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私:29日、総務省統計局が住民基本台帳に基づく人口移動報告を公表したね。 「地方消滅」で東京圏への1極集中が問題になっているが、昨年度も、東京圏(首都圏)は11万9357年の転入超過で、前年より9949人増加し、東京圏への集中がさらに進んだね。 大阪圏(大阪、兵庫、京都、奈良)は9354人の転出超過、名古屋圏(愛知、岐阜、三重)も1090人の転出超過。 A氏:人口の流れは、全国的にまだ、地方創生と逆行だね。 私:都道府県別にみると転出超過数が出ているのは、東京が最多で8万1696人。 神奈川、埼玉が1万3528人、千葉、愛知、福岡、大阪、沖縄の順。 転入超過があるといっても沖縄は10人に過ぎないから、事情が特殊だろうね。 A氏:転出超過は北海道の8862人が最も多く、兵庫、新潟、青森、静岡と続く。 青森は6560人で、北海道と合わせると15422人となるね。 これらの人は東京圏に転入したのだろうか。 私:どの都道府県からどの都道府県へ移動したかの詳細データが欲しいところだね。 未だに、「地方創生」担当の石破大臣の具体的な動きが見えないがね。 今回の一極集中がさらに進んでいる数字を石破大臣はどう見ているのだろうか。 マスコミはアベノミクスの株価、円安を大きく報じるだけでなく、静かに進む一極集中化による「地方消滅」の進行も大きく報じてほしいね。 A氏:一方、同じ29日、日本で働く外国人が過去最多の90万8千人になったと厚労省が発表した。 調査は2015年10月末現在で、前年の78万8千人から12万人(15・3%)増え、3年連続で過去最多を更新。 人手不足で企業が外国人に頼る傾向が強まっているほか、「少子化で大学が留学生の取り込みに力を入れ、アルバイトも増えている」(同省)ことが背景だという。 私:外国人が働く現場は、中小企業が多く、事業所を規模別にみると、「100人未満」が全体の4分の3を占める。 優秀な日本人学生が都心や大手に行き、若い人はしたがらない嫌な仕事は外国人に頼る。 「地方創生」にはこの視点も必要だね。
2016.01.31
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私:羽柴(豊臣)秀吉(1537~98)が、家臣の武将、脇坂安治(1554~1626)に宛てた書状33通が見つかったという。 もともと、龍野藩脇坂家の初代、安治を祭る龍野神社(たつの市)が所蔵していたものだという。 東京大史料編纂所が修復・調査し、秀吉の祐筆の筆跡や朱印から本物と断定した。 「天下人」の書状がまとまって確認されるのは異例。 天下統一や朝鮮出兵の過程での細かな指示ぶりや叱責を飛ばしていた様子がうかがえるという。 A氏:書状は織田信長が本能寺の変(1582年)で倒れた後の約10年間分で、信長の次男・信雄や徳川家康と覇権を争った小牧・長久手の戦い(84年)や越中の佐々成政攻め(85年)、九州の島津攻め(86~87年)、朝鮮出兵時(92~94年)などに関する内容だという。 私:85年の書状は、2カ月で13通に及んだ。 正親町天皇が譲位後に住んだ京都の仙洞御所造営に使う材木の手配を伊賀で行うよう命じた脇坂安治に対し、越中出陣を望んだことや材木輸送の遅滞を再三叱責。 伊賀の統治についても安治に細かく指示し、統治がうまくいかなければ蒲生氏郷ら他の武将を派遣すると告げた。 追放した近臣の一人をかくまわないよう指示し、「信長の時代のようには甘くない」とすごみも利かせていた内容があるという。 伊賀は当時、自治の伝統が強かったので、信頼の厚い安治を派遣し、指示を再三与えたことから相当に気をつかっていたことがわかるという。 私:脇坂安治は、秀吉の木下藤吉郎時代に自ら望んで家臣となった武将で、藤吉郎時代からの秀吉の戦いにはすべて参加し勇将の名をあげている。 A氏:朝鮮出兵でも、「小西行長が釜山の海城を落としたと聞いたが、皆で攻めるよう申し渡したはず。早く合流して戦え」「しっかりと高麗国を治めよ」「普請などしっかり行え」と再三指示していた。 「3月に渡海するから待っていろ」「来春(中国の)明に渡る予定である」とも記し、秀吉本人が渡海予定だったことも改めてわかったという。 私:秀吉は本当に明を攻撃するつもりだったんだね。 「しつこいぐらいに細かい秀吉の性格がわかり、子飼いの武将だった安治との親密さもうかがえる」という。 秀吉はやはり「鳴かぬなら鳴かしてみしょう時鳥」の性格のようだね。 書状は2月26日から4月10日まで、兵庫県たつの市立龍野歴史文化資料館で一般公開されている。
2016.01.30
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私:今月の「ななめ読み」は簡単な記事だが各新聞紙を比較すると興味ある事実が浮かび上がることを教えてくれるね。 記事は各紙の「首相の動静」欄の比較だね。 特に1月22日付に絞っている。 A氏:日経のタイトルは「首相官邸」欄で、この日は「18時55分 大手町の読売新聞東京本社ビルで渡邉恒雄読売新聞グループ本社会長ら」と記載。 その後の安倍首相の行動は、「20時52分 富ケ谷の私邸着」で、首相は渡辺会長らと会食したかの記載なし。 私:同日付の毎日新聞の「首相日々」欄では、渡辺会長の他に「今井環NHKエンタープライズ社長、評論家の屋山太郎氏らと会食」とある。 会場を提供した読売新聞は「安倍首相の一日」欄で「東京・大手町の読売新聞東京本社ビル。w渡邉恒雄読売新聞グループ本社会長・主筆、清原武彦産経新聞社相談役、芹川洋一日本経済新聞社論説委員長らと会食」と日経が参加している。 日経は、自分のところで何故書かなかったのか。 A氏:読売、産経、NHK、日経と並んだね。 朝日新聞は当然、呼ばれていないね。 私:朝日新聞は、「首相動静」欄の記事だね。 それによると、「渡邉恒雄・読売新聞グループ本社会長、橋本五郎・読売新聞東京本社特別編集委員、今井環・NHKエンタープライズ社長、清原武彦・産経新聞相談役、ジャーナリスト・後藤謙次氏、芹川洋一・日本経済新聞論説委員長、早野透・桜美林大教授、評論家・屋山太郎氏と食事」とある。 これで、会食参加者の全員の顔ぶれが判明したと思ったら、翌日の紙面に、早野氏は同席していなかったという訂正が掲載された。 A氏:読売、産経、日経が政権よりなのはこれで明らかだね。 私:これはこの池上氏の記事とは関係ないが、今日の朝刊ではトップに甘利大臣の辞任が報じられていて、後任に石原伸晃氏がなったとあるが、すでに20日頃、安倍首相は石原氏と夕食をしていたという話がある。 各紙の首相の動きの報道は重要だね。
2016.01.29
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私:今日の論壇欄では作家・高橋源一郎氏とジャーナリストで政治メディア「ポリタス」編集長の津田大介氏が、SMAP問題を正面からとりあげていたね。 なるほど、こういう取り上げ方もあるのだね。 米ロサンゼルス在住の映画ジャーナリスト猿渡由紀氏は「こんな騒動は、アメリカでは絶対に起こり得ない」と書いているという。 それは、「人気グループの解散も、タレント事務所の移籍も、本人たちがしたいならするだけのことで、当たり前に起こる」からだという。 A氏:日本の芸能界がサラリーマン式なら、ハリウッドは完全なる自営業式。 タレントは、自分のキャリアを自分でコントロールし、その代わり、責任も、全部自分で持つ。 SMAPの謝罪会見では、「組織」や「社会」にしゃべらされる「ことば」ではなく、「自分のことば」で、しゃべるべきだったという。 私:津田氏は今回の問題を一言で言えば、創業者一族とたたき上げで役員まで上り詰めた現場マネジャーとの対立であり、オーナー企業ではしばしば発生する現象で、時に創業者が解任され下克上となることもあれば、敗れた外様側が顧客を奪う形で独立することもあるという。 この問題も内々に処理されていれば、ありふれた日本の企業経営の一風景に過ぎなかっただろう。 A氏:だが、芸能マスコミは当初から事務所側に立った一方的な報道を繰り返し、「女性マネジャーの“暴走”が原因」とし「ファンへの恩返しをする場所(コンサート)を事務所が与えるかは4人の姿勢次第だ」と結んだり、グループの存続を事務所の「温情ある処置」と讃えたりもした。 今回一部を除く芸能マスコミは事務所の機嫌を損ねれば、記事を作る上で貴重な情報源が失われ、自らの立場やビジネスが危うくなるから、軒並み情報源をぼかし、結果的に事務所の情報コントロールに加担した。 私:今回の騒動は単なる芸能ゴシップではなく、雇用者が被雇用者や取引先に圧力をかけ独立を阻害するパワハラ・独占禁止法的な問題、一企業が公共の電波を私用することを許したテレビ局のガバナンス・独立性の問題、経験を重ねた年長者が固定観念に囚われ、若い才能を潰す組織構造――今の日本が抱える様々な社会的閉塞を象徴する出来事だという。 メディア環境が激変した今、万人に「ニュースの裏側」を考えさせるような読者本位の報道が求められていると津田氏は指摘する。
2016.01.28
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A氏:このブログの「コンビニ・大手スーパー商品も…廃棄食品、横流し続々」にあるが、26日の新聞では、「管理票に虚偽記載指示」と題して、廃棄食品の横流し問題で、愛知県稲沢市の産業廃棄物処理業ダイコーの大西一幸会長(75)が、冷凍カツについて「産業廃棄物管理票(マニフェスト)にうその記載をするよう従業員に指示した」と、代理人の弁護士に話していることが分かったと報じている。 従業員には事情を伝えず、ダイコーでは大西会長一人が横流しに関与したと説明しているという。 私:「管理票」のことを現場では「マニフェスト」と言っているんだね。 「マニフェスト」には、すべて堆肥化したと嘘を記載。 廃棄物処理法違反(虚偽記載)となるね。 A氏:ところで、27日の報道で同じ記録のインチキで、また警察のDNAの間違いが報じられているね。 鹿児島市で2012年、女性に性的暴行を加えたとしてGOKAN罪に問われた男性(23)に懲役4年を言い渡した一審判決を破棄し、無罪とした福岡高裁宮崎支部判決について、福岡高検は上告期限の26日、上告しないことを明らかにし、男性の無罪が確定したという。 私:一審・鹿児島地裁判決は、女性の胸から男性と一致するDNA型が検出されたことなどから、男性に暴行されたとする女性の証言は信用できると結論づけたが、控訴審では、弁護側の請求に基づき高裁支部が再鑑定したところ、体液から精子のDNAが検出され、男性とは別人のものと判明し、高裁支部は女性の証言についても、「虚偽を述べていたとしか考えられない」と信用性を否定。 「本件を暴行とみるには不自然」として、男性に無罪を言い渡した。 A氏:ところで、福岡高裁支部判決は、DNA型鑑定の経過を記載したメモが廃棄されていたことなどを重視し「事実でない報告をした可能性すら否定できない」と指摘したという。 私:都合の悪い記録は隠滅だね。 廃棄物処理業者ダイコーより悪質だね。 無罪判決が確定するのを受け、警察庁はDNA型鑑定の際には鑑定経過を適切に記録することなどを都道府県警に通達するという。 科学警察としては常識的なことなのに、今までどういう管理をしていたのかね。
2016.01.27
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私:人気グループSMAPの分裂騒動は、スポーツ紙やテレビが連日、トップで扱うなど社会的な「事件」になった。 彼らは、なぜここまで大きな存在になったのかということで「耕論」欄で作家林真理子さん、批評家・濱野智史氏、慶応大大学院政策・メディア研究科特任教授・須藤実和さん、の3人にコメントしてもらっている。 林さんはテレビ番組「SMAP×SMAP」には3度出演しているのでSMAPのことはよく知っているね。 A氏:林さんは今度の騒動劇を明快にまとめているね。 もとは普通の事務員だった1人の女性と、マネジャーすらつけてもらえなかったアイドルグループ。 事務所の傍流だった彼女と彼らが組んで、トップスターへと駆け上がった。 私:しかし、存在が大きくなるにつれ、独自の戦略を持つ彼女とカリスマ創業家の間に軋轢が生まれ、事務所のスターが総出演する年末のイベントにも出ないで、そしてマネジャーと子飼いのスターは独立を企てて敗れた。 傍流タレントがスターの座をつかむ物語であり、1人の女性がエンターテインメント界伝説の経営者と戦った歴史でもあるという。 女性はプロデューサーとしては超一流で、聡明で気配りができるすごくすてきな女性で、経営者の寝首をかこうなんて気持ちはまったくなかったと思うと林さんは言う。 A氏:これだけ社会的に騒がれたのは、濱野氏は、SMAPは、1990年代以降、コミュニケーション力が非常に重視されるようになり、仕事でも恋愛でも「コミュ力」の高さが求められるようになり、そういう時代に最初に適応したアイドルがSMAP。 「SMAP×SMAP」では、彼らがホスト役になってゲストをもてなすが、それまでのアイドルにはないコミュ力をアピールすることで、国民的な人気を得たという。 私:同じジャニーズでも、「嵐」になると、全員のコミュ力がすごく高い。 SMAPは、ある意味で過渡的な存在といえるかもしれないと濱野氏は言う。 A氏:須藤さんは、SMAPは5人が異なる層に強い訴求力を持っていて、木村拓哉が先端的なかっこよさを体現すれば、中居正広は親しみやすさを醸すといった具合に。 それでいてグループとして強い一体感がある。 それが、幅広い顧客層をつかんだ理由ではないかという。 私:結局、SMAPの人気の原因は、俺にはよくわからないね。
2016.01.26
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私:昨日の日曜新聞読書欄では印象的な本がなかったが、今朝、たまたま、朝刊の文化・文芸欄を見たら、記録文学の作家吉村昭氏(2006年に死去)の記事が「今こそ、吉村昭」というタイトルで載っていて興味が湧いた。 歴史に埋もれた労働者たちに光をあて、彼らこそ産業の礎と気づかせてくれた作家だという。 俺は、この作家は戦争関係の作家だと思っていたら違うんだね。 産業の土台を支えた労働者たちの存在は忘れられがちだが、作家吉村昭は、太平洋戦争前の大型土木事業を題材にした作品で、厳しい労働環境の中で生きた人々こそが主役だったことを教えてくれるという。 A氏:戦前の富山県・黒部第三発電所の建設に際し、黒部渓谷の岩盤最高温度165度の地帯に隧道を掘る難工事を描いた「高熱隧道」。 大量湧水に苦しめられ、完成まで大正から昭和の16年間を要した静岡県・丹那トンネルの工事を扱った「闇を裂く道」。 工事中の死者は黒部の隧道が爆発事故、宿舎への雪崩などで300人以上、丹那トンネルが崩落事故などで67人に上ったという。 私:工事に携わった人々の心の葛藤まで表現されていて、企業経営者ではなく、過酷な労働をした底辺の人たちがいなければ、巨大な構造物ができなかったということを実証的に書いたという。 吉村は、徹底した資料調査や関係者の証言収集で、戦争、災害など多岐にわたる記録文学を残した。 それらの現場を歩いた時、犠牲者の声が聞こえる感覚を覚えたという。 彼にとっての記録文学は、史実に対する冷静なまなざしをもって調べ尽くし、死者の声をくみ取ろうとした作業に他ならないという。 A氏:数々の吉村作品に影響を受けてきたノンフィクションライターの最相葉月氏は「市井の人々をないがしろにしないで描くことが吉村の姿勢だ」と指摘している。 最相氏は「吉村はひとつの作品を書き終えたら終わりではない。土木構造物は完成後に劣化の問題も起きるから、吉村が生きていれば、今でもこだわり続けたはずだ」と話したという。 私:そういう作品を読みたかったね。 最相葉月氏は「吉村作品を初めて読むなら」と、珠玉の短編集『天に遊ぶ』(新潮文庫)を薦めている。 早速、図書館に予約。待ちなしですぐ借りられそうだ。
2016.01.25
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私:この「世界はうたう」の連載シリーズは「アメージング・グレース@アメリカ・オバマが歌った、ゆるす心」から始まり、「国歌『ラ・マルセイエーズ』@フランス 結束の象徴、歌わない自由」の12回めで終わったが、1月10日に突然、デヴィット・ボウイさんが69歳でなくなったので、アンコール欄を設けたようだ。 A氏:この新聞のアンコール欄では、デヴィット・ボウイの「ヒーローズ」が東西ドイツのベルリンの壁の崩壊に大きな影響を与えたとしているね。 私:ベルリンの「ハンザ・スタジオ」前に15日、数百人が集まり、10日に亡くなった英国出身のロックスター、デビッド・ボウイさんを悼んだ。 1987年6月6日、冷戦を象徴する壁のすぐ西側にある共和国広場で、ボウイさんは野外コンサートを開いた。 観衆は、壁と向き合うように立ち、さらにスピーカーが、観衆と反対側の東にも向けて置かれた。 壁の向こうには、ボウイさんの歌声を聴こうと東独の若者が集まっていた。 「壁を倒せ」と叫ぶ若者が東独警察と衝突した、と当時の報道は伝えているという。 A氏:歌の一つが、西ベルリンで生み出した名曲「ヒーローズ」だった。 《忘れないよ あの壁の横で 銃弾が2人の頭の上をかすめていったこと それでもキスしたよね 僕らは英雄になれる 一日だけは》 私:東の若者にとっても、ボウイさんは「自由」の象徴だった。 若者は当時むさぼるように聴き、西独の親戚からレコードを送ってもらい、西から流れるラジオ放送にかじりついた者もいたという。 東独にも、政府公認の「ロック」はあったが、体制を否定するような歌詞には目を光らせた。 A氏:2年後の89年、壁は崩れたね。 私:ボウイさんの死を受け、ドイツ政府はツイッターにメッセージを出した。 「さよなら、デビッド・ボウイ。今やあなたは『ヒーローズ』の仲間入りだ。壁の崩壊に力を貸してくれてありがとう」 あらゆる障壁を越えるように、しなやかに変わり続けたボウイさん。 その歌が壁を越えて人々の心を揺さぶった時、すでに壁は崩れていたのかもしれないという。
2016.01.24
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私:欧州連合(EU)は今、難民問題を抱えているが、新たな問題にポーランド問題があるんだね。 ポーランドのシドゥウォ新政権の「改革」が、国内外で「強権的」と批判を浴びているというのだ。 司法の権限や報道の自由を制限しかねない法制度に変更。 反政府デモが相次ぎ、欧州で難民排斥など排外主義的な動きが強まるなか、堅調な経済で東欧の「優等生」と呼ばれた同国の豹変に、欧州連合(EU)も懸念を強めているという。 A氏:2004年にEU加盟を果たした同国は、EUからの潤沢な補助金などで経済成長を続けたが、国民の貧富の差は拡大。 その不満を吸収する形で、愛国主義的な色彩が強い保守政党「法と正義」が昨年10月の総選挙で8年ぶりに政権に返り咲き、EUが加盟国に割り当てを決めた難民の受け入れにも反対して支持を集めたね。 私:昨年11月に発足したシドゥウォ新政権が手をつけたのが、憲法裁判所が違憲判決を出す際に必要な裁判官の同意を、過半数から3分の2に引き上げることだった。 「政権への監視機能が失われる」と訴える野党の反対は数の力で押し切られ、裁判官15人のうち5人が新たに任命された。 A氏:さらに、今月7日には公共放送などを国有化し、政府が幹部人事を決定できる新メディア法が成立し、直後に、公共テレビとラジオのトップが交代し、その後、同党に批判的だった記者らが続々と解雇されている。 市民団体は、「公共放送が政府放送になり、議会の暴走に歯止めをかける憲法裁も骨抜き。まるで独裁国家だ」と訴える。 私:欧州連合(EU)は基本的な価値の人権や民主主義を脅かす「右傾化」に警戒感を強め、EUの行政を担う欧州委員会は13日、ポーランドのメディアや憲法裁判所の統制強化について、EUが基本原則に掲げる「法の支配」に違反する可能性があるとして、予備的調査を始めることを決めたという。 違反の場合は、制裁を科すことができる。 ポーランドへの調査はEUの深刻な「東西分裂」につながる危険性もはらむ。 EUでは昨年、中東などから大量に押し寄せる難民への対応をめぐり、受け入れに積極的な西欧と、それに反発する中東欧の対立が続いているからだ。 ハンガリーのオルバン首相は早々に、ポーランドへの制裁に反対する意思を表明したという。 ポーランド問題はどうなるか。
2016.01.23
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私:金持ちをどこまで裕福にすればよいのだろう? グルーグマン教授は、これは決して無意味な質問ではないという。 米国政治の本質は、この点にあるからだという。 リベラル派は高所得層の税金を引き上げ、その収入を社会保障制度の強化に使うことを望む。 対立する保守派の望みはその逆で、富裕層の課税を強化する政策は富を生みだそうというインセンティブ(動機づけ)を低下させるため、すべての人に打撃を与えると主張する。 A氏:まさに富の再分配問題だね。 私:近年のリベラルに有利な事例として、オバマ大統領は最高税率の大幅な引き上げを断行し、その医療制度改革による福祉国家の拡充は、ジョンソン大統領の時代以降で最大のものとなった。 最初、保守派は自信たっぷりに大失敗を予言したが、大失敗どころか、オバマ氏のもとで1990年代以来最大の雇用増が実現した。 A氏:本当の問いは、経済発展を鈍らせることなく、現在は少数のエリートが得ている収入の一部を、ほかのいくつかの目的のために再分配できるかどうかだね。 私:インセンティブを損なわない限り、高所得層の富の一部を税として回収し、社会全体の強化に活用するのを支持する十分な論拠があると教授は言う。 過去の例を見れば、米国がこれまでで最も急速に成長し技術的な発展を見たのは、今よりも最高税率がずっと高く、格差がずっと少なかった1950年代と60年代である。 インセンティブが損なわれると考える理由などないという。 A氏:今日の世界では、税金が高く格差の少ないスウェーデンのような国が非常に革新的であり、多数の新興企業の拠点にもなっている。 おそらくその一因は、強力なセーフティーネット(安全網)がリスクを冒すのを奨励するからだろう。 成功によって昔ほど金持ちにはなれないとしても、むだ骨だった場合にも飢え死にすることはないと分かっていれば、人は金の探鉱をいとわないかもしれない。 私:だから教授の最初の問いに戻ると、金持ちが現状のように裕福である必要はないというのが答えだと言う。 格差は避けられないが、今日のような米国の巨大な格差は、避けられないものではないのだと教授は主張する。
2016.01.22
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私:例の横浜の傾斜マンションで発覚した杭打ちデータ記録の偽装以後、JR北海道保線記録、ツアーバスの点検記録など嘘の記録がいろいろな業界で横行しているのが次々に発覚しているね。 A氏:今度、問題になった廃棄食品の横流しは、どういう記録の偽装かね。 私:廃棄物処理法では、廃棄物をきちんと廃棄されたかは廃棄物を出した業者に最終責任がある。 だから、壱番屋が廃棄処分した冷凍カツがちゃんと廃棄されたかの確認責任は壱番屋にある。 しかし、その確認方法は、廃棄を委託した認定廃棄業者の「管理票」によっている。 廃棄を委託された廃棄業者は「どこどこに廃棄した」という記録である「管理票」を委託元に提出する。 この壱番屋の冷凍カツの場合は、廃棄業者ダイコーから「廃棄した」という「管理票」が壱番屋に提出され、その記録により、壱番屋は廃棄されたことを確認するというわけだ。 A氏:そうすると、廃棄業者ダイコーは「管理票」を偽造していたことになるね。 私:廃棄業者ダイコーの大西社長は取材に応じていないが、代理人弁護士によると、「売るためにやった」と話し、「管理票」の虚偽記載を認めているという。 また、廃棄業者ダイコーの大西社長は代理人に対し、「転売したみのりフーズ側にも廃棄物との認識があったはずだ」と説明。 だが、みのりフーズを実質的に経営する岡田正男氏は「廃棄物という認識はなかった」と言っているという。 A氏:共犯にしようとしているね。 しかし、責任は廃棄業者ダイコーにあるね。 私:国内で出る食品の産廃は年257万トン(2012年度)。 これほど大量の食品が廃棄されるのは、異物混入や賞味期限切れを嫌う安全安心に対する日本の消費者の厳しさだという。 今回の問題は、廃棄物処理法の限界も浮き彫りにしたね。 産廃業者に「管理票」による処理の報告を求めているが、ダイコーはこれを偽造していたわけで、「産廃業者に書類を偽造されると、見抜くのは難しい」と壱番屋や愛知県の大村秀章知事は、口をそろえるという。 厚労省幹部はこう漏らす。 「廃棄物が食品として転売されることは想定されていない、どんな調査をすべきかも見当がつかない」という。 記録の偽装防止は、別の第3者を立ち会わせるなどしないかぎりお手上げだね。
2016.01.21
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私:18日のブログでちょっとふれたがNHKの国会中継で参議院の予算委員会で共産党の小池晃議員の質問に安倍首相も麻生財務大臣も的確に答弁できず、委員会は中断していた。 俺は午後から用事があったので、結果を見ていなかったので、夕方、テレビニュースを見たがやっておらず、翌19日の新聞にも出ていなかった。 今日の朝刊でようやく報じられた。 小池氏の質問は簡単で安倍首相は軽減税率の導入で、家計調査から推計した「1人当たり4800円」負担が軽くなると答弁したのに対するものだ。 これに単純に日本の人口をかけると総額「約6千億円」となり、軽減税率の導入で、税収が減る分を「1兆円」とする政府見解と約4千億円差がでる。 このため、小池氏が「なぜ差が出るのか」と追及したわけだ。 A氏:政府側はその場で明確な答弁ができず、19日朝、必要な財源について政府統一見解を公表したんだね。 私:19日の麻生大臣はやり直しの答弁で「消費税収の見込み額は税率1%当たり約2・7兆円なので、機械的に算出すると軽減税率を導入して税率を10%に引き上げる負担増は1人当たり2万7千円程度と見込まれる」と述べた。 これまでの国会答弁では「1万4千円」と繰り返しており、小池晃氏は「政府の統計は信用できない」と反発。 また、質疑は度々中断したという。 A氏:麻生氏の答弁変更は、算出の根拠を変えたことによるもの。 これまで政府は、総務相が毎月約9千世帯を対象に家計の内訳を報告してもらう「家計調査」をもとに計算し、負担増は1世帯当たり3万5千円、1人当たりでは1万4千円と説明していた。 今回は軽減税率の導入に伴い、本来の税収より1兆円が減るとしていることと合わせる形で、税収見込み額から、軽減税率で税収が減る分などを引いて人口で割る手法で計算し直したんだね。 私:財務省関係者は「家計調査はサンプル調査なので、全国民の負担額や軽減額などの実額は税収から計算した方がより適切」としているという。 昨年末の軽減税率導入の際、首相官邸が主導して「軽減税率1兆円」を決めたが、国民の負担額をどう算出するかなど精緻な議論をしていなかったツケが回ってきたと言えそうだと新聞は報じているが、本当に軽減税率の議論はバタバタ決まったことを示しているね。 そして、また、枝葉の数字を国会が問題にしていて、「税と社会保障の一体改革」の本題は消えているね。
2016.01.20
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私:昨日のブログで「分配」の問題が出たが、この記事もある意味「分配」の問題だね。 巨額の財政赤字を抱える一方、超高齢化社会が進む日本で、医療を含む社会保障の爆発的な膨張に対し、社会保障費に対する構造的な対策を講じようと、決断をする政治家はいないと鈴木氏は言う。 消費税の2%増税についての報道をみても、「税と社会保障の一体改革」という前提が消えて、軽減税率だけが争点になっている印象がある。 朝日はどう書いたかと問うているね。 A氏:社説は正論で、選挙をにらんだバラマキが先に立つ政府の対応に対する的確な指摘はあるが、残念なのは一方で痛みを伴う社会保障の改革については、報道記事でもあまり触れていない。 軽減税率の導入については、インボイスの導入を始めとする事務作業等々の問題、軽減税率の対象については多くの紙面が割かれているのだが、逆進性や高額所得者に対する課税の在り方、格差に焦点を当てた税制の問題点を指摘するにとどまって、社説で指摘されている「一体改革の社会保障についての改革」については、ほとんど紙面に反映されていないと感じると鈴木氏は批評しているね。 私:軽減税率を巡る自民党、公明党、財務省の動きは迷走劇。 財務省は軽減税率の代替案として2%の増税分については、マイナンバーカードを提示すれば、飲食料品の増税分が後で戻ってくる還付案を構想し、公明党側が了解し、財務省側は軽減税率を導入しなくてもいいという手応えをもつ。 田中一穂次官が安倍首相から了承を得ていたからだ。 A氏:それが創価学会の本部に一蹴され、公明党は豹変し、還付案が消え、振り出しに戻った議論は軽減税率になる。 軽減税率の導入なしに選挙協力はないという学会側と官房長官で決着し、自民党の野田毅税調会長を更迭したね。 私:自民党、公明党と学会、財務省の関係が、選挙というキーワードで動く様子が描かれていて面白いのだが、肝心の「社会保障との一体改革」という基本的な視点は、跡形もなく消えていると鈴木氏は指摘する。 社会保障と増税を一緒に考える。 それが一体改革の魂だった。 最近の軽減税率をめぐる政権内の攻防は、その「魂」を失った議論だった。 痛みを伴う社会保障改革について、本格的な記事を読みたいというのが本当のところであると鈴木氏は最後にしめている。
2016.01.19
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私:今週は、あまり興味をひくものがなく、本よりも書評に興味が湧いたね。 それは、アンソニー・B・アトキンソン〈著〉「21世紀の不平等」の荻上チキ氏(「シノドス」編集長・評論家)の書評だ。 今日、NHKで参議院予算委員会の質疑を中継していたが、たまたま、午前中に見た時、共産党の小池晃氏が、質問をしていた。 趣旨は「アベノミクス」では、富の再配分政策が不十分なことを追求していて、逆進性の10%の消費増税は反対だね。 この本の評者の荻上氏も、「政府はいつになったら再分配政策に本気を出すのだろう、経済政策の三本柱といえば『安定』『成長』『再分配』だが、アベノミクスの『第一の矢』でも『第二の矢』でも、『再分配』だけがごっそりと抜け落ちていて、野党も、整合的な経済ビジョンをつくれぬままか、緊縮に熱心な様子が目立つ」という。 A氏:最近、野党も問題にしているようだがね。 私:再分配モドキとして取りざたされている軽減税率論議も、「低所得者対策として効果があるのか」という論点が掘り下げられぬまま進んでいて、経済学者の大半が反対しているにもかかわらず、政局的な側面ばかりをとりあげる報道も問題だという。 A氏:報道は公明党との選挙協力という政局に焦点が絞られていた感じだったね。 私:荻上氏は、「せっかくの新聞書評欄なので書いておくと、新聞購読者は非購読者よりも平均所得が高いので、消費税の逆進性緩和が名目の軽減税率論議に入れること自体おかしい。 仮に活字文化を保護したいと言うなら、補助金を求めればいい。 つまり日本では、真正面からの『再分配政策論』が圧倒的に不足しているのだ」と指摘している。 A氏:新聞は問題だね。 私:トマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」は「まじめに再分配政策を考えよう」という議題を真正面から再設定した、意義ある一冊だったが、アトキンソンは、そんなピケティの師匠にあたり、格差論の大家で厳格な研究者が一般向けに書き下ろした本書では、上手な再分配策を明快で具体的提言をしているという。 本書は英国を対象として書かれたが、内容は重要かつ普遍的で、今の日本に求められる議論だが、現状の日本では、「非緊縮・経済成長重視・再分配重視」の「リベラル・左派」は少数派で、その受け皿となる国政政党もないが、いずれはこのような「真正面からの再分配論議」を、国会論戦でも見てみたいと荻上氏は言う。
2016.01.18
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私:長野県軽井沢町でスキーツアーの大型バスに乗った14人が死亡した事故では、バス会社のルーズな管理体質が今回の事故の根本にひそんでいるようだね。 A氏:まず、「運行指示書」だね。 バス会社が詳細な行程を運転手に示す「運行指示書」には、途中の経路が全く記載されず、出発地と到着地しか書かれていなかったという。 指示書は、休憩のタイミングや安全なルートなどを検討してバス会社が作成し、運転手の交代地点なども示して安全運行につなげる目的がある。 今回とは別のツアーの指示書でも、途中経路が記載されていないものが複数あったという。 私:出発時や到着時に運行管理者が運転手に声かけで安全確認する「点呼」の記録簿では、今回のツアーの運行終了時に行うべき点呼を実施したとする虚偽の記載があったことが判明した。 今回のバスの運転手の健康チェックは社長の担当だったが「遅刻し、運転手が先に行った」と釈明したが、法律ではバス会社の運行管理者などが出発前の運転手に対面し、病気や過労の有無を尋ねる健康チェックやアルコール検査などの点呼をするように義務付けている。 A氏:今回は点呼を怠っていたにもかかわらず、点呼を終えたことを示す社長の判子を別の社員が事前に押していたという。 例の横浜の傾斜マンションで問題になった「偽杭打ちデータ」と同じだね。 今回の事故の2人の運転手の健康チェックは出発前日に所長が行い、「健康チェックを実施し、現地に到着した」とする記録をつけていた。 到着どころか、途中、大惨事を起こしたのにね。 同様の事例は過去に複数回あり、社長は「心の緩みがあるかもしれない」と土下座したというが、「心の緩み」でなく確信犯だね。 私:監査で運転手の乗務記録などを調べたところ、複数の運転手が国が定めた勤務時間の上限を超えていたという。 事故の運転手2人は直近の健康診断を受診しておらず、乗務記録と乗員台帳の記載漏れや、健康診断記録の保管の不備も見つかったという。 事故を起こした時の運転手は、1年前入社でこの碓氷峠の道路はなれておらずツアーのロングボディの大型バスの運転は初めてのようだった。 事故は起こるべくして起きたのか。
2016.01.17
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私:このシリーズ最初は、「アメージング・グレース@アメリカ・オバマが歌った、ゆるす心」だったが、今日は最後のフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」だね。 昨年11月13日夜パリ同時多発テロで、サッカー場にいたオランド大統領はハーフタイムに場外へ退避したが、パニックを起こさないよう、観客には何が起きたのか知らされなかった。 試合終了後、家路に就こうとした人々は、パリ中心部でも惨劇が起きていると知り、右往左往した。 群衆の中から、自然に歌声が上がった。 《いざ行かん 祖国の子らよ 栄光の日は来たり 我らに抗する暴君の 血塗られし旗ぞ掲げらる》 フランス国歌、ラ・マルセイエーズだった。 A氏:テロの3日後、ベルサイユ宮殿に集った上下両院議員を前にした演説。 「フランスは戦時下にある」と訴えたオランド大統領が「フランス万歳」と結ぶと、議員たちは立ち上がって声を合わせた。 《武器を取れ 市民らよ 諸君ら隊列を組め 進まん 進まん 汚れし血により 我らが大地満つるまで》 私:アルジェリア系でサッカー仏代表だったカリム・ベンゼマ選手は、所属するレアル・マドリードの試合で、テロ犠牲者追悼のためにラ・マルセイエーズが流れた際、つばを吐いたと報じられた。 A氏:フランスは幸運にも一人ひとりが選択の自由を持つ国で、歌うか歌わないか、それぞれの自由で、その自由こそ尊重されなければいけないという考えもある。 私:一方、テロ2週間後の11月27日、パリで開かれた追悼式典でシャンソンを独唱した世界的オペラ歌手、ナタリー・デセイさんは、その後のテレビ番組で「ラ・マルセイエーズの歌詞は好きじゃないし、変えなくては、と思う。 『汚れし血』なんて歌いたくない」と語った。 A氏:歌詞がどうもね。 私:昨年12月、ロックバンド「U2」のパリ公演で、テロで襲われたバンド「イーグルス・オブ・デス・メタル」も緊急出演した。 開演を待つファンの間で時折、ラ・マルセイエーズの歌声が起きた。 三色旗を手にしたり、右手を胸に置いたりして歌う人もいた。 そのたびに、別の歌声もわき上がった。 U2の歌、そしてパティ・スミスの「ピープル・ハブ・ザ・パワー」。 そのうねりは、国歌を何度も呑み込んだという。 《私たちは世界を変えられる 私たちには力がある 民衆には力がある》
2016.01.16
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私:台湾総統選の投開票が16日に迫る中、中国は「両岸関係」カードで親中路線の与党・国民党を支えようとしているものの、手詰まり感が強まっている。 焦点は政権交代後に移っており、優勢が伝わる最大野党・民進党の蔡英文主席が対中姿勢を明確にしないことへの懸念は深い。 A氏:中国国務院台湾事務弁公室は5日、大陸の中国人客が台湾で航空便を乗り継ぎ他国に出国できるようにする計画を発表した。 中国の南昌、昆明、重慶の3都市で試験導入するという。 台湾の馬英九政権が経済活性化のために要望してきたが、中国側は難色を示していたが、総統選を目前にした時期での発表に、北京では国民党への「援護射撃」との見方がもっぱらだ。 だが、総統選は民進党・蔡氏の独走が続き、同時に行われる立法委員(国会議員)選でも民進党が過半数に迫る勢い。 大陸が注目しているのは、蔡氏と民進党の勝ちぶりだね。 私:民進党は党綱領で台湾独立を掲げ、蔡氏は、中台が「一つの中国」原則を確認したとされる「92年コンセンサス」(「中台会談、その先に」参照)について、共通認識かどうかについては否定的な態度を見せる。 中国側では蔡氏が圧勝すれば、民意の支持を得たとして自らの政治信念を前面に出してくると懸念する声もあがるという。 A氏:定数113の立法院選は日本と同様の小選挙区で73議席、先住民枠で6議席、比例代表で34議席を選ぶ 改選前議席は国民党の64に対し、民進党は40にとどまる。 00~08年の民進党政権期も過半数を取れず、野党の反対で米国からの武器購入が遅れるなど、思うような政権運営ができなかった。 過半数(57議席)のハードルは高いが、同党にとっては悲願と言える。 私:総統選・立法院選の行方に一定の影響を与えそうなのが、若年層の投票動向だ。 一昨年11月の統一地方選では多くの若者が反国民党の票を投じ、同党を大敗させた。民進党は再現を目指して若者票獲得に力を入れるが、今回は選挙への関心が低いとの指摘もある。 そこで、若者票獲得にやっきだね。 総統選では、最大野党・民主党候補の蔡英文主席が与党・国民党の朱立倫主席らを引き離す展開が続く。 明日の結果はどうか。
2016.01.15
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私:日米開戦に踏み切る判断で少なからぬ影響を与えた試算と数字がある。 それは軍の石油確保の試算だ。 軍艦を航行させ、戦闘機を飛ばすため石油は不可欠。 日本は石油輸入の約8割を米国に頼ってきたが、中国との戦争に深入りし、ナチスドイツなどとの軍事同盟を結んだ日本に米国は反発を強めていた。 いずれ、石油が禁輸になるかも知れないという情勢にあった1941(昭和16)年当時、国内に約6100万バレルの備蓄があるとする前提から軍の試算は始まったという。 A氏:3年間戦争が続いた場合、総消費量は約1億700万バレルで、対する3年間の供給能力は、備蓄に、秋田など国内油田からの生産分やソ連など中立国からの輸入で賄っても約400万バレル以上足りない。 さらに日米主力で決戦があった場合、これに加えて300万バレル余り不足する。 私:しかし、人造石油の増産や、蘭印(オランダ領東インド、現インドネシア)石油の獲得量を増加できれば、不足分を賄えるとはじいた。 これは海軍省の対英米強硬派、石川信吾大佐らが中心になってまとめた報告書の試算だという。 海軍首脳部に提出され、軍部の強硬路線を勢いづける役割を果たした。 だから、日米開戦とともに、軍は蘭印に進出し油田を押さえる。 A氏:ところが、石油を求めて戦いに踏み切ったくせに、輸送のためのシーレーン防衛はお粗末で、42年から45年にかけて、南方では約1億2千万バレルの原油が生産されたが、日本に送られたのは約3千万バレル。 それも43年をピークに、45年はほとんど輸送できなくなる。 私:資源地域を押さえても、武器も民需製品も生産拠点は日本本土だが、日本軍はタンカーや輸送船の護衛を怠ったため、米潜水艦などの餌食となり、420隻のタンカーの7割を失う。 専門の海上護衛総司令部の創設は、ようやく43年11月になってだったが、既に戦う力も民力も疲弊していた。 己の実相に気付かぬまま、無謀な消耗戦に乗り出したとしか言いようがないと筆者は指摘する。 A氏:実は、筆者が言いたいのは、安倍首相のアベノミクス「新3本の矢」に出てくる2020年ごろに名目GDP(国内総生産)を600兆円、20年代半ばに出生率を1・8にするという数字だね。 私:経済成長率も出生率も「現実の実相」はその数字とはほど遠いね。
2016.01.14
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私:民族対立や大国の争いに翻弄されてきたギリシャや中東欧の歴史を専門とする気鋭の歴史家、マーク・マゾワー氏へのロングインタビューだ。 相次ぐテロや難民問題に揺れる欧州で、排外的な政治思想が勢いづいているように見える。 欧州の2016年は、とても深刻だという。 多くの人が職を失った経済危機に十分にできていないなかで、難民危機が起きている。二つの危機に隠されたように潜んでいる根深い問題は、欧州の高い失業率をどうするのか、で、欧州連合(EU)は若者に仕えているのか、高齢者に仕えているのか。 この構造的な問題から目を背けたままでは結局、解決には至らないという。 A氏:欧州にとって難民問題は新しい話ではなく、20世紀の欧州史を見ると難民史と言えるほどで、島国にいる日本人には想像もつかない状況だね。 ロシア革命、第2次大戦、東西冷戦、様々なきっかけで多くの人が移動を強いられ、また、欧州が復興をとげた1950年代の経済成長は、北アフリカやカリブ地域、インドやトルコからの移民の労働力によるところが大きかった。 ただ、今回の危機にはシリアという、欧州の存在感が大きくない地域における戦争から生みだされた難民だという独特の難しさがあるという。 私:20世紀の欧州の歴史から学ぶべきことは、民主主義がもろくも崩壊し、独裁政治を許したのが欧州の20世紀だということだ。 敗れた45年以降、民主的な欧州をとても注意深く再建し、人権や自由を価値として強く意識し、人種差別をタブー視した。 そんな欧州社会の個性が、難民問題で強い圧力にさらされている。 A氏:冷戦後には人種差別をタブー視した「民主主義の勝利」が語られたが、いま、そんな話は聞かなくなり、共産主義に勝ったのは民主主義ではなく、資本主義だった。 排外的なナショナリズムや人種差別との戦いは何度も繰り返され、終わることはないと教授は言う。 私:教授は中国の成長はあまり評価していないね ほんとうの危機は、テロリズムや気候変動といった世界共通のリスクに協調対応できない国際関係の隙間をついてやってきており、世界はいま、マネーが自分勝手に駆けめぐるグローバルな資本主義によって富の不平等が拡大しているという。 政治が取り組むべきは成長よりも、むしろ富の再配分への介入だと教授は指摘する。
2016.01.13
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私:生活に困った人を生活保護の手前で支える「生活困窮者自立支援制度」が昨年4月に始まり、自治体には相談窓口が設けられたという。 利用者が多い窓口には、高齢者の姿も目立ち、年金だけでは暮らしていけない「老後の危機」が浮き彫りになっているという。 A氏:大阪市淀川区の73歳の男性の例では、担当者と面談を重ね、昨年6月にチラシを配る歩合制の仕事が決まり、週1日の勤務で、8月分の給料は約1万4千円。 希望額には届かないが、「なんとか一息つきました」とほっとした表情を見せたという。 しかし、窓口の設置場所や住民への周知方法は自治体によって異なるようだ。 私:一方、自治体の担当者からは「困窮者相談が生活保護の呼び寄せになり、財政負担が増える」と積極的でない声も聞こえ、困窮者の早期発見・早期対応で自立につなげるという制度の趣旨を浸透させることが大切だという声もある。 これに関連して、たまたま、今週の「週間朝日」に「日本より救われる米国の下流老人」という記事があった。 A氏:米国の貧困率は14.8%だが、65歳以上では10.0%。 ところが日本の貧困率は16.1%だが、65歳以上だと18%と国全体の貧困率は大差ないのに、65歳上では日本のほうがはるかに高いという。 私:日本では生活保護の申請者の親族の保護照会があるが、親族に保護を課しているのはイタリアぐらいでアメリカ、イギリス、オーストラリアなどほとんどの国は個人の資格だけだという。 日本では親族への扶養照会があるから、生活保護を申請したくないという高齢者は多く、孤立死の原因にもなっているという。 だから、日本の生活保護の捕捉率は先進国中最低の18%。 フランス91.6%、スウェーデン82%、ドイツ64.6%だという。 A氏:アメリカには下流老人に対するいろいろなセーフネットがあるね。 フードスタンプという補足的栄養支給プログラム(SNAP)、補足的保証所得(SSI)、 貧困家庭一時補助(SSI)、子どものいる困窮家庭一時扶助(TANF)などがあるね。 私:医療費も高齢者向けの公的医療保険メディケアでほとんどカバーされる。 それに日本には世界的に特異な定年制があるね。 一億総活躍だというのにね。
2016.01.12
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私:埼玉県の朝霞駐屯地で約1年前にあった陸上自衛隊と米陸軍の共同図上演習で、医療衛生部門だけは終始ぎくしゃくし、米側は不満を募らせた。 自衛隊の未熟さのせいだったという。 A氏:実戦経験がない自衛隊。 アフガニスタンやイラクだけでも6千人を超す戦死者を出した米軍。 自衛隊と米軍とでは医療活動への取り組みに大きな開きがあるね。 私:昨年9月末、防衛省の医療・衛生部門の幹部たちは、発売されたばかりの月刊誌「WiLL」の記事見出し「あまりにお粗末 自衛隊の医療体制」に度肝を抜かれたという。 筆者は自衛隊医療の内情をよく知る東京都立広尾病院の佐々木勝院長。 自衛隊の救護能力の向上のため、同省が4月に設けた有識者検討会の座長でもあった。 A氏:昨年10月、岩田清文陸上幕僚長自ら「第一線救護から治療後送に至る全てにおいて改革を実行する」と、「救命ドクトリン」と呼ぶ指針を作成した。 重要なのは受傷後、病院に搬送するまでにどんな救急措置を施すか、その中身にあると幹部は言う。 「ドクトリン」には、まだそうした具体性が欠けているという。 私:防衛省がモデルとしているのは米軍が10年ほど前に刷新した外傷治療制度だ。 防衛省は将来、法改正などによって救急救命士の資格を持った隊員に教育を行い、医師免許をもつ医官と同じように、のどを切開して気道確保したり骨髄に点滴をしたりする外科的施術を可能にしたい考えだという。 A氏:自衛隊の衛生装備品の貧弱さもネック。 現状では、仮に適切な応急処置後に搬送しても、緊急手術を行う師団・旅団の収容所や野外病院に常備できる手術台は2台程度が限度。 10人単位で負傷者が出たらお手上げになってしまう。 慢性的な医官不足が追い打ちをかける。 陸自の医官は531人(一昨年度)いるが必要な定員の約68%。 防衛医科大を卒業しても、条件のいい民間病院への転出が後を絶たないという。 私:「モノとヒト、カネには限界があり、理想に近づけるよう努力するしかない」と陸自の担当者は話す。 ところで、昨日、偶然、「スターリングラード戦」をドイツ側から描いたドイツ映画を見たが、多くの負傷者は医師不足で死んでいく。 最後は、荒野で動けず、凍死していく2人の戦友の静かな姿の映像で映画は終わる。 自衛隊は、どうなるだろうか。
2016.01.11
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今週、興味があった本は、下記の3冊。 1.「23区格差」池田利道〈著〉・評者・速水健朗(コラムニスト) これは、書評欄でなく「売れてる本」欄に紹介があったもの。 本書は、23区をデータで精査し、「東京一極集中」とはいうが、内実を見ると、東京を一括りにできないことがわかる。 23区内で最高の所得水準は港区。 最下位の足立区とは約2・8倍の格差。 差は急速に開いていて、全国的に所得水準は下がっており、足立区も例外ではない。 だが、港区の所得水準は上がっていて、所得増加率が、急上昇するのは2000年代半ばで、著者の分析によると、外から高額所得者がやって来たという。 一方、東京の合計特殊出生率は、47都道府県中最下位だが、この10年間で子どもの数が増えた都道府県は、神奈川と東京のみで、神奈川は0・3%増、東京は4・0%増、23区に限れば5・1%の増加。 東京の出生率は低くとも、人口増加に伴い、子どもの数も増えているという。 一極集中を食い止めれば人口減に歯止めがかかるという論理もどうやらアヤしいという。 2.「プーチンの実像 証言で暴く「皇帝」の素顔」駒木明義、吉田美智子、梅原季哉〈著〉 ・評者・星野智幸(小説家) 関係者約20人の証言からなるこの本を読んで、評者はプーチンという人間をよけいわからなくなったという。 何しろ、人によって見え方がまったく違うのだ。 冷たく、笑わず、内心の読めない人物だという者もいれば、ざっくばらんで率直で誠実だという者もいる。 柔道の山下泰裕氏や森元首相との絆が詳細に描かれるのだが、ここでのプーチンの言動は、読者が心酔しそうになるほど魅力的だ。 評者はこんな姿のプーチンを知らなかったという。 3.「鉄道への夢が日本人を作った 資本主義・民主主義・ナショナリズム」張イクマン〈著〉・評者・原武史(明治学院大学教授) 外国人の著者の眼には、鉄道は近代化日本のインフラの一つではなく、近代日本のナショナリズムを規定する「下部構造」として映った。 本書は歴史社会学の視点を取り入れた政治思想史の研究書でありながら、主人公は思想家でなく、あくまでも鉄道という「モノ」で、鉄道が物神崇拝の対象となり、そこから言説化されない政治思想が形成されてゆく過程を、本書は見事に描いている。 それは同時に、既存の学問体系に安住している日本のアカデミズムへの反省を鋭く迫ってもいるという。
2016.01.10
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私:保守の論客、佐伯氏の1月度の寄稿だね、 今年は、投票権年齢の引き下げがあり、憲法公布70年にあたり、また、場合によっては、次の参院選で憲法改正が論議される可能性もあり、憲法や民主主義といった概念がふたたび焦点になると考えられる。 おまけに、「主権者教育」などといわれていて、特に若者に政治意識や社会的関心を植え付けようという。 佐伯氏は、つい笑ってしまうという。 微笑ではなく苦笑である。 「主権者を教育する」。いったい誰が? どのように? A氏:民主主義も国民主権も憲法も、実は、たいへんわかりにくい概念で、主権者教育というなら、そもそも民主主義とは何か、主権とは何か、といったことをまずはじっくりと考えてみてはどうであろうかとして、佐伯氏は、いまからちょうど100年前の吉野作造の「民本主義」を引用している。 私:吉野は、あくまで、「民主主義」と「民本主義」は違う、という。 「民主主義」では国民が主権者であるが、「民本主義」はそこまではいわない。 大事なことは、政治とは国民の利福と意向を目的にして行われる、という一点であって、この人民のための政治を「民本主義」という。 主権がどこにあるかはそれほど重要ではなく、君主政であれ民主政であれ、主権者は人民の利益や福祉のための政治を行わねばならないと彼はいう。 A氏:吉野は「国民は本来愚かなものである」という衆愚説は採らない。 あくまで主体は国民にあるが、国民は、政策上のいちいちの論点を的確に吟味するほどの時間も材料も関心ももっていない。 だとするとどうすればよいのか。 国民は、政治家の人物、経歴、人望などを比較して、誰に任せればよいかを判断すればよい。 必ずしも個々の問題について自分の積極的見解をもつ必要はない、ということになろう。つまり代議制である。 私:代議制に基づく議会主義の政治と、国民主権の民主主義は、理念の上では、かなり異質なものなのであると佐伯氏は言う。 われわれは無条件に、政治は「世論」に従うべきだという。 しかし、「世論」も多様な意見の集積を統計化しただけ。 つまり「主権」という言葉はたいへんに危うい言葉である。 そのことを「主権者」であるわれわれは決して忘れてはならないという。
2016.01.09
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私:2015年12月の地方選の結果の通り、フランス全体ではここ数年で、右翼が得票率を15%から30%まで伸ばし、40%を記録した地域も複数あったほどだね。 A氏:背景には失業の増加や排外的な感情の高まり、そして政権与党の左派に対する強い失望があり、彼らがやれることはすべてやった、だから、これまでと違うことを試さないといけない――、そんな感情が広がっているのだとピケティ氏は言う。 私:欧州では、社会や教育について共通の土台がないにもかかわらず、単一通貨ユーロに対し、19の異なる国の公的債務、市場が自由に投機できる19の利率、自由競争する企業に課される19の税がある。 そんな通貨はうまくいくはずないし、今後もうまくいかないだろうとピケティ氏は悲観的だね。 今日、欧州は憎悪やナショナリズムに向かう誘惑に脅かされていて、反撃をするには、適切な制度を整備して将来を見据えることができる少数の国が核になり、経済成長や雇用創出のためユーロ圏の社会と民主主義を作りなおす道しか残されていないとピケティ氏は言う。 A氏:ピケティ氏は、クルーグマン教授氏同様、財政規律優先策には反対だね。 財政規律を妥協なく適用した結果、15年のユーロ圏のGDPは07年の水準まで回復しないままで、遅まきながら、欧州中央銀行が介入して12年に新財政協定が結ばれ、7千億ユーロ(1ユーロ=約130円)の資金をもつ欧州安定メカニズムが発足。 債務の分散を可能にすることで、ようやく鎮火に成功したとはいえ、根本的な解決にはなっていないし、GDPの回復は微々たるものに過ぎず、ユーロ圏の信用危機はくすぶり続けているという。 したがって、ピケティ氏は、ユーロ圏加盟国が債務についての会議を開く必要があり、公的債務全体を軽減すべきだという。 債権者からみても、経済成長に投資するためには債務を軽減した方がよいという。 私:このようなプロセスを踏むには、新しい民主的な統治機構が必要で、それを導入できれば、これまでのような失敗を繰り返さずに済む。 具体的には、納税者と国家予算を巻き込むために人口に応じて各国議会から選出された議員で構成されるユーロ圏の議会を発足させる必要があるという。 新たに難民問題をかかえ、ヨーロッパは危機を脱することができるだろうか。
2016.01.08
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私:2016年が明け、日本、そして世界は今年、どんな方向に進むのか、記者が識者とともに考えるというこの欄で、2人目は、牧師でNPO法人抱樸、ホームレス支援全国ネットワーク理事長、学生団体SELDs(シールズ)メンバーの奥田愛基さんの父でもある奥田知志氏だね。 A氏:奥田氏は、一億総活躍というスローガンは結構だが、活躍できるためには、環境が必要で、格差が広がる中で「みんな活躍しましょう」と言っても、スタートラインが違うという 福島など被災地も含め、この「総活躍」に包摂されているかが気になるという。 私:奥田氏が、ホームレス支援を始めた80年代は日本の労働人口の約85%が正規雇用だったが、今やそれが6割に減り、非正規雇用が4割。 再就職できたとしても不安定な雇用が受け皿となっている場合が多い。 この30年で社会が不安定になった。 これは景気の問題でなく構造の問題だという。 非正規雇用ではひとつの地域に長く暮らせず孤立しやすいが、雇用や賃金の安定化など拡充すべき社会保障枠は細り、自己責任論や自助努力が今の政権で強調されている。 A氏:正規と非正規の平均給与には倍以上の差があり30代男性の場合、非正規の既婚率は正規の半分以下。 その現実を問わぬまま、子どもを産み育てましょうというのは無理。 「新3本の矢」で「介護離職ゼロ」と言いつつ肝心の介護報酬を引き下げているが、これでよいのかと奥田氏は指摘する。 私:一億総活躍というようにスローガンはことばだが、実現してこそ意味を持つもの。 またスローガンという強い光が当たると影が一層濃くなり、その部分が見えなくなる。社会保障費の抑制や派遣法改定で生涯派遣の若者たちが登場する恐れがある中で、日替わりのようなスローガンに国民の目先を変えてごまかすようでは困る。 影の部分からスローガンを見直す必要があるという。 A氏:アベノミクスの「3本の矢」がどうなったか検証しないまま、「新3本の矢」のスローガンが出てくる。 スローガン政治が成立するのは、国民の意思と記憶は継続しないと権力側が思い込んでいる証拠だという。 私:奥田氏は、高成長への回帰だけを社会の価値とせず、低成長でも人口が1億人を切っても、みんなが生きたい、と言えるような社会が必要という。
2016.01.07
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私:ここ数年、公共図書館で「読書通帳」の導入が進んでいるという。 銀行ATMのような専用端末に通帳を通すと、自分が読んだ本のタイトルや貸出日を記録できる仕組み。 図書館によっては、導入後の児童図書の貸し出しが2倍に増えたところも。 通帳に記帳する仕組みを楽しみながら、読書意欲を高めようという取り組みだね。 A氏:「読書通帳」を開発した内田洋行(本社・東京)によると、現在全国の12市町が機械を導入。 図書館システムと連携したATM風の専用機に「読書通帳」を入れると、借りた日や書名、作者名などが印字される仕組みだ。 図書の定価も記帳できるため、「金額にしていくら分の本を読んだ」という記録も残せるという。 私:通帳の大きさは、実際の預金通帳とほぼ同じサイズ。 ICタグが取り付けられており、専用機で登録をした後に使える。 1通あたりの発行費用は数百円ほどかかるが、導入している図書館の多くでは、銀行や書店、地元企業にスポンサーとなってもらい、通帳に企業名を入れている。 こうした取り組みをすることで、子どもたちに無料で配布できるという。 A氏:全国的に導入が進んでいるが、価格は導入費用も含めて1台500万円ほど。 ためらっている図書館もある。 そこで内田洋行では、カウンターにも設置できるコンパクトサイズの低価格商品を発売し、公共図書館だけでなく、学校への普及も目指している。 私:同社ユビキタスライブラリ部の部長・中賀伸芳氏はこう話す。 「地方創生・少子化・子育て支援といわれる中、地域の中で図書館の役割は、ますます重要になってきています。読書通帳を通じて、子どもたちだけでなく、お母さん・お父さん・おばあちゃん・おじいちゃんの笑顔も増やしていきたいと思います」。 まだ、横浜市の図書館ではやっていないようだが、俺はブログを記録媒体にするので、使わないだろうね。 たしかに子供向きだね。
2016.01.06
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私:2016年が明け、政治が始動し、日本、そして世界は今年、どんな方向に進むのか、私たちは何をものさしに判断し、先行きを見つめていけばいいのか、その補助線を求めて、記者が識者とともに考えるということで朝日新聞はこの欄を設けた。 トップは内田樹氏。 氏は、今は地殻変動的な移行期の混乱の中にあり、グローバル資本主義は、収奪すべき植民地も第三世界ももうないし、投資すべき先がない。 だから、自国民を収奪の対象とするようになった。 貧者から吸い上げたものを富裕層に付け替え、あたかも成長しているかのような幻想を見せているだけだという。 「資本主義の終焉と歴史の危機」水野和夫著と同じだね。 A氏:成長がありえない経済史的段階において、まだ成長の幻想を見せようとしたら、国民資源を使い果たすしか手がない。 今はいったんブレーキを踏むべきとき。 成長なき世界でどうやって生き延びてゆくのか、人口が減り、超高齢化する日本にどういう国家戦略があり得るのか、それを衆知を集めて考えるべきときだという。 私:世界ではいま左翼のバックラッシュ(反動)が起きているという。 米国大統領選で民主党の指名争いでは、社会主義者を名乗るバーニー・サンダースがヒラリー・クリントンを急追している。 カナダではリベラルのジャスティン・トルドーが成長よりも融和を重んじる国家ビジョンを提示した。 どうやって成長させるかより、限りある資源をどう国民に公正に分配していくかに社会的な関心が移りつつあるとみている。 A氏:選挙については、民主主義というのは実は危険な仕組みであって、一時的な激情に駆られて暴走しやすい。 現に、20世紀の独裁政権の多くは、ドイツでもイタリアでもフランスでも、民主的な手続きを経て合法的に成立したものだね。 私:でも、内田氏は、歴史には必ず補正力が働き、ある方向に極端に針が振れたあとは、逆方向に補正の力が働き、歴史はジグザグに進むという。 いまは針が極端に行き過ぎた後の補正段階に入っている。 世界的なスケールでの『左翼のバックラッシュ』も、日本に見られた『暴走する老人とそれを制止する若者たち』という逆説的な構図もその兆候だと内田氏は見ているという。
2016.01.05
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私:こないだ、横浜市内の住宅地を歩いていたら、盛んに水道管工事をやっていた。 掲示を見たら耐震工事だという。 今朝の新聞を見たら、丁度、それについての記事があった。 厚生労働省は、全国の水道管で震度6強程度の揺れに耐えられるのは、2014年度末で36・0%だったとの調査結果を発表したという。 前年度より1・2ポイント増えたが、22年度末までに50%以上にする国の目標に対し、低い水準が続いているという。 A氏:浄水施設や配水池を結ぶ主要な配管について、地盤条件なども踏まえて耐震性を評価する「耐震適合率」を調べたが、総延長約9万7千キロのうち、基準を満たしていたのは約3万5千キロ。 都道府県別で高かったのは神奈川64・5%、愛知55・4%、千葉53・7%など、低かったのは和歌山22・9%、愛媛と鹿児島23・2%などだという。 私:今日の新聞は水道管の耐震性よりも一面トップで「老いる水道管、漏水が頻発 『水の4割ムダ』自治体も」と題して、「水道管の水漏れ」などで水道水がむだになる割合(無効率)が20%超と極めて高い水道事業体(自治体や企業など)が、全事業体の16%にあたる236に上り、「老朽化した水道管の更新」が追いついていないことがわかったと報じている。 A氏:地方を中心に「人口減によって料金収入」が減り、「予算不足」で更新費用を捻出できずにいる背景がある。 専門家は「漏水20%超は、老朽化した水道管が限界を迎えていることを示している」という。 私:一般的に水道管の耐用年数は約40年とされ、70年代に造られたものが一斉に更新時期を迎えている。 これらの水道管の更新が停滞することなどで、管の破損事故が頻発しており、水道統計によると、13年度には182事業体のうち133の事業体で計1万1097件が発生し、10年前より2千件以上増え、断水時間は5千時間以上延びたという。 一億総活躍というが、インフラの水が十分にこなくてはね。
2016.01.04
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私:昨年1年のニューヨーク株式市場は、大企業で構成するダウ工業株平均が年間で2・2%下落し、中国経済の減速や原油価格の急落が株式相場の重荷となり、リーマン・ショックが起きた08年以来、7年ぶりのマイナスとなったという。 米国経済の回復に伴い、16年は再び上昇に転じるとの見方が多いが、世界経済の先行きへの懸念や底の見えない原油安など、新年も不安要素は抱えたままだという見方もある。 A氏:16年のダウ平均の見通しについて、専門家の間では「米国の景気は堅調な雇用などを背景に回復が続く。それに伴い株価も緩やかに上昇していく」(エコノミスト)との見方が大勢だというがね。 私:ドル高は国外でもうける比率が高い米製造業には逆風で、業績が悪化すれば株式相場の足かせになるね。 FRBの利上げペースも、投資家の想定以上に速くなると、株式を売る動きが強まり、中東の政情が不安定になったり、米大統領選が混迷したりしても相場の重しになるね。 A氏:原油安も相場の重しとなり、5月に15年の最高値の1バレル=62ドル台をつけたが、新興国経済が減速して原油の供給がだぶつくとの観測が強まり、一時は33ドル台に急落。 昨年12月31日の終値は37・04ドルで、14年末に比べ30%値下がりした。 私:原油安はエネルギー関連企業の業績を圧迫したね。 エクソンモービルやシェブロンの株が大きく売られ、相場全体の足を引っ張った。 原油安は当初、ガソリン価格の下落を通じて個人消費を押し上げ、米経済全体にはプラスとみられていたが、米企業が想定したほどの恩恵はなく、株価の上昇にはつながらなかったね。 俺は未だに米国の景気は堅調な雇用などを背景に回復が続くという原因がピンと来ないんだね。 製造業はよくないし、一体、どの産業で雇用が増えているのかはっきりしないからだね。 世界経済は先行き見通し不透明なまま今年はスタートだね。
2016.01.03
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昨日のブログ「アメージング・グレース@アメリカ・オバマが歌った、ゆるす心」の「アメージング・グレース(驚くばかりの主の恵み)」の歌詞の日本語訳アメージング・グレース 何と美しい響きであろうか 私のような者までも救ってくださる 道を踏み外しさまよっていた私を 神は救い上げてくださり 今まで見えなかった神の恵みを 今は見出すことができる 神の恵みこそが 私の恐れる心を諭し その恐れから心を解き放ち給う 信じる事を始めたその時の 神の恵みのなんと尊いことか これまで数多くの危機や苦しみ、誘惑があったが 私を救い導きたもうたのは 他でもない神の恵みであった 主は私に約束された 主の御言葉は私の望みとなり 主は私の盾となり 私の一部となった 命の続く限り やがて大地が雪のように解け 太陽が輝くのをやめても 私を召された主は 永遠に私のものだ 何万年経とうとも 太陽のように光り輝き 最初に歌い始めたとき以上に 神の恵みを歌い讃え続けることだろう
2016.01.02
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私:昨日このブログでとりあげた歌「アメージング・グレース」とは別頁に日本に様々な音楽を届けてきた2人のDJ、 ピーター・バラカン氏とクリス・ペプラー氏に、「歌の持つ力」「世界を変えた歌」について聞いている。 両氏とも5曲づつ上げているが、共通しているのは、ジョン・レノンの「イマジン」1曲だった。 A氏:ベトナム反戦運動、南アフリカの反アパルトヘイト運動でも、歌の貢献は大きかったという。 歌に力があるから為政者も恐れる。 公民権運動をリードしたピート・シーガーは長年、米連邦捜査局(FBI)に内偵調査されていたという。 私:クリス・ペプラー氏は「上を向いて歩こう」をあげている。 東日本大震災によっても、音楽を巡る環境は変わり、 震災の直後、みな「上を向いて歩こう」を口ずさんだ。 それは確かに歌の力だった。 ただその後、最大公約数的な「小さな幸せ」の歌が多くなったと、居心地の悪さを感じたという。 以下、ジョン・レノンの「イマジン」の日本語訳をかかげる。 日本でもこういう歌が紅白歌合戦で歌ってもらいたいものだね。 「想像してごらん 天国なんて無いんだと ほら、簡単でしょう? 地面の下に地獄なんて無いし 僕たちの上には ただ空があるだけ さあ想像してごらん みんなが ただ今を生きているって... 想像してごらん 国なんて無いんだと そんなに難しくないでしょう? 殺す理由も死ぬ理由も無く そして宗教も無い さあ想像してごらん みんなが ただ平和に生きているって 僕のことを夢想家だと言うかもしれないね でも僕一人じゃないはず いつかあなたもみんな仲間になって きっと世界はひとつになるんだ 想像してごらん 何も所有しないって あなたなら出来ると思うよ 欲張ったり飢えることも無い 人はみんな兄弟なんだって 想像してごらん みんなが 世界を分かち合うんだって... 僕のことを夢想家だと言うかもしれないね でも僕一人じゃないはず いつかあなたもみんな仲間になって そして世界はきっとひとつになるんだ」
2016.01.02
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私:今日から新しい連載コラムが登場したね。 「歌うことは罪だ」と叫ぶ黒覆面の男たちがいるが、為政者によって、禁じられたメロディーもあり、それでも歌は、私たちの人生に欠かせない。 世界の「うた」にまつわる物語をめぐるシリーズだという。 今日は、賛美歌「アメージング・グレース」をとりあげている。 A氏:作詞者はジョン・ニュートン(1725~1807年)で奴隷貿易に長年携わった後、牧師になった英国人。 「彼は大勢のアフリカ人奴隷の売買に手を染めた。罪の償いとゆるしを求め、この歌を作ったのでしょう」という。 私:かつて奴隷取引の拠点だった米南部サウスカロライナ州チャールストン。 ここで昨年6月、白人至上主義の男に射殺された牧師ら黒人9人の追悼式があった。 大勢の参列者を前に、黒のスーツに身を包んだオバマ大統領が壇上に立った。 力強く進んでいたスピーチが、突然止まった。 沈黙が10秒ほど続いた。 何を言おうとしているのかなと思った直後、オバマ氏は伴奏なしで歌い始めた。 「アメージング・グレース なんと甘美な響き 人でなしの私を救って下さった」 たちまち総立ちの大合唱に。 天を見上げ、涙を流す人もいた。 ふだん冷静に振る舞う大統領が、この日は犠牲者一人ひとりの名を、叫ぶように読み上げたという。 A氏:奴隷制は米国を分断し、南北戦争の原因にまでなり、その後も、この歌は差別にあらがう歌として歌われてきたという。 この歌はアフリカ系米国人に、苦難に耐える勇気と強さを与えてきた。 オバマ氏の歌声への熱狂的な反応は、今も苦難にある人々の琴線に触れたからだろう。 私:退役軍人のロバート氏は言った。 「私たちアフリカ系は、奴隷制度や人種隔離をくぐり抜けてきた。 この歌詞を聴くたびに、全ての記憶が脳裏によぎるんだ」。 独立宣言で「平等」をうたった米国は今年、建国240周年を迎えるが、人種や宗教に起因する憎悪犯罪はなおも絶えない。 7年前、初のアフリカ系大統領として華々しく就任したオバマ氏の任期は残り1年。 だが、彼が掲げた「一つのアメリカ」の理想は、いまだ遠い。 それでも、ローリックさんは「ゆるし」を説く。 「我々の歴史は、痛みの歴史。ゆるせなければ、いつまでも憎しみに心を支配される。ゆるすことは、自らを解放することなのです」。
2016.01.01
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