愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

2003.08.19
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映画撮影所を舞台にした映画。描かれているのは日本映画全盛期だった1965年と2000年の現代。この映画の監督である中田秀夫は『リング』『仄暗い水の底から』など、ジャパニーズ・ホラーブームの火付け役となった人で、以前にも『女優霊』というホラー映画で撮影所を舞台にしている。彼自身も撮影所育ちであるため、映画に並々ならぬ愛情を注いできた。それがこの映画に現れている。

「映画の撮影風景を映画にする」というのはよくあることだが、この映画の中で撮影されているのは、最近流行の「テレビドラマの映画化作品」である。そこが妙にリアルで面白い。薄っぺらい脚本と緊迫感のない役者、時間と金の帳尻を合わせることしか頭にないテレビ局のプロデューサーなど、テレビドラマを映画にするということの存在意義を問いたくなるような人物が登場する。もちろんテレビ局の人間も必ずしもこういう人ばかりではないとは思うが、中田監督はこれらの人々をシニカルな視線で撮っている。

私自身は映画には映画の良さがあるし、ドラマにはドラマの良さがあると思っている。だからどちらが良いとは一概に言えない。しかし近年流行している「劇場版ドラマ」というものには少々疑問を持っている。例えば『踊る大捜査線』はスクリーンで観ても耐え得るスケールがあるが、『サラリーマン金太郎』『トリック』なんかはテレビのサイズがちょうど良いのではないだろうか。わざわざ互いのテリトリーを侵してまで映画にする必要が感じられないのである。しかし映画の価値は観客が決めることなので、その映画を面白いと感じる人がいる以上は、存在を否定することはできないだろう。

主人公である三原健という男は、1960年当時は花形スターであったが、その後転落していき2000年ではエキストラ同然の端役として登場する。その間に妻を事故で喪ってしまう。花形スターとしての地位も妻も、何もかもを喪ってしまうのである。そんな彼の「ラストシーン」がこの劇場版ドラマの病人役でのシーンなのである。最期になってようやく「妻への愛」と「映画への愛」に気づく、そんな心情がどうにもやるせない気分にさせる。

中田秀夫という監督は、女優の撮り方が上手い人だなぁと感じた。この映画でも女優はたくさん登場するが、その中でも抜群に麻生久美子が美しく撮れている。撮影所でひたすらこき使われる小道具係役なのだが、本来なら裏方である小道具係を非常に魅力的に撮っている。中田監督の映画への愛情、スタッフへの愛情、女優への愛情が伝わってくる。

不満がないわけでもない。この映画、少々物足りない感がある。あまりにも主人公である三原健寄りの話になってしまっているために、映画の裏側というものが存分に描ききれていないように感じられる。もっと映画に関わるスタッフ達にライトを当てて欲しかった。

「映画の時代は終わったのよ」というセリフがなんとも切ない映画である。






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最終更新日  2003.08.19 01:04:08
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