森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.01.23
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カテゴリ: 感情の法則
森田理論の中に常に、「感じから出発せよ」というのがあります。

森田先生曰く。
我々の日常生活は、実際において、まず第一に、時と場合における「感じ」から心が発動し、種々の欲望が起きるときに、それに対して、理知により、理想に従って、自分の行動を抑制していくのであって、すなわち第一が「感じ」で、次に理想が動くのである。(森田全集第5巻 405ページ)

たとえばテレビの料理番組を見ていると、自分でも作って、食べたいという気持ちになります。
食べたいという感情が湧き起こったのです。
これを基にして、買い出しに行き、実際に作って食べるという行動につながっていくのです。
この時に生活習慣病で糖尿病の疑いがあると指摘されていれば、甘さを控えるために、砂糖は少なめにしようと理知が働くようになります。この流れは無理がありません。

ところが、感じの発生がないのに、理知から出発するととんでもないことになります。
糖尿病になると目が見えなくなるかもしれない。
また足の細胞が壊死して、片足を切断することになるかもしれない。
それを防ぐためには、甘味料の入った料理は食べてはならない。
糖をたくさん含んだごはんやパスタなどもダメだ。
味の薄い、美味しくない糖尿病食を特別に作って食べていくしか方法はない。
それが病気を増悪させない唯一の道だ。
理知というのは、理屈、原理原則から入って、食べたいという感情を無理やり押さえつけているのです。
理知を第一に押し出して、感情を抑圧している態度です。
これは自然に反していて無理があります。

この考え方は対人関係にも応用することができます。
たとえばインターネットなどで森田の自助グループをみつけて学習会に参加される人がいます。
見るからに森田適応者と判断できるような方です。
でもそういう方が続けて集談会に参加されるかというとそうではありません。
継続参加される人は10人に1人か2人といったところでしょう。
そういう人にこの森田の法則を活用してみたいものです。

最初から集談会に継続して参加してください。あなたは森田に向いています。
私たちの会は会員が減少して会の運営が心もとないのです。
入会して会員になって一緒に森田理論を学習しましょう。
ぜひとも会員になってください。
これを第一に押し出して、継続参加を訴えかけることは、理知を前面に押し出したやり方だと思います。

相手はこの会はどんなところか。怪しい会ではないのか。
薬物療法や認知行動療法などの精神療法と比べてメリットはあるのか。
どんな人がいるのか。どんな症状の人がいるのか。本当に神経症を克服しているのか。
これらを鵜の目鷹の目で見ているのです。

相手の感情に訴えかけて、相手の感情を動かすことにエネルギーを投入することが必要だと思います。
たとえば会社の中での人間関係で苦しんでいる人がいます。
そういう人に対して、今現在も対人関係で苦しんでいる人はその状況を具体的に話してあげることです。
今は楽になっている人も、苦しんでいた時のことを具体的に話してあげることです。
ここには私と同じ仲間がいると思ってもらうことです。
自己紹介は始めてきた人に対して自分の症状について具体的に話すことが大切です。
自己紹介はそういう目的志向を全員が持つことが肝心です。
私の症状は「対人緊張が強いことです」だけでは、相手には何の感情も湧き起こりません。

症状を克服した人は、この会に参加して、仲間との交流による精神的支え、仲間意識の高まり。
さらに症状克服に役に立ったことを1つか2つ具体的に話してあげることです。
それを集談会に参加した人が一枚岩になって取り組んだ時、初めて参加した人が、「この会はいいかも」という感じが湧き上がってくるのではないでしょうか。
様子見できている人が多いのですが、このように感じを発生させて、高めるという活動を地道に続けていくときっと定着する人は増えてくると思います。

このように、かすかに集談会に参加することのメリットを感じた人には、つぎの段階に進むことも必要です。継続参加を促す理知の活用です。
たとえば、この会はしばりはありません。入会も退会も自由です。
政治とか宗教は持ち込んではならないことになっています。
会は1か月に1回、しかも日曜日の午後からの半日だけです。
会場は公共機関を利用しています。テキストは400円です。
その他分かりやすい独自のテキストも無償で用意しています。
立ち直った仲間、今現在苦しみの真っただ中の人と話ができます。
集談会後、喫茶店や居酒屋での交流もあります。
特に優れた書籍、DVDなども紹介しています。
森田に詳しい精神科の協力医、臨床心理士もご紹介しています。
ご希望で世話役を引き受けると、それが社会体験につながり、会社で活かすこともできます。
その他、著名な森田療法家の心の健康セミナーという案内も行っています。
神経症の克服に役立つ会誌を毎月発行しており、会誌を読むだけでも立ち直りの手助けになります。
仲間の行動から、症状克服のためにどういった行動が有効なのか分かるようになります。
会員の書いているブログなども紹介しています。
その他、参加する人のメリットはたくさんあります。ご自分でも考えてみてください。
それらをチラシにするなり、言葉で伝えるようにするのです。

ここで注意したいことは、先に「少し継続してみようか」という感じを発生させることが先です。
いま紹介したことは、感じが芽生えた人に、行動を前向きにスムーズにアシストするための理知の部分にあたります。順序を逆にしては元もこうもありません。
感じから入って理知で調整するという原則は厳密に守る必要があります。
このように考えると、この森田の考え方は人を動かすための奥義でもあるのです。





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Last updated  2020.01.23 06:20:06
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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軸受国富論@ Re:森田の正道を歩むとはどういうことか(06/05) かの有名なドクターDXの理論ですね。ほか…

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