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茶工場を出て、さらに山道を登っていきます。このあたりは、杭州の西・約50kmの地点で、天目山脈の東北端に位置しています。辿り着いたのが、径山寺(万寿禅寺)です。このあたりは竹林が多いです。竹林というと、孟宗竹のような太いものを想像してしまいますが、それよりは細いものが多い気がします。万寿禅寺は、南宋時代、禅宗の五山十刹の頂点に君臨していた寺院で、多くの日本の修行僧がやってきたお寺です。また、日本に多くの高僧を送り出したお寺でもあります。このお寺からは、教典のみならず、紡績や製薬、豆腐、味噌(金山寺=径山寺味噌の名前にも残っています)など様々なものが日本にもたらされていると言われます。その中の1つにお茶があり、茶の栽培法や製茶の技法のみならず、飲み方も持ち帰ったとのこと。このお寺で僧侶たちによって行われていた”茶宴”。これが日本の茶道のもとになっているのだとか。それから、今も使われる天目茶碗の”天目”ということば。まさにこのお寺の位置する天目山脈です。さらに、静岡茶の始祖として知られる聖一国師もこのお寺で勉強しています。・・・ちょっと挙げただけでも、これだけ日本との関わりがあるわけです。中国と日本の歴史的な深い関係を感ぜずにはいられません。#径山寺の詳しい話は、地球にやさしい中国茶交流会で碧眼猫さんにお聞き下さい(←逃げた)お寺自体は再建されたものですが、この鼎だけは唐代から伝わるものだとか。さて、金時計の社長(←しつこい)の電話のおかげで、お寺の方が案内役についてくださいました。お若い方だったのですが、少しお話を聞いていると、この人はスゴイと思い始めました。まず気づいたのが、訛りの少ない非常に綺麗な中国語を話します。そして、話の運び方が論理的で、かつ私たちの関心事に的確に合わせて紹介してくださいます。言葉の端々に聡明さを感ぜずにはいられません。でも、全然嫌みがないんです。私、大して中国語ができないのにそう思うんですから、よく分かる人が聞いたら相当スゴイのではないかと。話だけでなく、立ち振る舞いが素晴らしく、目の輝きが澄んでいます。ですので一行は、みんな口々に「素晴らしい方だ」と。きっと、将来の高僧になる方だと思います。本物の人物というのは、国境や言語を越えて伝わるものなんだと思います。聞けばこのお寺でも、3人の日本人がトップになったことがあるそうです。唐代の阿倍仲麻呂もそうですが、良い人物は国籍を問わず受け入れる。こういうところは、大陸中国の懐の深さを感じるところでもあります。さて、今回の高級評茶員講座は、中国側は中国茶葉学会が主催のものに参加しています。そんなことで「茶葉学会から来まして」と中国側のアシスタントの方が挨拶をすると、「茶葉学会の方ですか!」と大歓迎モードに。茶葉学会、スゲー(←なんで若者言葉w)そんなわけで、お茶と日本との交流というところに重きを置いて、境内を解説付きで案内していただきました。まったく、ありがたいことです。見学しながら、色々なお話を伺いました。今でも東福寺との交流は盛んにしているとか、茶道関係の方がよく訪れるとか。お寺の奥には龍井という井戸があります。飲んでみて下さい!と、水を汲み上げるポンプを押しながら、ピュアな目でこちらを見てきます。え?生水飲んだら、あたるんじゃないの・・・と、旅行者の基本中の基本の意識が頭をもたげます。とはいえ、それも失礼な話。恐る恐る、手ですくって少し口に含みました。なに、この甘いの?甘くて旨いのです。イメージいただくとすれば、中国緑茶を煎を重ねて淹れ続け、色がすごく薄くなって、だらーんとしたときの、ほのかな甘みと旨み。水だけなのに、そんな甘さと旨さがあります。好山好水、出好茶と言いますが、まさにこの山の環境とこの水があってこその、径山茶なんだと思います。旅行、時には勇気も必要ですね(^^;)お寺の奥の方には茶畑があり、お茶を作っているのだそうです。噂では、そこの茶樹は径山茶の原種に近いとか。雨でしたので、見学は叶いませんでしたが、相当美味しいお茶なんじゃないかなぁ。。。・・・と思っていたら、一通り見学が終わった後、お茶を飲んで行かれませんかとの信じられないお誘いが。何という、ありがたいお言葉(T_T)と思ったものの、そこは節度というものがあります。実はお茶工場のパッキングに時間がかかり、お寺への到着が遅れたので、既にお寺の開放時間を過ぎていました。最初は丁重にお断りしたのですが、「是非」と客殿に通されます。そこで出てきたのが、ガラス蓋碗に入った径山茶。うま~い(^^♪去年のお茶なのですが、まさにあの龍井で飲んだ水の甘さがあって、さらにそこに径山茶のやさしい甘さが加わって、なんとも甘露甘露♪な一杯でした。お茶のもてなしの心。それって、こういうことかもと思いました。いつまでも記憶に残る一杯だと思います。素晴らしい方に出会えたのも、お茶のご縁。真面目にお茶の勉強をしていて本当に良かった!と感じた径山寺の訪問でした。私が言うと意外に思われるかもしれませんが、お茶の魅力って、人との出会いにもあると思うんですよね、やっぱり。この後、猛スピードで山を駆け下り、杭州市内へ。ホテルで、歓迎の宴席を持っていただきました。いつも気の良いおじいさん(←親しみ込めてます)の兪先生もお越しになって、楽しくお食事。明日から、いよいよ梅家塢で勉強開始です。続く。お茶って素晴らしい!
2009.03.31
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3月23日から、5泊6日の日程で杭州に行ってきました。目的は、高級評茶員講座の受講です。↑こんなこと書いて、不合格だったらどうしよう・・・(汗)日本人が中国の国家資格(労働資格)を取得することについては、賛否両論あります。これについては、私は「目的を取り違えなければ良いのでは」と思っています。詳しくは旅行記の後書きにて(長くなるので)。それでは、旅行記開始♪ 成田の事故の影響で機内搭乗の時間が遅れましたが、乗客が少なかったこともあり、ほぼ定刻通りに到着。杭州は肌寒く、冬の格好をしてきて正解でした。そのままバスに乗り込み、一路、茶産地へ。今にも泣き出しそうな空模様だったのですが、郊外へ出るにつれ雨が降ってきました(T_T)さて、杭州の銘茶というと、なんと言っても西湖龍井が思い浮かびます。その陰に隠れがちですが、杭州市郊外の余杭区では、もう1つの浙江十大名茶が生産されています。それが径山寺の付近で作られている、径山茶です。#浙江十大名茶は、他に大仏龍井、開化龍頂、安吉白茶、武陽春雨、西湖龍井、松陽銀猴、金奨恵明、望海茶、緑剣茶があります。ま、十大名茶と言っても、地方政府主導のマーケティング的なものなんですけどね。途中までは、高速道路でスイスイなのですが、しばらくすると「この道で良いの?」という細い道に入ります。くねくねのヘアピンカーブが連続する急な山道を、バスは猛スピードで登っていきます。確かに、頭文字Dも真っ青です((((((^^;壁にスローガンがペンキで大書されているような、典型的な中国の農村をいくつか通過。径山の麓までは割と近いのですが、山道に入ってからが結構長いです。空港から2時間かかってお茶工場に到着。まずは工場見学です。雨なので、茶畑見学はできませんでしたが。。。しかし、ラッキーでした。昨日は天気が良かったそうで、今年初めての茶摘みができたそうです。で、それを攤放(たんほう・緑茶の製造プロセスの一種です)したのち、今日の午前中に製茶。つまり、これが今年の一番茶です。このお茶を用意して、社長が待っていてくれました。なんとも良いタイミングで訪れたものです。なにしろ、量はこの1袋分しかありません。社長はいかにも農村の訛りの強い中国語を話す、人懐っこいおじさん。しかし、腕時計は金ピカでガレージには高級外車が並んでいました(^^;)とはいえ、ただ儲けているわけではなく、工場はきれいに整備されていますし、有機や緑色食品の認証をとったり、きちんと努力をしているようです。はじめに、その径山茶を飲ませて頂きました。・・・正直に書きましょう。最初は白湯かと思いました((((((^^;明前のお茶なので、味が淡いのです。もともと、穀雨近くの味がしっかりした茶葉を製茶するのが径山茶。揉捻がきついと味が出すぎてしまうので、標準の技法では揉捻が軽めなんだと思います。そんなわけで、成分が出るまで、ちょっと時間がかかるようです。しばらく放置することにして、工場内を案内してもらいました。まずは、攤放部屋です。ここに茶葉を広げて水分を飛ばし、青味を抜き、香りを作ります。”中国緑茶の香りが良いのは釜炒りのせいである”と良く言われますが、この工程があることも見逃せないのです。#説明がややこしいので、普通は省略して説明しますけど。ちなみに、室内萎凋とは目的も技法も違います。適切な水分量になったら、この機械で一気に殺青(さっせい・茶葉に含まれる酵素を殺して発酵を止めること)します。一般的な日本の煎茶だと、ここで蒸して発酵を止めますが、中国では基本的に釜炒りで発酵を止めます。ここが、日本の緑茶と中国緑茶の大きく違うところです。この後、釜に入れて整形したり、揉捻器に入れて揉捻(じゅうねん・茶葉をひねって中の成分を出しやすくする)したりして、最後に乾燥。ここでは炭火を使って、いぶすようにして乾燥(これを[火共]青と言います)しています。以上、[火共]青(こうせい)緑茶の大まかな作り方でした。製造上の問題点をプロファイリングする評茶員は、お茶の作り方をきちんと知っておくことが重要なのです。そういう意味のある、茶工場の見学でした。見学を終えて、最初に淹れてもらったお茶を飲んでみたら何とも美味しいこと!さらにお湯を注ぎ足すと、もっと美味しくなります。淡麗ながら、口の中に残る甘さがとても心地よく、「え?これ径山茶?」と思う味になっていました。これは一度飲む価値があります♪#このお茶、地球にやさしい中国茶交流会で、碧眼猫さんに淹れてもらおうかしら・・・茶殻も柔らかいです♪さて、問題のお買い物。一番茶なので、径山茶のくせに(←失礼)、西湖龍井か安吉白茶並みのお値段!台湾茶で喩えるならば、梨山でも大禹嶺クラスが買える金額です。いや、それより高いか。。。この値段、別に観光客相手の値段というわけではなく、これが明前の中国緑茶の相場なのです。例えば、龍井でも清明節前とその後の茶葉では、値段の桁が1つ違います。かくも激しく格差があるのが、ハイエンドの中国緑茶の世界です。どう考えても、明前緑茶の相場は歪んでいます。茶摘みが1日早くなれば、1斤あたり100元違う、そんな世界です。だからこそ、早摘みの出来る早生品種が求められるわけです。いくら龍井長葉の方が味が良くても、生産者が2,3日発芽の早い龍井43号に流れるのは、そういう理由です。まったく異常な世界ですが、こういう経済原則があることを知らないと良い買い物はできません。しかし、明らかに高いと分かってはいるものの、製茶したての初摘み茶に出会え、工場を案内してもらったのも、何かの縁。量も少ないので、こういうお茶は市中では買えませんし。・・・ということで、私、半斤(250g)購入。滞在中の一番高い買い物だったと思います(^^;)みなさまも少しずつ購入。そういう縁を大事にすることが気に入られたのか?金時計の社長は、ずーっと上機嫌でした。で、お茶を注文してパッキングをしている間に、社長、どこかへ電話をかけました。先生がこれから径山寺に行く予定だと話をしたら、「それなら紹介してやろう」と電話をかけてくれたのだそうです。地元のネットワークというやつです。中国では、紹介。これが一番効きます。このおかげで、径山寺では特別待遇。若手のホープであろうお坊さんに案内をしてもらうことができました。それはそれは聡明で人格に溢れ、目の輝きが違う素晴らしい人物。お会いできるだけでも光栄でした。その経験を考えると、今回支払ったお茶代が安く感じられるほど。金時計の社長は、実はスゴイ人だったのでした。お茶の縁とは、思わぬところから紡ぎ出されていくものです。続く。しっかし、ホントに高かった(^^;)
2009.03.30
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中国から帰ってきたばかりですが、今日は台湾の話題。某所の会合に出席した後、『海角七號(海角七号)』の日本語版の試写会に行ってきました。この映画、現地でも面白いと聞いてはいましたが、私、台湾語がまるで分かりません。ですので、日本語版が出るのを手ぐすねを引いて待っておりました。そんな折、日本李登輝友の会で日本語版の試写会をやるとのことだったので、これは渡りに船!と思い、早速申し込んでみました。台湾情報に関しては頼りになります(^^)会場は、ほぼ満員の盛況。記念品ももらいました。さて、映画の感想ですが・・・久しぶりに面白い映画を見たな~という感じです。完成度が高く、本公開が待ち遠しい作品だと思います(^^)ベースは私の苦手なラブストーリーなのですが、笑いのポイントが色々なところに散りばめられているので、最後まで楽しく見ることができました。宛先不明の郵便物と街おこし即席バンドのドタバタ劇が並行して走り、最後には一つに繋がっていく謎解きの爽快感もあります。登場人物1人1人が明快な個性を持っていて、その掛け合いも楽しいですし、画の撮り方が美しく、南部台湾の美しい景色も十分に堪能できます。同じ楽天ブロガーの田中千絵さんも、まさに体当たりの演技で頑張っていました。全体的に見て、バランスが良い娯楽映画の秀作だと思います。台湾で大ヒットになったのも、大いに頷けます。おそらく、台湾についてあまり馴染みがない方でも、大いに楽しめる作品ではないかと。予備知識として必要なことがあるとすれば、言葉についてです。台湾語と北京語、日本語が入り交じった作品で、その使い分けが笑いのポイントにもなっていたりします。ですので、台湾人(特に人口の多くを占める福建省系)の日常的な生活語が台湾語であり、オフィシャルな言葉や別の民族(客家、先住民族など)間の共有語が北京語であること、高齢者は日本語教育を受けていて日本語を解することを知らないと、「なぜ言語を使い分けるのか?」が疑問になってしまって物語に入り込めないかもしれません。その点だけ押さえておけば、どなたが見ても楽しい映画だと思います。恒春はちょっと行きにくい場所ですが、ロケ地を巡るバスツアーなどもあるようです。この映画をきっかけに出かけてみるのも面白そうです♪噂に違わぬ面白さです(^^)
2009.03.29
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あるきち@自宅です。肌寒い杭州から帰国しました。朝から試験で脳を酷使した?こともあり、さすがに疲れたようで、家に帰ったら倒れ込むようにひと眠りしました(^^;)杭州では、茶産地・梅家塢の某所に、ほぼ軟禁状態。毎日、お茶の製造工程や品種についての講義を聞いたり、実習をしておりました。4回目の杭州訪問でしたが、一度も西湖の湖畔に立たなかったのは初めてです((((((^^;そんなストイックな旅行でしたので、さて、何をどう書いたものやら・・・と思いますが、知識だけでなく、お茶を通じた縁・中国と日本の関係についても、色々と考えさせられる旅でした。お茶の木と料理の写真ばかりが入ったデジカメに少々呆れておりますが、ぼちぼちまとめていきたいと思います。日本も寒いですね(^^;)
2009.03.28
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あるきち@杭州です。専門的な知識を「これでもか!」と詰め込んでいるので、頭が少しオーバーフロー気味です(^^;)それにしても、現地に来ると私は全然マニアックではありませんwさて、杭州は急に寒波が到来し、茶葉の生育が全般的に遅れていました。到着した月曜日や火曜日はかなり肌寒く、凍害の出ていた茶樹もありました。 お茶は元々、”南方の嘉木”なので寒さに弱いのです。それでも、ここ数日はようやく気温が上がってきて、西湖周りの茶区でも茶摘みが本格的に開始されています。早生種である龍井43号の茶畑です。新芽が”萌え~”な感じです♪↑そう思う方は、相当なお茶迷です(^^;)あと少し勉強して、土曜日に帰国します。勉強した内容はあまり書けませんが、少しはご報告したいと思いますので、どうぞお楽しみに♪
2009.03.25
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あるきち@成田です。朝から強風が吹き荒れた千葉県地方。台風並みでした。今日は飛行機飛ぶのかしら?と思っていたら、この事故です。A滑走路で横転したFedex機です。機体は真っ黒こげになっています。飛行機の形がかろうじて見えるという状態。バスで来た人たちはものすごい黒煙が見えたそうです。私が乗るのはB滑走路なので、少し遅れるぐらいで済みそうです。それにしても、これだけの大事故。貨物機でなかったら、大変なことになっていたかもしれません。
2009.03.23
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あるきち@早起きです。眠いです(-_-;)これから成田へ出発します。行き先は、春の杭州♪でも、自由時間はほとんどありませんで、龍井茶の某産地にある施設と市内を往復し、研修漬けになる日々になりそうです(^^;)今回は、現地で著書を多数書いているお茶の先生について、お勉強することになりそうです。・・・こうなったら、行けるとこまで行ってみたいと思います(苦笑)土曜日まで不在にしますので、地球にやさしい中国茶交流会関連のお急ぎのお問い合わせについては、上海小町さんまでご連絡下さい。多分、今日私と入れ違いで日本に到着すると思います。当日のスケジュール、茶席のご案内なども更新しておりますので、こちらを是非ご確認下さい。茶席が、なんと1テーブル追加になったので、同時に20人の方にお茶を飲んでいただけます。ふらっと思い立ったら、ぜひお越し下さいね。茶席の数が増えた分、システムが分かりにくくなった?気もするので、帰国したら当日のスケジュール表などもダウンロードできるように作業したいと思います。それでは行ってきます(^^)/
2009.03.23
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先日、蘭亭さんにお邪魔したら、新しいお茶が入ったとのことで買ってきたものが2つ。そのうちの1つがこちら。廬山金萱茶(蘭亭)廬山は産地の名前です。大陸・江西省の廬山ではありませんで、台湾の廬山です。台湾の中部、中央山脈のほぼ真ん中付近にあります。→Google Map台中から埔里を経由し、霧社へ。そこから北へ延びる国道14甲を走ると大禹嶺の方へ抜けていきますが、さらに東の山の中に入っていったところが廬山です。日本統治時代から温泉地として知られ、富士温泉という名前で親しまれていました(→交通部観光局)。台湾のお茶小売チェーン・天仁茗茶が近くの霧社のお茶と合わせて「天霧茶」「天廬茶」の名前で売り出しているので、高山茶の産地としても、わりと知られているのではないかと思います。清境農場もこの近くにあり、この一帯はちょっとした高山茶の生産拠点になっています。このへんの茶畑の標高は1200m~1600mといったところでしょうか。産地の情報はそれぐらいにして、さて、お味です。軽く焙煎がかかっているのか、口当たりはスムーズです。金萱というとバニラの香りというイメージがありますが、このお茶はそんなに香りが先行してきません。おそらく、樹齢の若い樹ではなく、しっかりとした樹のお茶なのではないかと思います。台湾茶の樹齢は若い方が良いという方もいますが、これは好みもありますし、一概には言えません。摘めるようになったばかりの樹齢3~5年の樹の方が、金萱独特の香りは分かりやすく表面に出てきます。ただ、味わいの深みという点では物足りない面も。「まあ、若さゆえだね」と言ってあげたくなることが多いです(^^;)一方、樹齢が経ってくると、品種の香りというよりは、その土地の味わいが出てきます。香りでは面白みが無くなるかもしれませんが、きちんとした土壌管理がされている茶畑であれば、味の豊富さが際立ちます。品種の香りは、どちらかというと喉元で感じられるようになります。テイスティングの試験では泣かされるんです。この手のお茶に(^^;)話は戻ると、結局、若い茶樹が良いのかどうかは、色々な要素が絡むので一概には言えないんですよねぇ。。。#樹齢が若い=茶畑が新しい=土壌の栄養分が豊富=美味しい、という公式は全てにあてはまるものではありません。このお茶はどうやら後者のタイプ。金萱というと、軽いイメージがありますが、このお茶はズッシリと飲み応えがあります。一瞬、青心烏龍種だったか?と思うぐらいの味の厚み。力のある茶葉ですので、濃く淹れすぎると酔うかも(^^;)ただ、青心烏龍種とは、やっぱりトーンが違います。特に、喉元からの戻りの香りには、金萱の特徴が出ています。ずーっと、喉元によい香りが残っていて、余韻が深いのです。なんとも飲み応えのあるお茶だと思います。「金萱でも、こういうお茶があるんだ」と思わせてくれる美味しいお茶でした。ゆっくり飲みたいお茶です♪
2009.03.18
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お茶ペットボトルウオッチャーのあるきちです。みなさん、こんばんは。・・・ということで、久々にペットボトルのお茶です。伊藤園から新発売になりました気品の香り ウーロンティー気品の香り ウーロンティー気品の香り・・・多分、みなさん同じことを感じたと思いますが、敢えて最初に突っ込んでおきましょう。自分で言うか(^^;)それにしても、鉄観音は有名になりすぎたということでしょうか。黄金桂使用をセールスポイントにしたいらしく、”希少品種”と書いてあります。↑黄金桂の話を書こうと思いましたが、品種話は長くなるので割愛します(^^;)原材料表示を見ると、黄金桂を5割使っているようです。以前出ていた「金の烏龍茶」のリニューアルというところでしょうか。飲んだ印象は、”Light Taste Oolong Tea”と書いてある通りでして、口当たりも軽く飲みやすいお茶ではないかと。グビグビと飲んでしまえば、あまり気づきませんが、ちょっと温度が上がってきたぐらいの時に少し口に含んでから飲み込むと、甘さがあるのに気づきます。さすが伊藤園らしく無香料・無調味ですし、なかなか悪くないのではと思います(^^)とはいえ、軽い飲み口のお茶だけに、強烈な個性に欠けることも否めません。冷やすとやっぱり黄金桂の香りの高さを表現するのは、なかなか難しいですねぇ。ホットだと、もっと特徴が出るのかもしれません。普通に美味しいペットボトル茶だと思うのですが、移り変わりの激しいコンビニの棚。消えずに残ることを願うのみです。ペットボトルは、なかなか難しいですねぇ・・・
2009.03.12
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<4月3日追記:公式サイトをオープンさせました>地球にやさしい中国茶交流会 オフィシャルサイト最新情報は、オフィシャルサイトにてご確認下さい。<3月29日追記:茶席の内容更新><3月21日追記:茶席スケジュール更新>さて、だいぶ形になってきましたので、正式告知をば。第2回 地球にやさしい中国茶交流会の概要です。好評につき、無事に第2回を迎えることができました(^^)今回は、基本的にキープ・コンセプト。お茶好きがフラリと立ち寄り、美味しいお茶を飲みながら、色々な方とおしゃべりをする。ついでにおトクな茶器との出会いがあったり。肩ひじを張る必要のない、気軽な手作りイベントです。会場は、前回と全く同じ恵比寿区民会館。区民会館というと、なんだか格好良く聞こえますが、平たく言えば”公民館”です(^^;)茶席は和室ですので、動きやすい服装をオススメいたします。会場からして、気軽なゆるーい雰囲気のイベントですが、なにしろ根っからのお茶好きが企画します。茶葉は一切妥協しません!お茶の品質には、きっとご満足いただけるのではないかと思います(^^)そして、今回もゲストの方をお招きして、お茶を淹れていただきます。そのゲストとは・・・茶楽房Matsudo主宰のちょしさん陽明茶会でも、おなじみのうらりんさんです。いやー、豪華メンバーです。・・・いいんでしょうか、この会場で(^^;)そんなメンバーがお茶を淹れますので、きっとお話が弾むことでしょう。前回、「時間が短くて、なかなかゆっくりできなかった」という声もありましたので、今回は茶席1回あたりの時間を少し長めに取りました。これで安心しておしゃべりできますね(^^)というわけで、きっちり正常進化しました、第2回 地球にやさしい中国茶交流会。最新情報は随時お伝えしていきますので、このブログにご注目下さい。みなさまのご来場、心よりお待ちしておりますm(_ _)m━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━第2回 地球にやさしい中国茶交流会のご案内━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━==================================================================■お茶好きの、お茶好きによる、お茶好きのためのイベントがふたたび!<< 入場自由・フリーマーケット出店料無料・茶席1席500円 >> 中国茶・台湾茶をみんなで楽しく飲みましょう==================================================================楽天中国茶ブロガーとお茶好きがプロデュースする、お茶好きのためのイベントがふたたびやってきます。今回も”気軽に楽しめる”というコンセプトは、がっちりキープ。お手頃価格で茶器の見つかるフリーマーケット美味しいお茶を飲める茶席この2つは、さらにパワーアップして健在です。この時期といえば、やはり新茶の中国緑茶♪杭州から持ち帰ったばかりの龍井茶を筆頭に、中国・台湾の美味しいお茶をご用意してみなさまのご来場をお待ちいたします。さらに今回はゲストとして、ちょしさん、うらりんさんにも茶席をお持ちいただきます。『中国茶は、やっぱり美味しい!楽しい!面白い!』そんな出会いを今回も見つけていただければと思います。いよいよ、4月11日(土)に開催となりました。是非ご来場ください。==================================================================【地球にやさしい中国茶交流会2009春】◎11:00~17:30(10:45受付開始) 4月11日(土) 渋谷区・恵比寿区民会館 http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/kmkaikan/km_ebisu.html<イベント内容> 1.中国茶フリーマーケット2.えらべる茶席8種類□□□□□□□□ イベントのご案内 □□□□□□□□【中国茶フリーマーケット】 11:00~16:00「家にあるけど、最近使っていない・・・」そんな茶器や中国茶グッズはありませんか?活躍の場の少ない茶器をみんなで持ち寄り、お買い得価格でトレード。茶器の新しい活躍の場や意外な掘り出し物が見つかるかも?個人の方の出品お申し込みは、引き続き受付中です。お1つからでも、最初から最後まで会場にいなくても構いません。出品量も無料にしていますので、どうぞお気軽にご出品ください。フリマ出品希望と出品予定の商品をお書き添えの上、左下のメッセージよりお申し込みください。当日の出品スペースを確保いたします。【茶席】 11:00~17:30 (茶席券の販売は16:20まで)今回も「会場のグレードより、茶葉の質!」をキーワード?に、とびきり美味しいお茶をご用意してお待ちしております。さらに、今回は個性豊かな4テーブル体制にしました。より多くの方にお茶を飲んでいただけると思いますので、是非お越しください♪ご要望にお応えして、各茶席は”たっぷり30分”お楽しみいただけるようにしました。思う存分、美味しいお茶とおしゃべりをお楽しみ下さい。えらべる4つの茶席茶席A <龍井茶><紅茶>茶席B <中国緑茶><鳳凰単叢>茶席C <東方美人><安渓鉄観音と武夷岩茶>茶席D <台湾烏龍茶>以下、タイトル・お茶の種類は仮のものです。今後の茶産地・仕入れの状況により変更の可能性がありますので、ご了承ください。【茶席A】<二大産地の龍井茶>数多い中国緑茶の中でも、龍井茶の存在感は抜きん出ています。そんなメジャーなお茶ですが、今回は産地に細かくこだわります。産地・杭州の中で、特に名高い産地として知られる獅峰山と梅家塢。この二大産地の龍井茶を贅沢に飲み比べます。産地の違いで味と香りがどう違うのか、どうぞお確かめください。ご案内役:上海小町(PRIVATE TEA SALON yu:yu主宰)【第1部】11:00~ 12:20~【第2部】13:40~ 15:00~【第3部】16:20~<大陸紅茶と台湾紅茶 表情の違い>手間ひまをかけて作られる中国紅茶。西洋風に淹れる紅茶とは、また違った趣があります。個性派揃いの大陸紅茶と丸みを感じる台湾紅茶。それぞれの表情の違いを是非ご体感ください。ご案内役:うらりん(茶人・陽明茶会)【第1部】11:40~ 13:00~【第2部】14:20~ 15:40~【第3部】17:00~【茶席B】<中国緑茶紀行>日本では馴染みの少ない中国緑茶ですが、ひとことに緑茶といっても、様々な個性のお茶があります。そんなお茶を今回はご紹介。今しか飲めない旬の味。現地より持ち帰ったばかりの緑茶をお楽しみください。ご案内役:碧眼猫(中国茶アドバイザー/インストラクター)【第1部】11:00~ 12:20~【第2部】13:40~ 15:00~【第3部】16:20~<鳳凰の競演>フルーティーな香りが魅力の鳳凰単叢。厳選された茶葉が持つ香りとその味の深さには、格別のものがあります。今回は、特別に入手した茶葉をみなさんと一緒に飲み進めてみたいと思います。お茶の組み合わせは2種類。第1幕 清香蜜蘭香と濃香蜜蘭香の飲み比べ人気の高い蜜蘭香。今回は、爽やかな清香と落ち着いた濃香をご用意。飲み比べて、お気に入りを見つけて下さい。第2幕 宋種蜜蘭香と老叢水仙地元の茶農家の人たちが珍重する老木から作られた単叢を2種。その静寂な深みを味わってみましょう。ご案内役:ちょし(Chinese Tea Salon 茶楽房Matsudo主宰)【第1部】11:40~(第1幕) 13:00~(第2幕)【第2部】14:20~(第1幕) 15:40~(第2幕)【第3部】17:00~(第1幕)【茶席C】<東方美人の不思議>ちょうど良く熟成させた東方美人を飲み比べます。台北近郊でつくられたものと名産地・北埔でつくられたものの2種類をご用意。同じ名前のお茶でありながら、それぞれに違う個性を持った東方美人。その個性が生まれる秘密をご紹介しながら、飲みすすめていきます。ご案内役:あるきち(中国茶インストラクター・評茶員)【第1部】11:00~ 12:20~【第2部】13:40~ 15:00~【第3部】16:20~<音韻と岩韻-鉄観音と武夷岩茶>大陸烏龍茶の本場といえば、福建省。南北の名茶、安渓鉄観音と武夷岩茶をお入れします。音韻と岩韻の違いを、ご体感下さい。ご案内役:hiroko(中国茶インストラクター)【第1部】11:40~ 13:00~【第2部】14:20~ 15:40~【第3部】17:00~【茶席D】<清香と濃香の台湾烏龍茶>台湾の高山烏龍茶と伝統的な製法で作った重発酵烏龍茶を飲み比べます。透明感のある香りと味の高山茶と果物のような香りとしっかりした味を持つ伝統烏龍茶。台湾烏龍茶の幅の広さを是非お感じください。ご案内役:madoka(中国茶インストラクター・茶藝師)【第1部】11:00~ 12:20~【第2部】13:40~ 15:00~【第3部】16:20~<茶処台北 2つの銘茶>高層ビルが林立する大都市・台北。しかし、少し郊外に足を伸ばすと、そこには歴史ある茶産地としての顔があります。爽やかな文山包種茶とちょっと華やかな香りの木柵鉄観音。茶処台北の二大銘茶をお楽しみください。ご案内役:美龍(中国茶インストラクター・茶藝師)【第1部】11:40~ 13:00~【第2部】14:20~ 15:40~【第3部】17:00~※茶席のご案内茶席は、<第1部> 11:00~13:30(茶席券配布10:45~)<第2部> 13:40~16:10(茶席券配布13:25~)<第3部> 16:20~17:30(茶席券配布16:05~)の3部構成で行います。すべて1席500円。各回の定員は4~5名です。各部の開始15分前より茶席券を配布いたします。事前のご予約は承っておりませんので、お目当ての茶席がある場合は、各部開始の15分以上前までにお越しいただき、茶席券をお求めください。フリマ会場にて発売しておりますので、茶器を見ながらどうぞ-------------------お願い事項-------------------今回は”地球にやさしく”がテーマですので、以下のことをお願いしております。・茶席に参加ご希望の方は、ご自分の茶杯をお持ち下さい。・茶器・茶道具を購入希望の方は、ご自身でエコバッグを持参下さい。・茶器、茶道具は新聞紙などで簡単に包みましょう。簡易包装厳守でお願いします。予約不要でどなたでもご来場いただける会です。お一人様でもグループでも、どうぞお気軽にお越し下さい。皆様のご来場、お待ちしております(^^)
2009.03.09
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幕張メッセで開催されているFOODEX 2009に行ってきました。世界的な不況の影響が出ているのでしょうねぇ。試供品等の配布や過剰な装飾も少なく、人出も少なく感じました。とはいえ、昨年よりも物見遊山の人たちが減っているので、ビジネスマッチングを目的としたイベントとしては、健全な方向に進んでいるのではないかと。でも、お茶の観点で行くと、ブースでは目新しいこともなかったので割愛(←バッサリ)収穫もなく帰るのもなんなので、台湾区製茶工業同業公会の主催するセミナーに参加してきました。無料のセミナーだというのに、お茶と鑑定杯までお土産にいただいてしまいました。不景気なのに、太っ腹です♪さて、肝心のセミナーの内容ですが、前半に思月園の高宇さんのお話。台湾茶の歴史について紹介いただきながら、台湾烏龍茶が3種提供されました。今回のセミナーは書籍の出版を記念してものだったので、出版に深く携わられた元京都府立茶業研究所長の杉本さんからお話を。本の名前は『台湾の茶』。著者は徐英祥さん。茶業改良場の研究員だった方で、金萱や翠玉の品種改良に呉振鐸さんらと携わり”傑出科学人材賞”も受賞されている方です。日本教育時代のお生まれで、日本で茶業の勉強をされていたこともあるので、日本語が堪能で日台間の茶業交流に大きな貢献をされています。お話によりますと、どうも凄い本のようです。原稿を日本語で書かれており、つまりこの本は台湾より先に日本で人目に触れるとのこと。・・・ぶっちゃけて言いますと、この時点では、事の重大さにピンと来ていませんでした。セミナー終了後、思いがけず、その本をいただきました。約180ページほどと比較的薄手ですが、立派な装丁の本です。裏面に価格なども書いておらず、自費出版のような形式で出されたのではないかと思いました。カラーのページもありますし、1冊あたりに相当なコストがかかっていそうです。数千円のレベルでは収まらないでしょう。これは、ありがたく読まねばいけません。その帰り道、電車の中で、本をめくり始めました。本の構成としては、おおよそ3部に分かれていて、最初に台湾のお茶の歴史について細かく紹介されています。そのあとに、台湾での品種改良についてのお話。そして、台湾烏龍茶と包種茶についての茶の栽培方法から製茶に至るまでの詳細が記載されています。・・・最初にネガティブなことを書いておきますと、この本はプロ向けの論文と考えた方が良さそうです。日本語で書かれていますが、専門用語が多く用いられていますので、ある程度の茶業の知識がないと読み進めづらいのです。ただ、その分、非常に高度な内容が書かれていると感じます。ウイスキーの原液のような、濃密な本です。いやー、これは勉強になりそうな読みごたえのある本だなぁと思いました。しかし、さらに読み進めて、徐先生の専門の品種改良の話や茶の栽培・製造工程の話に入っていったら、この本は途方もなく凄い本であることが分かり始めました。その内容の高度さと的確さに、電車の中にも関わらず腕組みをしながら思わず唸ってしまいました。↑隣に座っていた方は、「変なヤツの隣に座った」と思ったことでしょう(^^;)この本、今まで日本語で出版されてきた台湾茶の本とは、明らかに”次元”が違います。ものすごく高度な内容でありながら、短いセンテンスの中に深い洞察と示唆が含まれています。内容的には、中国の評茶員のテキストに近いですが、今までの歴史的な経緯なども書かれているので、それよりもさらに深い内容だと思います。たとえば、台湾の茶業改良場が開発した新品種には台茶1号~20号までありますが、それぞれを開発した背景やその時の意図などが、簡潔ですが当事者でなければ分からない内容を整理して書かれています。品種改良は本当に長い時間がかかります。将来のマーケットを予測して作りたい品種の計画をし、品種の交配をして、実がなります。これを植えて、きちんと育てて、本来の味が出てくるまで約10年。そして、樹勢の強さや病虫害への強さなど品種としての優良性を証明するのにさらに5年、10年。。。品種改良というのが長い時間をかけて行われるものであることが、よく伝わってきます。さらに茶園の管理手法や製茶の際のプロセスは、あっさりと流れを書いているようでいて、味や香りなど品質に影響を与えそうなポイントを恐ろしく的確に記しています。烏龍茶の製法については、私も東方美人の製茶を1回しているので理解しやすかったのですが、そのときに疑問に感じられたことが氷解する思いでした。まあ、とにかく台湾の烏龍茶の製法の神髄といいますか、そういうことが余すことなく書かれた本と言っても良いのではないかと。ここまで的確に記載されている日本語の書物を、私は寡聞にして知りません。品種改良と技術指導の第一人者の方だからこそ書けた内容だと思います。ただただ頭の下がる思いで読み進めていったのですが、ふと頭をよぎったのは、この本の中身を本当に理解できる人は、果たして日本に何人いるのだろうか?ということでした。私、単なるお茶好きの未熟者ゆえ、内容をきちんと理解できるのは、せいぜい5割程度です。製茶のパートなどは、肌感覚のことも書いてありますので、製茶の見学だけでなく実際に自分の手で作った方でないと理解できないでしょうし、お茶の品質鑑定(いわゆる評茶)の内容を理解していないと、何を言わんとしているのか分からないと思います。日本語なので表面的には読み進められるのですが、本質的なところまで理解を進めるのは、ベースの知識が必要なので、とても大変。読み手に要求されているレベルが非常に高い本なので、下手をすると「猫に小判」になりかねません。しかし、この本は日本語で書かれた。この意味を重く受け止めなければいけないと思います。口さがない方からは「日本人にそこまで教える必要があるのか?」「(烏龍茶を作ったことのない)日本人には、どうせ理解できないのだから無駄なのではないのか?」という声があってもおかしくありません。でも、敢えて日本語で原稿を書き、苦労をしながら出版にまで漕ぎ着けた。そこまでする理由は何だったのか?日本人以上に日本人的な発想をしてくる台湾の日本語世代の方々。推測はつきます。この本を読んでいると、台湾茶業の土台作りに日本統治時代は非常に大きな役割を果たした、ということが出てきます。金萱や翠玉といったお茶は、日本統治時代の茶業試験場で選抜されたものをベースに積み上げてきたお茶です。こういうことを言うと、反発を覚える方もいるかもしれませんが、お茶の科学的な研究手法を日本人に教えてもらった、という感覚もあるのではないかと。そう考えると、私、この本は徐先生の日本人に対しての恩返しの意味もあるのではないかと感じるのです。人に何かを教えてもらうというのは、権利でもありますが、同時に義務も生じるものだと私は考えます。教える側は、(こいつはものになると思えば)自分の得たこと・知りうることを真剣に教えます。一方、教えられた側は、自分のできる範囲でその知識を生かす・広げる・進歩させ次代に繋げるという義務を負います。このキャッチボールこそ、教育の原点。これを繰り返すことによって知識が蓄積され、人類は進歩してきました。でも、どちらかがボールを投げ返さなければ、キャッチボールはそこで止まってしまいます。さあ、この台湾からの渾身の剛速球を誰が受け取り、どう投げ返すのか。台湾の日本語世代の方々には、いつも深く考えさせられてしまいます(^^;)もしこの本をお手に取ることがあったら、是非、そのへんの心意気まで感じ取ってほしいと思ったのでした。これは、ただの台湾茶の本ではありません。話は変わりますが、今は中国でも茶藝師・評茶員などの資格取得を認めてくれています。「対価を払っているのだから、当然」という見方もできるんでしょうが、そもそも国内で働く人の労働資格です。わざわざ外国人に開放し、かなり踏み込んだ内容を教えてくれていることの意味をきちんと考えないといけないと思いました。資格取得ということに関しては、様々な見方もあると思いますが、その根底にある「教えてもらうことの意味」を取り違えないようにしたいものです。ホントに凄い本です。
2009.03.05
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