森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.01.19
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欲望や不安はどのようにして発生するのだろうか。
最初から人間の頭の中にあるものではない。
目の前の出来事に接して、それぞれの人が頭の中で自分なりの解釈を付け加えることによって発生している。この解釈や認識は100人100様です。
同じ出来事に接しても、パニックになるほどの強い不安や恐怖を感じる人もいる。
ものの受け取り方が、否定的、悲観的傾向に片寄っている人もいる。
神経質性格を持っている人は、その傾向が強いようだ。

人によって異なる解釈や認識はどのように形成されるのだろうか。
それは今まで生きてきた経験、環境、記憶、性格傾向などによって決定されます。
自分一人で欲望や不安を作りだしているように思っているが、それは認識の誤りです。
自分とかかわってきた人たちから受けた影響の範囲内で欲望や不安が生みだされている。
親の子育て、周囲の人間関係、学校や社会での教育、テレビや新聞、国家による洗脳が大きな影響を与えている。

たとえば戦時中は、国民は天皇陛下のためには喜んで命を捧げるという教育を受けました。
そういう洗脳教育を受けた結果、多くの国民はその思想に染まってしまいました。
最後までアメリカと闘うのだと思っていたのです。それに反対する人は非国民と言われました。
今考えると無謀ですが、そういう洗脳教育をいつの時代も、どこの国で行っていると思っているほうが無難です。いまの金融資本主義の弊害はあちこちで問題を露呈していますが、私たちは井戸の中に入っている状態なので、洗脳教育を受けているとは夢にも思いません。
そういう洗脳教育が、自分たちのものの考え方、思考の形成に大きな影響を与えているのです。

もう一つ例を上げましょう。
私たちは毎日テレビを見ています。
民放放送ではひっきりなしにCMが流されています。
その結果、知らず知らずのうちに私たちの物欲が刺激されているのです。
最近は録画して、CMはスキップして後で見る人もいます。
そこで「プロダクト・プレイスメント」という広告手法がとられています。
たとえばドラマの中で俳優さんが着ているもの、飲んでいるもの、使っている車、家具や飾っているものを視聴者に植え付けるという手法です。CMのような露骨な宣伝ではありません。
何となく自分も同じものを使ってみたいというような状況を作りだそうとしているのです。
テレビは見ませんという人でも、新聞をとっていると、折り込み広告は山のように挟みこまれています。
これらに接することで、知らず知らずのうちに自分の生活に取りこんでいくのです。
ものの考え方、思考パターンの習得も全く同じことが言えます。

ですから欲望や不安に振り回されているのは、自分ひとりで作りだしたものではない。
そういう考え方、思考パターンは、今まで知らず知らずのうちに受けてきた洗脳教育の結果として存在しているということです。不安、恐怖、違和感、不快感などは、時代環境が変わり、別の洗脳を受けると、今までとは全く違う考え方、思考パターンに変わってしまうという類のものです。

このように考えると神経症で苦しむことは、実体のない幻想の世界に迷い込んで、一人相撲をとっているようなものです。このことが理解できれば、不安に自分の人生を奪い取られてしまうことが軽減されるのではないでしょうか。





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Last updated  2020.01.19 06:20:06
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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