森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.01.05
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生活の発見誌の11月号に次のような記事がありました。(49ページ)

阿川弘之さんが伝記を書く際の基礎的な心構えの一つとして、次のように書いています。
「説明せずに描写せよということです。美しい花、美しい花と、いくら書いても、読むほうは美しいと感じられません。事実だけ述べて、読むものに「なんて素晴らしい」と感じさせる。それが描写であります。」

学習会で、何回も、例えば「あるがままに」とか「事実唯真」が大切と言葉の意味を繰り返し説明しても、「わかった」という納得には至らないでしょう。
貴方メッセージよりも、「自分の体験を伝える(事実)」私メッセージで示唆し・対話したいものです。

なにげない説明ですがとても大切なことを云われていると思います。
基本的な森田理論学習の心構えのことだと思います。

森田先生も「具体的に話す」ということを重要視されています。
抽象的なことことばかり訴えて「つまらない事を気にする」、とか「目上の人に気兼ねする」とか、「死ぬ思い」とかいう風に、あるいは人情の当然の事や、あるいはなんの事か、少しも見当のつかぬ漠然たる事をいって、いたずらに人の同情を求めようとする。
神経質がすべて自分の苦痛を抽象的に・独断的・自分勝手にいわずに、事実を具体的に表現する工夫をすれば、それだけでも、その症状は、容易によくなるのである。
(森田全集第5巻 226ページ)

森田には「純な心」「はからい」「精神交互作用」「かくあるべし」「あるがまま」「事実唯真」など聞きなれない言葉が出てきます。
それらの言葉の意味を学習して理解することは大切です。
しかし理解できた段階で満足してしまっては、症状の改善や人生観の確立にはつながりません。

たとえば「かくあるべし」の学習をすると、自分の頭の中で考えた観念、理想のことだと理解できます。
「こうでなければならない」「こうであってはならない」などというものです。
それを優先して生活していると、実際の事実、現実がその通りにならないので、葛藤や苦悩が生まれてくることが分かります。神経症というのはそれが増悪したものだと理解できます。

理解できたら次の段階に進むことが大切です。ここがポイントです。
自分の「かくあるべし」はどんなものがあるのだろうと考えてみることです。
理論を自分の場合に当てはめて分析してみることです。

対人恐怖症の人は、「他人から評価されるような人間にならなければいけない」
「他人から批判、否定、軽蔑されるような人間にだけはなってはいけない」
などというようなものかもしれません。

そいった「かくあるべし」が現実の生活の中でどんな問題を生じさせているのか。
自分の葛藤や苦悩を振り返ってみることです。

実態が十分に理解できれば、どうすればその葛藤や苦悩を小さくできるのだろうかと考えるようになります。「かくあるべし」を少なくして、事実本位に近づくにはどう行動すればよいのか、しだいに見えてきます。森田理論にはそれを援助するための考え方が幾つも用意されています。

こういったところに踏み込んで学習していくと、森田理論学習は本当に役立つものになります。
ですから理論学習だけで「森田の云わんとするところは分かった」で終わるのではなく、果たして自分の場合に当てはめるとどういうことなのだろうと考えてみることがとても大切なのです。
そして実践しながら、確信へと高めていくいくと素晴らしい人生に変わっていきます。





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Last updated  2024.06.04 10:02:55
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