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私:約300頁の大著だが、両国の問題を経済だけでなく、政治や近代史を含めてよくまとめているから、現在のインドと中国を知るには手ごろの本だね。 特に俺はインドには詳しくなかったが、この本は両国を比較しているので分かりやすいね。 著者は女性ジャーナリストであるだけに、数字とともに、具体例が多いね。 それに日本訳がいいのか、原文がいいのか、実に文章が読みやすかったね。 原書の題名がThe Elephant and the Dragonとあるから、「象と龍」だが、日本訳の題名は意訳で「インド」が「象」で、「中国」が「龍」なのかね。A氏:中国に比較するとインドは経済成長が遅れているのではないの?私:そうだね。 第2次大戦後の両国の国内の動きが関係していて興味があるね。 1949年、中華人民共和国が生まれる。 1955年、毛沢東は農業の集団化を行い、1958年に大躍進政策を行う。 これが失敗し、1959年から62年までに3千万人ないし4千万人の人民が餓死する。 これに対して毛沢東に反対する勢力を粛正するため、1966年に文化大革命を始める。 1976年に毛沢東が死去してから、激しい権力闘争の後、とう小兵が中国の指導者となり、毛沢東が禁止していた農業改革を彼は推進する。 農業の市場化だね。 これにより、農村部の収入は改善される。A氏:工業近代化の前に、国内の農業改革があったんだね。私:中国の近代化モデルはシンガポールだね。 シンガポールも一種の独裁国家で近代化を成功した国だから、モデルにしやすい。 とう小兵は1978年にシンガポールに行く。 そして、ソ連のゴルバチョフのような急速な自由化でなく、慎重に近代化を進める。 部分的に外国企業を誘致する。A氏:経済特区だね。私:そのために、空港、港湾、高速道路、一般道、電力、水、住宅などのインフラ整備を進める。 経済特区の成功により次第に特区の数を拡大する。 今の中国は、このインフラ整備をバックに工業国に変身している。 農産物を含め、「物つくり」には、流通の近代化が不可欠だし、流通には整備された道路が必要だね。 ところがインドはこれが著しく遅れている。 インドの空港はボロボロ、道路はガタガタ。A氏:だから、インドは工業よりも、ソフトの仕事が成長しているんだね。 ソフトだと回線だけで全世界とつながる。 インドは英語ができるということと、数学に強いというソフトインフラがあったんだね。私:しかし、インド全体では識字率は低い。 一部の大学卒にしかできないね。 しかし、もともと、人口が多いので絶対数では先進国のソフトの仕事を十分こなす能力はある。 しかし、インドの貧困を解決するには、その膨大な労働力を工業にも向ける必要があり、そのためのインフラ整備が必要だという。 今、インドは中国の成功に驚いて、中国をモデルにしつつある。A氏:しかし、インドは第2次大戦後に独立したが、選挙でトップを選ぶ民主主義国家だ。 その点が大きく中国と異なるね。私:民主主義は、いろいろな人の意見を調整して決めるので時間がかかる。 インドはトップの暗殺が多いのも痛いね。 しかし、21世紀は、アメリカ、中国、インドの三大国が世界を制するとこの本では言っているね。 そして、アメリカは今のままだと、低賃金、膨大な人口の中国、インドに追われて没落するという。 この本の最後の章は、そのアメリカ人向けの警告と励ましだね。 アメリカは戦争で外に気をとられているうちに、国内問題を真剣に考えなくなったという。 中国、インドに対して、アメリカで今後、最も重要な対応策は「教育」充実だという。 中国、インドに負けない革新的な技術なりを創造する力が必要で、それは「教育」だと言い、アメリカは伝統的に創造性を重んずる文化を持っているから、それを生かせば、21世紀も大国として生き延びるだろうとして楽観的だ。 日本も同じ問題を抱えているが、そういう世界の動向をにらんだ戦略的な「教育」となっているだろうかね。
2008.01.31
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A氏:29日の朝日新聞朝刊の木曜日の連載特集「歴史は生きている・東アジアの150年」は第8章の下になり、ベトナム戦争をとりあげていた。 メイン・タイトルは「韓国 軍も企業もベトナム参戦」となっていた。 この問題は君が「和解のために」4の3でとりあげていたね。 この本は、今日の新聞によると今年度の大佛次郎論壇賞を受賞したね。 君のこの本を紹介しているブログに「ベトナム戦争に韓国が参加しており、ベトナムからは『加害性』を公式に追及されていないが、経済論理が優先する決定であったからだという」という記事があるね。 これが頭に残っていたのか、29日のこの新聞記事で、韓国人によるベトナム民間人の虐殺をとりあげていたのが気になった。 新聞では半頁ほど、この記事に割いていた。私:君の「和解のための」知的街道だね。 韓国ではこの事実は軍事政権で隠されていたんだが、金大中大統領の民主政権になってオープンになったんだね。 92年にベトナムと国交正常化し、歴史専攻の大学院生が留学して知ったらしいね。 「韓国軍が、ベトナムで老人や子ども、女性をたくさん殺していた」との記事を週刊誌の「ハンギョレ21」に掲載したのがきっかけだという。 虐殺は少なくとも9千人に及ぶという。A氏:なんで罪もない民間人を多数殺したのか、韓教授は「兵士たちは朝鮮戦争を体験した。共産主義者は人間でない、殺されなければならない、という反共イデオロギーの中で成長した。『アカ狩り』への心理的な準備が整っていた」と言う。 「ハンギョレ21」で告発キャンペーンを展開した韓国の記者は 「私たちは日本の植民地支配の被害者だった。 ベトナム戦争でも兵士が枯れ葉剤を浴びるなど、あくまで被害者だと思っていた。 しかし、虐殺が明るみに出て、『加害者』だったことがさらけ出された」 と言う。私:金大中大統領は、98年ハノイを訪れて、「過去の一時期、不幸な時期があったことを遺憾に思う」と言ったという。 謝罪かね。 これに対してベトナムの首相は「未来を見つめよう」と述べただけだという。 ちょうど、ベトナムは経済改革で韓国は重要なパートナーになっていたので、その配慮があったのではという。A氏:韓国軍はいまだにきちんとした真相調査をしていないという。 過去の清算を掲げてきた盧武鉉(ノムヒョン)政権もこの問題に手をつけていない。私:この新聞記事では、韓国軍が何故、韓国から遠く離れ、自国の安全保障とは一見、無縁に見えるベトナム戦争に30万人を超える兵士を送ったのかと書いているが、それは朝鮮戦争で米軍が戦ってくれた「恩返し」だという。 それと実利がからんでいるという。 当時の朴大統領は、日本が朝鮮戦争の特需で戦後復興をなしとげたことを知っており、その通り、韓国経済はベトナム特需で潤った。 もっとも、日本は戦死者を出さないで特需の益を得たが、韓国は血を流したね。 朴大統領は、ベトナム戦争終了4年後に暗殺されるが、その後は軍人大統領が2人続き、2人ともベトナムで指揮官として活躍したという。 だから、加害者としての戦争を語ることは不可能だった。A氏:でも、今でもイラク戦争に韓国は軍を出している。 イギリスに次いで多い数だという。私:ベトナムで犠牲者の名を刻んだ慰霊碑があるという。 その脇に壁画があり、虎のマークをつけた韓国の猛虎部隊の兵士が手榴弾を手に村民を追い立てる絵だという。 ベトナムの民衆は韓国軍を恨んでいるだろうね。A氏:戦争は誰だって加害者になりえるというきわめて常識的なことかもしれないね。 殺し合いだからね。 ソウルの戦争記念館には、ベトコンをいかに掃討したかを図入りで誇らしげに展示しているそうだね。 矛盾だね。私:戦争はお互いに自分なりの正義はあるから殺すのだからね。 それを一方的に被害者は俺たちだけだという人は戦争を本当に理解していないんだろうね。
2008.01.30
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私:渡邊氏は、現代の経営環境の厳しさが職場環境の悪化のせいにするのは簡単だが、そのような経営環境で組織を導き、結果を出すのが経営者の責任だと言っているね。 その意味で「人材空洞化を超える」の本は経営者の「近視眼的なマネジメント」に対する警告の書としているね。A氏:しかし、それは渡邊社長が強く提言している「教育バウチャー制」の根本にある「競争原理の導入は良いことだ」に反するのではないの? 「競争やめたら学力世界一・フィンランド教育の成功」にあるように、どうも、競争原理の教育への導入は見当違いではないのかね。 伊藤忠の丹羽社長が唯金論の近視眼的な経営者が多いとかって批判していたね。 経営者の関心が利益を出すための効率に向きすぎた結果、正社員の雇用を最小限に抑え、パート・アルバイト、派遣などの非正社員を増やす企業が増えていると批判していた。 例の「国家の品格」の藤原氏は「国家の堕落」で、当時の安部首相の唱える教育の場に市場原理を持ち込む「教育バウチャー」制度はイギリスでは、教育格差を拡大させ、大失敗だという。 その「教育再生」も安倍さんの退場で影がうすくなったね。 「ゆとり教育」も「近視眼的なマネジメント」の結果かね。 地についていない「教育再生会議」だったね。私:渡邊社長が経営するワタミもグループ社員数が3千人を超えたという。 そこで全員にアンケートを実施したという。 「1年以内に辞めようとしているか」「職場に自分の居場所があるか」などの15項目だという。 その結果、8割が前向きであったという。 後の2割をどのように巻き込んで経営するかを考える毎日だという。A氏:その2割がワタミ社の「シュガー社員」なのかね?私:「シュガー社員が会社を溶かす」の著者の田北氏は、昔から「2対6対2の法則」があり、組織には士気が低い社員が2割いると言われてきたという。 俺も製造現場にいて「改善」をするときに、よく言ってきたが、2割の人が「改善」を推進するが、一方で、抵抗する現状維持派の勢力が2割いる。 多数派の6割は様子を見ている。A氏:「風見鶏」だね。 無党派層かね。私:だから、「改善」がうまくいきそうだと、6割が「改善」派になり、一挙に改善が進む。 著者は、その最後まで残る2割の社員にある共通項を見出してきたというわけだ。A氏:それがシュガー社員かね。私:シュガー社員の特徴は「自分に甘く自立心に乏しい」「要求が通らないと会社を突然休んだり、仕事を放棄したりする」「それでいて自分を変えようとは思わない」「すべてまわりが悪いと自己を正当化し、権利意識は強い」ことだという。A氏:「バカの壁」の養老孟司氏は「個性にあった仕事探し」は間違った教育で、仕事を通じて個性が形成されていくと言っているがね。私:企業側は採用時にいかにシュガー社員を見抜くかが最大の対策となるという。 中小企業では人が集まりにくいから、最初から正社員として採用するケースが多いが、最近は、派遣社員に切り替えているのは、シュガー社員にこりたからだという。 そして、従来の日本的な馴れ合いの労務管理から脱却すべきだという。A氏:正社員化も簡単ではないね。私:「ニッケル・アンド・ダイムド・アメリカ下流社会の現実」を読むとアメリカの最下層の労働者は仕事に対して真面目だね。 日本の甘えに満ちたシュガー社員は考えられない存在のようだね。 日本はアメリカの格差拡大の悪いところと、日本の「ぶらさがり」労働の悪いところを残して、職場ではアメリカの良いところ、日本の良いところを捨てたようだね。A氏:日本の労務管理も異質の社員の登場で変わらざるを得ないのだろうか。私:アメリカのように文書でがんじがらめでルールを決め、その通り統制・監視して守らすという管理方法は、時代遅れで古いはずだった。 もっと経営者は働く者を信頼すべきといわれていたのが、また、不信に基づく管理の復活かね。 内部統制を強化するSOX法はそういう考えから来ているね。 3年前にリコーがアメリカに上場するために、SOX法に対応して、業務の帳票の流れを書いた大きなフローチャートが約7千枚、そして費用は8億円かかったという。 なんだか、職場の向かっている先が間違っていることは明らかだね。
2008.01.29
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私:昨日の図書館に予約している11冊の本に上記の「人材空洞化を超える」と「シュガー社員が会社を溶かす」とを追加したよ。 いずれも今週の「日経ビジネス」の書評からだ。 「人材空洞化を超える」は、昨年11月に日本経済新聞出版部刊行。 ワタミ社長の渡邊氏が書評している。A氏:例の教育再生会議で「教育バウチャー制」を強く提言している人だね。私:渡邊氏は、この本は「教育再生」ならぬ「職場再生」の手がかりを発見しようとしていると評しているね。 特に「内部統制」の箇所をとりあげ、「会社が社員の箸の上げ下ろしに近い細かな行動まで監視するのはいかがなものか」と批判的だね。A氏:相次ぐ、日本の企業不祥事は従業員ではなく、会社幹部の不祥事だね。 船場吉兆の不祥事も最初は下がやったと言っていたが、結局、経営陣の不正行為だったね。 アメリカだって、エンロンの不祥事は社長らの幹部の不祥事だね。 それを内部統制と称して、下層の従業員の監視システムを導入したのがSOX法だね。 だから、これを導入しても不正は出ているという。 それにしても、内部統制の「統制」という言葉は嫌な言葉だね。私:戦後、品質管理を英語でクオーリティ・コントロール(Quality Control)と言っていて、日本では略してQCと言っていたね。 全員参加のトータルのTがついてTQCが盛んになって、日本の品質の優秀性の基礎になったね。 ところが、アメリカでは、1970年代になり、日本のQCがアメリカを追い越すようになると急にクオーリティ・マネジメント(QM)のほうがいいと言い出し、日本もやむを得ずTQMに修正する。 コントロールは、人を統制するという意味があり、従業員に好ましい感じを与えないからだと言う。A氏:QCというのは、自分たちが言い出しているのに勝手だね。 品質で追い越された嫌がらせだろうね私:インターネットで図書館でのこの本の要旨を参考までに見ると次のように書いてあった。「丸投げ社員、疲弊した上司と育たぬ若手、むやみな管理強化と仮面職場、進まぬ女性登用...企業に蔓延する人材の閉塞感がいま社員と組織を蝕んでいる。 また、人手不足、ワーキングプア、成果主義への反発などの問題も深刻さを増している。 不満や孤独感を抱え、神経をすり減らした社員の元気を取り戻し、企業の成長につなげるにはどうしたらいいのか? 『日経ビジネス』記者が、企業の最前線を徹底取材した迫真のレポート。」 図書館に予約したが、予約待ちが少なく、近日中に借りられそうだね。 2冊目は、ブックマン社が昨年11月に刊行した「シュガー社員が会社を溶かす」で著者の田北百樹子氏は社会保険労務士事務所の所長だから、これも現場の声だね。 その著者インタビューが掲載されている。 半人前なのに自分には甘く、周囲の迷惑を顧みないという自己中心的な若手社員を「シュガー社員」と名づけたという。 図書館に予約したら、もう36人待ちだ。A氏:こういうタイトルに読者は惹かれるのかね。私:例によって、図書館の本の要旨欄を見たら次のように書いてあった。タイプ1:ヘリ親依存型シュガー社員(「親にだって叱られたことがないのに!」、「なぜ娘に残業させるんだ!」)タイプ2:俺リスペクト型シュガー社員(「そんな仕事は、バイトかハケンにやらせればいいじゃないですか」、「俺、会社では癒し系です」ほか)タイプ3:プリズンブレイク型シュガー社員(「私にこれ以上仕事をふらないでください」、「これだけ資格を持っているんだから」ほか)タイプ4:ワンルームキャパシティ型シュガー社員(「男は家庭ありきです。定時に終わる仕事ならなんでもします」、「作業と仕事の違いって何ですか?」ほか)タイプ5:私生活延長型シュガー社員(「アイス買ってきて」、「私のものは私のもの、会社のものも私のもの」ほか) A氏:子どものときの教育がからんでいるようだね。 「教育再生」と底でつながっているようだね。私:今週の日経ビジネスは他に短い書評で4冊とりあげていたが、その中で伊藤忠商事社長の「汗を出せ、知恵を出せ、もっと働け!」というタイトルの本があったが、上の2冊の現場からの悲鳴を聞くと、このタイトルにはしらけたね。 明日もこの話は続けよう。
2008.01.28
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私:図書館に貸し出し予約している本が10冊を超えた。今日は整理しておくよ。1、07・11・24予約・待ち数21「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」水野和夫/著・日本経済新聞出版社 「要旨」帝国化・金融化・二極化する世界、一国単位ではもう何も見えない。1995年を境に、大航海時代にも匹敵する「世界経済システムの変革」が始まった。第一級のエコノミストが明らかにする、グローバル経済の驚くべき姿。2、07・11・24予約、待ち数21「奪われる日本(にっぽん) 」関岡英之/著・講談社現代新書 「要旨」いま、危機にさらされる日本人の心とからだ、小馬鹿にされる礼節と思いやり。世界に類を見ない我が国固有の価値観。 3、07・12・06予約、待ち数8「受けてみたフィンランドの教育」実川真由/著 , 実川元子/著・文藝春秋 「要旨」日本の中高一貫進学校に通う普通の女子高生が世界一の教育を体験した。塾もない。偏差値もない。なのに世界一。なぜ?フィンランドの公立高校に一年間留学した娘とその母親の両方の立場から書かれた本です。留学の準備から、在籍高校との調整、帰国後の進学・就職まで親子が知りたい情報が満載。 4、08・01・17予約、待ち数4「イギリス経済再生の真実・なにが15年景気を生み出したのか」日本経済新聞社/編 ・日本経済新聞出版社 「要旨」グローバリゼーションを逆手にとれ。衰退し続けた経済を復活させた規制改革、企業経営、金融戦略を活写!日本が学ぶべき再生のヒントに迫る。5、08・01・20予約、待ち数16「アメリカン・コミュニティ・国家と個人が交差する場所」渡辺靖/著・新潮社 「要旨」原理主義、超高級住宅街、巨大教会など、九つのコミュニティの今日的状況を探りながら、アメリカ現代社会を読み解く。多様性を象徴し、内側から社会を支えるコミュニティこそが、アメリカ社会の核である。自らに足払いをかけながら、永遠に革命を続けるアメリカの力の秘密に迫る。 6.07・11・18予約、待ち数10「中国・ロシア同盟がアメリカを滅ぼす日・一極主義vs多極主義」北野幸伯/著・草思社 「要旨」アメリカを没落させるのは簡単だ-米国の弱点を知り尽くした中露が推し進める世界多極化への危険すぎるシナリオとは。新進気鋭の論客が圧倒的なわかりやすさで解説するぶった斬り世界情勢。 7.07・12・22予約、待ち数289「悪人」吉田修一/著・朝日新聞社 「要旨」保険外交員の女が殺害された。捜査線上に浮かぶ男。彼と出会ったもう一人の女。加害者と被害者、それぞれの家族たち。群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?そして、悪人とはいったい誰なのか。 8・07・11・02予約、待ち数8「チョコレートの真実」キャロル・オフ/著 , 北村陽子/訳・英治出版 「要旨」カカオ農園で働く子供たちは、チョコレートを知らない。児童労働、政府の腐敗、巨大企業の陰謀...チョコレートの魅惑的で危険な世界へ。気鋭の女性ジャーナリストが徹底取材した、今なお続いている「哀しみの歴史」。9.07・12・05予約、待ち数9「インドの衝撃」NHKスペシャル取材班/編著・文藝春秋 「要旨」インド人はなぜ優秀なのか?インド経済は本物なのか?インドは大国となりうるのか?「衝撃」の深層は、この本の中にある。大反響を呼んだNHKスペシャル、待望の単行本化。10、07・12・21予約、待ち数72「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」武田邦彦/著・洋泉社 「要旨」錦の御旗と化した「地球にやさしい」環境活動が、往々にして科学的な議論を斥け、人々を欺き、むしろ環境を悪化させている。官製リサイクル運動が隠してきた非効率性と利益誘導の実態とは?地球温暖化を防げない京都議定書-。アル・ゴア氏にとっての「不都合な真実」も次々に明らかになる。11、07・12・23予約、待ち数13「滝山コミューン1974」原武史/著・講談社 「要旨」東京都下の団地の日常の中で、一人の少年が苦悩しつづけた、自由と民主主義 のテーマ。受験勉強と「みんな平等」のディレンマの中で、学校の現場で失われていったものとは何か?そして、戦後社会の虚像が生んだ理想と現実、社会そのものの意味とは何か? マンモス団地の小学校を舞台に静かに深く進行した戦後日本の大転換点。たった一人の少年だけが気づいた矛盾と欺瞞の事実が、30年を経て今、明かされる。著者渾身のドキュメンタリー。
2008.01.27
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私:彼の父はニューヨークに来たときは英語が話せなかったが、30歳を過ぎる頃には事業にも成功し、英語もすばらしく上手に話せるようになる。 独学で歴史書を読みあさり、芸術好きで、週末に時間があるとニューヨークの美術館を巡って過ごしたという。 その美術館巡りで美人の若いユダヤ系の女流画家エラと知り合う。 彼女はすでに一人前の画家として生徒を教え、ニューヨークのアパートの最上階に自分のアトリエを持っていた。 二人は結婚する。 翌年、オッペンハイマーが生まれるが、家はエラが選んだ美術品で飾られていたという。A氏:母親の影響が強いのかね。私:ドイツにいる祖父とは4回会いに行っているそうだ。 オッペンハイマーは祖父を記憶しており「おじいさんの一番の楽しみは本を読むことだった。しかし、おじいさんはほどんど学校に行っていないのだ」と言っていたという。 ある日、幼年のオッペンハイマーが木のブロックで遊ぶのを見た祖父は、建築の百科事典と鉱石標本のセットを彼に与えた。 7歳から12歳までのオッペンハイマーは孤独だが、全霊を打ち込める3つの趣味、すなわち、鉱物標本集め、詩を書いたり読んだりすること、ブロックの組立があった。A氏:孫の好きなことを見出し、それを伸ばそうというおじいさんの目があるね。私:オッペンハイマーが学んだ学校も、ユダヤ教の選民意識に基づくものでなく、もっとオープンな個性尊重の学校であった。 それに資産家となった父は、オッペンハイマーが欲しいものを買って与えた。 後にオッペンハイマーは「子供の頃の私の生活は、世の中にいっぱいある残酷なことや苦しいことに対して備えることを教えてくれなかった」という。 運動は不得意だったが、乗馬と帆船でのセーリングが次に趣味となった。 彼の才能は、あらゆる面で発揮されるね。A氏:偶然かもしれないが、彼の周囲の教育はフィンランド式だね。 創造的な知性が育つ環境になっているね。 「ゆとり教育」だね。 そして彼の才能は一芸に達する者は、万芸に通ずるタイプだね。 なにか底にあるものをすぐに把握できるんだね。私:物を扱う実験物理が不得意で、オックスフォード大学で教えてくれる教授の机に毒リンゴを置いたという事件があったという。 結局、生まれたばかりの理論物理学に向かうために、ドイツのゲッティンゲン大学に学び博士号を取得する。A氏:その大学は当時の理論物理学のメッカだね。 後に、ここに残った学者がヒットラーのために原爆を作ろうとするね。 逆に、オッペンハイマーはドイツに負けるなと原爆の開発を急ぐ。 しかし、ヒットラーは、理論物理学はユダヤ人の学問だとしてあまり重視していなかったようだね。 ところで、オッペンハイマーは共産党員だったの?私:証拠はないが、戦前から知識人として政治にも知的興味を示していたので、付き合いも多かったようだね。 結婚後も付き合っていた女性は共産党員で、自殺しているね。 妻も党員で、最初、党員と結婚していたが、その党員がスペインの戦争に反政府軍に参加して戦死する。 だから妻は再婚だね。 弟も党員だね。 オッペンハイマーはすごい読書家だから、「資本論」も一挙に読んだというね。 FBIがオッペンハイマーを盗聴し出すのは、ある共産主義シンパの会合をかぎつけ、駐車場の車のナンバーを記録して検索したら、その中からオッペンハイマーの車のナンバーが出てきてからだという。A氏:こういう情報が、戦後、冷戦になり、マッカーシズムの嵐にさらされるネタになったのか。 私:しかし、オッペンハイマーはアメリカのために原子爆弾を開発したのであって、ソ連のためでないことは明らかだね。 一時、アメリカを去ってヨーロッパのどこかの大学か研究所に行ってはどうかという話があったが、オッペンハイマーは「私はアメリカが好きになってしまった」と言って断ったという。 しかし、共産主義を含めた彼のその幅広い知識や知的好奇心が、アメリカの原子爆弾開発のプロジェクトの科学的なリーダーとしての能力を培ったのだろうね。A氏:アメリカのプロメーテウスを記念する墓はないのだろうかね。私:わからない。 遺骨は遺言により骨壷のまま、カリブのヴァージン諸島・セント・ジョン島のホークスネスト湾の沖に落とされたという。
2008.01.26
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私:下巻を読んでから、この上巻が図書館から借りられた。 変な読み方だが、このほうがかえって知的興味が沸いて読みやすかったね。 思いがけない発見だね。 この本の原書のタイトルは「American Prometheus・The triumph and Tragedy of J. Robert Oppenheimer」だね。 「アメリカのプロメーテウス・オッペンハイマーの勝利(栄光)と悲劇」ということかね。 A氏:プロメーテウスはギリシャ神話に出てくる神で、神々の姿に似せて創造された人類に、「火」を伝えたとされるね。 しかし、そのため神々の王であるゼウスの怒りを買い、拷問されるね。 オッペンハイマーはアメリカに「原子爆弾」という「火」を与えたという喩えだね。 そして、後に「赤狩り」の拷問にあうという喩えにもなっているのかね。私:オッペンハイマーはアメリカだけでなく、まさに人類に「原子爆弾」という「火」を与えたね。 オッペンハイマーでなくても、人類はいつかは「原子爆弾」を手にしただろうが、彼の存在で、一気に早まったことを多くの人が認めているね。 和訳は上下、2冊だが、上巻は「火」を与えた「勝利(栄光)の巻」で、下巻は「赤狩り」に巻き込まれた「悲劇の巻」だね。 実に、明快なコントラストだね。 しかし、「悲劇の種」はすでに上巻から始まっていることが分かったね。 下巻からの逆読みの効果だね。A氏:人類の最初の「核爆発の火」の実験は、ニューメキシコの砂漠地帯で1945年7月16日午前5時30分に行われたのだね。私:実験場をオッペンハイマーは「トリニティ(三位一体)」と名づけたので、人類初の核実験を「トリニティ実験」という。 詳しいことは「ウィキペディア」にあるが、この本では、オッペンハイマーの勝利の瞬間を詳細に伝えている。A氏:それはウィキペディアにはないね。私:オッペンハイマーは前日、爆弾のある塔に一人登り、最後の点検をする。 実験当日、彼はゼロ地点から1万ヤード南にあった壕にうつぶせになっていた。 カウントダウンが2分になると彼はつぶやいた。 「神様、これは心臓によくありません」 最終秒読みが進むにつれて、オッペンハイマーの緊張はますます高まった。 彼はほとんど、呼吸をしていなかった。 最後の数秒間、彼は前方をじっとにらんでいた。 アナウンサーが「ゼロ」と叫ぶと光の洪水に続いて深い爆発音のとどろきがやってきた。 彼の顔はほころび、大きな安堵の表情に変わった。 隣にいた弟のフランクは「皆、やった!とだけ言ったように思う」と後に述べているという。 このとき、オッペンハイマーは41歳だね。 栄光の勝利者となる。A氏:この実験成功が、翌日から開催されたポッダム会談に出席していたトルーマン大統領に間に合ったわけだ。 後はアメリカの政治的なカードに化けるね。 これは君が「世界を不幸にする原爆カード・ヒロシマ・ナガサキが歴史を変えた」でふれているね。 しかし、オッペンハイマーは優秀な理論物理学者であり、この原爆開発プロジェクトの技術面のリーダーとして多くのノーベル賞受賞者を使ったのに、彼自身はノーベル賞をもらっていないね。 ノーベルはダイナマイトを作り、オッペンハイマーは原爆を作ったのにね。私:それは一つの謎だが、多くの論文を書いているが、まとまった個人的な業績がなかったのかもしれないね。 しかし、彼が天才的な学者であったことは異論がないだろうね。A氏:彼はユダヤ人だね。 何か、親の血統かなんかあるのかね。私:彼の祖父はほとんど教育を受けていない農夫兼穀物仲買人でほぼ中世ドイツそのままの村で育ったという。 父は17歳で兄を頼って、ニューヨークの衣料関係の会社に就職する。 だから、学者一家というわけではないね。 オッペンハイマーの若き日の生い立ちは明日、また、語ろう。
2008.01.25
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私:運転免許を無事、更新したよ。 最寄の警察署に行ったんだが、空いていて、視力検査だけでOKだね。交通安全協会が隣にいて、写真もとってくれた。 1枚でいいのに、2枚とってその分カネをとられたね。 用意したのは、先月受けた「高齢者講習」の証明書、写真、それに更新の連絡をしたはがきだね。 「高齢者講習」というのは、別に合否はない講習だから、受けたというだけの証明書だね。A氏:君の誕生日は2月ではないの?私:誕生日の1ヶ月前から受け付けるので、早めに行ったよ。 というのは、俺は近視なんで、眼鏡をかけるという条件だから、もし、視力テストでだめなときは、メガネを変える余裕が必要だったからね。A氏:しかし、「高齢者講習」で視力も診るだろう?私:一応、メガネをかけて静止視力で0.9だったから、問題ないとは思っていたがね。 警察での視力検査では0.7がボーダーラインだからね。 講習の講師の人も問題ないですよと言っていたがね。 念のためだよ。A氏:慎重だね。私:「高齢者講習」では2つの視力テストがあったね。 一つは、レンズをのぞくと、 小さい点のような輪が次第に拡大してくる。 その輪のどこかが欠けている。 それが分かったらすばやく手前のゲーム機のような小さなレバーで欠けた方向に倒す。 欠けが右にあれば、レバーを右にすばやく倒す。 驚いたことに、俺は静止視力が0.9なのに、この動体視力では0.2だよ。A氏:俺も0.2だったよ。 大体、年相応だね。私:20人くらい講習を受けた人がいたが、皆、同じようなものだね。 講師はグラフで5、60歳くらいから、急速に動体視力が低下するという説明をしていた。 この半日の講習のために6150円を払うんだが、だんだん、年をとると余計な費用が増えるね。 無違反の「優良免許」も5年更新は適用されず、3年更新は変わらずだね。 しかし、このような講習で何とか、安全運転の自覚を強化できればそれなりの効果はあるだろうね。 だんだん、道路を高齢者が運転するようになるからね。A氏:75歳以上で運転免許を更新する場合は、今度は認知機能についての検査を義務化するらしいね。私:まだ、実施がいつからやるか、どういうテストするかは未定だというがね。 また、更新にカネが追加で必要となるね。 例の紅葉マークは任意だったのが、強制になり、違反すると罰金をとられる。 そう言えば、後部席のシートベルトの着用義務は、早々に実施されるようだね。A氏:俺が「高齢者講習」を受けたとき、隣にいた人が「私は絶対にスピードは出さない。これが安全運転のコツだ」と言っていたよ。私:ところが、俺が受けた「高齢者講習」では、講師が車の流れがあるから、マイペースのスピードでなく、流れに沿ったスピードが必要だといっていたね。 年寄りは頑固な人がいるからね。A氏:俺の講習では、講習の最後に講師が質問ないかと言ったら「信号がない交差点で横断歩道があるとき、どのように気をつけたらいいか」と質問した人がいたね。 それが講師が説明すると、また長々としつこく質問をして、しつこいんだね。 つまらない質問につき合わされ、皆、イライラしてきた。 ついに、誰かから「あなたの質問は講習が終わってから、講師に個人的に聞けばいいではないか」と文句が出たね。 俺もわかりきったことをしつこく聞いているなという気がしていたがね。 そしたら、その人は「私は横断歩道で怪我をしたので、皆さんに注意してもらいたくてしつこく聞いているのだ」と言いだした。 険悪な空気が流れた。 講師が「もう時間なので、それは講習の終了後、個人的に話しましょう」で何とかその場をおさめたね。私:車の流れと同じで、「空気が読めない」のかね。 年はとっても柔軟性は欲しいものだね。
2008.01.24
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A氏:文部科学省の学習指導要領の改訂方針が、文科省の諮問機関である中央審議会でまとまり、11年度から新たな方針にそった授業が開始されるという。私:18日の朝日新聞の社説でもとりあげていたね。 今の指導要領は「ゆとり教育」という旗印で6年前に、「生きる力」をつけるため「総合学習」をとり入れた。 それが今度の改訂で授業時間数が増加して、理科や英語・算数・数学が2割から3割増加し、「総合学習」は代わりに減少するという。A氏:「ゆとり教育」が始まってまもなく行われた国際学力テストの「PISA」で日本の順位が落ち込んだのと、学力低下を懸念した人たちの心配とが背景にあるね。私:社説は、授業時間の増加が解決になるのかと疑問視しているね。 そして、「ゆとり教育」の功罪をきちんと総括しないで、方向転換をしていると批判をしている。 ころころ変わる指導要領だね。 国家百年の体系がないために、日本の教育の自信のなさを示しているね。A氏:中教審は総合学習がうまくいかなかった原因について「教科との連携が不十分だった」としているそうだ。私:社説では、具体的にどこに問題があったのか不明確だとしている。 また、文科省が決める指導要領は細かすぎるから、もっと現場に自由度を設けるべきとしている。A氏:実際に、例の和田中学校では授業時間を50分から45分にしてかえって効率を向上したという。 今の指導要領でもできることはたくさんあるはずだね。私:問題は、この和田中学校の成功例を他の中学校が真似ていないことだね。 和田中学校の藤原校長は珍しい民間出身の校長だね。 それが問題だよ。 社説は現場の自由度をあげよと言っているが、現場の校長や教頭の改革能力がなかったら混乱をまねくだけだね。A氏:それにフィンランドでは社会全体で国が目指す人間像に対して協力している。 日本は基本的なことを忘れて、目先のテスト結果でうろうろする。 安倍前首相の「美しい国」の中身のあいまいさはともかく、何かある人間像を目指して教育を変えていこうという基本的なやり方はよかったがね。 それで「教育基本法」を変えた。 教員の質も向上しようとした。 ところが一方で、現場の教員はムダな書類つくりが増加するという矛盾だね。 効果的な武器を与えず、精神論で突っ込んでいく特攻隊精神がまだ、生きているね。私:厳しいね。 そういえば、最近、教育だけでなく、今度のガソリン税問題も、税制の問題、地方格差の問題など、国全体のあり方がからんでいるのに、ただ、与党、野党ともに、目先の議論にはまっているだけだ。A氏:地方格差問題ももっと、地方に自由度をまかせたらいいのではないの?私:東京都の副知事になった猪瀬氏は、そういう考えのようだね。 自由にすれば、地方は知恵を出して独立するようになるという発想だね。 この人はよく調査はする能力はあるが、改革・改善という理屈は分かっていないようだね。 自由が問題解決をするのでなく、人の知恵が問題を解決するんだね。 大きな知恵が出るのは「かけ」みたいなもんだよ。A氏:自由にすると自然に、確実に知恵が出るんではないね。私:制約の中で苦しくても知恵を出す人もいる。 和田中学の例がそうだね。 ところがそういう知恵を出すべき世代が、地方にいなくなっている。 老人が増加している。 そこにいくら自由とカネをつぎこんでも意味がないと思うね。 もっと日本を世界全体の流れの中で、どのような戦略で築いていくのかを明確にすべきだね。 改革を叫んだ小泉さんは改革後の日本の姿を示さなかったから、現在、改革になっているか分からない。 安倍さんは「美しい国」を掲げたが、具体的な行動計画がなくイメージとつながらずに倒れた。 福田さんは戦略なき「目先調整切り抜け」型になってしまった。 日本は前途多難、どうなるかね。
2008.01.23
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私:俺はシックの替え刃の剃刀を使っているんだ。 かなり前から2枚刃のものを使っているんだが、手持ちがなくなったんで、最近、駅近くのドラッグストアに行ったら、どうも、それらしい替え刃がない。 これだろうと思って9枚刃を千円ほど出して買ってきて、本体にはめたら入らない。 型式が変わっているんだね。 替え刃にはスーパープラス・ツープラスと書いてある。 A氏:本体が違うのではないの?私:そうなんだね。替え刃の包装を空けたので、今更、返品するのもどうかと思い、スーパープラス・ツープラスの本体を買うことにして、再度、ドラッグストアに行った。 ところが見あたらない。 店員に聞いたら、「どんどん、新しいタイプが出るのでもう古いタイプは置いていません。注文になります。」ということだったね。 数百円するものらしいので、注文したよ。 インターネットにもあったが、数百円では送料がかかるしね。A氏:そういえば、最近は2枚刃は古くて、4枚刃が出ているね。 俺はひげが濃いせいか、4枚刃がいいね。 まあ、別に1枚刃でも問題はないんだがね。 贅沢かね。私:俺もビジネス現場にいた頃、出張が多かったが、ホテルの備え付けの剃刀はなんだかよく切れないような感じがしたんで、家から2枚刃の剃刀を持って行ったね。 だから、出張用のポシェットには専用の剃刀を入れていた。 要するに、今も家用と出張用の2つある。A氏:替え刃は2週間がめどだというから、1枚百円とすると、年間2600円になるかね。私:たいした金でないといえばそうだが、物はなくなると不便だね。 俺みたいに物持ちがいいと損するようにできているのがいまいましいね。 実は、これは後日談があるんだよA氏:なんだね。私:別なドラグストアによったら、古いタイプの替え刃があったんだよ。 もう、10個入り1個しかなかったがね。 10枚入りで1400円くらいでちょっと高い。 しかし、本体がまだ、使えるんで、買ったよ。 高くついたね。 そろそろ、新製品に切り替えるべきかね。A氏:どんどん、新しいものができると古いものは捨てなくてはならないのは、環境上問題だね。私:そうかといって、剃刀メーカーはどんどん、新しい新製品を出していかないと会社経営がうまくいかない。 電気剃刀も同様だね。 新製品がどんどん出てくる。 古いものはゴミだね。A氏:剃刀ではないが、俺のところに数年前に買った椅子のようなマッサージ器がある。 当時、30万円くらいしたんではないかね。 それが最近、故障した。 部品の磨耗らしい。 交換すると10万円くらいかかるらしい。 ところが今は新製品で安くて多機能のものが出ているんだね。 結局、買い換えることにしたよ。 古いのは1500円くらいで引き取ってくれる。 これはゴミでなく、解体して再利用するのかね。私:再利用で安く東南アジアに輸出する手もあるね。 しかし、剃刀はゴミだろうがね。 後、2、3年で地上デジタルテレビとなるが、これでまた、ゴミが増えるね。 ブルーレイのビデオもそうだね。 8ミリなんてどうなってるの?
2008.01.22
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私:スポーツクラブのヨガをやっているときに、静かな音楽が流れる。 インストラクターはいろんな音楽を選択して使っている。 特に気にしていなかったんだが、最近かかった曲はいいなと思った。A氏:どんな曲?私:明確なメロディーはないんだね。 何かお経でも聞くような感じで、穏やかな気分になるんだね。 インストラクターに「いい曲だね。どういう曲?」と聞いたら、「イントゥー・サイレンス」という曲だそうだ。 一般の店の店頭になく、注文になるだろうということで、次のときにメモを持ってくるということだった。 曲のジャンルは「ヒーンリング」ということだった。 帰りに一応、店に寄ったがなかったね。 その次のときに、覚えていて、「イントゥー・サイレンス」のケースとブックレットを貸してくれた。A氏:店頭になくて注文するなら、「ロングティール」でインターネットで買ったらいいのではないの?私:俺もそう思って、アマゾンで本を買っているので、「イントゥー・サイレンス」を検索したら出てきた。 在庫が少しあるという。 そして、この作曲家のカマールという人のもう一つの「クワイエット・アース」とセットなら、安くなるという案内が出た。 1500円以上は送料も無料なので、セットで注文したよ。 そしたら、早いね。 翌日、宅配便で届いたよ。A氏:聴いてどうだったね。私:何か、俺がスポーツクラブで聞いたのは、もっと、人のハミングが強かったような気がしたが、静かな曲だね。 4曲あるが、最後の曲が「イントゥー・サイレンス」で、まさに沈黙の15分間だね。 そして最後に鐘が鳴り、それで終わりだ。 この無音状態で、最初、インストラクターはちょっと、欠陥商品ではないかと思ったそうだね。 たしかに、完全な無音が15分間流れる。 そして鐘が静かに鳴って終わりだね。 他に3曲あり、4曲で約1時間だね。A氏:ヨガはどのくらい時間をかけるの?私:75分だから、インストラクターは途中、皆が横になってから、曲をかけているようだね。 「イントゥー・サイレンス」のブックレットには、各曲ごとに姿勢のイラストが書いてあって、その姿勢や動作で聞くようになっている。 瞑想する身体と音楽の一体化だね。A氏:沈黙の15分はどういう姿勢なの?私:座禅のように座っても、大の字で寝てもよく、静止状態を15分保つ。 ヨガでも、最後に大の字になって寝て、数分間、インストラクターの指示で体の各部分を足から意識していく。 数分間で数時間の睡眠に匹敵する効果があるという。 中には、イビキをかいて寝てしまう人もいる。 俺も寝た経験があるね。 ところで例の任天堂のWii Fitだが、これにボードを使ってヨガをやるようになっていて、ゲームの最後は「座禅」だね。 ボードに尻を乗せて、あぐらをかき、TV画面に映るロウソクが燃え尽きるまで、揺れ動くロウソクの火を注視して静止する。 これが3分だね。 ちょっと動くと「喝!」と大きな声とTV画面には大きな字が出て「座禅」失敗だね。A氏:「クワイエット・アース」のほうは?私:これも瞑想音楽ということで右脳と左脳のバランスをとるのでヘッドホンで聞くのがお勧めとブックレットにあるね。 ヨガと音とは関係があるようで、「アウン」といって、3つの言葉を連続して数秒ずつ、横になりながら口でお経のように唱えることがある。 「ア」音で下半身を共鳴振動させ、次いで「ウ」音で上半身、最後に「ン」音で全身60兆の細胞を共鳴振動させるのだという。 お経で声を出すのは、心の健康だけでなく、肉体の健康にも良いのだろうね。 「うつ病」予防にいいのではないの?
2008.01.21
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A氏:再生紙偽装がオープンになったきっかけは内部告発だろう? 「露」だね。私:年賀はがきの問題かららしいね。 それにしても、この問題が出てから、各製紙会社の対応が遅い。 再生紙は日常的に生産しているんだろうから、すぐに現場を調べれば、数分でわかるよ。A氏:そんなに簡単なの?私:君はときどき、料理をするそうだが、いろいろな食材を準備するときに頭の中やメモに「レシピ」があるだろう。 なんでも手当たり次第に鍋に投げ込むわけではないだろう。 それと同じで、工場では、「レシピ」があって各材料を計量して投入しているんだよ。 計画してやっているんだよ。A氏:しかも、「レシピ」は頭の中でなく、紙かコンピュータの中にある。 だから、すぐに取り出せるというわけか。私:製紙業は装置型だね。 自動の機械加工で原料を投入すると紙ができてくる。 この原料投入をするときに木材と古紙の配合には「レシピ」がある。 工場から「レシピ」をとりよせるか、工場に行って見ればすぐ古紙の配合率はわかる。A氏:そういえば、例の食品偽装で問題になったミートホープ社でもTVでマスコミが「レシピ」を映していたが、牛肉商品の「レシピ」に、牛肉がなく豚肉が書いてあったね。 投入する数量も書いてあったね。私:要するに、「先に『レシピ』ありき」だね。A氏:誰が「レシピ」を決めるの?私:重要な情報だから、決められた技術者や管理者だね。 だから、先日の記者会見で三菱製紙の佐藤社長が「配合率を決めるのは工場」として自らは問題を把握していなかったと釈明したのは、その通りだね。 鉄鋼なんかもそうだが、装置型の業種は、社長や上級管理者は現場に弱いね。 現場がほとんど、自動装置で生産しているからね。 現場任せ、機械任せの業種だからね。 しかし、機械はデータをきちんと入れないと動かないから、どのように指示し動いたかの記録はすぐわかる。A氏:そうすると「レシピ」を決めて、生産させた工場の技術者や管理者が問題になるね。私:そうだね。 社長から、それなりの責任権限を与えられている。 だから、背任行為だね。 王子製紙の篠田社長は「食品偽装の品質やコスト競争とは関係ない」と言っているそうだが、食品偽装問題だって、別に食中毒を出しているのでなくて、表示と中身の違いという「偽」だね。 今回も再生紙を使っているということで環境に関心ある人はわざわざ再生紙を選択しているわけで、そういう人に対しては「偽」であることは同質だね。A氏:古紙は中国で需要が増大していて、価格が上昇しているから、本音はコストが関係しているのではないの? しかも、これだけ環境問題が叫ばれているのに、環境への意識レベルが問われるね。 それにそれを知っていて、違った「レシピ」で作らせた技術者、管理者の処分が社長からないね。 大企業になると官庁と同じで責任はあいまいだね。 こういう問題が出ると、すぐに第三者委員会のチェックを持ち出すことが多いが、責任逃れだね。 環境のISOでは、定期的な内部監査を要求しているんだからね。A氏:君は環境マネジメントのISO規格の話をしていたが、これらの製紙大手はISOの認証をとっているのかね。 とっているなら、そんなに環境に甘い判断はマネジメントの長の社長としては責任問題ではないかね。私:各社、環境のISO(ISO14001:2004)はとっていると思うね。 いかに形式的なカンバンであるということが、また、立証されたね。 新聞では、昨年夏に日本製紙や王子製紙など15社25工場で大気汚染防止法違反が発覚したとある。 計測値を記録するペンを記録紙から離したり、計測値を書き換えるという改ざんしたりすることが各地で行われていたという。 再生紙だけでないね、環境が泣くね。
2008.01.20
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私:昨年の12月3日にサルコジ・フランス大統領がかっての植民地であったアルジェリアを訪問したね。 このニュースをフランスでTV放送したのをNHKの衛星放送でしたいたのを見たが、ついでにアルジェリアの経済発展を報じていて、建設に中国人労働者が多数参加しているので驚いたね。 俺たちが若い頃は、「ここは地の果て、アルジェリア」と歌に歌われ、外人部隊で有名だったのにね。 それが、今、アルジェリアは石油産出国でもあり、経済はよい。 そこでアルジェリアの経済人は中国人の低賃金に目をつけたわけだね。A氏:それは君がブログでここまで中国の労働者が来ているのかと驚いてとりあげていたね。私:ところが、今度、驚いたのは、今月の文藝春秋(2月特別号)の塩野七生氏のエッセイの「ブランド品にはご注意を」だね。 イタリアのブランド品にまで中国人の労働が深く関わっているとはね。 氏は、イタリアに定住しているので、イタリアの国営放送を見ているのだが、そこで「レポート」というドキュメント番組についてふれている。A氏:俺も読んだが、この番組は放送局でなく、外注制作の番組らしいが、切っ先が鋭く、政党色も関係なく、また、政治だけでなくマスコミまでその裏を徹底的に描いているというね。 そのため、圧力があったのか、一時、深夜番組に追放されたが、視聴率がいいのでゴールデンアワーに返り咲いたという。私:塩野氏は、その「リポート」がつい先頃、放映したイタリアのモード界の実状をとりあげている。A氏:イタリアの行政当局は、製品の30パーセントだけでもイタリア国内で手間をかけていれば「イタリア製」として認められるようにしているという。 だから、「プラダ」と「ドルチェ&ガッパーナ」などのブランド品は70パーセントを中国で生産したものを輸入し、後30パーセントをイタリア国内で作る。私:ところが、その30パーセントですら、イタリアにいる中国人が作っているという。 これを「リポート」の番組でばらしているという。 それも低賃金で働く中国労働者は不法入国者が多く、この番組では偽造パスポートを次々に映し出していくという。 番組で「プラダ」と「ドルチェ&ガッパーナ」の代表者にインタビューを申し込んだが拒否されたという。 しかし、ここまで、中国人が入っているとはね。 何故、イタリアに中国人が多いのか分かるね。A氏:結局、「プラダ」と「ドルチェ&ガッパーナ」などのイタリア製のブランド品は、正直なところ、「中国製」ではないの?私:日本ばかりが「偽」ではないね。 イタリア・ブランドとなると、高く売れるが、工賃は安いことになる。 材料費は大量発注されるので安いはずだしね。 この番組でもそうだが、中国製だからダメというわけでなく、価格が適正かということを問題にしているようだね。 日本人がローマでブランド品を買えば、8万円。 それが「メイド・イン・イタリー」で日本に輸入されると12万円。 しかし、実際はほとんどが中国人の手になる製品だね。 どのくらい、イタリアの誰がもうけているんかね。 このようにして、もうけたカネがファンドで世界を回り、石油価格を上げているのに加担しているのかね。A氏:君がわれわれの飲むコーヒー一杯に対して、コーヒー栽培農家に払われるのは1円か2円だといっていたが、似たような現象かね。 これも誰がもうけていて、そのカネはどこに行っているのかね。 資本主義は貪欲だね。私:塩野氏は、これは趣向の問題だから、それでも買いたい人はそれでもいいが、事実を知って買うのと、知らないで買うのとの違いがあるのではないかと最後にまとめているね。
2008.01.19
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私:韓国では独島(トクド)、日本では竹島の領有権問題が日韓4つ目の紛争だね。 この本を読むと、お互いの言い分を詳細にまとめているが、それを読むと、俺は昔からどちらの領土であったのかは、あまり意味のない議論のように感じたね。 そもそも、昔は領土という意識が薄かったせいもあるね。 これも近代の「国民国家」を意識してからだね。 その前は、広い日本海に浮かぶ小さな島なんで地理的にハッキリしない点があるね。 竹島から少し離れたところに、朝鮮半島寄りに、鬱陵(ウルルン)島という島がある。 俺はこの本を読んで始めて重要な島だと分かったね。 この鬱陵島の近くにまた小さな島があるらしいので、古い記録は、その島と竹島とを混同しているようなものがあるらしい。A氏:「国民国家」意識になると領土の境界と民族主義がきびしくなるね。 先日、NHKのトルコのほうのドキュメント映画を見ていたんだが、トルコの近代化で「国民国家」になると、今まで、地域社会として隣同士で助け合っていたキリスト教系の人とイスラム教系の人が反目するようになるんだね。私:実は、著者の着眼点も似ているね。 竹島は岩だけの人が住めない島だが、「国民国家」時代になって、国の境界として問題になっている。 ところが、視点を鬱陵島に移すと、ここは古くから人が住んでいる島だ。 1800年代末には同島に、朝鮮人だけでなく、日本人が住んでいたということだ。 1882年の調査では、朝鮮人が140名、その82パーセントを全羅道出身者が占めていたという。A氏:全羅道は黄海側だね。 日本海側は慶尚道ではないの?私:著者は、全羅道の人々が構造的な差別と排除の対象に選ばれていた可能性があるという。 流人の島だったのかもしれないね。 ところが、同時にこの島には78名の日本人が暮らしていた。 1990年代になると同島は朝鮮人の戸数450に達し、日本人はその数300で純然たる日本人町を形成していたという。 1900年にも日本人男女が144名暮らしていたという。 結局、その後、彼らは日本に送還される。A氏:さっきのトルコの例のように、「国民国家」としての境界がまだ、不確かな時代の自然な姿だね。 それが分裂して、親しかった隣の人が別れていくことになるね。私:1952年、韓国は一方的に李承晩ラインを敷く。 これにより、日本船230隻が拿捕され、3隻が沈没、韓国から返還されない船は173隻に及び、船員は2791名が抑留、5名が死亡する。 「近代国家意識」はこういう争いを結果として生む。 著者は、この独島問題は、境界として扱わず、日韓共同領域にすることを提案している。 これは国際的に前例のないことではなく、モロッコとスペイン、アメリカとカナダ、英国とスペインの間で領土紛争をそのようにして解決した例があるという。 著者は言うね。 「近代国家の愚かな領土争い、それゆえにあこがれていた西洋-アメリカの軍事介入支配下に入ってしまった哀れなアジアの人々、軍事主義と冷戦の生贄の羊となった彼らのための、象徴的な空間となるべき必要が独島にある」A氏:両国が領土で争っているうちに、世界は国境のない金融資本が世界をかけまわる「新帝国主義」のグローバル時代に入ってきたね。 1997年にタイから始まった国境なきマネーの動きによるアジア通貨危機に韓国は大きな被害をこうむった経験がある。 韓国も日本も貧富の格差が拡大し、少子化、人口減もアジアの先頭を走っている。私:おたがいに罵り合っているうちに、自滅しないように共同して知恵を出すことが必要だね。A氏:今朝の新聞で次期大統領は「謝罪をもとめなくても成熟した外交できる」と言っているね。 盧武鉉大統領の4年間は不毛だったね。私:今度の李新大統領に期待したいね。
2008.01.18
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私:靖国問題は、日本国内でもいろいろ議論があるところで、著者はそれらを紹介しているが、小泉首相の参拝は、「慰霊」でなく、戦死者に対する「謝罪」であるべきだというのが著者の見方だね。A氏:小泉首相は、戦死者のおかげで戦後日本の繁栄があったとしているね。私:俺がこの本で知的興味が沸いたのは、この本で紹介されている韓国の「国立墓地」のことだね。 祖国に対する「献身」が必要だと教えるのは、日本だけでなく「国民国家」である韓国も同じだね。 この墓地のパンフレットによると、その設立目的は 「先烈の崇高なる犠牲と愛国愛族の精神を、国民が継承し、祖国を堅固に守り一流国家へと発展する礎を固める、護国精神の涵養の教育の場となるべく、顕忠・宣揚活動を実施」 とあるという。A氏:なんだか、戦前の日本の靖国神社のようだね。私:そして、護国映画の鑑賞、先烈の写真・遺品や戦利品の展示館や、遺跡をめぐる見学プログラムが児童・生徒に用意されているという。A氏:韓国では加害者としての慰霊はないのではないの?私:著者は、ベトナム戦争に韓国が参加しており、加害者としての戦死者も安置されているという。 ベトナムからは加害性を公式に追及されていないが、経済論理が優先する決定であったからだという。 韓国はイギリスについで多くの兵士をイラクにも派遣しているね。 「国民国家」は死んだ兵士を美化する必要がある。 加害者であったとする記憶は当然、排除され、隠蔽される運命にある。 この国立墓地では、支配者も被支配者もともに眠っているという。 国立墓地では「護国教育映画」があり、その中で、韓国語への愛を通した抗日独立運動を紹介しているという。A氏:「日本」という他者こそ、韓国では「韓民族」としての主体性を確認するうえでもっとも効果的な媒体だね。私:展示室には、朝鮮戦争の戦利品があり、「中共軍二個大隊をせん滅」したことに関するものであるという。A氏:「せん滅」とはすごいね。 中国がよくクレームをつけないね。私:著者は、50歳代だから、日本の軍国主義教育は知らないようだね。 だから、戦死者には被害者意識をもった人も多いことを述べているが、俺たち小学生の多くには被害者意識はなかったね。A氏:そうだね、俺たちは進んで国のために死ぬ気でいた。私:ところで著者は、「あとがき」で2006年夏、ソウルで映画「韓半島」が封切られたのを映画館で見たが、映画そのものはいつものようにいたって反日的だったという。 しかし、映画を見ていた若者たちは、深刻な場面で笑い出したりして、いたって「不謹慎」な態度に終始していたという。 映画よりも観客のほうが成熟していたんだね。 韓国の若者たちはそうやすやすとナショナリズムに煽られることはないかもしれないと著者は思い、わずかながらの希望を持ったという。 明日は、4番目の問題の独島にふれよう。
2008.01.17
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私:最近、アフリカの地図を見て驚いたね。 あの大陸に53カ国があるというんだが、国境がキレイな直線になっているのが多いんだね。 これはおそらく、欧米の植民地化の名残りではないかね。 民族や文化、宗教などを無視した国境の線引きだね。 このために現在の民族紛争の種になっているようだ。 先進国の植民地化は長い間にわたって罪なことをするもんだね。A氏:19世紀、20世紀と「国民国家」の時代だね。 日本は戦後、「国民国家」としての独立性を失うような事態になる。 それが教科書問題に反映する。 それを韓国は問題視するが、韓国も国家としての独立性を強調するためには、民族と文化の「誇り」を教科書で強調する。 それは中国も同じだね。 それなのに、日本が民族の長い歴史から、「戦後レジーム」の空白を反省して、民族としての独立性、「誇り」、「愛国心」を言い出すと、中国、韓国が問題にするのは異常だね。私:韓国の歴史にも1990年代に外国労働者を虐待し、差別している過去があると著者は言う。 1970、80年代に国家指導者と軍が民間人を拷問し命を奪った過去がある。 著者はそれも韓国では教科書に載せるべきであるという。 自国の恥辱を直視していないとして日本の教科書を非難すれば、同時に韓国もまたそのような欲望から自由でなかった事実もあることを明らかにすべきだという。A氏:ところで「慰安婦」問題も教科書問題につながっているね。私:著者は、日本政府は「慰安婦」に対する責任を否定していないし、「慰安婦」問題自体も否定していないが、韓国での一般的な認識は違っているという。 この問題も、沖縄集団自決問題と同じで軍の「強制性」の有無が問題だが、ソウル大学の李栄薫は「強制的」に引っ張られていった「慰安婦」はなく、20万人という数字も当時の人口資料からして膨らまされたものだという。 しかし、自発的に性を売ったわけでなく、背景に男性優位の社会、植民地政策のための貧困などがあり、やむを得ない事情があるとしているね。 それが戦争で引きおこされた以上、戦死者の遺族の補償と同じで著者は「慰安婦」の補償は必要だとしている。A氏:それに対応して日本政府は1990年代以降、「女性のためのアジア平和国民基金」を設立しているね。 形は民間基金のようだが、政府が密接に関係していた。 最初、「軍の関与」を認めていなかったが、1993年には河野洋平官房長官が「軍の関与」を認め、謝罪する。 そもそも、1965年の日韓協定で「国家対国家の補償」は一旦終わっている。 そのカネを当時の韓国政権は、経済復興の投資に使う。私:日本側は「国家対国家の補償」は終わっているから、基金にしたんだが、韓国側は基金では「国家対国家の補償」ではないから真の「国家的な謝罪」ではないとなった。 しかも、この国民基金は自民党単独政権ではもめていて、自社さ連立政権ではじめてできたもので、日本側もそれなりの努力をしているんだが、これが韓国人一般にはほとんど伝わっていなかったという。A氏:韓国では「基金」は日本の責任逃れとして解釈されたわけだ。私:「慰安婦」問題に献身的な努力をしてきた日本人の一人である臼井敬子氏は「国民基金」の関係者だということだけで、韓国への入国を拒否される。 彼女は「良心的な」日本人だったのにである。 彼女は「民族的な自尊心や矜持が、あらゆる人権より勝るという観念なら、この運動は多くの人々の共感を得ることは非常に困難だと思う」と語っているという。A氏:しかし、軍隊には「慰安婦」はつきものだね。私:日本軍兵士でもあった朝鮮人兵士が「慰安婦」施設を利用していた事実、朝鮮戦争当時韓国軍が慰安隊を作り経営していた事実は、韓国国民を当惑させると著者は言う。A氏:戦後、日本はアメリカ占領軍のために慰安所を作るね。 池田勇人元首相がまだ、若い大蔵官僚のときに裏で業者にカネを出す。 一般市民の女性の保護のためだという大義名分だね。私:韓国も同様の目的でアメリカの駐留軍のため同様な施設を基地村に作った。 1970年代に売春禁止法が実施されたが、基地村には適用されなかった。 ところで、この問題は、この本の出版後の昨年、アメリカで人権問題として再燃するね。 明日は靖国問題に移ろう。
2008.01.16
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A氏:今朝の朝日新聞の国際面では、李明博(イミヨンパク)韓国次期大統領がソウル市内での記者会見で、金大中、盧武鉉両政権で続いた「太陽政策」の見直しをすると報じているね。 アメリカをはじめ、日本、中国、ロシアとの関係強化も意欲を示しているという。私:中国では国家主席の特使がすでに、李次期大統領と面会し、「対米関係の回復や対日関係の改善に数多く言及しているが、中国との関係もおろそかにしないという言葉を直接聞きたい」と迫ったと報じているね。 中国側のこの態度は外交上、異例だという。A氏:2004年からの盧武鉉大統領政権は、最初、過去の歴史にふれないとしていたが、日本に対して「賠償」を要求し、そのような日本という国とともにあることを「不幸」だと言い出す。 この政権の後半は異常なまでの反日だったね。 民衆が過激な行動に走る。 韓国の街には「日本人と犬は入るべからず」の札を貼る飲食店も出現する。 2005年は日韓協定40周年であり朝鮮解放60周年なのに、「日韓友情の年」は流れたね。私:この本は、当時、この異常な韓国のナショナリズムに対して、韓国国民に対して書かれた朝鮮語の本で、これはそのその翻訳が中心だね。 著者はソウル生まれで慶応大学、早稲田大学で学び、博士号を取得。 副題に「教科書・慰安婦・韓国・独島」とあるように、両国間で触れれば大火傷をするようなテーマだね。 それを女性で韓国籍の著者が日韓の仲をとることにあえて挑戦した本だね。A氏:ユダヤ人の問題を論じた「私家版・ユダヤ文化論」を君はブログでその1、その2でとりあげていたが、ヨーロッパ人にとっては、ユダヤ問題を論ずるときはユダヤ側か、非ユダヤ側か、どっちかに立つわけで、公平というのが難しいね。 日本人は、その外側にいるから、「どっちもどっちだね」と言って傍観できる。私:これが日本人と韓国人で日韓問題を論ずるときに当てはまるね。 「お前は韓国人だろう、韓国側だろう」 「お前は日本人だろう、日本側だろう」 が結論でもの別れになりやすい。私:教科書問題については、著者は「新しい歴史教科書をつくる会」の問題を中心に論じているね。 韓国側は「つくる会」の教科書が歴史上の事実を「歪曲」しており、「皇軍思想」を鼓吹し、植民地支配と戦争という侵略の歴史を「美化」するものだと批判する。 しかし、「つくる会」の活動は戦後の「自虐史観」に対する反省から生まれているように、韓国側の主張するような「昔から、そして常に」「反省しない」日本が拡大したものではないと著者はいう。A氏:戦後、60年、戦争をせず、反省の歴史があり、それは逆に、国としての存在を脅かすくらいの反省だね。 その間、韓国は朝鮮戦争があり、ベトナム戦争にも兵を送っている。A氏:安倍前首相の「美しい国」「戦後レジームの脱却」も、「反省しすぎ」の結果、正常な国としての存在や「愛国心」が崩壊するという危機感の流れだね。私:2001年に「つくる会」の教科書が検定を通過したとき、当時の福田康夫官房長官は「教科書の歴史認識や歴史観が政府の考えと一致するものではない」と例によって調整型の答弁をしているね。 著者によると、この日本政府の答弁すら、当時の韓国では報じられていなかったという。 当時、韓国は日本の歴史教科書に対して35項目の修正を要求するが、日本が受け入れたのは5項目であった。 中には、教科書の小見出しに「朝鮮侵略」と書いてあるのに本文には「侵略」という単語がないのは「侵略性を隠蔽」するものだという大人気ない指摘もあったという。 韓国に戻された日本側の回答は、議論となった部分がいまだ確定していない「学説」であるため修正できないという内容がほとんどであったという。 著者は当時の韓国側の要求は適切なものでなく、それは韓国側の歴史学者の責任であり、そのような人選を行った政府の責任でもあるとしている。A氏:ところが、要求通り修正をしないとして、政府は民間交流を中止し、日本文化の解放を延期したね。私:侵略か自衛かの、そのもとは、19世紀末の欧米の激しいアジア植民地化だね。 その植民地化を恐れて日本は戦ったと言えば、長い歴史になるね。 その戦いで隣国を敵に回さざるを得ない。 一歩引いてみると、アングロサクソンにしてやられたね。 同じアジアの仲間同士で喧嘩までするようになってしまったね。 明日は第2のテーマの慰安婦問題にふれよう。
2008.01.15
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A氏:11日の朝日新聞の社会面に「図書館の貸し出し記録保存」という見出しがあった。東京都練馬区の11図書館が今月から本の貸し出し記録を一定期間、職員が参照できるシステムを導入すると報じているね。 日本図書館協会は個人情報保護などに関する基準で貸し出し履歴は「本の返却後は速やかに消去しなければならない」としているという。 君は横浜市の図書館の本をよく利用しているが、どう思うかね?私:俺もこの記事は読んだ。 目的は、貸し出した本が切り抜かれたり、書き込みされたりされることが、ここ数年増加しているために、窓口でトラブルを起している対策のためのようだね。 俺は横浜市の図書館を利用しているが、返却時点で本のバーコードを読んでいるので履歴は消去している。 履歴はとっていないようだね。 返却時に別に本が破損していないか、図書館の窓口担当の人は一々、チェックはしていないね。 ただ、一時期、「こんなひどいことをされていました」という切り取りや書き込みの例を展示していたことがあった。 図書館側としては同じ悩みはあるだろうね。 展示して改善されたのかね。A氏:図書館の人はいつ破損を発見するのかね。私:ときどき、抜取りでチェックするか、借りた人のクレームで知るのかね。 俺も書き込みをされた本に出くわしたことがあったが、問題がなかったので、図書館の人に返却するとき言わなかったね。 中には、著者の間違いを指摘した書き込みなんかがあったね。 こういう書き込みは愛嬌があるね。A氏:新聞では「汚損被害の度合いと情報を保存するリスクのバランスの問題」とあり「情報公開して利用者らの理解を得てから始めるべきではないか」と関係者の意見を載せているね。私:俺の場合は、ブログで読書感をオープンにしているくらいなんで、図書館が履歴を知っていても別に問題はないがね。 本の種類によっては知られたくない人もいるのかね。 例えば、病気に関する本なんかーーー。A氏:しかし、それだって、本人が病気にかかっているのでなく、医学的な興味で借りているなら問題がないのではないの?私:ときどき、前の人の貸出票が本の中に忘れて入っていることがあるが、登録番号だけなので、誰かは分からないがね。 情報が漏れた場合、どういう悪用があるのかね。 俺の場合、ちょっと思いつかないね。 インターネット販売のアマゾンでは、俺の買った本の履歴を管理していて、興味がありそうな新刊が出るとメールがくる。 便利なことがあるね。 もちろん、個人情報管理はしっかりやっているという了解のもとだがね。A氏:個人情報保護ということで、社会的な連帯までやりにくいということがあるね。 町内会の名簿、同窓会の名簿、幼稚園の名簿なども場合によってはやめるところもあるらしいね。 例外的な人を保護することになるだけではないのかね。私:人はお互いに依存するのだから、多少のプライベートは犠牲になるのは覚悟すべきではないのかね。 情報過保護にならないようにしたいね。 図書館から借りた本を意図的に破損するような人間を保護するような考えは排除したいね。
2008.01.14
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私:この本は1997年に講談社から単行本で刊行されたものが文庫本になったものだね。 ブックオフで古本で買ったよ。 日本の作家で中国の清朝以降の近代史を小説にしているのは浅田次郎くらいではないかね。 多くの著名な作家は、「史記」「三国志」をもとにした中国古代のものを中心に中国の歴史小説を書いているね。 近代史は現在と関係しているのでいろいろ問題があり難しいんだろうが、浅田次郎は、あえてこの時代に挑戦しているね。A氏:そういえば、司馬遼太郎も日本の近代の明治維新前後を書いたものは多いが、中国の歴史小説となると、やはり「項羽と劉邦」という古代で、近代のものがないね。私:浅田次郎の小説は「鉄道員・ぽっぽや」などのジャンルのものもあるが、中国の歴史小説は清朝末期以降のものが中心で、長編の「蒼穹の昴」、中篇の「珍妃の井戸」、最近完成した長編の「中原の虹」と3つあるね。 「蒼穹の昴」も文庫本になっているが、長編なので4巻になっている。 俺は単行本のときに買ったので、厚い上下2巻だ。 1997年に買っているので、十年間ほど、「積読」だったね。 それで読もうと思ったが、長編なのでなかなか進まない。 たまたま、ブックオフで浅田次郎コーナーを見たら「珍妃の井戸」があったので、これなら一気に読めると思い、順序が逆だがこちらを先に読んだね。A氏:ウィキペディア(Wikipedia)で「珍妃」を検索すると、1900年に24歳で死亡とあり、「清の皇帝光緒帝に最も寵愛された妃」とあるね。 正妻ではなかったが、浅田次郎の小説によるとすでに光緒帝は西欧のキリスト教的な一夫一妻の考えを持ち、珍妃を一重に愛していたという。 この「光緒帝」をさらにウィキペディアで検索すると大変な人生を送った皇帝だということが分かったね。 「三国志」よりも国際的で波乱万丈かもしれない。 清朝13代目の皇帝で1871年に生まれ、3歳で即位、だから伯母西太后が実権を握る。私:日本では廃藩置県が1871年だから、すでに日本は明治維新の真っ只中だね。 清はすでに1840年のアヘン戦争、1856年のアロー戦争、1851年の太平天国の乱とイギリス、フランスにメチャクチャに侵略される。 ロシアも1858年から1860年にかけてアイグン条約、北京条約で清の北辺地域を獲得し出す。A氏:光緒帝が即位したのが1875年でそれ以来も、琉球を失い、清仏戦争でベトナムを失い、日清戦争で朝鮮への影響力を失うね。私:日清戦争が1894,5年だから、光緒帝は成長して20歳代半ばとなる。 浅田次郎の小説によると光緒帝は英明な人だったそうで、この清のふがいなさに危機感を覚え、西太后の傀儡から脱しようと日本の明治維新を参考に、1898年、議会政治など清の近代化をしようとする。 これを「変法運動」という。 そして陸軍の指揮官だった袁世凱の力を借りて、クーデターを計画するが、袁世凱が西太后側にリークしたため、変法派官僚の大粛清が行われ、光緒帝は幽閉される。 「珍妃」も別に幽閉される。 これを「戊辰の政変」というね。 ウィキペディアに詳しく書いているが、しかし、これは袁世凱のリークではないという説を浅田次郎はとっているようだね。A氏:その光緒帝が幽閉中に「義和団の乱」が起き、西太后の列強に対する宣戦布告で列強8カ国(英、米、伊、仏、独、露、日、豪)が北京、紫禁城を占領する。 強奪の限りを尽くす。 西太后は西安まで逃亡し、結局、最終的に膨大な賠償金を払うことで終わるね。私:西太后が西安に逃亡するときに、「珍妃」を殺し、紫禁城の井戸に投げ込むということでこの小説のタイトルの「珍妃の井戸」となっている。 この小説は義和団事件の4年後の設定で、すでに西太后は北京に戻っているが、光緒帝は幽閉のままだね。 ウィキペディアなどにある通説では「珍妃」を殺害したのは西太后の指示であるとしているが、この浅田次郎の小説は違った推理をしているね。 「珍妃」を殺害した真の犯人は誰か、という大きな歴史を舞台にしたミステリーサスペンスになっているね。 だから、ネタはばらせないね。 実によく近代史の資料を調べた小説で、列強に侵略されていく清王朝システムの末期の状況がよくわかるね。 この小説は1904年頃の話だが、この年、日露戦争が始まる。 このとき、29歳の馬賊・張作霖はロシアスパイとして活躍するが、日本軍につかまり捕虜となる。 しかし、児玉参謀に見込まれ、日本スパイに転進する。 浅田次郎の中国近代史小説の最新長編作「中原の虹」4巻は、その張作霖が主人公になるようだね。 まあ、その前に「珍妃の井戸」と時代の順序が逆になったが「蒼穹の昴」に挑戦しよう。
2008.01.13
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私:昨夜、用事で福島市内のホテルに泊まった。 今、帰ってきたんだが、横浜は雨が上がっていたね。 朝、福島市では雨が降っていたが、7時半にホテルの食堂で朝食をしようとしたら、窓の外は雪に変わっていたね。 福島市内では初雪らしく、温暖化のせいか、やはり例年より遅いようだ。 ところで、7時半まで部屋でTVを見ていたらTBS系で「建築なぜ激減?」ということで、新築が激減し、住宅建設業界がピンチだという特集をやっていたね。A氏:昨年はアメリカの住宅バブルがはじけ、その後押しをしていた金融バブルもはじけたね。 中国は今、不動産バブルの真っ最中だが、中国政府は危機感を感じて、金融引き締めに入ったところだね。私:ところが、日本の住宅不況は原因が全く違うんだね。 今朝の新聞広告で「アエラ」の見出しで「土地と株『同時下落』・法改正によるマンション需要4割減で下落加速・建築不況で全産業の経常利益は6年ぶり前年割れ」とあるね。 日本の住宅不況はこの「法改正」が大きな原因だね。 昨年10月に建築法の改正が施行されてから、急に建設が激減していることをTBSTVではグラフで示していたが、ものすごい減少だね。 特にマンションの着工が減っているのが目立つ。A氏:例の姉葉氏の耐震偽装の対策として法律を改正したのが、別な弊害を生んだようだね。私:確かに、罰則による規制を重くしたのはいいのだが、余計なのは、審査を厳しくしたことだね。 あの姉葉問題のときに「姉葉も姉葉だが、審査機関も何をみているのか」といった間違った追及が、間違った対策を生み、その結果が住宅産業の不況だ。 審査を厳しくしたので、設計を2回やると同じようになる。 専門の設計者が2倍必要になる。 そんな手を打つことは不可能だから、審査がどんどん遅れる。 審査する人はあおられて、残業でへとへとになっているという。 新規着工がどんどん遅れる。 建設業界は手待ちとなるから仕事がなくなり、不況と同じ現象が生まれてきた。 つぶれそうな建設関係業者が出始めているという。 冬柴大臣が陳謝していたね。 日銀総裁も景気の足を引っ張る問題としてとりあげていたね。A氏:製造業では検査重視はかえって品質を悪くするという常識があるそうだね。私:トヨタのカンバン方式なんて、外注からの納入は無検査だね。 その代わり、不良品を納入したり、納期に遅れたりすると罰金がすごいらしい。 だから、必死で良品を作る。 それに検査をダブってやると、お互いに責任があいまいになる。A氏:審査機関も厳しい審査をしているのだから、見逃したら今度は責任を問われる。 一方、最初に設計したほうは、同罪だが、次に厳しいチェックをするので、あまり責任を痛烈に感じない。 もともと、最初の設計者がきちんと責任をもって設計すればいいことだからね。私:だから、いまだに姉葉氏の設計偽装の動機がピンとこないね。 国会では、建設会社から無理なコストダウンを要求されたからというが、これは実は後でウソということが分かり、国会での偽証罪に問われているね。 まぁ、製造業では、検査重視はコストがかかるので、できるだけ、製造工程で最初から品質を確保する。 検査は居眠りしていても市場には良いものが供給できるようにするのが、コストも安くて良いものができるというのが原則だね。 今度の耐震偽装の対策は、もとを正常にしないで検査を厳しくしたので、ムダなコストを社会的に負担するようになることは最初から明らかだ。A氏:そのムダな社会的コストの一つが、建設業者の不況状況となったわけだね。私:規制緩和で審査機関の民営化をしたんだろうが、中途半端なやり方をしたもんで、あわてたのか、かえって逆走して、ムダな手間をかけてまた失敗だね。 改正した法令は千ページくらいあるそうで、一体、誰が読んで誰が守るんかね。 規制緩和が結果として悪しき規制強化に逆戻りだね。 規制緩和と言えば、話はとぶようだが、グッドウイルの日雇い派遣の違法はひどいね。 介護保険以降、折口会長は次から次に違法行為だね。 これもいい加減な規制緩和の結果だね。 タクシーだって、規制緩和すれば効率的になって料金も安くなると言いながら、結果は料金値上げだね。 皆、中途半端な規制緩和をした結果が、国民に迷惑をかけて失敗に終わっているね。 規制緩和すると、折口グッドウイル会長のように「悪」の規制も緩和されて野放しになりやすいから、「悪」は規制緩和とともに罰則を強化するなど、「別な規制強化」が必要だね。 国際的な規制強化は、暴れまわるファンドマネーに対して必要だがね。
2008.01.12
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A氏:最近、子供に殺される老人がニュースでときどき報じられるね。 老人を大事にするという文化的な伝統が消滅しつつあるのかね。 これから、こういうニュースは増えるだろうね。私:それとやはり、寿命が延びてきたことが関係しているのではないかと思うよ。 日本は急激に高齢者社会になっているので社会的、文化的に適応がうまくできないんだろうね。 子どもが老人の面倒を見なくてはいけないからね。 老人が90歳台になってくると子供も60歳台、70歳台になるから、大変だろうね。A氏:最近、老人の孤独死も増えているようだね。 老人の一人暮らしも増えている。 都会だけでなく、過疎地も大きな屋敷に老人一人という家が増えているというね。私:過疎地では、問題は足だね。 自家用車が不可欠になっているのが、年をとると運転ができなくなる。 そうすると、移動する範囲が限られて、孤独化が進むね。 都会でも俺の近所では一戸建てでも、老夫婦二人という家が増加している。 夫婦どちらかが死ぬと孤独になる。 俺の隣の家は細君がガンで先に亡くなったので、70歳代の男のほうが孤独の生活だね。 子どもは少子化で、仕事の都合で別に独立しているので、家にはたまにしか来ない。A氏:気が若くても、肉体が着実に衰えている。 他人事ではないね。私:こないだスポーツクラブで、ヨガの常連のおばさん数人が、大声でしゃべっているのを聞いていた。 皆、どこか、膝が痛くて水を抜いているとか、腰が痛いので医者通いだとか、手首が痛いとか、問題があるんだね。 一人のおばさんは若いときにスキーをしていたのだそうだが、そのときに腰を痛めたのが今になって苦痛になっているという。 「もう、あまり長生きしたくない。早く死にたい」と言っていたね。A氏:それにボケになるとますます、やっかいだね。私:昨年秋に同窓会を温泉地で泊まりで開いたときに、幹事が5年後にこの会を解散することを決めたいと提案した。 理由は、後、5年くらいたつと体力が低下して、温泉地にまでくるのが大変だからだと言う。 その幹事は、最近、内臓の手術をして、寄る年波に健康に自信を失ったのだろうね。 自然に任せておけばいいのではないかという反対意見もあったがね。 先日、ある地方の小さな工場を訪問したとき、となりに農家があり、人が住んでいないようで荒れていた。 工場が狭いので買い取ってはどうかといったら、その農家はおばあさんが一人で住んでいて、あまり、家族を寄せ付けなかったらしい。 死が近づいて時に、あらゆる書類を焼却したので、家族が土地を売るにもいろいろな手続きに困っていると言っていたね。 一切の記録を残さないという、そういう死に方もあるんだね。A氏:君が日野原氏の言葉で「老いるには忍耐・辛抱が必要だ」とあるのを引用していたけれど、長寿は必ずしも祝うべきものでないね。 団塊の世代が、80歳代を迎える頃、その問題は大きくなるだろうね。私:やはり、できれば長生きしても、生きがいを持って、最低の健康体で、ポックリ死ぬのが理想だね。
2008.01.11
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A氏:最近、ガソリンの値上げだけでなく、市民の生活に直結する食品などが値上がりしているね それは、背景に世界経済の大きな変化があるね。 それをこの「クローズアップ現代」はうまくまとめている。 君の「新帝国主義論・この繁栄はいつまで続くか」であつかった「新地球帝国」が「サブプライム問題」を機に大きく変質しつつあるね。 1年位前まで繁栄はまだ、続くと考えられていたのに、大きな影がさしてきたね。 世界の動きは最近、ますます、混迷していて、かつ、変化のスピードが加速されている感じだね。私:実体経済の3.5倍のマネーが動いているという。 規制なしで自由に競争する市場がもっとも効率的だという「イデオロギー」が失敗だという結果を示し出したね。 榊原氏が言っていたように自由な競争が効率的だという「市場原理主義経済」の失敗だね。A氏:君の格差街道は非正社員の拡大、派遣社員の増大など「賃金格差の背景」から始まったね。 その源流に「市場原理主義」があることにたどり着いて、そこから「グローバリゼーション新自由主義批判事典」、「悪夢のサイクル」、「国家の堕落」、「働くということ」などとつながる。私:榊原氏は「市場原理主義」の行き詰りが出たと言っているね。 共産主義が失敗したと同様だね。A氏:今まで、アメリカなどの多国籍企業は「個別企業の利益」を追求してきた。 それに中東の産油国やロシアのオイルマネーやチャイナマネーなどが、個別企業の自由な競争でなく、「政府ファンド」として「国益を考えたマネーの動き」が出始めたね。 これも新しい「帝国主義」だね。私:金融バブルは不動産の値上がりに反映する。 すでに、中国も不動産バブルを恐れ、政府系銀行が貸し出しを抑えだしているという。 しかし、今年は北京オリンピックがあるので、政府は強い規制はできないだろう。 問題は今年後半のオリンピック以後だね。 大幅な中国元の切り上げがあるかもしれないと榊原氏は言う。A氏:今回、問題になったアメリカの不動産の価格低下は、バブルの崩壊なので、08年の年末にかけて、さらに下がり、アメリカ消費を減少させるだろうという。 金融バブルの崩壊なので、アメリカでは貸し渋りも出てきて、消費はその面でも低下するだろうという。 アメリカの消費が低迷すれば、アメリカへの輸出が多い中国経済にも悪影響だね。 それに中国は成長の陰に不良債権問題という爆弾を抱えている。私:8日の朝日新聞は7日の財界3団体主催の新年パーテーを報じているが、財界人は後半なんとか持ち直すのではないかと言っているね。 しかし、悲観論もあり、今年はアメリカの大統領選もあり、どうなるかは予測が割れているね。 それに日本でも総選挙があるかもしれない。 ロシアは大統領が変わるが、今後の動きは「プーチン皇帝」が支配する大国ロシアとして「ロシア政府ファンド」が継続して動くのはほぼ確実だね。A氏:オイルマネーはますます、力をつけるだろうね。 アメリカの政治経済の動きが不透明で、まだ、とんでもないことが起きそうだね。私:榊原氏はすでに「ドル帝国の黄昏が始まった」と中央公論で書いているね。 このNHKTVでも榊原氏は荒れ狂う国際的なマネーに対する規制が不可欠だとしているね。A氏:いつか、君がサンデーモーニングでコメンティターの田中秀征氏が「マネーを檻に入れるべきだ」と言っていたのを紹介していたね。私:いずれにせよ、何か国際的に転換の始まりの年になりそうだね。 今年の漢字は「転」かね。 日本は、原油高、株安、円高の中でその大海の荒波に対応できるだろうか。 経済の停滞が心配される新年だね。
2008.01.10
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私:年末、年始にかけての11日間の図書館休館中に借りたのは、「オッペンハイマー」下巻とこの「ニッケル・アンド・ダイムド」の2冊だけだね。 この「ニッケル・アンド・ダイムド」の著者は最近、「捨てられるホワイトカラー・格差社会アメリカで仕事を探すということ」を書いているが、自ら体験してリポートするというジャーナリストだ。 その知的興味で借りた。 「ニッケル・アンド・ダイムドNickel and Dimed」という英語は「貧困にあえぐ」というような意味で使っているようだね。A氏:君の日米のワーキングプア知的街道だね。 「働きすぎのアメリカ人」、「アメリカの非正規雇用」、「窒息するオフィス:仕事に強迫されるアメリカ人」、「ワーキングプア:アメリカの下層社会」、「少子社会日本・もうひとつの格差のゆくえ」、「働きすぎる若者たち・『自分探し』の果てに」、「搾取される若者たち・バイク便ライダーは見た!」、「高学歴ワーキングプア・『フリーター生産工場』としての大学院」と続いたね。私:この「ニッケル・アンド・ダイムド」は1998年から2000年にかけてアメリカの低所得層(ワーキングプア層)にどっぷり入り、全く同じ条件で生活する実際の体験ルポだね。 3章に分かれていて、第1章ではフロリダ州キーウエストでウエイトレスとして午後2時から10時まで時給2ドル43セントとチップを加えたものを収入として働くもの。 第2章は、メイン州ポートランドで掃除婦として午前7時から午後3時半まで時給6ドル65セントで働くもの。 第3章は、ミネソタ州ミネアポリスのウォルマートの店員として10時から6時まで、途中シフト変更で午後2時から11時まで時給7ドルで働くもの。A氏:最低賃金レベルだね。 日本の最低時給とあまり変わらないね。私:生活はギリギリだから、2つの働き先を掛け持っている人もいる。 だから、労働時間は長い。 俺は、アメリカは土地は安いから、家賃も安いのでワーキングプアの家賃負担は少ないと思ったが、日本とあまり変わらず、収入の半分くらいは家賃で消える。 これは俺にとって新しい知識だね。 著者は、アメリカの貧困層の統計で、この家賃の負担が明確でないのが欠点だと指摘しているね。 だから、一部屋を2人で借りる者もあるし、家族と共同で住む人もいた。 ホームレスは登場しなかったが、1名、車で寝る人もいた。 トレーラーで暮らす人も多く、著者もトレーラーで暮らしてみている。A氏:ちょっとしたケガなどするとやりくりが大変だね。私:労働は徹底的な効率追求で、日本でいうと労働基準法違反ばかりだね。 時間給なのに、時間外手当は出さないし、休憩時間も短い。 最後、ウォルマートの店員として、衣服売り場で働くが、ほとんどの仕事が展示している衣類の整頓だという。A氏:展示している衣類は、一度、たたんでおけばそれですむのではないの?私:問題はお客の試着なんだね。 試着して買わないと放り出す。 これが毎日、膨大な数になり、カートに積まれる。 これをまた、もとの展示位置にきちんとたたんで置いたり、ハンガーにかけたりする。 この単純作業で毎日追われたという。A氏:お客がけちらかし、ワーキングプアが片付けるというわけか。 こういうワーキングプアの人は政治活動で賃上げ要求をしないのかね。私:アメリカ経済は伸びているのに、ワーキングプアの賃金は上がらない。 毎日の暮らしで精いっぱいのようだね。 思考力が衰えるようだね。A氏:「貧すれば鈍する」かね。私:著者も、ミイラ取りがミイラになったような心理になりそうになったという。 興味があったのはウォルマートの新入社員への集合教育だね。 1日かかりでビデオなどで会社の歴史を含め、就業する注意点を学ぶ。 ウォルマートは皆家族だから、組合は要らないと説明される。 組合に入ると組合費を取られるだけだと説明されるという。 しかし、実際は違うという。 使う側の戦術が知能化、高度化していることを感じるね。
2008.01.09
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私:1954年のオッペンハイマーの聴聞会記録は非公開のはずだったのをストローズはオッペンハイマーの世間的な信用を落すため、そのコピーが盗難にあったとして公表する。 A氏:汚いことをする男だね。私:オッペンハイマーには、二人の子どもがいた。 長男のピーターは当時13歳で、学校で「お前の父は共産主義者だ」とからかわれる。 長女の9歳のトニーは冷静であったようだ。 しかし、長い目でみるとストローズのこの戦略は逆効果だった。 皮肉にも、これは間違った正義の犠牲者として国内外でのオッペンハイマーの名声を高めることになった。 4年以内にストローズの評判と政府内での出世を台無しにした。A氏:アメリカの国旗についた汚点だね。私:1954年からオッペンハイマー夫妻はバージン諸島の小さな島セントジョンに毎年数ヶ月をすごすようになり、1958年にこの島のホークスネスト湾に別荘を作る。 一方、オッペンハイマーを尊敬していた民主党が1960年代に政権に復帰した。 1963年にケネディ大統領がオッペンハイマーに名誉あるエンリコ・フェルミ賞と5万ドルを贈ることを発表した。 共和党は頭にきたね。A氏:政治的な名誉回復だね。私:しかし、授賞式直前にケネディ大統領が暗殺され、式はジョンソン新大統領によって行われる。 1965年春、オッペンハイマーはプリンストン高等研究所の理事会に辞任を申し出る。 理由は、定年である65歳までに後2年残すのみであること、妻が病気であること、一部の研究員、特に数学部との関係が悪化していることだった。 問題は20年住んでいた官舎を出て行くことだった。 研究所理事会は研究所の敷地内に別な住宅を建設して提供することになっていた。 ところがここに研究所理事の一人として残っていたストローズが妨害に動く。A氏:復讐心の強いしつこい男だね。私:しかし、ストローズの力も及ばず最終的に敷地内に1967年春に完成した。 しかし、彼が新居に住むことはなかった。 オッペンハイマーはヘビー・スモーカーであったせいか、1965年秋、咽喉ガンにかかっていたことがわかる。 1967年2月18日土曜日、オッペンハイマーは62歳で帰らぬ人になった。 妻は遺言により夫の遺骨をホークスネスト湾の沖に骨壷ごと海中に落した。 妻は1972年に死亡するが、その遺骨は同じ湾に散布された。A氏:オッペンハイマーの弟フランクは優秀な学者だったそうだが、彼はどうなったのかね。私:共産党員だった頃があるということで、追放され、牧場経営をしていたが、1959年にコロラド大学に復帰し、1969年に科学博物館の館長になる。 オッペンハイマーの長男ピーターは建設請負人兼大工として生計を立てる。 長女のトニーは孤独の人生を歩み、2回結婚して2回離婚した。 父に似て言語能力がすぐれていたので国連で働く機会があったが、その職場が機密事項を扱うので、FBIの徹底的な人物調査で父親の古い記録が引っ張り出された。 保安許可は出ず、その仕事はできなかった。 2回目の離婚の後、ホークスネスト湾に住むようになった。 それが彼女を孤独に追いやった。 そして、1977年、彼女は浜辺の小屋で首を吊って自殺した。A氏:3人はホークスネスト湾であの世に行ったのだね。私;ホークスネスト湾の家はその後、ハリケーンにより吹き飛ばされて現在は残っていない。 しかし、現在、オッペンハイマー・ビーチと呼ばれているその場所には、地元の集会所がたっているという。 「(第二の)プロメテウスの火・原爆」は、「プロメテウス」自身を苦しめたね。 「プロメテウスの火・原爆」はいまだに世界の人々に絶えざる恐怖を与えているね。A氏:ところで下巻を読んでしまってから上巻は読むのかね?私:サスペンスの結末を知ってから、さかのぼって最初から読むようなものだが、「プロメテウス」の生い立ちを知りたいという別の興味も出てきたよ。 来週あたりに借りられると思うね。
2008.01.08
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私:「原爆の父」オッペンハイマーは1945年10月16日に原爆を開発したロスアラモスを去る。 この頃すでに、FBIのフーバーはオッペンハイマー宅を盗聴していた。 オッペンハイマー自身は共産党員ではないが、彼の弟フランクは共産党にいたことがあるし、妻キティもそうだ。 オッペンハイマーは、原子爆弾は、今までにない恐ろしい兵器だから国際的にオープンにして国際共同管理下に置くべきだと主張していた。 1946年、原子力委員会の一般諮問委員の議長になる。A氏:単なる研究者でなく、政治にも関係するのは、原爆を作り出した贖罪のためだろうかね。 しかし、トルーマン大統領はすでに冷戦に踏み切った。 原爆の情報をソ連に提供するなどということは、とんでもないことだね。 むしろ、国家を売ることになるね。 反逆罪となるね。私:1949年8月29日にソ連が原爆の爆発実験をする。 トルーマン政府としては信じたくなかったことだ。 これが、ソ連が追いつくのを蹴落とすために「スーパー」原爆、すなわち、水爆の開発にアメリカを急がせる動機になる。 オッペンハイマーはそんな強力な爆弾は破壊力が強すぎて無意味だとして反論を展開する。A氏:オッペンハイマーは後の1954年に聴聞会にかけられて、政府に関わる仕事を禁止されるが、これは例のマッカーシー旋風の一つかね。私:そうではないんだね。 これは、「マッカーシー自身がいないマッカーシー旋風の勝利」と言われた。A:誰がマッカーシーの代わりになったの?私:原子力委員会のメンバーだったルイス・ストローズだね。 ユダヤ人でハイスクールを出て最初の仕事が靴の行商だった。 1911年、共和党員の助手となり、勤勉でおもねるのがうまい彼は出世街道を登り、ニューヨークの投資銀行クーン・ローブの優秀な社員となる。 第二次世界大戦で海軍長官の補佐官を務め、戦後の米国のエスタブリッシュメントの中で独力によって強大な地位を築く。 彼は、アインシュタインで有名なプリンストン高等研究所の理事をしていて、それでオッペンハイマーに所長になるように働きかける。 こうしてオッペンハイマーは1947年7月にプリンストンに行き、所長官舎に移住する。A氏:最初は、両者に確執がなかったようだね。私:ストローズの強い権力志向と対立して研究所の運営で意見が合わなくなってきた。 決定打は、やはり、オッペンハイマーの鋭い皮肉だね。 1949年6月、オッペンハイマーは国会で、研究目的で放射性同位元素を外国の研究所に輸出するかの問題で、輸出を可とした証言をした。 議論の末、原子力委員会は4対1で輸出を承認した。 この反対の1がストローズであった。 そのストローズの懸念を知っているのに、オッペンハイマーは「同位元素だけでなく、シャベルだって原子力のために使えます。ウソではありません。ビール瓶だって原子力のために使えます。本当です」と証言した。A氏:痛烈な皮肉だね。私:ストローズは怒りで顔が真っ赤になったという。 男の顔にはあまり現われない、憎悪の表情がそこにあった。 ストローズは権力があり、神経過敏で、傷つきやすく復讐心に駆られる男だった。 彼はアイゼンハワー大統領に働きかけたりして、オッペンハイマーの失脚を図り出す。A氏:だから、マッカーシーにやらせたくなかったんだね。私:かくして、1954年4月12日に、オッペンハイマーが政府の仕事をするための保安許可を継続すべきかの聴聞会が始まる。 一種の赤狩りだね。 1ヶ月ほどかかる。 結論は保安許可の取り消しであり、政府の機密を要する仕事はできないことになった。 ストローズの私憤は実った。 明日は、その後のオッペンハイマーにふれよう。
2008.01.07
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私:図書館は1月8日まで休館で、借りた本は「オッペンハイマー」下巻と他に1冊だけの計2冊だ。A氏:なんで、「オッペンハイマー」は下巻から借りたの?私:わからないが上巻の予約者のほうが多くて、下巻のほうが早く俺の順番が来たんだ。 しかし、下巻のほうは、日本への原爆投下から始まるから、「世界を不幸にする原爆カード・ヒロシマ・ナガサキが歴史を変えた」の知的街道には丁度いいね。A氏:オッペンハイマーは、「原爆の父」としてアメリカのヒーローとなるが、原爆の怖さを知っており、早期に情報を公開し国際管理下に置くことを提唱しているね。私:しかし、原爆を外交カードに使うトルーマン大統領にはそれが理解できず、その後、世界の人は抑止力に頼る原爆競争に悩まされることになる。 オッペンハイマーは、原爆は安いコストでできるようになるから、テロリストの使用も可能だとして、まさに、現在を正確に予測していたね。A氏:「世界を不幸にする原爆カード・ヒロシマ・ナガサキが歴史を変えた」ではトルーマン大統領の資質の問題をとりあげているね。私:この本の最初のほうで、1945年10月25日、オッペンハイマーが米大統領執務室でトルーマン大統領に最初に会ったときの興味あるエピソードが紹介されている。 パターソン長官による紹介後、3人は着席した。 トルーマンは原子力の管理権を永久に軍に委ねるとした法案が議会で可決されるよう、オッペンハイマーに応援を求めた。A氏:オッペンハイマーは、国際管理を考えていたので、大統領と基本的な考えが違うね。私:会話の途中で、トルーマンは突然、ソ連はいつ自前の原子爆弾を開発すると思うか、とオッペンハイマーに尋ねた。 オッペンハイマーは「分かりません」と答えた。 トルーマンは自信を持って私は知っていると言った。 「彼らは絶対に開発できない」A氏:実際に、4年後にソ連は原爆を開発し、オッペンハイマーが予測していた通りに50年余にわたる核爆弾の競争が始まるね。私:オッペンハイマーはトルーマンの無理解さに心臓が飛び出す思いがしたという。 オッペンハイマーは言った。 「閣下。私は手が血で汚れているように感じます」A氏:トルーマンは怒っただろうね。私:このコメントはトルーマンを怒らせた。 後に伝えられた話では、トルーマンは「私は彼に、血で汚れているのは私の手だ。君は心配しなくてよろしい」と言ったという。 一説によると「気にするな。洗えば落ちる」とも言ったともいう。 もう一説によると、トルーマンがハンカチを胸ポケットから引き出して、オッペンハイマーに「さあ、これで拭くかい?」と言ったともいう。A氏:会話は決裂だね。私:気まずい沈黙が流れ、トルーマンは立ち上がり、会談は終わったという合図をした。 二人は握手をした。 その後、大統領がつぶやくのが聞こえた。 「手に血が付いたって?ちきしょう。俺の半分も付いていないくせに!ぐちばかりこぼして歩くな」 大統領は後にディーン・アチソンに「俺は二度とあの野郎に、このオフィスで会いたくない」と言ったという。A氏:しかし、「血が付いた手」という言葉は、トルーマンの心に深い傷を与えたろうね。私:大統領はよほど、この「血が付いた手」が気になって忘れることができなかったようで、半年くらい後のアチソンへの手紙で、オッペンハイマーのことを「私のオフィスに来て、話の間ずっと手をもみながら、原子力を発見したために手が血だらけ、とぬかした泣き虫科学者」と書いているという。 オッペンハイマーのこのような性格や寸鉄人を刺す言葉と冷戦が「原爆の父」の後半生を不幸にしたようだね。 明日は、その後半生にふれよう。
2008.01.06
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私:著者は、マルクスの人間性の特徴として4つの側面をあげている。 「暴力志向」「権力欲」「金銭管理能力の欠如」「周囲の人間に対する強い搾取嗜好」だという。 A氏:そう言えば、マルクス思想には暴力が内在し、マルクス主義体制では絶えず暴力的な活動があり、レーニン、スターリン、毛沢東しかりだね。私:家庭でも父親との口論は暗い影を投げかけたという。 仲間の誰ともケンカしたが、それは相手を完全に自分の支配下に置くことができないときに限られていた。 ある論争相手はこのマルクスを「トリール出の色黒男は荒れ狂う、おそろしげにこぶしを握り、限りなくわめきちらす、無数の悪魔に髪の毛をつかんで引きずり回されているかのよう」と詩にまで詠んだという。A氏:何かの欲求不満でもあったのかね?私:一つの大きな不満、すなわち、資本主義体制に対する憎悪の根本にあるのは、マルクスの異常なまでの金銭能力の欠如だね。 青年の頃には高利の金貸しに頼るなど、高利貸に対する憎悪がある。A氏:なんでそんなに金に困るのかね?私:安定した正業がないのに浪費家だったらしいね。 高利貸に借りる前には、まず、自分の家族や友人からの借金で、家族との手紙の内容のほとんどは金銭問題。 ついには両親から支援を断わられる。 そうしているうちに、両親の死で遺産が入る。 うまく投資すれば安定した生活ができたのに、夫婦ともに金銭感覚がなく、遺産も借金も底をつく。 妻の実家も支援を断わる。 さらに、1948年、ベルギー政府はマルクスに国外退去命令を出す。A氏:貧乏のどん底だね。私:家の中は埃と汚れだらけで、マルクスはめったに風呂に入らなかったという。 子どもも二人失う。 結局、娘3人が成長するが、娘たちが独立して職業を持つことを許さなかった。A氏:「働かざる者、食うべからず」なのにね。私:その頃、1940年代中頃から知り合ったエンゲルスが支援をするようになる。 エンゲルスは事業家だが、自分が得た金の半分はマルクスの生活支援に費やされた。 そのうちに、エンゲルスは、マルクスの金銭感覚に期待するのを諦め、1969年に事業を売り払い、金利で生活できるようにした。A氏:資本主義を嫌ったマルクスが金利で生活するとはね。私:最後にもう一人の問題の人物がいる。 マルクスの妻が結婚するとき、お手伝いとしてついてきた「レンヒェン」だ。 マルクスが死んだ後の1980年までマルクス家に仕えた。 よく働いたそうだが、マルクスは全く給料を払わなかった。 彼女が、マルクスが直接知っている唯一のプロレタリアートだった。A氏:当時、いくら労働搾取といっても資本家は労働者に多少のカネを払っていただろうからね。私:1949年から50年にかけてのどん底時代に、彼女はマルクスの愛人となり、1851年に男の子を出産。 世間体を考えマルクスは認知しない。 子どもは労働者階級の家に里子に出され、マルクスの家に訪問しても玄関の使用は禁じられ、台所でしか母親と会うことはできなかったという。A氏:結局、マルクスは隠しとうしたのかね。私:事実を知っていたエンゲルスが1958年に死ぬ間際にマルクスの娘に事実を明らかにした。 その男の子、フレディは労働者階級の子どもとして育てられ、機械整備工になる。 マルクスはそのフレディのことは知らなかったし、フレディもマルクスの家で一度見たマルクスが父であることを知らなかった。 フレディは1929年に死ぬが、まさにそのとき、マルクスが切望した絶対権力を掌握した指導者、スターリンがロシアの農民に対して破滅的攻撃を始めようとしていたと、この本はこのマルクスを扱った章をしめているね。
2008.01.05
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A氏:当時はすでに産業革命の最中だから、マルクスはイギリスのプロレタリアート階級を精力的に観察したのかね。私:貧困と搾取を書きながら、産業の現場を訪れたことはなく、職工と話したこともないという。 叔父は有名な大企業のフィリップスの創始者だが、資本主義についての見解を聞いたこともなく、彼を机や図書館から引き離すことはできなかったという。 さらに驚くべきことは、仲間の革命家、つまり政治に目覚めた労働者に冷淡だったという。 マルクスはこれらの労働者を軽蔑し、好んでつきあったのは自分と同じような中産階級出身の知識人だった。A氏:言行不一致かね。私:労働者階級出身の社会主義者に対する批判は痛烈で、ある共産主義者の会合で労働者出身の者を「無知」としてマルクス特有の異常な毒舌攻撃をする。 その労働者に「自分は現場を知らず、書斎ででっちあげられた理論を学ぶために社会主義者になったのではない」と反論され、マルクスは立腹し、テーブルの上のランプが揺れるほどテーブルをたたいたという。 飛び上がらんばかりに立ち上がったマルクスは「無知は役に立たない」と叫んだという。 最初のドイツ社会民主主義者で労働者の組織を作った重要人物ユダヤ人のフェルディナント・ラッサールに対して、マルクスは「ユダ公」「ユダヤの黒んぼ」「きらきらした安物の宝石でうわべを飾った脂ぎったユダヤ人」と野蛮な反ユダヤ主義と人種差別の言葉をくそみそに浴びせている。A氏:マルクスは当時の産業界の労働条件を自分で調べるとか、自ら体験したインテリ労働者から学ぶという態度はなかったんだね。 世紀末の結論が先にあり、後はそれに都合のいい新聞記事、政府刊行物、図書館の本からさがすという方法だね。 しかし、事実、資本主義でイギリスの労働者の労働条件は悪化したのではないの?私:ところが、すでに「工場法」などが施行され大幅な改善が行われていたことにはふれていない。 著者は、このようなマルクスの事実のデータに忠実でない罪を次の4つに分けている。 第1は、最新の資料は自分の主張と相いれないので、時代遅れの資料を使ったこと。 第2は、資本主義の典型として特に条件の悪い特定の産業をとりあげたこと。 例えば、マルクスは鉄道の走行距離に対する乗客の事故率は上昇しているとしているが、事実は劇的に下降しており、「資本論」が出版された頃には世界史上、最も安全な大量輸送手段になっていた。 その他、悲惨な産業例のほとんどは、昔ながらの陶器製造業、仕立屋、鍛冶屋、パン屋、マッチ・壁紙・レース製造業といった前資本主義形態に属するものであるという。 第3に、工場の劣悪な労働条件や労働者への虐待について「工場視察団」の報告書を使っているが、これを工場の標準的な状態としたことだ。A氏:日本だと、労働基準監督署の労働条件を守らない者を罰するための報告書をそのまま、世の中の標準的な況に置き換えたということか。私:第4に、そのような間違った事実をもとに、ブルジョア国家は資本家が労働者を搾取するのに手を貸すという結論を導き出していること。 しかし、当時、イギリスの国会は労働条件改善の「工場法」を可決している。 こういうズサンさがあるね。 著者は、マルクス主義が体制としてそれが主張する格差解消の結果を生み出せない第1の理由がここにあるという。 「科学的」というのはおよそ馬鹿げていると言う。A氏:それでは、マルクスが真理愛に動かされていないとするなら、彼の精力的な生涯の活動力はどこから生まれたのかね?私:著者は、それを解明にするには、さらにマルクスの人間性について深い考察が必要だとしている。 これはマルクスだけでなく、「知識人」の大量の著作は、頭脳と創造力を抽象的な活動から生み出されるのでなく、人間性に深く根ざしているというのは真実であるからだ。 明日は、そのマルクスの人間性の4つの側面を考えていこう。 そこには、マルクスの隠れたプライベートが赤裸々に描かれているね。
2008.01.04
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私:マルクスは1818年5月5日にドイツにユダヤ系ドイツ人として生まれ、1883年3月14日にロンドンで逝去する。 彼は学者の家系で、祖父はユダヤ聖典(「タルムード」)の学者のラビ(ユダヤ教の宗教指導者)であるという。 マスクスは、そのためか、「タルムード学者の特徴」を受け継いでいるという。A氏:「タムルード」というのは膨大な文書量らしいね。私:「タルムード学者の特徴」とは、十分に咀嚼していない素材を大量に収集し、百科事典的な仕事を試みるが、決して終わらない、学者でない人物を激しく軽蔑する、他の学者に対してはひどく独断的で、感情的になるというものだという。 したがって、彼の著作はタムルード研究の特徴を示していて、基本的には他人の業績の注釈と批評に尽きるという。 1848年にやむなくロンドンにわたり、34年間大英博物館通いに費やして資本に関する資料を集め、出版できるようにしていた。A氏:それが「資本論」でマルクスの死後、友人のエンゲルスがまとめて出版するね。私:著者は、マルクスは学者であるが科学者でないとしている。 科学的社会主義はおかしいとしているね。 詩人、ジャーナリスト、モラリストの3つの側面があり、詩人としてのマルクスは、多くの世紀末を予想する詩を書いているという。 ジャーナリストとしては、短い記事を書くことになれていたが、息の長い本を書くことはできなかった。A氏:「資本論」は長編ではないの?私:友人のエンゲルスがマルクスの死後にエッセイを寄せ集めたもので系統だったものではないという。 「労働者には、鎖のほかには失うものは何もない。 彼らが手に入れるのは世界である。 万国の労働者よ、団結せよ!」 はジャーナリスト的なきびきびした文章でるが、これは彼のオリジナルでなく、当時の多くの人の引用からなっているという。 「労働者は祖国を持たない」も「プロレタリアートには鎖のほかに失うものは何もない」はマラーの言葉である。 「宗教は人民にとってアヘンである」はハイネからとられた。 カール・シャッペルから「万国の労働者よ、団結せよ!」を、ブランキから「プロレタリアート独裁」を借りてきた。 そういう他人の言葉に磨きをかけ、ここぞという時に、寸鉄人を刺す組合せを使うという希有のジャーナリト的な才能に恵まれていたという。A氏:モラリストとしての特徴は?私:マルクスの知的機械を動かす動機は、道徳的な衝動で、高利貸や質屋に対する憎悪であったという。 マルクスはユダヤ系であるにもかかわらず、反ユダヤ主義者であったが、彼はユダヤ今日の悪は、宗教的なものでなく、社会的、経済的なものであるとする。 ユダヤ教の現世的基礎は「現実的な欲求」「私利私欲」であり、ユダヤ人の現世的な憧れは「あこぎな商売である」とし、現世的な神は「貨幣である」としている。 そして、ユダヤ人は徐々に、この「現実的」宗教をあらゆる社会に広めていったのだとする。A氏:ヨーロッパにあるなんでも「ユダヤ人のせいにする」傾向が見られるね。 これも一種の「ユダヤ陰謀論」的な感じがするね。私:マルクスは「ユダヤ人は隣人より金持ちになる以外、この世に定められた道はなく、世界は証券取引所である」とした。 だから、ユダヤ人をなくすには、ユダヤ人を作り出した「貨幣活動」を無くすべきであるとした。 そして、次第にユダヤ人が「ブルジョア階級」に置き換わる。 その対立概念として「プロレタリアート階級」が生まれる。 明日はマルクスの当時の資本主義の実態についての情報の集め方の問題に移ろう。
2008.01.03
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私:原書は1988年発行だから、20年位前の本だね。A氏:タイトルの「インテレクチュアルズ」とはどういう意味?私:日本語的には「知識人」というような意味だね。 人や政治のあるべき姿を示してきた人々のことだね。 ルソーから始まって近代の19人の「知識人」の「私生活の実像」を描いた本で、出版当時、アメリカで物議をかもし、全米ベストセラーになったという本だね。 当時、興味をもって買ったんだが、550頁にわたる大著で、新書版を電車の中で読むようなわけにいかず、つい手が出ず「積読」でほこりをかぶっていた。 その間に03年に講談社学術文庫で再度、刊行されているね。 図書館が12月29日から1月8日までの11日間、休館になったので、この際、「積読」してある本を読もうと思って手にしたね。A氏:19人の「知識人」の伝記ものかね?私:日本の週刊誌が、大衆が知らない「知識人」の「私生活の実像」を描いたのと似ているね。 もっとも、週刊誌であつかっている「知識人」は小粒だがね。 例えば、2006年12月に週刊誌に書かれた阪大教授本間正明氏の例がある。A氏:原宿の国家公務員官舎を格安で借り、愛人と住んでいたのが週刊誌で暴露されるという事件だね。私:愛人との同棲はプライベートな話だが、問題なのは、かつて「官舎は全部売却すべき」という国民政治に影響ある報告を書いたことから、言行不一致の「知識人」と見られたのが致命的だね。 結局、政府税調会長を辞任した。A氏:前税調会長の石弘光氏を解任して「知識人」好きの安倍総理自らが本間氏を税調会長に任命したが、1ヶ月あまりで辞任したことで安倍内閣の一連の「ワキの甘さ」の辞任劇の始まりとなるね。私:この本の著者ポールジョンソン氏は、本の最後に次のように述べているね。 これでこの本の性格がわかるだろうね。 「『知識人に気を許すな』である。 彼らを権力のハンドルから引き離されなければならないが、そればかりだけでなく、彼らが集団的な意見を述べようとするとき、特に懐疑の対象としなければならない。 ○○委員会、××諮問会議などの『知識人』の特定の集団を警戒せよ、知識人の特定の集団を警戒せよ。 知識人部隊の出す声明を信用するな。 政府の首脳部や重要問題に対する彼らの意見は話半分に聞け。(中略) 彼らは「空気」を読んでウルトラ体制順応者であることが多く、風潮とか世論をつくることができ、その風潮、世論がまたしばしば不合理で破壊的な行動を生み出す。 何にもましてわれわれが常に心すべきは、「知識人」が忘れっぽいこと、「生身の人間」のほうが「観念」より大事で、すべてに優先することを忘れてしまうことである。 最悪の圧制、それは『心なき観念』の暴虐である。」A氏:安倍前首相の「知識人」の諮問会議好きは有名だったね。 安倍前首相が事前に読むべき本は、この「インテレクチュアルズ」だったね。私:「知識人」の諮問会議好きは小泉さんのときからだね。 竹中氏などの「知識人」の「規制緩和」、「市場原理主義」などの「心無き観念」を大事にした結果、「ワーキングプア」、「ネットカフェ難民」という「生身の人間」が生まれたね。A氏:国民新党が民意を反映していない経済諮問会議をやめるべきだという法案を出すと新聞で報じていたね。 民主党も同調するらしい。 教育諮問会議のほうは、大分、安倍色が薄くなったらしい。 この会議のメンバーの「知識人」は安倍退陣後の「空気」を読んで「ウルトラ体制順応者」であることを示したね。私:この本にある「知識人」19人の話は無理だから、とりあえず、明日はその中からマルクスをとりあげよう。 この本では、40頁ほど割いて扱っているね。 近代知識人の中でカール・マルクスほど、人々の精神のみならず、現実の事柄に強い影響を与えた人物はいないという。 マルクス主義の後継者であるレーニン、スターリン、毛沢東は彼の哲学を現実のものにして、人類に大きな影響を与えた。 最近では、世界的に広がる格差問題で、また、マルクスが見直されている風潮もあるしね。
2008.01.01
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