愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

2004.01.16
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ひょんなところからオレンジ色の小汚いノートが出てきた。

表紙を見ると、これは私が中学1年から2年にかけて書いた作文ノートのようだ。

懐かしい。ドブのような記憶に沈殿しているヘドロをさらう気分で読んでみた。

まずは『多摩テックへの遠足』というタイトルの作文。
これは中1の時の春の遠足で、多摩市の中学校に通っていた私の学年は徒歩で多摩テックという遊園地に遠足に行ったのだ。

「5月28日、多摩テックへ遠足に行った。とても良い天気で遠足びよりだった。が、僕は曇り気味で気温が低い日を望んでいたので、少し行くのが嫌だった」といきなり憂鬱な発言。
天気が良いから行くのが嫌だなんて相当に天邪鬼な子供である。我ながらその消極的な態度に腹が立つ。

そんな良い天気の中、徒歩で丘陵地帯を歩く様が脈々と綴られている。
その描写の中に「汗がダラダラ出てきた上にノドがカラカラだった」とある。
さりげなく韻を踏んでいるのが笑える。ポエトリー魔境に迷い込んでいたのだろうか。

そして我々一行は多摩テックに到着し、飯盒炊爨でカレーを作り乗り物を堪能したようだ。
帰る時間になり、「ここまで来るのにあれだけ苦労したのだから、帰りは当然バスだろう」と思っていたらしい私は、帰りもまた徒歩であることに愕然としたようだ。

「こうしてまた、しりとりをしながら地獄のはるか底を味わった4班だった。もうすでに水木しげるの世界は過ぎ去った感じだった」と述べられている。

しりとりをする余裕がある地獄のはるか底なんてたかが知れている。しかも「地獄」の表現で「水木しげるの世界」と書くところに私の安直さが窺える。別に水木しげるが描いている世界は必ずしも地獄ではないような気がする。
そこはむしろ「八甲田山死の彷徨の世界は過ぎ去った」と書くべきだったと10年越しの後悔。

他にも運動会や文化祭について綴った作文が残っているが、要所要所で「つまらない」「くだらない」「早く帰りたい」と毒を吐いている幼い頃の私に少なからず驚いた。こんな消極的でやさぐれた子供だったのだろうか自分は。

文化祭で下らない展示物を見てしまったらしい私は「一発ぶちかましてやろうかと思った」とも書いている。
デストロイ。
幼い私の破壊的な発言に悲しいやら情けないやら。

最後に載っていたのは『二年生になって』という作文。
これは一年生から二年生になった意気込みを語った作文である。
どうやらこの時にクラス替えがあったらしく、私は仲が良かった友達と離れ離れになったようだ。

そんな状況で私は「特別仲の良い人を作るのではなく、全体の人と仲良くしたい」と語っている。「狭く深く」の付き合いではなく「広く浅く」の付き合いがしたいということを堂々と語っている。

中学校というのは、一番友達付き合いが面倒臭い時期である。多感な時期を迎えたボーイズ&ガールズは自分が他人にどう見られているかを過剰に意識してしまい、あちこちのグループに顔を出している人はやっかまれてしまうのがオチである。そんな中で「広く浅く」の付き合いをしようだなんてどだい無理な話である。実際、私はそんなに沢山の人とは仲良くなれず、割とこじんまりしたグループでたむろっていた。それは今も大して変わらない。「友達付き合いも欲張っちゃダメだ」と当時の私に語って聞かせてあげたい。

中学二年生という年は生徒会会長をやったり、専門委員(図書委員とか保健委員とか)の委員長をやったりと、何かと忙しい時期でもある。
それについて私は「今まで僕は大きい仕事というのはやりたくなかった。でもこれからは少しずつ大きい仕事もやっていけたらいいなと思う」と綴っている。

これまた見切り発車的で聞こえのいい発言をしたものである。
実際のところ私は生徒会にも立候補しなかったし、専門委員の委員長に関しても何とかうまくやらずに済むようにヒラリヒラリとかわしてきた。

面倒臭いことは大嫌い、しかし大見得は切ってみるという羊頭を掲げて苦肉を売ろうとしている姿勢が相当あざとい。
今も面倒臭いことは大嫌いだが、大見得は切らなくなった。後に引けなくなると困るから。
成長したと言うかよりあざとくなったと言うか、忸怩たる気分である。

また、下級生ができるということで「気軽に声をかけ合える関係を築けたらいいなと思う」と書いている。
そんなことさらさら思ってもいないくせに、よくもまあ上っ面だけの言葉を並べたものである。
きっと本音は「年下は扱い方がわからないから、できるだけ声なんてかけないでくれ」だったと思う。

今でも就職の面接などの際に、聞こえのいい言葉や綺麗事をつらつらと語る自分に、自分自身で驚くことがある。
「とりあえず良いこと言っとけ、食いっぱぐれない」という人生のスタンスは変わっていないようだ。人間万事塞翁が馬。今の私は負け組ではあるが。

ここらでもう一度、人生を見つめなおしたほうがいいかもと思い始めた午前2時。





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最終更新日  2004.01.17 02:26:59
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