小玉智子のお買い物ブログ

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2012年06月09日
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 約6か月ぶりのご紹介となりました。
 前回の告知通り、ここは遅ればせながらも“2011年邦画ベスト10”をご紹介したいと思います。

 2011年の邦画興行成績は、1位の「コクリコ坂から」でも50億円に満たないという、これまでにない厳しい結果でした。(ちなみに2010年の邦画興行成績1位「借りぐらしのアリエッティ」は82.5億円。)
 その他、三谷幸喜監督の「ステキな金縛り」、二宮和也&松山ケンイチ共演、コミックの実写映画化「GANTZ」、TVドラマの映画化「SP 革命篇」や「相棒-劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」などが順当に上位を占めました。
 そんな中、フジの人気ドラマ「鹿男あをによし」のスタッフが同じく万城目学の原作を映画化した「プリンセス トヨトミ」が大ヒット。久保ミツロウ原作コミックで、テレビ東京放映時と同じ森山末來主演作「モテキ」も口コミで伸びてじわじわと成績を伸ばし、共演の長澤まさみが再ブレイクを果たしました。

 今回も、そうした話題作に限らず、埋もれがちな作品の中からも良作を選んでみました。

1位「一枚のハガキ」(公開:2011年8月~)
 1912年生まれ。4月に御年100歳を迎え、このほど5月29日に惜しくも亡くなられた映画監督、新藤兼人が自身の体験を基に監督・脚本して描いた戦争ドラマです。2011年の邦画の中で、2位以下を大きく引き離して圧倒的に1位の作品だと思います。
 出演の豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、大杉漣らは、人間の喜怒哀楽を全身で表現し、まるで生の芝居を観ているかのような大迫力。そんな役者たちの大芝居にも負けないハイテンションな演出が全編に漲っています。エキストラの兵士たちひとりひとりの点呼を丁寧に撮り、新藤監督が背負った仲間たちの命の重みを感じさせるシーンもあれば、男女の恋愛をユーモラスに描くシーンもあります。
 生きるとは?戦争とは?生き残った新藤監督は今、何を思うのか?各シーンのひとつひとつに、一世紀を生き抜いてきた新藤監督にしか伝えられない、戦争体験者による生のメッセージが込められています。
 映画監督には遺作となる作品が必ずありますが、これだけ次世代への力強いメッセージが込められた美しい作品を遺す方は、数えるほどしかいらっしゃらないと思います。
 心よりご冥福をお祈りいたします。

2位「探偵はBARにいる」(公開:2011年9月~)
 大泉洋&松田龍平主演の男度満点のハードボイルド・ミステリー。東直己の“ススキノ探偵シリーズ”から『バーにかかってきた電話』を「新仁義なき戦い/謀殺」(2002年)やTV「相棒」シリーズの演出も務める橋本一監督が映画化。ストーリー良し。役者良し。演出最高!という、2011年の邦画中、群を抜いて面白いアクション・エンンタテインメントに仕上がっています。冒頭から、東映の深作欣二監督は当然ながら、東宝の岡本喜八監督をも思わせる男臭さと切れ味の良いアクションが炸裂。TV「傷だらけの天使」(1974~75年)や「探偵物語」(1979年)を彷彿とさせる70年代ドラマの雰囲気もガッツリ味わえます。適役の大泉洋を始め、松田龍平、浪岡一喜らのキャラクター描写も抜群。端役のチンピラたちの小芝居にまで気が配られ、出演者はみな、一様に楽しそう。興業12億円を記録し、続編製作も決定。過小評価気味の橋本一監督の実力がやっと認められてきた感あり。この東映テイストが現代の若者にも受け入れられている事も嬉しい限り。だって、誰が観てもカッコイイでしょ!橋本監督の次回映画作は6/30公開予定の「臨場 劇場版」。勾うご期待!

3位「 奇跡 」(公開:2011年6月~)
 「誰も知らない」(2004年)の是枝裕和監督が同じく子供を主演に描く感動のファミリー・ムービー。小学生漫才コンビの“まえだまえだ”の好演が微笑ましく、後半の「スタンド・バイ・ミー」(1986年)的な子供たちの冒険とその顛末に、爽やかな気分になれる感動作です。両親が離婚し、離れ離れに暮らす仲の良い兄弟二人という設定から、現在のリアルな家族像がみえてきます。二人の両親や彼らを取り巻く人々のドラマも丁寧に描き込んだ、是枝監督らしい1本です。

4位「 毎日かあさん 」(公開:2011年2月~)
 西原理恵子原作のエッセイ漫画を、元夫婦の小泉今日子&永瀬正敏共演で実写映画化したファミリー・ドラマです。ファミリー・ドラマと言っても、原作者の西原理恵子と、元夫で他界したフリー・ジャーナリストの鴨志田穣の生活を描く自伝的作品なので、ほぼリアリティ・ドラマのノリで観られます。それも、元・戦場カメラマンでアルコール依存症の夫との戦いの日々や、漫画家として原稿に追われ、子育てにも奮闘する西原理恵子の生活は想像を超えるハードさ。同じ女性として、ただただスゴイと感心します。子役を含めて配役がいいし、適度に笑いを入れてシビアな話を中和している小林聖太郎監督の演出が光っています。

5位「コクリコ坂から」(公開:2011年7月~)
 ジブリが久しぶりに「耳をすませば」(1995年)のような珠玉の少女ものを作ってくれました。『なかよし』に連載された少女コミックを、大幅に内容を変えてアニメ映画化した宮崎駿・企画&脚本、宮崎吾朗・監督作。1963年、オリンピック前年の横浜を舞台に、16歳の少女、海と17歳の少年、俊の高校生活を描いた爽やか青春学園ドラマです。歴史ある建物、通称カルチェラタンを巡る騒動や、海と俊の恋愛などが、坂道が印象的な港町の情景と共に美しく描かれています。60年代という時代設定の作品は、とかくノスタルジーに流されがちですが、本作では、主人公たちのキャラクターが活き活きと描かれており、当時の時代の空気や人々の活気、実直な若者たちの会話が心地よく、明るく楽しくなれる作品になっています。

 次回は 2011年邦画ベスト10(6位~10位) をご紹介します。





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最終更新日  2012年06月10日 09時34分17秒


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