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2024.09.19
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カテゴリ: I experienced
2週間前、抗がん剤の抜去後に起こったトラブルを書いた。

「ちょっとしたトラブル発生」

抗がん剤投与に使うポートの周辺に起きたトラブルの話。

切開痕上部が膿んでいると気づいた看護師が、
外科外来に回してくれたのだが、
あいにく怖い主治医は手術室に入っているが、
2度目の手術の執刀医が外来にいるということで、
診てもらうことになった。

抗生剤を塗布して終わり、だったのだが、
虫けらは、本当にそれでいいのかと、
猜疑心の塊で診察室を後にした。


毎日、抗生剤を塗布しろというので、
切開痕とその上部に抗生剤を塗ってはパッドで保護して、
を繰り返した(実は、切開痕の上の炎症は
虫けらにはわからなかった。ただ、切開痕は痛かったので、
切開痕とその上部に抗生剤を塗布し続けた)。

診察の翌日に気づいたのだが、
切開痕から黄色い体液が出ている。
それまでは、抗がん剤のカテーテルが入っていて、
防水シールで保護されていたし、
その前は切開痕を止めるシールが貼ってあったので、
切開痕をメンテしたことがなかった。

しかし、その後10日間、切開痕から黄色い体液は
出続けた。

抗がん剤治療のために外来に行った日、
待合室にいたら、看護師さんがバイタルチェックに来てくれ、
その際にポートの炎症のことも聞かれた。
朝、新しいパッドを貼っていったので、
患部を見せることはできなかったが、
これまでのことをかいつまんで話していた。

診察室に入り、怖い主治医と今後の治療のことや、
現在の副作用の話を一通りしたとき、
やおら看護師が診察室に入って来た。

「それと先生、ポート周辺の炎症を診ていただきたいんです」

事前のバイタルチェックのときの看護師とは違う人だが、
前回、執刀医の診察を受けたときに診察室にいた看護師だった。
(すごいタイミングだったので、ずっと虫けらと怖い主治医の
やり取りを伺っていたものと思われる。
医事課の女性がいなくても、安心できぬ)


看「どうなってます?」

虫「前回と状況が違っています」

と言いながら、診察台に促される。
えっ! 診察台で診るほどのこと?
椅子に腰掛けてでも十分……。

そんなことを言う暇もなく寝転ばされる。

怖い主治医が椅子に座ったまま、コロコロと椅子を転がして診察台の横へ。

看「あー、これはかゆい?」
パッドを剥がした看護師がポート周辺を凝視しながら言う。

虫「かぶれですよね。かゆいです」

と言いつつ、虫けら、怖い主治医の顔をまじまじと見る。
診察台と椅子の高さがちょうど合っているので、
虫けらの視線は、自然と怖い主治医の顔の高さに。

いい顔をしている。

鋭い眼光、白目が綺麗な涼しい目。
赤影か。

看「絆創膏のかぶれもありますよね」

虫「パッドを10日間貼ってましたから」

看「毎日変えてました?」

虫「2回。貼らない時間もつくらないといけないと…」

怖「何塗ってたの?」

看「ゲンタシンです。前回診察したときは、
  ゲンタシン塗って、絆創膏貼って帰ってもらいました」

虫「ゲンタシン塗って気づいたんですが、切開痕から黄色い…」

怖「体液が出てた?」

虫「はい。10日間」

怖い主治医がパッドを見る。

怖「いまは出てないよね」

虫「きのうはずっと外してました」

怖「今朝貼って来た?」

虫「はい。服に擦れたら痛いので」

この会話の間じゅう、存分に怖い主治医の顔を見ていた。

ちょっと緊張感のある表情。
ん、困った感の混じる表情と言うべきか。
いつもの冷淡で怖い感じとは違う、
これまでに見たことのないその表情に
虫けらは、心の内側に新たな感情がわくのを感じる。


怖「んー(ため息)」

虫「先生にため息つかせてしまいました」

怖「いや…」

怖い主治医はそれ以上を言葉にせず、
素手で触っていた虫けらの胸元から手を外して
アルコールで消毒した後、ゴム手袋をつけた。

虫けらは、右手でタンクトップの胸元を持って
見える範囲を広げていたのだが、
怖い主治医に手首を掴まれて、

怖「手はおろしといてね」

と言われ、強制的に体側におろされた。

しかし、虫けらのポートから視線を外して
看護師と怖い主治医が薬剤の相談をしている間、
なぜかまた手が胸元に戻っていた。
これには虫けらも気づいていなくて、

怖「怖い?」

と聞かれて、初めて自分の手の位置に気づき、
虫「すみません」
と、慌てておろしたら、看護師と怖い主治医に笑われた。

なぜ笑われたのはかわからないが、
虫けらが胸元を気にしていたのには理由がある。

立位では余りわからないのだが、
寝転ぶと、かなり上の方に「ちちがしら」が来る。
(多分、胸筋が発達しているのと、脂肪が少ない(貧乳…うるさい!)
ので、垂れ乳になっていないため)
タンクトップを少し下ろすと、「ちちがしら」が見えてしまう。

実は、ポートの手術のとき、胸元を開ける形で
バスタオルがかけられていた。
手術する範囲は十分に開いていたのに、
執刀医がバスタオルを少しずらしたことで、
「ちちがしら」が出てしまった。
執刀医は慌てて元に戻したが、
見えてしまったものはどうしようもない。

幾つになっても、「ちちがしら」を見られてうれしい女はいない。

怖い主治医に「ちちがしら」を見られるのがいやだ、
ということではない。
別に人を特定せずとも、誰にも見られたくないわけで、
反射神経のような手の動作だったのだ。

余談だが、夫が冗談で虫けらの胸をまさぐったとき、
いつも肋骨をモミモミするので、
「もっと上」
と虫けらが言うと、夫の手が上に上がって来て
「ほんまや。お前はビジンダーか!」
とよく言っていた。

キカイダーもビジンダーも知らない虫けらは、
「毎度毎度、そちもアホよのぉ」
で会話終了、としていた。

つまらぬ話はさておき。


妄想から覚め、ふと怖い主治医に視線を移すと、
怖い主治医が虫けらの顔を見て、困ったような、
申し訳ないような表情をした。

虫けらは「来た!」と思った。

すかさず、
虫「先生が執刀してくださらなかったから」
と言った。

瞬間、怖い主治医は虫けらの前腕をつかんで、
ぎゅっと目をつむった。

「言われると思った」「言わんといてくれ」「申し訳ない」

ということだろう。

いつもの「怒られた」
という言葉は発しなかった。

虫けらが率先して言ったのではない。
怖い主治医が誘導したのだ。
虫けらがこう言わなければ、
この場、というか怖い主治医の気持ちは収まらなかっただろう。

何しろ、手術当日の夜に、虫けらは、
「先生が執刀してくださるんじゃなかったんですか?」
と聞いた。
怖い主治医は
「怒られると思ってたんや」
と答え、申し訳なさそうにした。

あの前振りあってのこのオチ、である。

怖い主治医と虫けらのコンビネーションの妙を感じる出来事だった。

怖い主治医は、虫けらの言葉を待っていたのだろう。
しかも、怖い主治医が思ったとおりの言葉が返ってきたはずだ。

これも、先月の入院時の会話があってのこと。

もしかしたら、怖い主治医と虫けらは、意外にも同じ人種なのかもしれない。



このやり取りがきのう。

怖い主治医にリンデロン(ステロイド剤)を塗ってもらったおかげで、
きょうは、すこぶるよい状態になっている。

信頼している怖い主治医の「手当て」によって、
虫けらの体は敏感に反応しているということだろう。

「手当て」は、母や医師といった、
信頼している相手が手を使って施してくれたことが
患者の病気や傷を快方に導くというもの。

虫けらは、怖い主治医を信頼しているのだな。

そして、執刀医を信頼していないのだな。

と実感した。

(実は、虫けら自身が、自分の判断でリンデロンを塗っていた。
が、4日間続けても一向によくならなかった。
つまり、自分を信頼していないということがわかった)


そして、初めての怖い主治医からのボディタッチ。
ゴム手袋越しの感触だったが、
一生忘れないと思う。

虫けらが怖い主治医に触れることはない。

そして、怖い主治医が虫けらに触れることも、
この先ないだろう。


冥土の土産が一つ増えた。


               三 途




※「ちちがしら」とは、旅行したときに旧友が教えてくれた言葉。
 漢字では「乳頭」と書くが、響きがちと淫靡なので。





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Last updated  2024.09.23 14:24:40
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