Welcome  BASALA'S  BLOG

Welcome BASALA'S BLOG

PR

×

Calendar

Comments

ske芭沙羅 @ Re[3]:孤独の虫けら(03/27) harmonica.さんへ ご心配させてしまったよ…
harmonica. @ Re[2]:孤独の虫けら(03/27) ske芭沙羅さんへ 4月はただでさえ疲れや…
ske芭沙羅 @ Re[1]:孤独の虫けら(03/27) harmonica.さんへ 珍しく、体調がおかしく…
harmonica. @ Re:孤独の虫けら(03/27) 加齢とともに孤独に強くなりますね。 幼…

Keyword Search

▼キーワード検索

2007.04.02
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
その13【おじさんの生霊】

7年前のこと。おじさんが危篤状態になった。
それより3年ほど前、脳梗塞になり、半身不随の生活を
続けていたのだが、再び脳梗塞を患って、集中治療室に
入ることとなった。

仕事が終わってから、大阪から奈良の総合病院に車で
駆けつけ、見舞った。倒れたおじさんというのは、
父親の兄で、長男亡き後、家長となっていた。
おじさんと父の間に兄妹がいたが、生まれて間もなく
亡くなり、父の下は5人の妹と、トメが弟の10人
兄弟という構成になっていた。

病室に入ってすぐに、父のすぐ下の妹夫婦が来訪し、
おじさんを見舞った。私は奥に退き、おばさん夫婦が
おじさんの顔に向かって話しかけた。おじさんは半身不随で、
片方の自由がきかないため、いつも同じ方向を向いていた。
私がとっていた手は不自由な方の手で、きっと感覚が
なかったのだろうと思う。

ひとしきり妹夫婦とおじさんの奥さん(おばさん)が話をし、
30分ほどして帰っていった。

おじさんは時折り
「うぅぅ、うぅぅ」
と苦しそうな声を出すが、話をすることも、視線を合わせる
こともなく、時間が過ぎ去った。
『消灯時間です。お見舞いの方はお帰りください』
館内アナウンスが流れた。21時になったのだ。
私はおばさんに促されて出口に向かった。
なぜか背後が気になり、私は振り返った。おじさんと
目が合った。
「うぉぉぉぉー、うぉぉぉぉー」
苦しそうな、何かを言いたそうな、切ない声が響いた。
「おっちゃん?」
そう言って立ち止まる私に、おばさんが言った。
「しんどいから、あんなこと言うねん」
「気がついたんと違う? 私って」
「わからへん。意識あれへんねん」
おばさんはそう言うが、とても気になった。
おじさんの目を見ながら、集中治療室から出た。

「ありがとう、見舞ってくれて。気をつけて帰りや」
おばさんに見送られて、車に乗った。
エンジンをかけると、「チャゲアス」の70年代の
ベストアルバムのテープが鳴り出した。
車のカセットデッキには、常にこのテープがつっ込んで
あった。

西名阪自動車道を走っていると、テープがおかしくなった。
テープが熱で伸びてしまったのか、SPレコードを33回転で
再生したときのような、おかしな音になった。
夏場だったし、購入してから10年以上たつ古いテープだった
ので、伸びるのも理解できた。イジェクトボタンを押して
テープを出した。

次の日の朝、車に乗り込んだ私は、何気なく出ていた
テープをデッキに突っ込んだ。前夜のできごとは
すっかり忘れてしまっていた。再生が始まってハッとした。
「テープが伸びてたんだ」
慌ててイジェクトしようとしたが、まともな音で再生されて
いるのを確認し、首をかしげた。
「あれ、きのう……あの部分だけ伸びてたのかな」
そう思ったので少し戻って再生した。
おかしなところはなかった。
「どういうこと……?」

この事件の真相を確認するのは、おじさんが亡くなった
2ヵ月後である。それは、想像を絶する衝撃を伴って
いた。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.04.02 23:24:03
コメント(1) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: