ふつうの生活 ふつうのパラダイス

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2007年01月08日
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カテゴリ: 社会系エッセイ

患者取り違えについてですが、鈴木厚さんの『日本の医療に未来はあるか』という本の一部を読んでの感想です。

平成11年、横浜の病院で心臓手術の患者と肺手術の患者が取り違えられて、手術されてしまった事件です。




医療ミスといえば、大概はその理由として人数不足が挙げられます。確かにそうではあるのですが、この実例を読むと必ずしもそれだけとは限らないのではないかと思うのです。

患者取り違えの場合、実際に手術にかかわったスタッフたちは、まったく気づかなかったのだとばかり私は思っていました。しかし、実際には、多くのスタッフが何度も患者に名前を読んで声かけをし、何人かのスタッフや医者が患者を見て、「違うのではないか」とか、「おかしい」ということに気づき、疑問の声を発しているのです。

モジュール方式というアメリカの医療現場で採用されているシステムを導入していることも原因の一つに挙げられています。それもまた、考えられます。

しかし、この検証と、実際の現場状況から考えた時、日本人独特の特質が見事な形で現れていることに驚いたのです。二人の患者は他人の名前で何度も呼ばれているのにもかかわらず、そのたびに「はい」と返事をしている、または、うなづいているのです。状況として、二人とも声の発せない朦朧とした状態ではあったのだけれど、それでも、アメリカ人であれば、はっきり不愉快な顔をしたり、違うという意味のなんらかの意思表示をするのではないかと私は思う。アメリカ人などにすれば、他人に間違われるなんてこんな不愉快なことはない。しかし、日本人はここで、相手に悪いというようなへんな遠慮が入ったりする。

さらに、医療スタッフ側の何人かが、疑問点を投げかけたにもかかわらず、結局周りに訂正されたり、うちけされたり、否定されたりして、そこで意見を取り下げてしまっています。

アメリカ人なら、ここでもう少し強く自己主張したり、きっちりと、確認を取りそうな気がするのだけれど、日本人というのは、基本的に自分の意見を強く主張したりしない。異論を唱えても、その場で否定されたりした場合はすんなり、引いてしまう。それは、人とのトラブルや摩擦をきらい、自己主張を強く発することをしない、まさに日本人の特質そのもので、この事例を読んでいると、その部分こそが実は医療ミス、患者の取り違えをおこした一因のように思えます。

おかしいと思うのなら、たとえ、その後で自分の勘違いだったと周りから叱責されても、きちんと確認を取る。こういった指摘に対して、あとから勘違いで、手間と時間を無駄にしたというような非難をしない雰囲気というか、システムというか、慣習というか、そんなものがあれば、異論も疑問も発しやすいのではないかと思います。

システム以前に存在する日本人の特質ゆえに起こる医療過誤は、やはり、日本人独特の性質を考慮に入れた上で、システムを再構成すべきではないのでしょうか。

ところで、本人確認が名前を呼ぶだけというのも、なんとも古臭い。最先端の医療を喧伝する大病院でもこんななんだから、日本の国ってお粗末だよな。

名前を呼ぶ以外に、相手に名前を聞く、言わせるという方法もありだろうし、さらには、指紋認証システムなどの科学的な先端技術を導入した、固体の判別方法などの導入なども考えられていいはずなのではないかと思います。
カルテに張られた指紋のデータと実際の患者の体の指紋とを照合することによって、患者の意識がなくとも、顔を知らなくとも、固体が判別できるではないでしょうか。

でも、もちろん、スタッフはちゃんと患者さんと面識を持ってからの方がいいでしょうけどね。もちろん。

すべての看護師、医者とすべての患者が顔見知りなのが理想だけど、大病院ではやっぱり無理でしょうねえ。















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最終更新日  2007年01月08日 14時33分45秒
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難しいですよ~  
ままちり  さん
手術の前日などに麻酔科の看護師などが、病室に来て顔や名前の確認、その他アレルギーの有無などをじかに確認するのが通例のようですが、実際手術室に行く時には、来た看護師さんはしっかりマスクで顔が隠れているので患者にはよくわからないし、病室で緊張緩和のためにぼんやりする注射なんかも打たれてきますからね~意識をしっかり持つってのはまず難しいでしょう。
世に医療ミスが頻発してから、私の通う病院でも点滴1本打つ際にも、患者に名前の確認をするのを義務化しましたっけ。
でも限度ってあります。
次々に急変が起きたりした場合や、患者が高齢などで名前がいえなかったりすることもありますものね。
やっぱり病院側にひたすらしっかりしてもらわないと、患者側は安心できませんよね。

(2007年01月08日 21時40分07秒)

Re:難しいですよ~(01/08)  
civaka  さん
ままちりさん
お、さすがに詳しいですね。
うーん。名前を聞いたり、するような方法で本人確認をすること自体が無理があるのかも知れませんね。
そうなると、生物学的にチェックとか、アメリカの軍隊みたいにひとりづつネームプレートつけるとか。でも、それを嫌がることもいるでしょうし。
名前が似てると、聞き違いも有りそうだし。
今現在はどうなのでしょう。
私はこんな目にあいませんように。
むずかしいですね。 (2007年01月09日 08時06分35秒)

Re:医療ミス患者取り違えについて(01/08)  
aki さん
こういうミスを教訓にしてより良いチェック体制やマニュアルが作られていくのでしょうが、不幸な教訓にはなりたくないしできるだけ減らしたい。けど・・やってみないと分からなかった。というのが人命にかかわる場合つらいですね。
 最近、知ったのですが、イタリアでは救急医療は無料なんだそうです(たぶん・・現地で救急車呼んで救急病院に行った知り合いの日本人が言ってたのですが)イタリアって・・・電車や公共機関もルーズでいい加減な国ダナ~と思っていたんだけど、チョッと時間が遅れたくらいで大ブ~イング!何でもきちんとできていてあたり前の日本と比べるとおおらかで過ごしやすいのかも?(サービスは悪いけど、提供する側は気楽ですよね?・1~2分の遅れで運転手が脱線事故を起こすくらいプレッシャーを感じるというのは日本以外の国では信じられないそうです)ETCが日本より早く整備されていたり医療が意外と充実していたらい・・押さえなければいけない場所と抜いていい場所のバランスが意外といいのかも?やっぱり歴史があるだけあってヨーロッパは奥が深いかも?デス
★話が違いますが「生物が遺伝子の乗り物」という考えが最近は違う という件ですが 最近の主流はどんなんでしょう?教えていただけるとうれしいです。 (2007年01月09日 11時19分44秒)

Re[1]:医療ミス患者取り違えについて(01/08)  
civaka  さん
akiさん
>こういうミスを教訓にしてより良いチェック体制やマニュアルが作られていくのでしょうが、不幸な教訓にはなりたくないしできるだけ減らしたい。けど・・やってみないと分からなかった。というのが人命にかかわる場合つらいですね。
★とにかく日本のお役所は前例がないかぎりうごきませんからね。その前例に自分がなるのはもちろんいやです。あんたが前例になれよと役所の人に言ってみたい。病院の人にも。

> 最近、知ったのですが、イタリアでは救急医療は無料なんだそうです…中略…押さえなければいけない場所と抜いていい場所のバランスが意外といいのかも?やっぱり歴史があるだけあってヨーロッパは奥が深いかも?デス
★ほー。そういうところがヨーロッパのすごいところですね。押さえどころがわかっている。日本は普段きちんとすることにこだわるくせに肝心なところで手を抜くんだもの。いかり!

>話が違いますが「生物が遺伝子の乗り物」という考えが最近は違う という件ですが 最近の主流はどんなんでしょう?教えていただけるとうれしいです。
★それが…。どこかのサイトで読んだのですが、パソコンがかわったので、お気に入りの記録がないのです。もうどこだか、わからない。汗。でも、しらべていけばどこかでみつかるかなあ。とにかく今は不明です。研究するとおもしろいかもしれませんが。ははははは。
(2007年01月10日 07時30分46秒)

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