愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

2004.02.19
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2002年度制作のアメリカ映画。
監督は『リトル・ダンサー』のスティーヴン・ダルドリー。

この映画は3人の女性が主人公である。
それぞれ異なる時代を生きている女性たちが、ヴァージニア・ウルフの小説『ダロウェイ夫人』を軸に描かれている。

ニコール・キッドマンが演じるのは『ダロウェイ夫人』の作者でもある実在の作家、ヴァージニア・ウルフ。
この映画は1941年に彼女が入水自殺するシーンから始まる。
しかしこの映画で描かれる彼女の姿は、1923年を舞台としている。

ジュリアン・ムーアが演じるローラは、1951年を生きるロサンゼルスで裕福な環境に暮らす主婦。彼女は『ダロウェイ夫人』を読み耽っていて、もはや本の中の世界を生きていると言っても過言ではない。理想の妻を演じることに疲れてしまい、徐々に自分自身を追い詰めていくようになる。

メリル・ストリープが演じるのは、2001年のニューヨークに暮らす編集者クラリッサ。彼女は、エイズに冒されている元恋人で作家のリチャードの世話に身を粉にしている。そして彼が栄誉ある賞を受賞したことで忙しい一日が始まる。


この映画は、違う時代を生きる3人の女性のある1日を描いている。そして3つの時間軸が様々なきっかけで錯綜する。
下手するともの凄くややこしい映画になりそうだが、この映画は脚本も構成もシェイプされていて無駄がないので、非常に見やすい仕上がりになっている。

3人の女性たちは、みなそれぞれに心の中に暗闇を抱えている。それがどういった理由から生じたものなのかは言葉で説明されることは無いが、それぞれの女優たちの表情が全てを物語っている。さすが実力派女優である。

ニコール・キッドマンはつけ鼻を付けてヴァージニア・ウルフを演じている。彼女は徹底してリアリティを追及する女優のようで、筆跡や利き腕までも変えたそうだ。
私にこの映画の予備知識がなければ、最後まで彼女がニコール・キッドマンであることに気づかないだろう。それほどまでに彼女は役になりきっている。
節々で見せる、彼女のシニカルな表情が魅力的だ。知的だけど何を考えているのかイマイチ掴みきれない、そんな女性を見事に体現していた。

この映画で、私にとって一番印象的だったのはジュリアン・ムーアだ。ジュリアン・ムーアというのは華がある中にもどこか淋しげな陰がある女優である。そんな彼女は、普通の主婦になりきれない1人の女性という難しい役を巧みにこなしている。
幼い息子を深く愛しているが、それでも自分の人生に迷っている表情が哀愁を誘う。
この映画における3人の女性の中で、彼女が演じたローラが一番難しい役なのではないかと思う。

メリル・ストリープが演じるクラリッサもまた自分の人生に悩んでいる1人である。自分にとっての幸せが何なのか、なかなか見出せないのだ。
複雑な気持ちを抱える人間が現れたことで情緒不安定になってしまう芝居がとてもリアルで鬼気迫るものを感じた。

それぞれの女性の、とある1日を描いた映画であるが、各々の生き様がドラマティックでとても濃密である。

異なる時代が1つのモチーフで絡まりあう構成が見事で、鑑賞後に「しっかりした映画を観た」という満足感が得られる映画である。

★★★★☆





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最終更新日  2004.02.20 01:22:14
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