・覚醒する保護主義12/22-2119日本海海戦悲劇への航海 (上)1/11--420なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか 1/26--54 「鉄・病原菌・鉄」は上下2巻を同時に図書館に予約していたのが、いつものように下巻が先に借りる順番が来た。 実はインターネットで予約状態を見ていると、下巻のほうが早く「貸出し準備中」と出る。 ところが、急に、待ちが2人に変化する。 最初、図書館側のパソコン入力ミスだと思ったが、それが2、3回繰り返したので、図書館に電話で聞いてみた。 そしたら、図書館のほうで気をきかせて、まだ、上巻を貸し出していないので、調整しているのだという。 そのとき、図書館の人は、一般に予約数は下巻のほうが少ないので、こうなるのだという。 何故かわからないがね。 とにかく、この本は歴史の本なので、推理小説と違って、逆に読んでも差し支えないと言って、調整しないように言ったよ。 そうしたら、2、3日で借りることができた。 上巻は図書館に30冊持っていて回転しているので、俺の待ちは、32だから、後2週間ほどは待つだろうね。 「日本海海戦悲劇への航海」は書評からだが、日本海海戦をロシア側から書いた本で、上下巻だが、これは順序通りに読んだほうがいいのでとりあえず上巻だけ予約した。 今日の新聞の図書紹介欄で、「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」を知って、興味にかられて予約したが、かなり待ちそうだね。 図書館ではこの本の要旨を次のようにまとめているね。 「韓国にできて、日本にできない恥辱。 日本は、まともな国といえるのか!? 韓国では、往時にはパチンコ店が1万5000店、売上高は日本円にして約3兆円にのぼった。 それが、2006年の秋に全廃され、いまは跡かたもない。 だが、その事実を伝えた日本のメディアはなく、それを知る日本人は、いまもほとんどいない。 日本でいち早くそれをレポートした著者は、その後も何度も韓国を訪れ、なぜ韓国にそれができたのかを取材した。 そこから見えてきたものは、日韓であまりにも対照的な社会の実態だった。 なぜ日本は、パチンコを廃止できないのか(パチンコ業界のアドバイザーに名を連ねる政治家たち;民主党による呆れはてた『パチンコ支援プロジェクト』;業界を代弁して国会で恫喝する民主党議員」 日本のパチンコ業界は20兆円の規模で、莫大な額の政治献金、広告費を使っているという。
2011.01.26
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私:今朝の朝日新聞のオピニオン欄では、時の人与謝野馨氏のロングインタビューがあるね。A氏:鳩山由紀夫前総理については、発言が変わるので信用していなったが、菅首相については財政改革と社会保障についての一貫した姿勢を評価したようだね。私:「たちあがれ日本」党は、平沼赳夫氏は連立賛成だったが、他の議員の反対で流れたという。A氏:与謝野氏の入閣に対する批判は、自民党の比例区で議員になりながら、そのまま、他党の大臣に横滑りは、政党政治を無視して筋が通らないというものだね。私:このオピニオン欄で野中尚人学習院大学教授がコメントしていたが、「政党を無視・筋が通らぬ」とあるのは同じ意見だね。 しかし、日本の現在の政党は共産党を別にして、そもそも、そんなに偉そうにいう政党としてまとまった集団なのかね。 屁理屈だね。A氏:まぁ、野中氏は、もし、大連立になれば「要」になるとはしているがね。私:しかし、与謝野氏ご本人は、そういう橋渡し役は考えていないし、不得意だと言っているね。 もっぱら、財政再建、税制改革の具体案をいろいろな意見を聞きながらまとめる仕事に専念したいと言っているね。 その職人としての枠内で国のために尽くしたいということだね。A氏:バッチを外さないのは、議員であるとその職人としての仕事がやりやすいということだという。私:徹底した仕事優先だね。 職人として優先順序が明確でブレがないね。 民主党のマニュフェスト改訂にも加わらないという。A氏:大連立は簡単にできないが、できれば財政再建や税制改革も進むのではないかと見ているね。 それまでの「中継ぎ」だと言っているね。私:与謝野氏は72歳だね。 自分が長い間鍛えてきた職人としての腕を、国のために使う最後の仕事のチャンスを与えられたと考えているようだね。 俺は、最近、これほど、しっかりした職人政治家は見たことがないね。A氏:しかし、昨日、衆議院本会議で、与謝野氏も登壇したが、ヤジがすごかったそうだね。私:この人の職人芸を日本のために生かせるか。 野党も真価を問われているね。A氏:このインタビュー記事の下の「記者有論」欄で織田一編集員が「2020年代、もしもーーー日本の財施破綻と中国と」で、GDP世界2位の中国に国債を買ってもらう事態も想定しているね。 カネは簡単に国境を越える。 日本はついに中国の支配下になるのかね。 それは「夢」かもしれないが、「与謝野問責」は「夢」でないとしているね。私:2011年、平成23年は、日本の今後の運命を決める年になりそうだね。 太平洋戦争に突入するか、回避できるか、正念場を迎えたね。
2011.01.25
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A氏:いつか自動車部品を作って輸出もしている会社の友人が、「俺のところはTS の品質マネジメントシステムの認証をとっている」と言っていた。 このTSって何だね。 ISO9001と違うのかね。 俺のところは、自動車業界でないのでよく知らないがね。私:あぁ、それはISO /TS16949の略だね。 TSというのはTechnical Specification(技術仕様書)の略だね。 自動車業界のセクター規格だね。 ISO9001の数字同様に16949は意味のない登録番号だから、番号までは面倒で、TSだけで関係者はわかるね。 自動車部品メーカーが、欧米の自動車メーカーに部品を納入するときに、この品質マネジメントシステムの認証が必須だね。 1990年代に、当時のアメリカの自動車のビッグスリーであるGM 、フォード、クライスラーがISO9001をベースに共同で作った規格に「QS9000」というのがあり、ビッグスリーへの部品納入業者は、この品質マネジメントシステムの認証が必須だった。 しかし、名称からして、何かISOと別に独立したような規格なので、ISO9001の2000年版の改訂の時、ISO9001のワンランク下の技術仕様書という位置付けになり、「QS9000」はなくなったという経緯があるんだ。A氏:品質マネジメントシステムとして内容的にISO9001と関係があるのかね。私:TSの本文はISO9001そのものだね。 これに加えて自動車業界としての要求を、ISO9001の項目ごとに追加しているね。 ISO9001の原文は英文で、必須事項は、英語のshallで示されていると以前説明したことがあり、日本訳では「---しなければならない」と訳しているね。 shallはISO9001では136個あるが、TSではshallを137個追加しているから、合計273のshall要求項目があるということになる。 内容的にはトヨタ生産方式の影響が大きいね。A氏:shallが多いということはそれだけ要求が厳しいというわけかね。私:自動車業界に特化しているので、解釈の幅があまりなく、逆にISO9001より分かりやすいとも言えるね。A氏:まぁ、俺のところは業界が違うから、関係がないね。私:ところが、これが面白いことに、ISO9001を知るには深い関係があるんだね。 というのは、TSで追加したshallは、ISO9001では要求していないということになるんだね。A氏:すなわち、ISO9001をよく理解するときに、その視点から解釈の助けになるということだね。私:例えば、「6.4 作業環境」では、TSでは「6.4.2 事業所の清潔さ」というshallが追加されていて、職場の整理整頓や清潔さが要求されている。 これは逆に言うと、ISO9001では、この要求がないということだね。A氏:そう言えば、このブログで以前「7.5.2 プロセス(工程)の妥当性確認」で「特殊工程」とは何かということで解釈の問題があったね。 ISO9001では、「7.5.2 プロセス(工程)の妥当性確認」は「特殊工程」にだけ適用されるので、何が「特殊工程」にあたるかで審査のときにもめるわけだね。 ところが、TSでは「すべてのプロセス(工程)に適用すること」と明確だね。私:「7.3 設計・開発」については、ISO9001は製品設計だけが対象だが、TSでは「7.3の要求事項は、製品及び『製造工程の設計・開発を含み』、エラーの検出よりエラーの予防に焦点を合わせる」とあり、「製造工程の設計」も「7.3 設計・開発」に含まれる。 大体、「7.5.2 プロセスの妥当性確認」の趣旨は、「製造活動に入る前にプロセス(工程)の妥当性の確認をせよ」ということだから、換言すれば「工程の設計をせよ」ということだね。 だから、TSでは、当然、工程については「7.3」で「妥当性確認」をするので「7.5.2」とはダブルことになるし、さらに「7.1 製品実現の計画」とは「工程設計のアウトプット」のことだから、これともダブルね。 だから、「7.1」と「7.5.2」は「7.3」に吸収されて消滅だ。 スッキリするね。A氏:そうか、「工程設計」の考えがしっかりしないのはISO9001の弱点であることがわかるね。私:そのような意味でISO9001を「知的体力」を使って深く理解するにはTSは有用だね。
2011.01.24
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A氏:昨日の朝日新聞のオピニオン欄の耕論では「日本史に見る小沢流」で、強制起訴される小沢一郎氏に対して2人の評論家の談話が載っていたね。 一人は「ビジョン見えぬ権力闘争」として、松本健一麗沢大教授。 もう一人は、「『田中政治』脱し戦後を語れ」と題して、ノンフィクション作家の保坂正康氏。 私:2人に共通しているのは、小沢氏は理念政治家でないということだね。 政党を大きくすることが目的で「なんのためか」が一貫したものがない。 政権交代した後の一貫した理念と実行可能の政策が不明確だね。 思いつきの選挙用のバラマキマニュフェストを作り、今、苦労している。 しかし、政党を大きくするために、選挙を重視するから、人間の心理をうまく扱う。 これは田中政治から学んだのだろうね。A氏:昭和のタイプの密室調整型の政治家だが、なぜ、今も健在なのか。 小沢氏を「昭和の政治家」だとすれば、「平成の政治家」としての民主党の前原氏や岡田氏がいるが、どこか無機質で無色、透明だと保坂氏は言う。私:松本氏も、今、民主党も自民党も松下政経塾出身に代表されるような学校秀才が増えたという。 理屈だけで人間の心理が読めない人が多いという。 それに自民党は、若手に世襲議員が多いね。 ところで、この2人の談話と関係ないが、同じページの下にある「記者有論」欄も偶然、同じようなことを書いていたね。 筆者は、編集員の曽我豪氏だ。 この記事の出だしは、三重県松阪市の山中茂市長(35歳)が、昨春の衆院厚生労動委員会に参考人として出席し、「子ども手当」は「愚策」と断じたということから始まる。 満額支給されれば、松阪市としては年間76億円で、これは市の個人市民税の収入77億円とほぼ同じ。 だから、このカネを細かくバラマクよりも、他に回せば保健福祉、教育、子育て環境整備が大きく前進すると論じたという。A氏:金持ちにも、「子ども手当」は支給されるしね。私:しかし、山中市長は、問題はもっと深く、「子ども手当」の裏に潜む民主党政権の体質そのものが問題だという。 要するに、現場感覚がないんだね。 頭でっかちなんだね。 連立与党・国民新党の亀井静香代表は「シンクタンクのような内閣をつくるのは政治といえない」と言ったという。A氏:なるほど、ここにも先の2人の「昭和の政治家小沢」と「平成の政治家」との現場感覚の違いがあるのか。私:こないだ佐高信氏が言っていたように「若害」かね。 小沢氏は、「平成の政治家」を使いこなせなかったわけだね。 それにしても、時間が経つに連れて、5兆円ものカネを使っての「子ども手当」は民主党の大失策だということが明らかになってくるようだね。 イージーに選挙向けのマニュフェストを作ったからこうなったんだろうね。 政権を取れると本気に思っていなかったのかね。 今回、三顧の礼をもって民主党の内閣に迎えられた与謝野馨氏も、自民党のときにバラマキとして批判的だったね。
2011.01.23
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私:朝日新聞の夕刊の「窓・論説委員室から」という小さいコラムは、ときどき、面白い記事が載っているね。 1月20日の記事は、「総理のお願い」ということで、年頭の記者会見で、菅首相が与野党に「国会質問の要旨を、質問されるせめて24時間前にご提示いただきたい」と言ったという。A氏:国会で、十分に実のある議論をするには当然のことだね。私:皮肉なのは、それを菅首相が言ったということだね。 野党時代に管氏は通告が遅く、そのために間際に答弁案を用意する霞が関の役人が多かったという。 最悪なのは、管氏が月曜に質問するときで、役人は休日返上で答弁案を作り、未明まで続いたという。 役人の家族の休日のだんらんはなしだったという。A氏:与党になって、はじめて、自分の非を覚ったわけかね。私:記者会見では、菅首相も野党時代のふるまいの反省の弁があったという。A氏:ところで、この窓欄で、よくわからない記事が、15日の夕刊の記事だね。 題名は「高齢化する?自衛隊」というものだ。 自衛官は約23万人いる。 財務省の資料では、1991年度の自衛官の平均年齢が32.2歳だったのが、2008年で35.1歳と17年間で3歳近く跳ね上がったというものだね。 出だしは高齢化の進行が早すぎはしないか心配した文章だね。私:俺も読んだ記憶があるね。 防衛省が、任務の高度化で専門性や技能を重視する人事施策のため、若手隊員を大幅に「リストラ」したのが高齢化の理由らしいということだね。A氏:昨年末の「防衛計画の新大綱」の焦点の一つは、防衛予算の4割を占める人件費の低減だったという。 渋る防衛省に財務省が迫ったのは定数減と「若返り」で、給与の低い若手を増やすことで、人件費の総額の縮減を狙ったという。私:勝負は財務省の読み通りで決着したとあるが、経験の浅い若手が増えれば部隊は動かないから、自衛隊には悩ましい結果となったと記事はまとめているね。A氏:そこで、この記事の意味が分からなくなったんだ。 若手を増やすなら、平均年齢は低くなるはずだね。 この記事は高齢化を心配しているのか、低年齢化を心配しているのか、分からないね。 高齢化するのが問題なら、「防衛新大綱」で若手が増えれば、高齢化問題は解決ではないの。 それが、若手が増えれば自衛隊がやりにくいと最後は書いている。 何をいいたいのか、さっぱりわからないね。私:池上彰氏のの「新聞ななめ読み」で批判されそうな筋の通らない記事だね。 ところで、防衛予算は、4.9兆円、子ども手当は5兆円超だという。 尖閣島問題で、日本の防衛をもっと自主的にやるべきだという意見が多かったが、そのために、防衛予算は何兆円にすべきだという議論があまりなかったようだね。 増税とのからみもあるしね。
2011.01.22
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A氏:18日の朝日新聞で「第三の開国」と題して、TPP参加問題を論じていて、このブログでもとりあげたね。 その時は、TPP参加賛成意見は戸堂康之東大教授。 反対意見は中野剛志氏だったね。 今朝の朝日新聞では、その続編ということで、賛成意見が「内向きが続けば素通りされる」という伊藤元重東大教授。 反対意見が「国家の枠組みを固めるのが先だ」という佐伯啓思京都大教授。私:賛成論の人に不思議に多く出る言葉は「開国」や「鎖国」だね。 どうも抽象的だね。 問題となっている農業対策も抽象的で、従来の「農業保護政策」で甘やかされていたという発想だね。 現実は、農家の高齢化による後継者不足と荒れた農地の放棄だね。 佐伯氏は、農業の衰退の本当の理由は若者が都会に出てしまったということであり、それによって、日本は近代化したという。 その通りだと思うね。A氏:それに稲作だって、機械化はかなり進んでいるものね。私:伊藤氏は、来年、再来年に完全自由化でなく、10年かけて段階的に進めるし、例外品目を認めさせるとか、交渉事項はいくらでもあるという。A氏:それでは、関税全面撤廃というTPPの「開国」の意味がないではないの? 何か論理的に矛盾だね。私:伊藤氏と佐伯氏と根本的に発想が違うのは、佐伯氏は、自由貿易のメリットは生産要素が国を越えて移動できないときのもので、現在は、グローバル時代では、自由貿易で各国が等しく利益を得ることはないという考えだね。A氏:中野剛志氏と同じ立場だね。 現代の自由貿易は「近隣窮乏化」になるという学者もアメリカで多く出ているという。私:もう一つ、大きな違いは、根底に日本は今、「下り坂社会」になっている国家だという認識が佐伯氏に明確にあるが、伊藤氏にはないように感ずるね。 日本は先進国にさきがけて「人口オーナス」社会に突入しているという認識だね。 いつまでも、高度成長で世界を走り回った時代を追いかけるのでなく、「人口オーナス」で大きく変化する国家の新しい枠組みを固めることが根本的に必要だね。A氏:昨日の朝日新聞のオピニオン欄では、日本の歴史にかってなかった「孤族社会」をとりあげていたが、この対応も遅れているね。私:GDP世界2位となるという中国も、後5年くらいで「生産年齢人口」はピークになり、2030年には総人口が減り出し、日本を追いかけて少子高齢化社会になるね。 日本よりもっと大きなスケールで問題が出るかもしれないね。 ところで、この同じ紙面の「私の視点」欄で農業県の新潟県の泉田裕彦知事が「コメの例外品目化を軸に」と題してTPP参加問題で寄稿しているね。 コメの例外が認められないときは、交渉から撤退し、EPAやFTAといった二国間協定を模索すべきだとしているね。A氏:これも「開国」論者からすると「コメ鎖国」論だね。私:「開国」だ、「鎖国」だと大きな声をあげながら、交渉で「コメはなんとか例外になりそうだ」という楽観論は手前勝手な「開国」論だね。 明治の福沢諭吉の「開国論」も、関税自主権の確立など、国家の利益を配慮していたね。 明治の「第一の開国」に学ぶべきだね。
2011.01.21
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私:日経ビジネスには、毎号、1頁だけだが、健康に関する記事が載っている。 今週は、帝京大学医学部附属病院泌尿器科教授の堀江重郎氏の前立腺ガンの談話が載っている。 それによると、日本の前立腺ガン患者数、死亡者数は増加傾向にあるという。 身近でも俺のかっての部下が昨年69歳で前立腺ガンで死亡している。A氏:たしか、血液のPSA検査で早期発見ができるそうだね。私:ところが、日本では、その検査を受ける人が少ないという。 アメリカではPSA検査による早期発見・治療が進み、1980年代後半から効果が顕著に表れ、90年と比較すると2003年には前立腺ガンの死亡率が31%も減少しているという。A氏:「がん再発を防ぐ『完全食』」の済陽高穂氏も、アメリカでのガン死亡率が低下していると指摘していたね。 日本は逆に上昇している。私:興味あることに、堀江氏も、前立腺ガンと環境や生活習慣との関係性を指摘しているね。 発症率はメキシコやイスラエルのように日照時間の長い国では低いが、北欧やスイスなど日照時間の短い国では高い。 食品では、動物性脂肪を多く取る傾向にある国は高い。 オリーブオイルや魚油を多く取り、トマトを料理に多用しているイタリアは低い。A氏:「がん再発を防ぐ『完全食』」で指摘していた食生活とガンの関係と同じだね。私:堀江氏は、食生活管理と運動が前立腺ガン予防につながるというのが最新の医学の見解だという。 そして、堀江氏も、前立腺ガンも生活習慣病としてとらえるべき時代ではないかと考えており、50代以降の男性はPSA検査受診と生活習慣の管理が前立腺ガン予防の第1歩だと理解して欲しいと勧めているね。 「がん再発を防ぐ『完全食』」の本は09年の発行だが、ここでは済陽氏は「現代医学では、ガンの食事療法というのは、あまり評価されていません」と書いていたね。 しかし、2年後の現在、この前立腺ガンの記事をみるとガンに対する食事の評価が高くなってきたのではないかと思うね。A氏:でも、済陽氏の食事は「がん予防」より「ガン治療」が主な目的だね。私:しかし、そのうち、済陽氏のように「ガン治療」のための食事療法が一般的になるだろうね。A氏:そういえば、「抗ガン剤は効かない」という近藤氏に対する反論が、先週の「週刊文春」に載っていたが、今朝の新聞の「週刊文春」広告には、今度は、近藤氏からの再反論が載っているね。私:こっちは、議論が長引きそうだね。
2011.01.20
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私:1月15日(土)の「西部邁ゼミナール」で「何の効果もない企業減税」ということで、ジャーナリストの東谷暁氏がゲストとして登場したね。 国内需要が少ないデフレ期に、40%の法人税を5%減税しても、企業は供給能力増加に投資しないから、内部留保になるか、需要が拡大している新興国に投資する。 A氏:菅首相が期待する国内雇用は増えないということか。私:ところで、経済学ではラッファー曲線というのがあり、法人税の税率を上げると、ある適切な税率で税収が最高になるという線だそうだ。 アメリカでは、レーガン大統領時代、この曲線の考えで、1981年に法人税減税をしたが、税収は減収となり、あわてて増税にもどしたという。 ところが今回、内閣府が同じ曲線を描いたというね。 ところで、法人税には、税率だけでなく、「課税ベース」というのがあるんだね。A氏:いろいろな課税対象を免除している項目があるんだね。私:今回の法人税減税で、国の税収1兆5千万円が減る。 しかし、国にはこれを補う財源がない。 一つの方法として、「課税ベース」を広げるという方法があったが、財界の反対で消えたという。 ところで、税務会計の専門である富岡幸雄中央大名誉教授によると、実際に企業が払っている法人税はすでに30パーセントだという。A氏:何故だね?私:会計専門のコンサルタントが知恵を出して、法スレスレの会計をするんだね。 これを「タックス・イロージョン」いうのだそうだね。 だから、コンサルタントたちは、すでに実質30%となっているという。 減税は意味が無いと言っているという。A氏:しかし、赤字の多い中小企業はあまり意味のない法人税減税だね。私:中小企業の法人税は22%だが、最初、民主党のマニフェストに、18%に減税するというものがあったそうだ。 しかし、中小企業はほとんど赤字なので、これはマニフェストから消えたという。 この「西部邁ゼミナール」で名前のあがった富岡幸雄氏が今朝の朝日新聞のオピニオン欄で「巨額の代替財源を見逃すな」というタイトルで寄稿しているね。 富岡氏は、企業が他社の株式を持った場合、受取配当金は課税しないという理屈に合わない優遇措置があるという。 多くの他社の株式を持ち、巨額の配当金を受け取る大企業にとっては巨大な優遇税制となっているという。A氏:「課税ベース」の問題だね。私:富岡氏の試算によると、この優遇策をやめると、1年間で2兆円ほどの税の増収になるという。 場当たり的に財源をあさり、「課税ベース」をゆがめるのでなく、税制を公正にするだけで、税率の大幅な引き下げができるとしている。A氏:菅首相は、法人税引き下げにより、国内雇用拡大を経団連に要求したと言うが、米倉弘昌経団連会長が「減税したら、雇用を何パーセント増やしてくれますか」という記者の質問に「それは市場が決めることだ」と言ったそうだね。私:その通りだね。 しかし、経団連の圧力は市場主義ではないね。 市場主義が示している道は、減税分のカネを冷え切った国内需要へ投資を避け、海外に向かうように企業を誘導するだろうね。
2011.01.19
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A氏:今朝の朝日新聞のオピニオン欄で、「第三の開国」と題して、TPP参加問題を論じているね。 賛成意見は戸堂康之東大教授。 反対意見はこないだ君のブログで登場した中野剛志氏だね.私:俺は、戸堂氏の日本はまだ閉鎖的だという意見には違和感を感ずるね。 何か、日本は鎖国しているような感じだが、俺は30年くらい前に、シンガポールに数回、仕事で行ったが、シンガポールには日本企業がどんどん進出していたね。 それが皮切りで、シンガポールが満杯になると、マレーシャ、タイ、インドネシアと日本企業の海外進出は進んだね。 まるで大東亜共栄圏ができたみたいだったね。 A氏:自動車もアメリカとの貿易摩擦でアメリカの現地生産が活発化するのも、1980年代だね。 現在、日本車の66%はすでに現地生産、ホンダなどは80%。私:その後、中国ブームがきたね。 2、3年前に東海地方のある電気部品を作っている中小企業を訪問したことがあるが、数年前から中国に進出していて、中国の工場は1500人。 ところが、日本の工場は30人くらいになっていたね。 中国の工場は一応、別会社だが、社長は同じ。 社長は月の半分位は中国にいたね。 そういう中国に進出した中小企業のトップに直接あったのは、当時数社あって、中国の話しをよく聞いたよ。 中国人の研修生も沢山来ていたがね。 もちろん、俺が実際に見聞したのは氷山の一角で、統計データでは、ものすごい数の大企業、中小企業が中国に進出している。 当然、大手企業が先に大々的な進出をしている。 東海地方にあったある大手の大工場は、多くの派遣社員が働いていたが、そっくりそのまま、数年前に中国に完全移転しまったね。 これで、国内はデフレ不況だと言いながら、企業はもうけている。 企業減税しても、カネは国内雇用を生む国内投資でなく、需要がある新興国に行く。A氏:逆に「百円ショップ」は中国製品だらけだね。私:戸堂氏の意見は、このような現場を知って、「日本は鎖国」だと言っているのだろうかね。 中野氏の意見は、すでにこの前のブログで紹介した内容と同じだが、デフレの原因は需要の減退であるというのはわかるが、内需拡大に即効効果があるのは、政府の公共投資だという。 これはちょっとおかしいなと思ったね。 また、借金が増えるね。 こないだプライムニュースに出席した与謝野馨氏の意見をとりあげたが、与謝野氏は、自民党政権時代、景気回復のため公共投資を進めてきた人だね。 与謝野氏は、そのプライムニュースのときに、例えば、1兆円の公共投資をすれば、従来は、波及効果で、2兆、3兆と需要が増加した。 ところが、最近では、波及効果がなくなり、1兆円で終わりだという。 バラマキと同じだね。A氏:何故だろう。私:プライムニュースの司会者もそれを聞いていたが、与謝野氏の答えは「日本社会の成熟化が原因」と言っていたね。 要するに、カネがあってもそんなに買うモノがもうあまりないんだね。 それに、インフレでない限り、カネは、いくらあってもいいが、モノは限界があるし、デフレではモノはもう少し待てばもっと安くなるかもしれない。 だから、よほど、欲しいモノがない限り消費には使わない。A氏:背景に、旺盛な消費をする生産年齢人口の減少があるね。 少子高齢化という成熟社会が関係するのかね。私:まぁ、要するに菅内閣の最近の失政は、企業減税とTPPへの参加姿勢だと俺は思うね。
2011.01.18
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A氏:先週、「マネジメントレビュー」の話が出たけど、ISO9001の中で、これが一番ピンと来ない用語だと思うが、用語定義にはあるの?私:用語定義集のISO9000にはないね。 ISO9001の「5.経営者の責任」の項目には、トップが行うべきことがいくつか要求されているが、表現上、「---する」と「---を確実にする」という2つに分かれている。 「---する」はトップ自ら行うものだが、「---を確実にする」はトップ自らでなく、部下に委譲してもいいもので、委譲後のフォローは必要なものだね。 例えば、「品質目標の設定」は、「確実にする」で、トップ自ら設定しなくてもよい。A氏:トップ自ら行うべきものというキツイ要求項目は何かね。私:「法令・規制要求事項や顧客要求事項を満たすことの重要性の周知」以外に、具体的には、「品質方針の設定」、「管理責任者の任命」、「マネジメントレビュー」の3つだね。 「マネジメントレビュー」はさらに「マネジメントレビューのアウトプットの記録要求」がある。 君がいた会社はどうだった?A氏:たしか、毎月定例でやる部長会の議事録のうちから選んで、年1回、議事録に社長がサインして、「マネジメントレビュー記録」としていたと思うね。 社長はサインだけなので、君が言う「トップ自らやる」という趣旨にはちょっとそぐわないかもね。 たしか、「品質方針」も実際にはISOの事務局が考えたものだと思うよ。私:ISO9001はイギリスに最初、広がった規格だが、それをイギリス人が批判した「こんなISO9000はいらない」(ジョン・セドン著・西沢訳・近代文芸社発売)の本では、次のようなあるイギリス企業のマネジメントレビューの失敗例が載っているね。 「その会社のマネジメントレビューは茶番であった。 何を皆がしてきたかを討議の後、『皆、今まで、討議してきたことは分かったね。では、それをそのまま紙に書き、サインをしよう』というだけであった」 とあるね。A氏:本当は「---する」タイプの規格要求だから、下位の会議体でやるのは問題だろうね。私:部長会の議事録は、正確には、「マネジメントレビューのインプット」の1つで、トップは他の「インプット」とともに消化して、「アウトプット」を自ら出し、その「アウトプット」を「記録する」という流れになるべきだね。 だから、部長会の議事録を「マネジメントレビュー記録」とするのは、「マネジメントレビュー」の大きな誤解と放棄だね。 それから、「マネジメントレビュー」は、「定められた間隔」でやれという要求がある。 一年で何回やるかは、企業の特質で決めよという趣旨だね。 面白いことに、この回数がいろいろなんだよ。A氏:俺のところは、部長会は毎月の年12回で毎回社長が出席するが、「マネジメントレビュー」向けの部長会は年1回だね。私:その12回の部長会が全部、「マネジメントレビュー」の会議とすべきだという審査員やコンサルタントなどのISO関係者が多いね。 そうなると、「マネジメントレビュー」は年12回となるね。 毎月、トップが「トップレベルのマネジメントシステム」を義務として見直す(レビューする)ことは、常識論でありえないと思うがね。 ISO本部で出している「中小企業のためのISO9001」のガイドでは、「年1回の開催でもよいであろう」というのがあり、年1回という会社も多いようだね。A氏:年12回から、年1回までバラつくのかね。私:日本のISO9001の初期の頃の話だが、ある少企業で朝礼好きの社長がいて、毎日、全体朝礼をしていたら、審査に来た審査員が、それは全部「マネジメントレビュー」だと指摘した例があったが、これだと年200回くらいになるね。 これで明らかなように、「マネジメントレビュー」を下位の会議体でやったり、回数が多かったりするとそれは「マネジメントレビュー」の意味がよくわかっていないことを示しているね。 それは同時に「マネジメントレビューのアウトプット記録」が形骸化した書類作りとなっていることを示しているね。 「マネジメントレビュー」を下位の会議体でやっているか、「マネジメントレビューアウトプット記録」は誰が書いているか、見れば、簡単にその会社の真のISO9001レベル、すなわち、品質マネジメントシステムの「知的体力」レベルがわかると言えるね。
2011.01.17
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私:今回の菅改造内閣の最大の目玉は、与謝野馨氏の経済財政・社会保障・税一体改革担当大臣への就任だろうね。 これと並行して、前財務大臣の藤井裕久氏の官房副長官の就任が見逃せないね。 2人とも財務大臣経験者だけに、財務官僚は大喜びだそうだ。A氏:この両氏のことは、君のブログの最後で扱っているね。私:先月の17日のBSフジテレビのプライムニュースの番組では、藤井氏と与謝野氏の2人がゲストで話していたが、財政に関する2人の意見は同じだったね。 これは今回の菅内閣の2人の布陣を予告していたね。 このプライムニュースで、藤井氏は「政府は『一般的な政府』、消費税を収入源とした『社会保障政府』、『地方政府』の独立した3つの政府に分かれるべきだ」と言っていたね。 与謝野氏の「もう日本には後100兆円しか国債発行の余裕がない。 節約してから増税というのでは間に合わない。 両者は一挙に行うべきだ。 やるべきことをやらないで延ばすのは危険だ」 と指摘していたね。A氏:菅首相は、与謝野氏と心中の積りかね。私:この布陣でなんらかの増税路線は明らかだが、国民の理解が得られるかが、菅内閣だけでなく、日本の運命を決めるね。 増税を避け、危機をぼかし、国民に気に入るようなことを言って選挙に勝ってきた政治家の悪い癖、それを期待する選挙民の悪い癖、そのツケは結局、国民にツケがまわる。 日露戦争のときを思い出すね。 日本は一応勝ったが、継続できるだけの戦力はなかった。 その真相を国民は理解していなかったし、政治家も、その真相の理解を国民に求めなかった。 だから、真相を知らない国民は期待した講和条約ではなかったので、不満分子が日比谷の焼き討ち事件を起こした。 太平洋戦争も同様だね。 軍やマスコミの威勢のいい声に負けて、冷静に考えれば勝ち目のない太平洋戦争に突入した。 菅首相は心中、そこまで腹を決めて、与謝野氏を受け入れ、藤井氏を再登用したのだろうかね。 与謝野氏も軽率な行動だと野党などから罵られるのを覚悟で、イチかバチか賭けたのだろうね。 与謝野氏がピエロで終わるか、救国主になるか、それで日本の10年、20年後に迫った財政破綻が起きるか、回避できるか、につながっているね。 それが与謝野氏に対する野党の攻撃、マスコミの対応など、国民の眼に見えるように分かりやすくなって来たのは確かで、その意味では一歩前進かね。 利口な国民は、与謝野氏に対する野党の動きなどをそういう視点でジッと見るだろうよ。 国民も試されているね。
2011.01.16
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【送料無料】がん再発を防ぐ「完全食」私:牛肉や豚肉は一切食べない、野菜や果物のジュースを毎日1.5リットルも飲み、料理はほとんど塩気のないものばかりという食事を少なくとも半年から1年を守るのだね。 半年の食事療法で体質が変わり、免疫が向上してガンを消去する自然治癒力が出てくる。 食材は無農薬が理想だという。A氏:治療効果はどうだったのかね?私:著者は、約10年間で末期ガン、進行ガンの患者156名を治療したが、生存している人は全体の約6割で、後は死亡しているという。 ガンが消えた「完全治癒」が19人、ガンが半分になりその状態が継続している人が77人だという。A氏:治癒率が低いのではないのかね。私:いや、末期ガン、進行ガンは、通常、よくても5年生存率は5%内外だというから、きわめて高い治癒率だね。A氏:食事療法の効果が出ない4割の患者は何か原因があるのかね。私:ここで「抗ガン剤」の登場だね。 食事療法が効かない1つの理由として、「抗ガン剤」の大量投与のため、食事療法を始める前に、免疫細胞を作り出す大本である骨髄がダメージを受けてしまう場合だという。A氏:やはり「抗ガン剤」はこわいね。私:著者は、「抗ガン剤」使用全面反対論者ではないが、免疫力の回復を削ぐような使い方は反対だね。 そこまで「抗ガン剤」で身体を破壊したら、食事療法による自己回復力も期待できなくなるね。 後、食糧療法で治らなかった例として、自己判断による食事療法の中断があるという。A氏:半年とか1年の厳しい食事療法を守れなかったのだね。 厳しい自己責任の結果だね。私:ところで、食事療法以外に、ガンを抑える免疫力向上方法として、快眠、快便、運動と入浴をあげているね。A氏:これらはもともと健康の基本だね。私:自己責任でしっかり、日常を管理できるかが免疫向上の秘訣だね。 それがガンになりにくい体質作りにもつながる。 医者任せではダメだということだね。 ところで、こないだ若くして亡くなった美人女優の夏目雅子の特集をTVでやっていたが、彼女は血液のガンである白血病にかかるが、難病と言われながら「抗ガン剤」で治る。 ところが副作用で肺炎を起こして、若くしてなくなったというね。 これも寿命を縮めた例かね。 そう思いながら見ていたよ。A氏:ところで、昨日の「週刊現代」の新聞広告に「大論争・賛成派と反対派で意見は真っ二つ・抗ガン剤治療は本当にダメなのか」という見出しが載っていたね。 当分、この論争は続きそうだね。私:ところで、著者の「済陽」という苗字は珍しいと思ったが、中国の山東省に済陽県という地名があるという。 著者の祖先は明朝末期に中国から渡日し、九州の都城で島津氏に仕えた薬師だという。 祖先のDNAが受け継がれているのかね。
2011.01.15
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【送料無料】がん再発を防ぐ「完全食」私:昨年12月のブログ「ガンを防ぐ」でこの本との出会いを書いたね。 ようやく、年明けに図書館から借りることができた。 1年以上前に出ている本なので、古いかね。A氏:しかし、昨日の文藝春秋の立花隆氏の談話に、がん治療に効果的だというこの「完全食」の話が出てこなかったのは博学の立花氏らしくないね。私:このブログ「ガンを防ぐ」でとりあげた美容家のメイ牛山氏の夫の例があるね。 夫が余命3ヶ月の膵臓ガンだったのをメイ牛山氏は食事療法で治したというのが、1976、7年頃の話だね。 もう、その頃から、食事療法による末期ガン治療の事実は出ていたのだね。 実は、同じ頃、1977年に、フォード大統領のとき、アメリカで「マクガバン・レポート」が発表されている。 このレポートでマクガバン氏は、「ガンや心臓病など、さまざまな慢性病は、肉食中心の誤った食生活を原因とした『食原病』であり薬では治らない」と断言しているという。 そして、1980年にこれを受けて「ヘルシーピープル運動」が始まったという。 ところで「マクガバン・レポート」では、理想としているのは「元禄時代以前の日本の食事」だという。 これは、元禄時代にコメの精米技術が進み、日本人は白米を食べるようになったからと考えられるという。 白米は栄養上、よくないからね。A氏:アメリカは日本以上に日本を研究しているね。 ところで、アメリカ人は禁煙運動のように、いったん方針が決まると、国全体がその方向に動くという強みがあるね。私:1990年にはアメリカ国立ガン研究所を中心に「食品によるガン予防」を目指した「デザイナー・フーズ計画」が始まる。 このプロジェクトでは野菜や果物、香辛料などが有望なガン予防食品とみなされているという。 1981年には、イギリスのドール博士が「アメリカ人のガンの原因の35%は食事、30%は喫煙にある」というデータを発表しているという。A氏:これらの食事の効果はあったのかね。私:アメリカは、1992年を境に、それまで増加していたガン死亡率が減少に転じて下降している。 イギリス、フランスなども減少傾向だね。 先進国では日本だけ、一方的に上昇しているね。 著者は、原因はいろいろあるが、一番大きな違いは「ガンに関する栄養教育・食事指導」の遅れだという。 著者は、アメリカでも外科医としての経験があるが、アメリカ医療は患者中心の哲学があるが、日本側は治療する側の論理で医療が行われているという根本的な違いがあるという。 ところで、著者がガンと食事の関係について興味をもちはじめたのは、15年ほど前だというから、1995年代だね。A氏:メイ牛山氏の話から20年立っているね。私:著者は1995年頃、現代医学ではとうてい治療が望めないと思われるガン患者が自宅に帰った後、ガンが小さくなったり、消えてしまったりしたケースを3例知ったという。 これをきっかけにガンの食事療法の研究に入ることになり、「済陽式食事療法」が確立されてきたという。 これが食事の8原則で次のような原則だね。 1.塩分制限・限りなく無塩に 2・動物タンパク質と脂肪の制限 3・大量の野菜と果物の摂取 4・玄米や胚芽米、豆・イモ類を積極的にとる 5・乳酸菌と海藻、キノコ 6・ハチミツとレモン、ビール酵母 7・食用油はオリーブオイルやゴマ油を利用して 8・飲み水は自然水に このような食事をとることをガン患者に徹底的に指導するというものだね。A氏:35年ほど前のメイ牛山氏の方法と似ているね。私:明日はその効果実績と「抗ガン剤」との関係にについてふれよう。
2011.01.14
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【送料無料】文藝春秋 2011年 02月号 [雑誌]私:近藤誠慶大医学部講師は、先月の文藝春秋に「抗がん剤は効かない」という記事を載せていたね。 むしろ、かえって命を縮める危険性があるという。 これに対して、立花隆氏が疑問をもって聞いているのが今月号の文藝春秋だね。A氏:立花氏は、2007年に膀胱がんが見つかり、現在も治療中だという。 そして、その体験をもとにがんについていろいろ書いているね。 だからがんについても詳しい。私:立花氏にすれば、「抗がん剤が効かない」というのはショックな情報だったのだろうね。 抗がん剤の認可問題、抗がん剤メーカー、抗がん剤治療をしている医師にとっては大問題だからね。 今月の文藝春秋には立花氏と近藤氏の2人の対談が載っているが、経過を見ると、立花氏が近藤氏の意見に次第に納得していくようだね。A氏:今月号は俺も読んだが、立花氏が芸能リポーターの梨本勝氏が肺がんでなくなった話をしているね。私:立花氏は梨本氏との付き合いが長かったらしいが、梨本氏は肺がんと分かって2ヶ月後で死亡している。 立花氏は抗がん剤で命を縮めたとしか思えないと言っているね。 筑紫哲也氏も抗がん剤で命を縮めたのではないかという。A氏:近藤氏は梨本氏のことを調べたというが、抗がん剤治療の数回目で急死しており、抗がん剤で早く亡くなったと見ているという。私:2人の専門的な対談だが、立花氏は最後に「がんの正体がよくわからないうちに、世界のがん患者の大半は一生を終えなければならないーーー人間の生のすべてが不条理といえば不条理の中にあるのだから、それも仕方がないのかなと思いますがね」と締めくくっているね。 不条理でまとめているが、どうも2人の対談の結論は「抗がん剤は効かない」ようだね。A氏:しかし、今朝の新聞の「週刊文春」の広告を見たら、「『抗がん剤は効かない』は本当か!?」ということで、がん専門医の近藤氏への反論の見だしが出ていたね。私:これも不条理だということかね。 しかし、この文藝春秋の対談で、医者が見放した末期がんが、みごとに消えたという「食事療法」についてふれていないね。 博学の立花氏の対談としては不満だね。 明日はこれにふれよう。 これはすでに、このブログの「ガンを防ぐ 」でとりあげたが、その続編だね。
2011.01.13
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私:一昨日の朝日新聞の一面トップで教員不足を報じていたが、少子高齢化で小学生などは減っているのに、大局的に考えて教員不足というのはピンとこなかったね。A氏:正規教員の採用数は新聞にグラフで出ているが横ばいだね。 確かに、新聞記事は教員数と対応した児童数の変化についてはふれていないね。私:俺の住んでいるところは、一戸建ての住宅団地だが、オイルショックの前までの高度成長で、なんにもない丘が大手業者の開発であっという間に一戸建ての住宅群になった。 多くの40歳台、50歳台の同世代が、住むようになった。 だから、小学校は満杯だったね。 ところが30余年たって、その子どもが、成人して一人前になって、親元を飛び出していくようになった。 現在では、退職して年金ぐらしの老夫婦か、どちらかが住むようになり、子どもは急速に減少したね。 だから、俺の住宅団地にある小学校の1年生は今、7人の1学級だけだという。 横浜の住宅地なのに、過疎地のようだね。 もっとも車で5分くらい離れた孫がいる地域は、駅が近くてマンションが多いので子どもが比較的多い。 それでも1クラス30人くらいだという。 どうも、身近な実感と違うね。A氏:俺は統計データで正確に事実を見ようと思い、最新の平成9年度と19年度の10年間の比較で児童数の変化をインターネットで調べみたよ。 児童数(国公私立)の変化は、平成9年度7,855,387人→平成19年7,132,874人 で722,513人(約9%)の減少。 小学校学校数の変化は平成9年度24,376校→平成19年度22,693校で1,683校(約7%)の減少。 小学校学級数(国公私立)の変化は平成9年度282,974学級→平成19年277,562学級で5,412校(約2%)の減少。私:学校数や児童数の減少に比べ、学級数の減少率が少なかったことで、1学級あたりの児童数が減少したことが読みとれるね。A氏:具体的には、この10年で1学級あたりの児童数が 27.8人から25.7人に減少したという。 平均では、もう1学級30人以下だね。 一昨年度の収容人員別学級数のデータをみると、1学級あたりの児童数は、31人~35人が約27%、26人~30人が約24%で、 26人~35人規模の学級が半数を占めているという。 また、7人以下の学級も約12%あるという。 バラついているね。 このデータには、29人以下の学級の%が明確でないが、大体50%くらいと推定されるね。 だから、1学級30人制にするなら、全部一律でなく、きめ細かい個別の対応がポイントだね。私:俺のところの小学校が7人以下の12%の中に入っているようだね。 これらのデータから、教師一人当たりの児童数が減少していることがいえる。 それなのに、教員不足という報道は、片手落ちだと思うがね。 それに高齢化で、暇な高齢者がボランティアで学習の応援ができるのではないの? 藤原博和氏の和田中学校のようにね。A氏:例の民主党の小学生1年生について30人学級にするために、予算をとって教員を増加するというのも何かオカシイね。 そんなに急がなくても、年々、自動的に30人学級になっていくのではないの? 国のカネに余裕が無いのだから、こういう問題は「先延ばしにしてもいい」のではないの? どうも民主党の政策は優先順序がないようだね。 私:最初のマニフェストのときから政策の優先順序という考えがなかったようだね。
2011.01.12
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私:昨年8月末の鳩山首相が退陣し、菅直人氏が首相になった時点で、西部邁ゼミナールで菅直人氏の人物論をとりあげていた。 まだ、小沢氏との総裁選の前で、ゲストには佐高信氏が招かれた。 A氏:佐高氏と言えば、辛辣な人物批判をする人で、社会民主党を支援している左派に属する人ではないの? 西部邁氏は、逆に右派と言われているね。私:しかし、二人はウマが合うらしく、共著も出しているね。 佐高氏は、菅氏より1つ年上だが、27歳の時からの約40年来の知り合いだという。 佐高氏の菅氏の首相としての批評はかなりの酷評だね。 酒の席でも政治の話ばかりで、幅や厚みがない人物だという。 円高介入問題でも政治的パフォーマンスが下手だという。 小泉純一郎元首相も似ているところがあるが、彼には愛嬌があったという。 中曽根康弘元首相には俳句があったという。A氏:菅氏は、政治活動は市川房枝氏の選挙事務所代表がスタートで市民活動からだね。私:市川房枝氏は、戦時中に大日本報国言論会理事であったため戦後追放を受けていて、石原莞爾の本を推薦していたという。 ヘビースモーカーだが、89歳で死亡しているので、愛煙者の西部氏は、「タバコは健康に悪い」というのはおかしいと言っているね。A氏: ところで菅氏は、山口県で育ったせいか、「奇兵隊」を持ち出したことがあるね。私:山口県出身の児玉源太郎が好きで、息子に源太郎と命名した。 工学部出身らしく、設計発想があり、官僚にとっては扱い安いのではないかという。 状況主義で、一貫性がないのが特徴で、長期的な発想がない。 首相になりたいのが目的で、首相になって、これをやりたいというモノがないという。 その後の菅首相の言動を見ると佐高氏の批評はズバリ当たっているね。 佐高氏は、小選挙区制に反対で、それで管氏と意見が分かれたという。A氏:最近では、小選挙区制の弊害を言う政治家が多くなっているね。 今の民主党の幹部は小沢一郎氏を始め小選挙区制賛成の人が中心だね。私:佐高氏は、「クリーンなタカより、ダーティなハト」が政治家として適切だとしているので管氏の「クリーンな政治」には異論があるね。 大体、ナチのヒットラーもクリーンを求めた政治家だし、禁煙運動もしている。 かって、左派に羽仁五郎という人が、「クリーンな共産党よりも、汚いカネをもらっても革命をしてくれる共産党のほうがいい」といったというね。 このゼミナールは、昨年の菅・小沢対決の選挙前だったので、西部氏が佐高氏に「菅・小沢のどちらを選ぶか」と質問していた。 佐高氏は、マイナス点の中の選択だが、選ぶとすると小沢氏だという。 佐高氏は最近、暗殺された原敬の伝記を書いているのだが、政治家は暗殺されるくらいでないとダメだという。 その点、菅氏が暗殺されるのは想像できないが、小沢氏の暗殺は想像できるという。A氏:しかし、国民はクリーンが好きだね。私:このゼミナールの当時、外相は岡田克也氏だったが、外交の時、ランチの時も、岡田氏は外交の話ばかりだという。 やはり、管氏同様に幅や厚みがないということかね。A氏:それは日本のビジネスマンにも言えるね。 息抜きに仕事以外の話題ができない人が多い。私:佐高氏は、「自民党は老害、民主党は若害」だという。 松下政経塾は松下未熟塾だと酷評だね。 すでに、菅首相は小沢、仙谷問題で頭を悩ましているね。 今月の「文藝春秋」(2月特別号)では、赤坂太郎が「菅にとっては、進むも地獄、引くも地獄である」と締めているし、西岡武夫参院議長が「菅・仙谷には国を任せられない」とう記事を書いているね。 昨日の10日に菅首相は八重洲のブックセンターで、この「文藝春秋」や単行本など7冊ほど購入していて、単行本の中にはこのブログでとりあげた「デフレの正体」もあったという。 菅首相が、これからどう行動するか。 今週が一つの山場だね。
2011.01.11
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A氏:君は、ISO9001はPDCAによる構成だといいながら、実際はそうなっていないと言っていたね。 私:これは環境のISOであるISO14001と比較すると明らかだね。 例えば「マネジメントレビュー」といってトップが行うマネジメントシステムの見直しと改善の要求項目があるね。 これは企業のマネジメントシステムのPDCAサイクルとしては、最後の締めで、最後のA段階にくるべきものだね。 だから、規格構成がPDCA順に忠実なISO14001では、最後にきている。 ところが、ISO9001では前の方にきている。 これは「5. 経営者の責任」というくくりにしたため、品質方針などのP段階のものとA段階の「マネジメントレビュー」がくっついてしまったためだろうね。A氏:なるほど、大きなくくり方がPDCA順でないということか。私:「記録の管理」もそうだね。 「記録」というのは、実行してから発生するから、PDCA順でいうと実行Doの段階の後のCheckのC段階に位置するね。 だから、ISO14001では規格の後のほうにきているが、ISO9001は最初のほうに位置している。 なぜ、ISO9001が「記録の管理」をC段階に位置付けられなかったかというと、「記録は文書の一種である」という間違った「呪縛」にとらわれているからだね。 そのため、P段階の「文書管理」にC段階の「記録の管理」がくっついてしまった。 ISO14001は忠実にPDCA順だから、当然「記録の管理」は「文書管理」と離れて後のC段階のほうにきている。A氏:ISO9001がPDCA順でないために何か、規格の解釈の上で問題を起こしているのかね。私:まぁ、常識があれば規格を読む人の良識でカバーできるだろうね。 ただ1つ、あえてとりあげるとすれば、この前にとりあげた「8.5.1 継続的改善」の解釈だね。 それは「5.6 マネジメントレビュー」と「8.5.1継続的改善」をよく内容的に比較すると、ほとんど同じ内容であることに気がつくことだね。A氏:なるほど。 ISO14001では、A段階の最後に来ていた「マネジメントレビュー」をISO9001できちんとPDCA順に位置づけると「8.5.1 継続的改善」の位置にくるといえるね。 だから、ISO9001ではPACDA順と混乱しているから、最初のA(マネジメントレビュー)と最後のA(継続的改善)とがダブルことになるというわけか。私:その証拠に下表のような両者の条文の内容を比較するとダブリが明確だね。8.5.1継続的改善5.6マネジメントレビュー品質方針、品質目標対象品質方針、品質目標 マネジメントシステムの改善の機会及び変更の必要の評価監査結果 インプット監査結果データの分析顧客からのフィードバック、プロセスの実施状況、製品への適合性是正処置是正処置及び予防処置の状況予防処置マネジメントレビュー前回までのマネジメントレビュー このようにPDCA順でできちんと解釈すると、「8.5.1 継続的改善」をやることは「5.6 マネジメントレビュー」をやることと同じになる。 それに「8.5.1 継続的改善」は「マネジメントシステムの有効性の改善」だけだ。 しかし、「5.6 マネジメントレビュー」は、それ以外に「製品の改善」と「資源(人、機械・設備など)の必要性」も含めることが要求されているから、「8.5.1 継続的改善」より範囲が広い。 だから、「5.6 マネジメントレビュー」をやれば、同時に「8.5.1 継続的改善」もやったことになるというわけだね。A氏:複雑なようだったが、PDCA順からすると簡単な理屈だね。私:ISO9001をとっている企業は、それを有効に使いこなすには、このようなことを読み取る論理的な「知的体力」が必要だね。
2011.01.10
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昨日の土曜は、横浜は雲一つない晴天。 TVで報道している北陸、東北、北海道などの大雪が別世界のようだ。 家にいるのはもったいない天気だが、しかし、外は寒い。 下着、シャツ、上着、薄いジャンバー、手袋という重装備で、気温が上がる午後2時過ぎに、近くにあるいつもの自然公園に出かけた。 真夏なら、Tシャツ1枚で汗ビッショリなのに、この重装備で歩いて、少し汗ばむ程度。 それも少し歩いて温かくなれば、手袋を脱ぎ、ジャンバーの前を開けて調整すれば、汗は出ない。 森の中の小道は、落ちた枯葉で厚く覆われている。 その上をサクサクと歩く。 気持ちがいいものである。 真冬の森は、鳥などの鳴き声がしないから、静かである。 土曜なので、ウオーキングに来ている人も多く、10組くらいの夫婦や子ども連れに出会った。 約1時間40分。 歩数計は12091歩を示して帰宅。 汗は出ないのでシャワーの必要はない。 地球温暖化とか、寒冷化とか学者の説が分かれているが、個人的には夏のほうが肉体的にはまだ、過ごしやすい。 もっとも頭脳的には今年の猛暑には参ったがーーー。
2011.01.09
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A氏:昨日の朝日新聞の朝刊トップで、自動車保険料が上がると報じているね。 損保ジャパンは4月以降、現在30歳以上は8万6670円で一律だった保険料を、年代(世代)別に変えるという。下の表のようになるという。30~39歳+530円40~49歳+690円50~59歳+830円60~69歳+3000円70歳以上+7150円 これを見ると、70歳以上の保険料は急激に上昇だね。 ドライバーが起こした交通事故で高齢者ドライバーの事故が増加しているためだ。 さらに高齢者ドライバーが事故に遭うと、若年層よりも治療期間が長くなり、治療費が増える。 損保大手各社の高齢ドライバーへの保険金支払いも当然増えているが、これをまかなえるだけの保険料収入が増えていないというわけだね。私:少子高齢化の影響が見事に現れているね。 俺は、これを見て、先週読んだ「2020年、日本が破綻する日」(6の4)でとりあげていた「世代会計」を思い出したね。 「世代会計」は、世代の一生の縦の損得計算だが、これを世代を横に切って、損得の考えを、この保険料問題に応用することができるね。 俺は、これを「横切り世代会計」と勝手に名前をつけたね。 要するに、今までの保険料のとり方では、35歳以上のドライバーは、とられる保険料(負担)は高齢者も同じなのに、支払いを受ける金額(受益)は、高齢者の方が多いということになるね。 しかも、高齢者は保険料の継続割引まである。 「横切り世代会計」では、30代以上の若い年代層が「損」をして、高齢者になるに従い、「得」をしているということになるね。 一種の「世代間格差」だね。A氏:年金・医療・介護の社会保障費みたいだね。私:損害保険会社の自動車保険料はある事故率を想定して、保険料を計算しているんだろうが、それが、事故が想定した事故率より増加すると、入金より、支払いが増えて保険会社の運営に影響するね。 それが特に高齢者世代に支払う額が想定より多いと当然、掛金をあげないと商売にならなくなる。 そこで世代別の保険料に切替えざるを得なくなったわけだね。 社会保障の場合、自動車保険料のような世代別負担にしたら、大変なことになるね。 高齢者になるほど年金・医療・介護の自己費用負担が増えるということになり、高齢化するほど退職しているのでそんなカネはない。 自動車保険なら、ドライバーをやめればいいが、社会保障の場合は生きるためには不可欠だから、自動車保険のように脱退できない。 死ぬしかない。 だから、高齢者になってからでは、その負担はできないから、「賦課方式」のように現役世代の保険料に頼るか、自分の老後の費用は、現役中に積み立てる「積立方式」とするかという理屈になるね。A氏:自民党政権のときにできた「後期高齢者医療保険」というのも「横切り世代会計」の発想があったのだろうかね。私:これから、人口の中に占める高齢者の割合も増加するのだから、高齢者ドライバーの事故もさらに増えるだろね。 損害保険会社も遅ればせながら少子高齢化の社会構造の変化に対応をし始めたということかね。 政治の社会保障の方は、消費税や増税がらみで対応がもっと遅れているがね。
2011.01.08
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私:図書館待ちが増え、手元に新規に読む本がなくなった。 書館に行って、ブラリと書棚を歩いて、膨大な書籍から適当な本を借りる手もあるがね。 これはまだ、慣れていないね。 余分な本は全部売り払ったから、こういうときは、手持ち無沙汰だね。 本棚をからっぽにしてからの初体験だね。 読書飢餓だね。 今の予約状況は下記の通り。No.書名予約日12/17待ち数現在待ち数1学歴の耐えられない軽さ・やばくないか、その大学、その会社、その常識6/1213112特捜神話の終焉8/25743若者よ、マルクスを読もう・20歳代の模索と情熱9/1913114灘校・なぜ「日本一」であり続けるのか9/191195ネット・バカ・インターネットがわたしたちの脳にしていること10/1537306移行期的混乱・経済成長神話の終わり10/31967減速して生きる・ダウンシフターズ11/7538抱影11/785649二人静 11/7403210銃・病原菌・鉄 (下巻)・一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎11/74111銃・病原菌・鉄 上巻11/7735612大いなる不安定・金融危機は偶然ではない、必然である11/108413蟻族・高学歴ワーキングプアたちの群れ11/14342314ゴールドマン・サックス研究・世界経済崩壊の真相12/1282315バンコク燃ゆ・タックシンと「タイ式」民主主義12/54116策謀家チェイニー・副大統領が創った「ブッシュのアメリカ」12/1212717がん再発を防ぐ「完全食」12/151貸出準備中18自由貿易の罠・覚醒する保護主義12/22-2A氏:一応、各本とも待ち数は減ってはいるが、手元に来るまでは、まだ、大分かかる本が多いね。 君の手元にある本が少ない状況は当分続きそうだね。私:正月前に借りられそうだった「がん再発を防ぐ『完全食』」は結局年を越したね。 今週中に借りられそうだがね。 18番目の「自由貿易の罠・覚醒する保護主義」というのは、このブログの「怪談TPP」からのリンクで追加した。 これで、18冊の予約枠を全部使った。 1番目の「学歴の耐えられない軽さ」はひょっとすると1年待ちになるかもしれない。 大体内容は想像できるので、今、18冊の予約枠をいっぱい使っているので他に予約したい本が見つかったときは、これはキャンセルの予定だよ。
2011.01.07
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私:正確に覚えていないが「元旦や 死出の旅の1里塚 めでたくもあり、めでたくもなし」という句があったね。 俺たち高齢者には、まさに1里塚だね。A氏:体力の劣化はどうしようもないね。 自然の理だね。 これには逆らえない。私:今、統計的には幼年、若年、壮年、中年、高齢者などと分けているが、この区切りは肉体的にはないね。 連続的につながっているし、個人差も大きいね。A氏:アンチエイジングは盛んだが、しかし、若い時の体のムリは、年をしてから響くね。私:「きくち体操」の新書を再読したんだが、一番、シンプルな体操は親指の付け根に、後の4本の指をそれぞれ独立して曲げてつけることだね。 隣の指が一緒についてきてはいけない。 ところがやってみて驚いたことに、右の小指を曲げると、となりの薬指が一緒に曲がる。 がんばっても少し曲がる。 ところが、左側の小指は、スムースに曲がり、となりの薬指はピンと立っている。A氏:なぜだろう。私:おそらく、ワープロ時代から30年以上立っているが、キイーはローマ字入力なので、左手の小指は、頻繁に動かす。 しかし、右手の小指は用なしだね。 そのせいだと思う。A氏:体力は年代を超えて連続しているということか。 年してあわててやってもムリがあるかもね。 やらないよりはいいかもしれないがね。私:年寄りの冷や水ということがあるからね。 若い時に野球をやっていたが、右利きだったので、やはり、右肩のほうがこらないね。 草野球だから、プロの投手のようにムリをしていないしね。 若い時からのこまめな健康維持が必要だね。 年してから苦労するからね。
2011.01.06
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私:昨日、TVニュースで、中国社会の老齢化が問題になっており、人口が多い国だけに福祉関係のサービスが間に合わなくなっているというのをチラッと耳に入った。 日本は老人福祉で先行しているので、福祉関係のビジネスの新しい市場が中国で拡大するのではないかと報じていたね。A氏:日本は少子高齢化で世界のトップを走っているが、アジア全体でも日本に次いで、同じ問題を抱えているね。 これは3年ほど前にこのブログで6回にわたりとり上げた「老いていくアジア」で詳しく説明しているね。 この本では「アジアは、日本に次いで韓国と台湾が2020年頃、シンガポール、中国、タイが2030年から35年頃、それぞれ人口減少社会に移行し、少子高齢化が進んでいる」としているね。 アジア諸国は、日本がかって村落共同体が政府に代わって社会保障をしていたのが、崩壊したように、経済の繁栄と共に同じ道を辿っているようだね。私:たしか、この「老いていくアジア」の本で俺は「人口ボーナス」という言葉を知ったと思うね。 逆の「人口オーナス」は「デフレの正体」の本で知ったね。 人口減少が問題でなく、人口構成が「少子高齢化」し社会保障コストが問題になることだね。 この50年間にタイは51歳から69歳、インドネシアは38歳から69歳、中国では41歳から72歳と急速に寿命が伸びているから、「少産少死」で、少子高齢化が進む。A氏:中国の場合、人口が多いだけに、高齢化していく人の絶対数も膨大なものになるだろうね。私:中国では、すでに65歳以上の高齢者は1億1300万人だという。 日本の人口にあたる数が全部高齢者だ。 中国の高齢化は急加速。 OECDは、2030年時点における中国の65歳以上人口の比率は日本を抜き、世界一になると予測している。 国連の最新人口統計によると、中国の60歳以上人口の割合は2010年に12%に達する見通し。 経済協力開発機構(OECD)平均よりも低いが、今後30年で年平均16.55%のペースで増加し、2040年には全人口の28%に達するという。 高齢化の比率が低い段階から世界一まで中国は短期間で駆け抜けることになるという。 さらに、問題点は「老いていくアジア」で指摘されていたように、国民所得が日本の数十分の一の段階で、中国は高齢化に突入してしまうことだろうね。A氏:国として、十分な社会保障制度を作る余裕が無いうちに少子高齢化となるね。私:「中国では2035年には納税者2人で高齢者1人を養わなければならない可能性がある」と指摘されている。 中国で「優遇されている」都市部の労働者のうち、半分近くが年金未加入者で、農村部に至っては一割強しか年金に加入していないそうだ。A氏:日本以上に都会での老人の孤独死が次第に社会問題になるかもしれないね。私:人口構成の変化は、急な変化ではないので、つい、見落とすが、ジワジワとしかも予測通りに確実に来るんだね。 「家族」から「孤族」へとかわるのも、次第にアジアに拡大するのだろうか。
2011.01.05
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私:昨年大晦日、年越しそば、を食べてから、紅白歌合戦は、久しぶりにほぼ、全部見たね。 今年は、熱唱が多かったね。 特に「トイレの神様」は感動したね。A氏:俺も感動したよ。私:俺はこの歌は、最初、題名からしてコミックな歌だと思っていたんだ。 ところがまったく違うんだね。 31日に紅白歌合戦が始まる前の昼の番組で、初出場の人のインタビューをしているのを見ていたら、この歌の作詞・作曲をした植村花菜の紹介をしていた。 彼女は兵庫の出身だね。 彼女は、この歌の前にいくつかの歌を作ったが、あまり評判がよくなかったという。 そこで、今まで、聴いてくれる人のことを考えて作詞・作曲していたのを、逆に自分のために作詞・作曲したのがこの歌だという。 ところが、それが逆にヒットして、紅白歌合戦に出場するまでになったんだね。A氏:長い歌で、ギターでの弾き語りで一気に歌ったね。 詩もいいが、声もきれいだね。 歌の長さは9分52秒あるそうだが、紅白バージョンで7分50秒に縮めて披露したという。私:他の歌手とのバランスもあったんだろうね。 近年の名曲だね。 若いシンガーソングライターだが、この歌は、老若男女ともに心に染み入る歌だね。 結局、紅白は最後まで見てしまったね。 そのため、元日は朝寝坊したよ。 田原総一朗の「朝までテレビ」は、録画して、元日に見たが、期待はずれだったね。 膨大な財政赤字問題も提起されたが、議論がもめて田原氏は投げ出したね。 この問題は、少数の専門家で討議しないと、素人の議論は不毛だね。 元日は気持ちの良い快晴なので、近所の自然公園にウオーキング。 この公園の入り口に、小さな神社があるんだが、普通の日はほとんど訪れる人はないのに、この日は初詣客が大勢来ていて、道路には多くの車が駐車していたね。 2日には、孫たちが親と来た。 連れ立って近くの小さな神社に初詣。 それから、帰って、往路の箱根駅伝の中継テレビをチラチラ見たね。 夕食をして孫たちは帰っていった。 3日は、午後から雲が多くなったので、ウオーキングはやめた。 復路の箱根駅伝のTV中継にほぼ没頭。 最後の区間でトップの早大が、2位の東洋大に百メートルくらいまで迫られ、冷々したね。A氏:21秒差だというね。 箱根駅伝史上、最小の差だという。 まぁ、横浜は天気に恵まれて、静かな正月3が日だったね。 君のブログも2006年4月にスタート以来、この正月3が日でアクセス40万を越えたね。私:さて、今日から、仕事始めの企業も多いだろう。 これから、世情はどうなるかね。 正月3が日のような静穏な1年は期待できないだろうがね。 財政赤字大国の波乱万丈の1年になるだろうね。
2011.01.04
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A氏:ISO9001については先週の月曜日のブログに「誤解しやすい『有効性』とは?」というテーマで、継続的改善や内部監査の誤解され安い点を話していたが、他にも誤解がある箇所があるのかね?私:もう1つ大きな誤解されやすいのは、「8.5.2 是正処置」と「8.5.3 予防処置」にあるね。A氏:この2つの「処置」については、是正処置についてはこのブログで詳しく話題にしていたね。 予防処置についても同様だね。私:「是正処置」と「予防処置」ではその発生予防対策プランという「計画」が共通してある。 「是正処置」には「再発予防対策プラン」という「計画」。 「予防処置」には「初発予防対策プラン」という「計画」が立てられ、どちらも「予防」という目的をもっている。 そして実行の結果、再発が出なくなったか、初発が出なかったか、「計画に対する予防目的の評価」ができるね。A氏:そうか。 計画した予防の目的達成度の評価、すなわち、「有効性」の登場だね。 是正処置をした結果、再発したら計画した対策の「有効性」は低いね。私:例えば、「再発予防策」として「材料変更」を「計画」し、実行したら、ピタリと再発しなくなったとする。 「計画した活動が実行され、計画した結果が達成された程度」という「有効性」の定義によると、「材料変更」の「有効性」は100点満点となるね。A氏:要するに、対策を立て実施しても、放置せず、対策内容が目的を達成したかをしっかりフォローせよということだね。 当然のことのような気がするがね。私:だから、ISO9001規格の「8.5.2 是正処置」、「8.5.3 予防処置」でも「とった是正処置(あるいは予防処置)の『有効性』のレビュー(確認)」の要求があるね。 実は、これはISO9001の「2000年版」のときには「とった処置のレビュー」としかなかった。 「有効性」という言葉がなかった。 何をレビュー(確認)するのか明確でなく、いろいろな解釈を生んだ。 日本では、JISの日本訳で、誤解した「注記」が追加されていたね。 そのような誤解が多いということで現行の2008年版で「有効性」が追加され、「とった処置の『有効性』のレビュー」と明確になったという経緯があるんだよ。A氏:それで、JISの「注記」は2008年版ではなくなったの?私:依然として2000年版のままだね。A氏:おかしいね。私:日本の「知的体力」の限界かね。 今の日本の閉塞感を語っている典型的な例だね。 それに引っ張り込まれないように、各企業はしっかりした「知的体力」をつけておくべきだね。A氏:ところで、先週、君は、内部監査員は検事だと言っていたが、今度、新しい検事総長になった笠間治雄氏は、珍しく現場あがりだね。 旧日本軍を研究した「失敗の本質」という本の影響を受け「勇ましい意見が正論で、消極論は意気地なしとされる風潮はおかしい」と思うようになったという。 その目には「今の特捜は暴走している」と映っているという。 心がけてきたのは「検事は自分の価値観」を押し付けないことだったというね。 確かに内部監査員が無理して「書類が多いことが良いことだ」という「自分の価値観」を押し付けるのはよくないね。私:PDCAの段階で言うと内部監査はプロセスの監査や製品の検査と同じで、まだ、冷静に事実をチェックしているC段階だね。 改善段階のA段階ではないね。 ISO9001の「8.5 改善」という項目名はその意味で、Cを含んでいるので誤解しやすいね。 「監視及び測定のC段階」と「8.5.1」からの改善のA段階とに大きく2つに分けるべきだね。
2011.01.03
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【送料無料】2020年、日本が破綻する日 A氏:今まで、日本の財政危機が破綻に向かっていることは分かったし、それを是正する方法も分かったが、増税がからむと政治的にいろいろな障害があるね。私:著者は、「世代間格差」の是正が進まないのは、現在の日本では、中高年世代が選挙で大きな力をもっているからだという。 理屈として正しくても、多数の賛成がないと実行されないね。A氏:それは、民主主義のもつ一つの弱点かもしれないね。私:だから、損得勘定をめぐる世代間の対立を防ぐためには、いかなる社会情勢になろうとも「公平」を維持するだけの強制力をもつ法律、つまり「世代間公平基本法」の制定が必要で、その枠をかけるべきだと著者はいう。 そして、「財政の持続可能性」を確保しつつ、「事前積立」の導入や社会保障予算の独立化による「世代間格差」の改善を前提にすると、今から増税するとすれば、その増税幅の目安は消費税率25%となるという。 まだ、少子高齢化が日本ほど進展していないEU諸国の付加価値税は15~25%であり、日本の財政が先進国の中で最悪で、財政破綻の可能性も高まっていることを考えれば、現実的な数値として受け止める必要があるという。A氏:少子高齢化が急速に進む日本では「世代間公平」と「財政の持続可能性」を同時に達成する財務運営が求められているというわけか。私:このために「世代会計」を活用して、マクロ予算フレームを定める予算編成の仕組みを構築すべきであるという。 そのためには、「事業仕分け」のようなミクロの議論でなく、「世代間公平」と「財政の持続可能性」を同時に達成しつつ、財政・社会保障の再生を進めるには、これら政策目的を達成する「政策手段」を明確にすべきであるという。A氏:具体的な手順だね。私:財政のミクロ的効率性を高める試みは重要だが、「事業仕分け」では、根本的な財政・社会情勢は再生できないと著者は言う。A氏:それは、民主党の「事業仕分け」で明らかになったね。 しかし、政党の多くはいずれも、社会保障の安定財源として消費税を視野に入れており、いまや増税論議の争点は、増税の条件と時期に移ってきているのではないの?私:ただ、各政党とも選挙のため、他党との「差別化」を図る誘因が働くから、ある党が早期増税を主張すると、別の党は増税の先送りを主張する誘因をもつね。A氏:その政党を選ぶのは国民だから、改革の原動力は「国民の危機感」にあるね。 国民の理解力のレベルがいよいよ問われることになったね。私:そして、このようなジレンマを脱却する最善の方法は、社会保障の安定財源や、財政・社会保障の再生プランについて「超党派」で議論を行い、その「合意内容」や「改革の工程表」に拘束力をもたせることが必須だろうね。A氏:社会保障問題には「大連立」が必要だということかね。 経済の専門家の参加も必要だね。私:少子高齢化が進展し、国際競争が激しさを増す中、これからの日本経済の成長を左右するキー・ワードは「新興アジア諸国の外需の取り込み」「人材の質と集積による供給の強化」「海外からの生産要素(ヒトやカネの呼びこみ)」の3つであると著者は提案している。 中長期的に日本の将来を担うのは、今の若い世代の創造力(人的資本)であり、これが最大の「資源」となるだろうという。A氏:元旦の朝日新聞ではトップに「答えは対話の中に」が一面トップに掲げているが、従来の「1つの正解主義」から「多様な個性的な解答主義」に子どもの教育現場が変わってきつつあることを取材しているね。 君のブログで取り上げていた「3+2=?」の教育から、「A+B=5でのAB?」の教育に変わりつつあるね。私:成長のためには、日本全体のエネルギーを「成長戦略」に傾注する必要がある。 それに、まずもって、財政・社会保障の再生が成し遂げられ、身軽になっている必要があるとしてとしているね。 いずれにせよ、財政・社会保障の再生が当面の重要課題であることを最後に再度強調しているね。 今年の政局は年明けから波乱含みだが、日本国民そして政治家の正念場の1年であることがこの本から見えてくるね。
2011.01.02
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【送料無料】2020年、日本が破綻する日私:明けましておめでとう。A氏:横浜は快晴だね。 今年は、この空のようにありたいね。 しかし、2020年まで後、19年と1年減ったね。私:昨日からの話題に移ろう。 あまり明るい話ではないが、国民の一人として直面している事実は正しく把握しないとね。 ところで、現役世代が老齢世代を支える現行の方式が「賦課方式」だね。 これが、少子高齢化で「世代間格差」を起こしているのは、昨日ふれたね。 この「賦課方式」による「世代間格差」を解決するには。まず、2つの方法が考えられる。 1つは、社会保障の給付削減だね。 現役世代の負担は軽くなるが、そのためには現在の老齢世代の給付の5割くらいのカットが必要だね。A氏:そうなると、高齢者の生活や医療現場は大混乱となることが容易に予想されるね。私:「賦課方式」の社会保障(年金・医療・介護)は、人口変動ショックに脆弱で、「世代間格差」は少子高齢化の人口変動では必然的に発生するね。 もう一つの別の方法は、「積立方式」に切り替えることだね。 これは「老後のために、自ら、または世代ごとに貯蓄する方法」だね。 これが少子高齢化に対しての理想的な方法だね。A氏:しかし、もう、「賦課方式」で大きく動いているから、「積立方式」へ移行期が大変だね。 移行期には、現役世代は老齢世代の支えと、自分自身の積立と2重の負担となるね。 高度成長時代にやればできたかもしれないがね。私:そこで著者は「事前積立」という方法を提案している。 現役世代に対する「強制貯蓄」でこれを現役世代が老齢世代になったときに払い戻すという方法だね。 「賦課方式」を抜本的に改革することなく、少子高齢化による「世代間格差」は改善できるとしているね。 「事前積立」は個人貯蓄とは異なり、長寿リスク、疾病リスク、要介護リスクといったリスクをグループ化してヘッジする役割を担うものだね。 また、これとは別に、年金・医療・介護といった社会保障を民営化し、完全に市場原理に任せてしまうと言う方法もあるが、「逆選択」といって丈夫な人の保険からの脱退や「チェリー・ピッキング」といって、保険会社がリスクの低い優良顧客とだけ契約するなどの問題が発生する可能性があるという。 だから、この方式では、一定の範囲で政府の規制介入が不可欠であるとしているね。 今の社会保障は、年功序列・終身雇用が当たり前の時代に構築され、職種・地域ベースで分立しており、派遣労働のような雇用の流動性を前提とした仕組みにはなっていないね。 リスクのプールは「大数の法則」から、職種・地域ベースで分立するよりも、できるだけ1つのプールを大きくする方がその運営が効率化・安定化するという。A氏:後期高齢者医療制度を健康保険にもどして現役世代と一緒のプールに一本化すると言うのも「大数の法則」だね。私:ところで、派遣社員の増加など雇用の流動化に対応し、給付と負担の公平化を図るには、社会保障財政の一元化と社会保障番号の導入が不可欠であるという。 著者は、社会保障番号の創設に当たっては、年金基礎番号・住基カード・保険証番号・免許証番号・社会保障番号を統合し、いわゆる「4情報(氏名、性別、生年月日、住所)」に加え、納税や社会保障運営のIT化に活用するのがよいとしているね。A氏:2004年の年金改革では、いまの積立金140兆円を取り崩して、給付に活用することが決まっているそうではないの?私:あまり速いスピードで取り崩してしまうと、若い世代や将来世代に過重な負担が押し付けられる恐れがあるね。 それに、2004年年金改革時に掲げた「年金安心100年プラン」の前提(賃金上昇率2.5%、物価上昇率1%、運用利回り4.1%、出生率1.26など)のうち、賃金上昇率や運用利回りの前提はすでに悪い方に大きく崩れているね。 そういう点で、前提となった数字のフォローが欠かせないね。 推計の前提や予測の迅速な改訂ができる第三者機関が必要だと著者は主張しているね。 明日は、これらの改善策を実現する政治的な問題にふれよう。
2011.01.01
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