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菅義偉前首相「野党に政権を渡すこと、絶対にしてはならない」野党政権だった2012年は(日経平均)株価が8千円(台)だった。1ドル80円(台)。働きたくても働く場所がなかった。アベノミクスを推進して2年で株価を2万円(台)にし、有効求人倍率(季節調整値)は0.83倍から1.64倍までもってきた。こうした政策一つ一つを見るときに、私たち自民党が野党に政権を渡すようなことはあってはならないと思う。非常に厳しい状況下ではあるけれども、やるべきことをしっかりと実行に移していくことが大事だ。国際的にも、国内的にも極めて大事なときに政権を渡すようなことは絶対にしてはならない。(自民党千葉県連大会の講演で)---自民党がどうしても下野したくないという「自民党の意思」は、よーく分かりました。が、国民にとってはどうでしょうね。「野党政権だった2012年は株価が8千円だった。」そうですが、言うまでもなくそれはリーマンショックによるもの。で、株価を8千円台に「落ちた」のは、どこの党が政権についていたときでしたかねえ?1ドル80円台が円高過ぎて問題だったのは確かですが、じゃあ160円台目前の今はいいの?わたしにはまったくそうは思えないのですが。アベノミクスの危うさは、誰もが知るところだと思ったのですが、案外そうでもないんですね。私は、現状はかなり危ういバランスの上にギリギリ乗っかっているだけの状態で、いつ破綻するか分からないものと思っています。リーマンショックは米国発の世界同時不況であって自民党の責任ではない、という擁護はあり得るかもしれませんが、それを言うなら、その後の株価回復も世界同時回復であって、自民党だけの特別な功績とは言えません。ニューヨークの株価だって、だいたい日本と同様に上がったり下がったりしているんだから。そして、確かに今のところ株価は上がってます。しかしそれ以外になにか良いことがありますか?求人倍率が上がったというのは、少子化、人口減少で労働人口が減っているだけのことです。その少子化は、自民党政権の下で一貫して歯止めがかかることはありませんでした。もちろん、少子化も、実際には世界的現象であって、「自民党だけが悪い」というものではありません。でも、有効な対策が何も取れていないことは事実であり、株価上昇、有効求人倍率上昇という、多分に他力本願の結果を「自民党の成果」と誇るなら、悪い方の結果責任についても非難を甘受しなければ不公正というものです。過去、散々「公務員天国」などと言って自民党は(維新はそれ以上に)公務員攻撃を行ってきましたが、そのおかげで今や国家公務員、地方公務員若手中堅が続々と退職しています。もちろんそれは、公務員だけではない。様々な分野で人手不足の歪みが顕著になっているわけですが。その中でこのようなある種ノーテンキな自民党礼賛、きっと「自民党命!」の熱烈支持者には響くのでしょう。でも、それ以外の大半の人は、「何言ってんの」としらけるだけじゃないですかね。
2024.06.25
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市川市にカワウの大群1万羽、フン害に住民うんざり…巣にドライアイス投入でも解決遠く 千葉県市川市の「行徳鳥獣保護区」周辺にカワウの大群がすみ着き、管理する県や市に近隣住民からフン害の苦情が相次いでいる。県によると、保護区のカワウの生息数は2016年は3084だったが、23年には9627と3倍以上に増加。県は保護区の樹木を伐採するなど対策に苦慮している。カワウはウ科の水鳥で体長約80cm。環境省によると、1980年代以降、全国で増え、各地で漁業被害や営巣による悪臭、樹木の枯死などの問題が生じている。県自然保護課に寄せられている苦情は、「道路にフンが落ちている」「臭い」など今年度に入り数件あった。市川市にも臭いなどの苦情が複数あるという。県は保護区での営巣を抑制しようと、21、22年度、卵を冷やすドライアイスを巣に投入。23年度までに国道357号沿いの樹木の伐採や枝切りも行ったが、生息数は1万前後で推移している。保護区を見渡せる市の行徳野鳥観察舎からは、国道357号の塩浜交差点から千鳥町交差点まで、樹木にとまる数千羽とみられるカワウが確認できる。巣の多い木は枝葉が少なく、枯れてきているようにも見える。---ご存じのとおり当ブログでは時々鳥の写真をアップしていますが、私が野鳥観察を再開したのは2016年頃のことです。それ以前長い空白期があって、小学校高学年から高校生くらいまで野鳥観察をしていました(当時はカメラはなく、観察のみ)。日本野鳥の会には、23歳か4歳まで会員だったかな。その当時は、引用記事にある行徳野鳥観察舎にはよく行っていました。しかし、8年前に野鳥観察を再開してからは、実は一度も行っていません。私が中学生の頃はまだ京葉線がなく、この辺りには東西線しか走っていなかったので、東京湾の海岸沿いは駅から遠かったのです。行徳野鳥観察舎も、行徳駅から徒歩15分か20分かかった記憶があります。しかし今は、手前に葛西臨海公園と新浦安日ノ出海岸、先に三番瀬海浜公園、それに東京港野鳥公園という水鳥スポットがあって(東京港野鳥公園は、中学生の頃も何回かは行っていますが)、簡単に行けるので、どうしてもそちらに行ってしまいます。当時、行徳野鳥観察舎は蓮尾さんという名物のようなご夫妻が管理されていましたが、今もご存命かな。さて、それはともかく、私がよく行く前述の葛西臨海公園、新浦安日ノ出海岸、三番瀬海浜公園、東京港野鳥公園でもカワウは多いです。ただ、時々、「多い」というレベルを超越したすさまじい大群と遭遇することがあります。2019年11月3日葛西臨海公園同上2021年新浦安日ノ出海岸同上パッと写真が出てくるのはこのくらいですが、これ以外にも葛西臨海公園では、すさまじいカワウの大群が乱舞するのは、少なくとももう1回見ていますし、実は東京湾の沖合を飛んでいく豆粒みたいに遠いカワウの超大群は、もっとずっと頻繁に見ています。カワウは珍しくもない鳥なので、遠方の豆粒みたいな群れを撮影することはありませんが。葛西臨海公園や東京港野鳥公園でも、大量のカワウが止まる木はフンで真っ白になっています。ただ、普段見かけるカワウはそこまで多くはないので(それでも、それぞれの場所で数百羽はいるでしょう)、時々不現れるあのカワウの大群は普段はどこにいるのかなと思っていたのですが、行徳にいたのですね。しかし、最近は海鳥の糞害も結構多いようです。カワウの糞害は実は初めて知りましたが、東京湾沿いではウミネコ(カモメ科)の糞害はやく聞きます。本当は、鳥の糞は積もり積もれば資源です。ペルーをはじめ南米太平洋岸では、堆積して化石化た海鳥の糞の堆積物が「グアノ」という名で肥料として世界中に輸出されました。そういう意味ではもったいない話ではありますが、乾燥して集積しなければ資源にならないので、現状ではただの汚物でしかないのはやむを得ないところです。ちなみに、現在カワウは狩猟鳥に指定されています。私が子どもの頃はそうではなかったので、比較的近年に指定されたのだと思います。ただ、東京湾岸の横浜から千葉市までの間で、猟銃をぶっ放すことが認められる場所は、おそらくないと思います。どう考えても人に危険が及ぶ可能性が高いのは明らかですから。なので、なかなか解決は難しいでしょう。
2024.06.23
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国民・玉木氏、枝野氏の「蓮舫さんを勝たせよう」に事前運動指摘「要件満たす」 都知事選国民民主党の玉木雄一郎代表は11日の記者会見で、立憲民主党の枝野幸男前代表が東京都知事選に出馬表明した蓮舫参院議員について「蓮舫さんを勝たせよう」と演説したことなどについて、公職選挙法が禁じている告示前の選挙運動「事前運動」に該当するとの見方を示した。「特定の選挙に対して、特定の候補者に、具体的な投票を呼びかけるという3要件がそろうとアウトだ。いわゆる3要件は満たしていると思う」と語った。~枝野氏らの発言は一部の民放が放送しており、玉木氏は「多くの人に報道されることで3要件を満たす形で伝わることも大きい。一般の有権者に対して、無差別に3要件を満たす形で訴えることは、どう考えても法律に抵触すると思う」と指摘した。玉木氏は、「ルールなのでしっかり守らないといけない」と述べた上で、「まずは陣営として、力が入り過ぎて言葉が過ぎたのであれば、素直に謝ることが必要だと思う」とも語った。---なにやらごく一部で「蓮舫は事前運動をしている!!」と吹き上がっている人たちがいて、その尻馬に、国民民主党の玉木や維新の面々が乗っかって、一緒になって「違反だ」「謝れ」などと叫んでいるわけですが・・・・・。言っている張本人が、過去の選挙で公示前にバンバン事前運動している動画が、いっぱい見つかっています。国民民主党玉木2021年衆院選で解散当日(もちろん告示前)の街頭演説「東京で皆さんが比例区『国民民主党』と書いていただくことで当選が近づきます」など。他人に向かって「ルールなのでしっかり守らないといけない」「素直に謝ることが必要だ」というなら、まずはご自身からそうなさる必要があるんじゃないですかね?維新の音喜多議員やら吉村知事、橋下氏などについても、まったく同様に、蓮舫氏の事前運動がどうこうと言っている本人が、過去の選挙で事前運動をやりまくっている動画がいっぱいあります。なるほど、確かに、公職選挙法において告示前の選挙運動(事前運動)は禁止されています。しかし一方で、政治運動は禁止されていません。じゃあ一体選挙運動と政治運動の違いは何かと言えば、確かに玉木が言うように演説内容に「特定の選挙に対して、特定の候補者に、具体的な投票を呼びかけるという3要件」がそろっているのが選挙運動である、と、法解釈上は定義されています(公職選挙法にはそんなことは書いていませんけど)。しかし、冷静に考えてみれば、これは相当にあやふやな話であると言うしかありません。例えば、買収は公示後だろうが公示前だろうが違法です。表面化すれば逮捕、当選無効は免れません。しかし、それと比べて、「政治運動は自由」だが「選挙運動だけは告示前は禁止」というのは、あえて言えばある種の言葉遊びでしかないと言わざるを得ません。だから形骸化しており、誰も守っていないわけです。維新の政治家や玉木などが守っていないのも、当然であり、そのこと自体を批判するつもりはありません。あくまでも、自分も同じことをやっておきながらそれを棚に上げて他人だけを批判している、という行動が批判の対象であるだけで。あえて類似の例を挙げるなら、車の運転におけるスピード違反でしょうね。通常15km/hオーバーまでのスピード違反は違反を取られません。定義上は法定速度を1km/hでも上回れば違反ですが、実際にはそれで切符を切られることはないし、「違反だ」と非難される謂れもないと思います。ちなみに、私は一時停止違反で6000円の青い切符を購入させられた(笑)ことはありますが、スピード違反を取られたことはまだありません。でも、乗ってる原付二種の最高速度を試したくて、メーター読みで95km/hをかろうじて超えるところまで速度を出してみたことはあります。それは余談ですが、このレベルの「事前運動」で立件されたら、大半の政治家が立件されてしまうので(公職選挙法事前運動の時効は3年たと思われるので、前記の国民民主党の「事前運動」はすべてまだ時効にはなっていません)、いちいち気にする必要はない、ということです。本音を言えば、そもそもこういう言葉遊び的な選挙運動の定義自体がバカバカしいものです。他の例で言えば、選挙期間前に氏名を書いたタスキをかけると事前運動で、「本人」というタスキなら許されるとか、「馬鹿じゃねーの?」という以上の感想はありません。買収や贈収賄、不透明な政治資金と違って、そんなことを規制することで得られるメリットは一体何なのか、私には理解ができません。多くの人が、そして警察もそう考えているから、このレベルの「事前運動」が取り締まられることはないわけです。というわけで、基本的に全部バカバカしいと思うところではありますが、それでも法は法であり、判例は判例なので、取り締まられるか否かの分岐点は、「投票してください」という「そのものズバリ」の言葉が入っているかどうか、というところに尽きるでしょう。そういう意味では、限りなく黒に近い灰色は、玉木の(厳密には、言葉を発しているのは本人ではなく司会者ですが)「東京で皆さんが比例区『国民民主党』と書いていただくことで当選が近づきます」であり(前述のとおり、それを取り締まるべきだとは私は思わないのですが)、それに比べれば他のすべては、はるかに薄い灰色です。そういう意味でも玉木は他人の批判などしている場合ではないと思うのですがね。ちなみに、近年この事前運動で政治責任を問われ、有罪になった実例が、維新の前川清成議員(辞職)です。前川清成前衆院議員 公職選挙法違反で有罪確定へおととしの衆議院選挙で、公示前に投票を呼びかけたとして公職選挙法違反の罪に問われた前川清成前衆議院議員の裁判で、最高裁判所は、無罪を主張する前議員側の上告を退ける判決を言い渡し、有罪が確定することになりました。---ほら、やっぱり事前運動は取り締まりの対象だ、と吹き上がる前に、では一体前川元議員はどんな文書で違反を問われたのかを知るべきでしょう。ちょっと検索したところ、その内容はこのようなものだったそうです。維新・前川議員は公選法違反か否か。元検事が解説する「2つの争点」~前川氏は公示前の昨年10月14日、奈良市内で「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書き下さい。」などと記載したはがきや「例 前川さんへぜひ一票をお願いします。」などと書いた文書の入った封書を35カ所に送ったとして、起訴されたものだ。奈良県警は支援者以外の不特定多数に郵送されているとし、宛名書きを名目に投票を呼びかける選挙運動と判断して今年1月、前川氏を公選法違反で書類送検、奈良地検が起訴したものだが、前川氏側は、母校の関西大学の卒業生に、選挙の準備行為としての選挙はがき作成を依頼したもので、送付先に投票を求めてはいないなどと主張している。~---個人的には、内容としては前述のとおり、告示前だから違法というのはある種言葉遊びとは思いますが、「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書き下さい。」が、他の様々な「事前運動」と比べても一線を踏み越えてしまっていると判断されるのは、現行の法制度の下では仕方がないところです。ただし、それより問題なのは、これが郵送だったことです。前川氏の選挙違反は、単に事前運動というだけではなく、「選挙はがき」ではないものを使ってこの内容を郵送したことも含まれています。というか、そちらの方が重視されていたかもしれません。これと比較しても、前述の国民民主党の演説は、結構きわどい・・・・・けれども、まあ「お書きください」と「書いていただくことで当選に近づきます」には差がある、ということにしておきましょう。もちろん、共産党が配布したという事前運動ビラは、「挑戦」「応援します」しか書かれておらず、「真っ白」とまでは私も言いませんけど、グレーゾーンの中でもかなり薄いものであり、問題視したり違法性を問われる余地があるような内容ではないことは歴然としています。
2024.06.21
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「掲示板ジャック」に問題は?寄付で選挙ポスターが貼れる…NHK党の“やり方”は「法律の穴を突いている」【Nスタ解説】6月20日の告示がせまった都知事選。「掲示板をジャックする」と、選挙ポスターを貼る掲示板をめぐり、疑問の声があがっています。政治団体「NHKから国民を守る党」は14日の会見で、東京都知事選では最大24人の候補者を擁立すると発表しました。この立候補者は「選挙ポスター」を掲示場に貼れるようになります。これについて、団体に寄付をすれば、都内の掲示場約1万4000か所から1か所を選び、寄付者が自由に作成したポスターを掲載可能と呼びかけました。この寄付額は▼5月まで一口5000円でした。▼6月から一口1万円、告示日の▼6月20日から一口3万円という値段になっています。寄付をすれば、NHK党の候補者が貼ることができるポスターのスペースに、自身のYouTubeのチャンネルやSNSのQRコード、飼っている猫や犬の写真のポスターを貼ることができます、という呼びかけをしています。“掲示場ジャック”に問題はないのか、総務省選挙課担当者に聞きました。▼ポスターの記載事項について虚偽事項、また他の候補者の選挙運動に関わる内容、そして、法令に触れる内容を除いて、制限はない(※卑わいなデザインなどは法令に触れる場合も)▼掲示スペースについて販売行為、第三者への提供を禁止する規定はないNHK党の立花孝志党首は「掲示板をジャックして知名度やビジネスを広める今だけのチャンス」と呼びかけ、「費用対効果は抜群」、「斬新な広告をご提案」と話しています。NHK党の“やり方”について早稲田大学政治経済学部の日野愛郎教授によると、「法律の穴を突いている。これが許されてしまうと、有権者の選挙制度への信頼が揺らいでしまう」と指摘されています。(以下略)---はっきり言ってしまえば、NHK党、というより立花孝志とは、この種の法の抜け穴を探し出しては、政治を金儲けの手段に使おうという人物であることは、過去の事例からも明らかでした。彼が政治家になったのは、自らの政治的主張を実現するためではなく、国政政党という看板を利用して金集めをするためだったわけです。だから、11億円もの借金をしたうえで、本人はせっかく当選した参議院議員を、わずか3か月で辞職してしまったわけです。いや、参院議員だけではなく、その前に船橋市議と葛飾市議に当選したことがありますが、いずれも任期の半分にも満たない期間で別の選挙に出馬することで失職しています。そして、今回はポスター掲示板を販売するという、新しい「商売」を考えついたわけです。確かに、これが何らかの法に抵触するかというと、現状ではしないのでしょう。とはいえ、供託金300万円を、いわば「掲示板使用料」として支払って、掲示板を貸出し業に使うという発想は、民主制度の根幹である選挙を悪用していると言わざるを得ません。どんなテロリストよりも、はるかに民主主義を危機に陥れる人物です。日本の選挙における供託金は、世界のほぼ全ての国と比較しても異常に高額であり、国民の被選挙権を大きく制約するものになっています。しかし、このような事態が横行してしまうと、供託金を引き下げるべきという議論が起こらず、もっと引き揚げろという議論になってしまうのは確実です。ますます、金回りの良い組織、確実に供託金が没収されないと見込める候補者しか立候補しない、という傾向が強まるでしょう。ただし、この作戦が思惑どおりに行くかどうかは懐疑的です。24人が立候補すると、供託金は7200万円になります。それを1口5000円なら14400人、1口3万円なら2400人に「販売」しなければ元は取れません。6月20日告示で投票日は7月7日、掲示板は1週間以内には撤去されると考えれば、1か月に満たない期間しか使えません。そのために5千円でも3万円でも払おうという物好きはもちろんいるでしょう。しかし、5千円払おうという人が1万4千人も、あるいは3万円払おうという人が2400人も手を挙げるとは、到底思えません。まず、マトモな企業団体による利用はほぼ考えられないでしょう。費用対効果以前に、出資すること自体が批判の対象となりかねないからです。企業イメージをわざわざ悪くするために選挙ポスター掲示板を利用しようという企業・団体があるわけがありません。したがって、この金儲け作戦は赤字で終わる可能性が高いと思いますし、二度とこんなふざけた手段を取らないように、大赤字を出すことを望むばかりです。
2024.06.18
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その1としましたが、6月は東京近辺は、珍しい鳥の出現が少なく、見られる期間の短い旅鳥もいない時期なので、その2があるかどうかは分かりません。この時期は鳥にとっては子育ての季節です。6月9日石神井公園カイツブリが浮巣を作って雛がかえっていました。背中に雛を2羽乗せた親鳥(おそらく母鳥)。カイツブリ1号2号3号雛はこんな感じです。浮巣の上に雛が3羽いました。実際は4羽いるらしいです。同日調布市の深大寺にて深大寺境内の森にフクロウの親子が出現、という報道があり、見に行ってみましたが、折り悪く森の奥の方に引っ込んでいて、撮影は至難の業でした。これが唯一まともに撮れた写真です。巣立ったばかりの幼鳥です。親鳥は近くにいるようですが、見つかりませんでした。あとは、これが比較的マシな部類の写真です。6月16日高尾・御霊神社JR高尾駅に近い小さな神社です。なんでそんなところに行ったのかというと、アオバズクが繁殖しているとの情報を知ったからです。行ってみたら、高尾の近くというので森の中かと思ったら市街地の中の(緑は多いし、高尾山もすぐ近くではありますが)小さな神社です。境内の森も小規模で、本当にこんなところにアオバズクがいるの?と思ったら、いました。カメラマンが10人近く集まっていたので、すぐに分かりました。アオバズク。先のフクロウと同じ仲間、つまりフクロウ科です。アオバズク、繁殖したそうですが、成鳥1羽しか見当たりませんでした。体長はハトと大同小異程度の小型のフクロウです。(体形が太っているので、実際の見た目はハトよりかなり大きく見えますが)、深大寺にいたフクロウより、だいぶ小柄です。アオバズク。先週のフクロウよりずっと撮影しやすく、かなり多くの写真を撮れました。アオバズク、日本では夏鳥です。アオバズク。日本では、フクロウの仲間で頭に耳のような羽飾りのあるものを~ミミズクまたは~ズク、ないものを~フクロウと呼びますが、例外が2つあって、アオバズクは羽飾りがないのに「ズク」、北海道のシマフクロウは羽飾りがあるのにフクロウと呼ばれます。フクロウの仲間って、とても擬人化しやすい顔つきで、表情が豊かです。もっとも、その目つきから人間が感じられるのと同じ感情を抱いているかどうかは定かではありませんが。アオバズクアオバズクアオバズク
2024.06.16
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「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」人気アーティストの「Mrs. GREEN APPLE」が6月12日、コカ・コーラとコラボした新曲「コロンブス」をリリース。そのMVに人種差別的な表現が見られるとして、ネット上では物議を醸しています。新曲「コロンブス」はコカ・コーラが提供する音楽プラットフォーム「コカ・コーラCoke STUDIO」のキャンペーンソングとして発表されたもの。5月31日にはコカ・コーラの公式YouTubeチャンネルにて、同曲が使われたTVCMやメイキング映像も公開されていました。6月12日には、Mrs. GREEN APPLEのチャンネルでMVが公開されました。その内容は西洋貴族風の衣装を身にまとったMrs. GREEN APPLEのメンバーが小島にたどり着き、島に住んでいた“原住民”のサルたちと交流をするというものでした。MVにはメンバーが島の“原住民”であるサルを人力車の引き手として使役したり、サル相手に音楽や乗馬、天文学などの学問を教えるといったシーンが挟まれており、ネット上で植民地支配や西洋中心主義の肯定につながるとして物議を醸しています。MVのコメント欄には公開からわずか13時間の記事執筆時点で、5618件ものコメントが。「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」「誰かこれを止める人いなかったのか」「海外から正式に抗議される前に、早く取り下げた方がいいと思う」「コロンブスという単語自体、昨今はマイナスイメージが強い名前として扱われているという認識がアップデートされてないのはまずい」など批判の声が多く上がっているほか、Xでもさまざまな声が上がっています。~「EMI Records」と所属事務所「Project-MGA」は6月13日、Mrs. GREEN APPLE公式サイトにて謝罪文を発表。YouTubeのMV公開停止について報告し~ました。---補足すると、タイトルにあるコロンブスの他、ナポレオンとベートーベンに扮してサルに音楽や乗馬、天文学を教えるという、恐るべき内容だったようです。世界史や現代社会の動きを多少なりとも踏まえれば、こんな動画はとてつもなく差別的ととらえられる、程度のことは誰にでもわかるはずです。先住民をサルに例える思考があるなら、人間をサルに例えることがどういうことかを考える思考が当然あるはずです。私は、正直に言えば自分自身と自分の子どもをサルに例えたことはありますけど(それも子どもが小学校低学年まで)、それはもちろん家族だけの場に限ります。他人をサルに例えることは、いかに考えても不穏当であるのは明らかですし、そんなことはしません。人種、民族差別に対して、さほど敏感でなくても、さすがに「これはマズい」くらいは分かるはずです。それが理解できないのは、人間社会の中でまともに生きていくために必要な感覚が、致命的に摩滅していると言わざるを得ません。そもそも楽曲タイトルの「コロンブス」自体が、現在では植民地主義の象徴とみなされていることは、すでに多くの指摘があります。コロンブス自身はともかく、彼に代表されるスペインからきたコンキスタドール(征服者)たちが何をやったかは、バルトロメー・デ・ラス・カサス「インディアスの破壊に関する簡潔な報告」(日本語版は岩波文庫)とか、本多勝一「マゼランが来た」(朝日文庫)の一読をお勧めします。実際のところ、ラテンアメリカ諸国の中でもアンデス諸国とメキシコは現在でもある程度先住民が生き残っていますが、コロンブスが到達した西インド諸島では、先住民はすでに滅亡してしまっています。それでも、中にはこんな愚劣な擁護を行おうとする輩もいるわけです。ひろゆき氏「叩きたい人たちが社会正義ごっこ」ミセス「コロンブス」MV騒動に私見ひろゆき氏は「欧州人の格好をしたアジア人が島に行って類人猿に楽器や乗馬を教えて歌って踊るMV『コロンブス』というタイトルじゃなかったら、具体的にどこが良くないという話なのだろう? 叩きたい人たちが社会正義ごっこをしてるように見える」と記した。---腐り切っているよ。タイトルが「コロンブス」でなくても、植民地時代の欧米人がサルに見立てた先住民に接している時点で、致命的にアウトであることに気付かないとはね。そもそもアメリカ大陸先住民はいわゆる人種としてはモンゴロイドに属し、われわれ日本人とも(じつはそれほど近縁ではないものの、少なくとも白人との対比では)遠い親戚にあたります。つまり白人が先住民をサル扱いする構図は、日本人をサル扱いする構図と同じと言うことです。例えば、ザビエルとペリーとマッカーサーに扮した人が、サルにものを教えるMVを作ったら、どれほど鈍感な人でもさすがに問題に気付くと思うのですが、あるいは現在はフランスに住んでいるというひろゆきは、日本人自体を蔑視することも何とも思わないのでしょうか。まあ、問題のMVはあっという間に公開停止となりました。さすがに関係各企業も、それが極めて問題のある映像だという認識はあるようで、当然の判断というしかありませんが、そもそも事前にその映像を見ていなかったのか、見ていて誰もストップをかけなかったのか、という疑問は大いにあります。
2024.06.15
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岸田政権で進む「高齢者の定義=70歳以上」へ引き上げ議論 実現すれば「夫婦で1800万円の年金損失&負担増」の試算~総理大臣が議長を務め、その諮問に応じて内閣の基本方針(骨太の方針)などを議論する「経済財政諮問会議」において、高齢者の定義を現在の「65歳以上」から「70歳以上」に引き上げる提案が行なわれたのだ。実際に引き上げられれば、国民生活に甚大な影響が出る可能性がある。今回の提案は、同会議の民間人議員全員が連名で提出した資料に含まれ、「高齢者の健康寿命が延びる中で、高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべき」と述べられている。~今回たまたま民間人議員が言い出したという話ではなく、政府はこれまでも、内閣府による国民意識調査の結果などを持ち出しては、高齢社会白書で〈高齢者を65歳より高い年齢とするとらえ方が幅広く支持されており〉と書くなどしてきた。年金財政の逼迫、社会保障費の膨張を考えれば、政府は「高齢者の定義」の見直しを狙ってきたとみていい。では、「高齢者の定義」が70歳以上、あるいは「75歳以上」になると、高齢者の給付や負担はどう変わるのか。現行制度では年金は原則として65歳受給開始、モデル世帯の年金額は月額約23万円(2024年度)。元会社員の厚生年金が月額約16.2万円、妻の国民年金が月額約6.8万円。70歳受給開始になると、5年分が受け取れなくなり、夫婦で約1380万円の年金損失、元会社員の単身世帯でも約972万円の年金給付が消失する。すでに企業に対しては、希望する社員に70歳までの雇用を提供することが努力義務になっているが、長く働かせて年金の支給総額を減らしたい政府の意図は鮮明に感じられる。~しかも、年金受給開始の年齢が引き上げられるなら、年金保険料を支払う期間も延びるだろう。今年は5年に一度の公的年金の財政検証があり、それを踏まえた年金制度改正が来年行われる。すでに、国民年金保険料を支払う加入期間を40年(20~60歳)から、45年(20~65歳)に延長する案が出ている。保険料は月額1万6980円(2024年度)なので、加入期間の5年延長で支払う保険料は約102万円増える。これが『高齢者は70歳以上』となって加入期間が10年延長(20歳以上70歳未満の50年)という話になると、1人あたり約204万円、夫婦で約408万円の負担増になります」夫が60歳まで40年間会社勤めをしてリタイアするモデル世帯の夫婦を考えると、支給減の1380万円と負担増の408万円を合わせて、1800万円近い老後資産が失われることになる。---わたしは団塊ジュニア世代のさきがけの年代にありますが、私の年代から公務員の定年が65歳に延長されます(現在は経過措置中)。その法案が成立した時に、「ああ、次は年金がやられるのだろうな」と思いましたが、そのとおりにことは進んでいるようです。団塊の世代よりは少ないですが、団塊ジュニア世代もまとまった人数がいますし、その後の世代は少子化により人口が減る一方です。だから、政府としてはできるだけ団塊ジュニア世代には長く働かせ、年金も出したくないのでしょう。ただし、この世代にはまともに働く口がなかった人も数多くいます。私自身は、狭義には団塊ジュニアより前の世代で(実質的には団塊ジュニアの最初の世代ですが)、最初に就職した時はバブルの最盛期だったし、転職時は一転してバブル崩壊後の就職氷河期でしたが、幸いにして正規雇用のお堅い(笑)仕事に採用され、今日まで働き続けています。しかし、就職氷河期の中、正規雇用に採用されなかった人や最初は羽振りよく働き始めた人でも、途中で会社がなくなったりリストラされたりして退職を余儀なくされた人も、大勢いる世代です。私自身はこの世代の中では比較的幸運な部類だったと思っていますが、世代全体としては、バブル崩壊後の長い不況によって、徹底的に虐げられてきた世代です。その世代が定年延長で狙い撃ちされ、次は年金支給開始の繰り下げでも狙い撃ちされようとしているわけです。おまえらの世代は邪魔だから、ギリギリまで働いて、年金なんか貰わずにとっとと死んでくれ、と言外にそういわれているように思えるのは、私のひがみでしょうか。ともかく、今の制度のままだったとしても、年金が受給できるのはおおよそ10年近く先の話です。その間に制度がどう変えられるんでしょうか。少なくとも、私にとって心楽しい方向に制度が変わる可能性など、絶対にないものと諦めています。どうせ65歳で年金なんか貰えない、その前提で人生設計をするしかありません。が、頭ではいくら理解しても、感情はまた別です。どうにも意気の上がらない話なんですよね。
2024.06.12
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ホリエモン、小学生にスマホ持たせない親に苦言「ほんとマジで最悪」「大したことないくせに」実業家・堀江貴文氏が7日までに自身のXを更新。子供にスマホを持たせることを制限する親に苦言を呈した。ネットでは、小6の子供にスマホを持たせることに抵抗のある親の投稿が話題に。「スマホなんてろくなことない」などと、その理由をつづっていた。これに、堀江氏は「ケチ」とバッサリ。「管理するのが大変」といった意見が寄せられたが、「なんで上から目線なん?管理するってなに?笑」「大したことない親のくせに子供にマウント取るのやめなよって思うわ」と返した。また、中古端末を使ったり通信費も抑えたりすれば、格安で使用できると指摘するユーザーが「リテラシー低いケチな親の子供とか最悪ですね」と投稿すると、堀江氏は「ほんとマジで最悪」と同調していた。---子どもに何歳でスマホを持たせるかなんて、家庭環境や地域の環境次第で千差万別です。我が家は、うちの子には高校の入学祝で初めてスマホを持たせました。小学生の時にスマホを持たせるなんて、まったく考えもしませんでした。そもそも私自身がスマホを持ったのは、子どもにスマホを買った2年後です(もっとも、それ以前からタブレット+ガラケーの2台持ちだったので、スマホでできることは大体できていたのですが)。もし夜に電車に乗って塾通いさせるなら、小学生でもスマホを持たせたでしょうけど、近所で徒歩5分の塾通いしかさせなかったので、必要性がありませんでした。まあ、子どもが「スマホ(あるいはガラケーでも)が欲しい」と主張しなかったことも原因の一つではありますが、主張したとしても、多分認めなかったでしょうね。ちなみに、家では主に相棒のパソコンを、子どもが小学生のころから使っていましたが(子どもに自分用のパソコンを買ったのも高校入学の時)。というわけで、「スマホなんてロクなことがない」かどうかまでは私にはわかりませんが、小学生の子どもにスマホを持たせなければならない絶対的な理由なんてない、というのが私の考えです。あとは、前述のとおり、各家庭の事情次第でそれぞれの家で考えりゃいいこと。それを、スマホを買い与えないことをもって「マジで最悪」とか言っちゃっている堀江が、一番「マジで最悪」としか思えません。
2024.06.10
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<社説>HPに牛島司令官辞世 自衛隊は「皇軍」に戻るのか自衛隊は、日本を再び「皇国」とし、自らを「皇軍」にしたいのか。「誤解を招く」ではすまない事態がまた明らかになった。那覇市に拠点を置く陸上自衛隊第15旅団が、ホームページ(HP)に第32軍牛島満司令官の辞世の句を2018年から掲載していることが分かった。辞世「秋待たで枯れ行く島の青草は皇国の春に甦らなむ」は、沖縄を焦土とし多数の住民を死に追いやった責任者である司令官が、皇国において沖縄が甦ることを願う内容だ。それを今、自衛隊が掲げることは、日本国憲法の理念からも、県民感情からも到底許せるものではない。ただちに削除を求める。この辞世は、HPの15旅団の沿革を紹介するページにある。1972年5月15日の日本復帰に際して、同旅団の前身の臨時第1混成群長だった桑江良逢氏(2010年死去)の訓示に続けて掲載されている。15旅団総務課は「訓示にはなかったが、桑江氏がこの言葉に強い思いがあったと聞き、載せたようだ」と説明した。なぜ桑江氏の死後、何年もたって掲載する必要があったのか。15旅団も防衛省も、その理由を説明する義務がある。1月に陸自の陸上幕僚副長ら数十人が靖国神社を集団参拝したことが問題となった。天皇のために殉じた者を神(英霊)として祀る靖国神社は、東京裁判のA級戦犯を合祀しており、首相らの参拝を巡って中国、韓国が厳しく批判をするなど、外交問題にもなってきた。組織的集団的な参拝を「私的」としても、政治性を帯びざるを得ない。(以下略)---沖縄戦における軍人の言葉と言えば、海軍の 沖縄方面根拠地隊司令官太田実中将の沖縄県民斯ク戦ヘリ県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ 賜ランコトヲがあまりに有名です。この電文が有名なのは、限られた字数の中で、沖縄の一般市民の悲惨な状況について、軍部擁護や皇国史観の粉飾なしにその実相を送っているからです。沖縄島ニ敵攻略ヲ開始以来陸海軍方面防衛戦闘ニ専念シ県民ニ関シテハ殆ド顧ミルニ暇ナカリキ然レドモ本職ノ知レル範囲ニ於テハ県民ハ青壮年ノ全部ヲ防衛召集ニ捧ゲ残ル老幼婦女子ノミガ相次グ砲爆撃ニ家屋ト家財ノ全部ヲ焼却セラレ僅ニ身ヲ以テ軍ノ作戦ニ差支ナキ場所ノ小防空壕ニ避難尚砲爆撃ノガレ□中風雨ニ曝サレツツ乏シキ生活ニ甘ンジアリタリ~日本軍は県民に対して「ほとんど顧みる暇がなかった」事実をはっきりと認めています。さらに言えば、太田中将をトップとする海軍の沖縄方面根拠地隊は、陸軍の作戦会議にも呼ばれず、作戦案に関与することがなかったため、県民に大きな犠牲を生んだ南部撤退の責を負っていないし、結果的に、南部撤退命令にも従わず、豊見城にあった根拠地隊司令部で戦って全滅しています。それに比べると、牛島中将(自決3日前に大将に昇進)は、本人がどこまで作戦に賛同していたかは明白ではないものの、参謀の立案した南部撤退作戦をそのまま実行し、結果として沖縄県民に多くの犠牲を生んでいます。また、牛島本人ではありませんが、参謀長の長勇中将(南京大虐殺にも関与した人物)が、明らかに沖縄住民に対する差別意識を持っていました。「一般県民が餓死するから食料をくれといったって、軍はこれに応ずるわけにはいかぬ。軍は戦争に勝つ重大な任務遂行こそが使命であり、県民の生活を救うがために、負けることは許されない」という発言が、沖縄戦直前の新聞に報じられていますし、「沖縄語で談話しあるものは間諜と見倣し処分す」というとんでもない命令を発しています。更に、長参謀長の自決に立ち会って後に生還した八原参謀の証言によれば、長参謀長は「鉄の暴風」と言わるすさまじい戦いのさ中、いよいよ摩文仁の司令部壕が包囲されて自決の直前まで、強固な地下壕の中で連日酒宴を開き、女性を傍らに置いて気炎を上げていたと言います。実際、第32軍司令部壕からは多くのビール瓶が発見されています。これらのことに、牛島司令官が個人としてどこまで関与していたかは分かりませんが、そのような日本軍部隊の指揮責任者が牛島中将だったことは歴然たる事実です。したがって、32軍の司令官としての牛島中将に対する沖縄での印象は、基本的に良くありません。その辞世の句がどのような内容であったにしろ、それを日本陸軍の後裔たる陸上自衛隊の沖縄駐屯部隊が掲げること自体、感性を疑わざるを得ません。不幸にしてもしまた沖縄が戦場になることがあったら、陸上自衛隊はまた第32軍と同じことをなるんじゃないか、という疑念を抱かれても仕方がありません。しかも、内容自体もこれです。私も、失われた命が「皇国に甦る」なんて、真っ平御免です。平和の世に、民主主義の世に、甦ってほしい。私も、この文言は削除すべきであると思います。
2024.06.08
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出生率、過去最低1.20 8年連続低下、東京は初の1割れ 人口減少幅は最大・厚労省1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率は1.20で、22年の1.26を下回り、過去最低を更新した。低下は8年連続。東京は0.99で、全国で初めて1を割り込んだ。年間出生数は8年連続減の72万7277人で、同様に過去最少を更新。出生数から死亡数を引いた人口自然減は過去最大の84万8659人で、少子化と人口減少に歯止めがかからない現状が浮き彫りになった。厚労省の担当者は「経済的な不安定さ、仕事と子育ての両立の難しさなど、さまざまな要因が複雑に絡み合っている」と背景を分析。コロナ禍の影響も少なからずあったとして、「少子化の進行は危機的な状況にある」との認識を示した。都道府県別の出生率は沖縄の1.60が最も高く、宮崎と長崎が1.49で続いた。最低は東京で、次いで北海道1.06、宮城1.07だった。~晩婚・晩産化の傾向は変わらず、平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.7歳でいずれも前年と同じだった。第1子出生時の母親の平均年齢は31.0歳と2年ぶりに上昇した。婚姻数は47万4717組で、前年比3万213組減少。一方、離婚数は18万3808組で、同4709組増加した。~---合計特殊出生率は2005年に1.26を記録して以降は上昇に転じ、2015年には1.45まで回復した、かのように見えました。しかし、実際のところは、これは少なからず見せかけの部分がありました。出生数自体は最低を記録した翌年の2006年に微増した以外は、その後も一貫して減り続けていたからです。合計特殊出生率は、全人口あるいは全女性に対する出生率ではなく、15~45歳の女性(おおむね出産可能な人)に対する出生率を現すものなので、高齢化が進んで45歳を超える人が増えれば、分母が減ることによって、出生数が減っても合計特殊出生率は上昇するわけです。実態はそういうことであったわけですが、2015年以降はそのマジックもなくなり、つまり分母が下げ止まり、あるいは分母の減少以上に出生数が減っていることで、合計特殊出生率の減少もまた急激に進んでいます。まことに残念ながら、この傾向が今後すぐに変わるかというと、そうは考えられません。引用記事には「コロナ禍の影響も少なからずあった」とありますが、そりゃ影響ゼロではないでしょうけど、出生数の減、合計特殊出生率の低下はコロナ禍以前からの傾向なので、その影響は限定的ではないでしょうか。以前から書いているように、出生率の低下は世界的な傾向であり、日本だけ、どころか先進国だけの問題ですらありません。タイの1.33をはじめとして、中進国とされる国々でも急激に低下してきています。「まだ」出生率が高い国々(たとえばアフリカ諸国)を含めても、この間に合計特殊出生率が上昇した、という国はほとんどなく、ほとんどの国が低下の一途をたどっています。先進国の中では唯一例外的に出生率が高いとされてきた米国も、2007年の2.12から2021年1.67へと急激に低下してきていますが、その理由は明白です。人種・民族別の出生率を見比べれば分かるように、米国の合計特殊出生率が高かったのは、主に流入してくるヒスパニック系の出生率が高かったからですが、それがまさに2015年以降右肩下がりで急低下しているためです。もちろん、この間他の人種・民族でも出生率は一貫して低下していますが、ヒスパニック系がもっとも出生率の高いだけに、その動向の影響は大きいのです。このことは、別の言い方をすれば、「まだ」出生率の高い外国人移民を導入しても、2世以降の出生率は急低下することを示しています。日本でも、経験則的に言って、子だくさんのフィリピン人、ブラジル人はいても、その2世で子だくさん、という例は聞いたことがありません。そんな中で、先進国の中では比較的(あくまでも比較的でしかありませんが)合計特殊出生率が高いのが、フィンランドを除く北欧諸国やフランスなどです。直近の数年間では出生率の低下が見られるものの、数十年単位の長いスパンで見れば、上がったり下がったりを繰り返しつつもつも、低下一直線、という状態にはなっていません。理由は複合的でしょうが、働きながらの子育てを当然に可能とする様々な子育て支援策や、婚外子に対する差別がなく、その割合が非常に高いこと(スウェーデンでは婚外子の割合が5割といいます)などが理由でしょう。一部の人達は、北欧の出生率が高いのは移民が多いからだ、と言います。確かに統計を見ると移民と非移民の出生率では移民の方が高いのですが、非移民の出生率も、少なくとも日本よりはかなり高いのです。フランスの非移民と移民の出生率 移民の方が大幅に出生率は高いものの、非移民の合計特殊出生率だって2017年に1.77なので、日本よりはずっと高いヨーロッパ各国の自国民と移民・外国籍の出生率 統計が古いものの、日本で合計特殊出生率1.26となった2005年にスウェーデンの自国民の合計特殊出生率は1.72日本の場合は、婚外子はいますが、出生率全体の動向を左右するほどではなく、婚姻数の減少は即出生数の減少に直結します。ということは、婚姻数を増やす(せめて減らさない)ために選択的夫婦別姓制を導入する、婚外子への差別をなくし、結婚はしたくないが子どもはほしい、という人の出産を増やす、といったことも考えられます。もちろん、それは劇的な効果なんかありません。小さな効果しかない。でも、どんな策だって、この問題を一発で解決できる魔法のような手段などない以上は、そういった小さな手段を積み重ねていくしかないのが現実です。それに、さほどお金じゃかからない策でもあります。効果は小さくともコストも小さいので、費用対効果はさほど悪いものではなさそうです。しかし、それが実現しそうな気配はありません。もちろん、それ以上に抜本的な対策も出てきそうにありません。このまま、根本的な解決策を見いだせないまま、衰退の道を歩んでいくのかな、という気がします。ただし、必ずしも日本だけに限った話ではなく、大半の国がおなじ道を歩むことになりそうですが。
2024.06.06
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早朝に鳴ったスマホ、広範囲で緊急地震速報 「過大評価」の要因は3日午前6時31分ごろに石川県能登地方であった最大震度5強の地震では、東京都や大阪府など広い範囲で緊急地震速報が発表された。緊急速報メールなどが届いたスマートフォンも鳴り響いたが、大きな揺れとならなかった地域も多かった。気象庁は、震源近くで短時間に複数の地震が発生したことから、地震規模が実際より大きく予測された可能性があるとみている。3日早朝の地震では、首都圏を含む東北から近畿までの広範囲に緊急地震速報が発表された。速報内の推定マグニチュード(M)は7.4で、石川県能登で「震度6弱から7程度」、東京23区や宮城県、兵庫県などでは「震度4程度」と予測されていた。しかし、実際に観測されたのはM6.0(暫定値)で、緊急地震速報時の予測よりも小規模だった。最大震度も石川県輪島市と珠洲市で震度5強で、宮城県など震源遠方の発表地域では軒並み震度1~2程度の揺れにとどまった。---昨日朝のことですが、私はもう起きて朝食を食べていたところですが、相棒と子どもは寝ていたころで飛び起きたようです。また大地震か、もし電車が止まってしまったらどうやって職場に駆け付けるか、なんてことが一瞬頭をよぎりました。なんとも魔の悪いことに、スクーターは購入から2年経ったところで、点検に出している真っ最中で、通勤には使っていないので代車を借りたりはしていないのです。でも、結局、本震が来る、というところで、東京はまったく揺れず、ああ空振りかとホッとしました。前回東京で緊急地震速報はいつだっただろうかと考えると、おそらくですが、4年前のこの誤報が前回だったのではないかと思います。2020/07/3030日午前9時半すぎ、気象庁は関東地方を中心に強い揺れが来るとして緊急地震速報を出しましたが、誤報と分かり、会見を開いて謝罪しました。~気象庁は、房総半島南方沖で強い地震が起きたとして午前9時38分に関東地方を中心に15都県に緊急地震速報を発表し、強い揺れの警戒を呼び掛けました。しかし、震度1以上の揺れは観測されませんでした。---そして、8年前に起こったこの件も、よく覚えています。2016年8月1日の夕方、17時09分頃、関東地方を震源とするM9.1、最大震度7という、震災レベルの緊急地震速報が気象庁から発表されました。ただ実際は本物の地震ではなく、間もなく該当の情報が取り消されました。---こちらは、携帯電話のエリアメールには流れなかったものの、職場の防災放送は自動で入ったため、肝を冷やした記憶があります。この間、本物の大地震による緊急地震速報が流れた記憶はありません。私の記憶がどこまで正確かは分かりませんが。そもそも、2011年3月11日に、最初の本震の際、東京では緊急地震速報は流れませんでした。東北では流れたと思いますが、東京まであんな激しい揺れになる想定はなかったため、あの震源域の地震で東京まで緊急地震速報を送信するような設定にはなっていなかったのだろうと思います。その日のうちに、何回目かの余震から東京に緊急地震速報が流れるようになりましたが。つまり、もっとも必要な場面では緊急地震速報(エリアメール)は送られず、誤報の場面ばかりが送信されている、ということになります。もちろん、やむを得ない側面はあります。誤報を恐れるより必要な時に送信されないことを恐れるべきです。とはいえ人間は悲しいもので、オオカミ少年ではありませんが、誤報の緊急地震速報が続くと、どうしても注意を払わなくなってしまいます。まあ、あの音色はどうしたってギョッとはしますけど。というわけで、もう少し精度の高い緊急地震速報になってほしい、いや、そうなればいいなというのが、今回の件での個人的な感想です。
2024.06.04
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「格差是正政権」継続か 女性2候補の争い 2日にメキシコ大統領選メキシコ大統領選(任期6年)は6月2日、投開票が行われる。実質的な争いは有力女性2候補に絞られ、現政権が着手した格差是正など改革路線の継続を訴える与党・左派政党「国家再生運動(MORENA)」のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長が優勢。野党連合のソチル・ガルベス上院議員が追い上げている。どちらが勝利しても初の女性大統領が誕生する。地元紙ウニベルサルによれば、支持率はシェインバウム氏が54%、ガルベス氏が34%。中道系「市民運動(MC)」のホルヘ・アルバレス・マイネス氏も立候補している。再選は禁止されており、ロペスオブラドール大統領は出馬できない。シェインバウム氏は、最低賃金の引き上げなどを通じて格差の是正に取り組む現政権の路線を継承すると主張。若者向け住宅の建設や年金拡充などを公約に盛り込んだ。有権者の関心が高い治安問題に関しても、メキシコ市長在任中に殺人といった重大な犯罪が約6割減ったとして「治安面の実績を示すことができるのは私だけだ」と訴えた。現政権が創設した国家警備隊の強化を主張した。これに対し、ガルベス氏は全国的な犯罪の発生率が高止まりしているとして、現政権の治安対策が「失敗した」と強調。最高警備を備えた刑務所の設置などを提案している。メキシコでは、他の中南米諸国から違法に入国し、米国との国境に向かう人々が多い。移民問題に対処する手段として、シェインバウム、ガルベス両氏とも米国との連携を訴えている。---本日2日、というか日本時間では実質明日3日ですが、メキシコで大統領選が行われます。引用記事では与党が優勢、野党連合が追い上げ、と表記されていますが、他の記事では与党「圧勝」と書かれているものもあり、実際のところ支持率54%対34%では、「圧勝」となるのは確実と思われます。いずれにしても、支持率1位と2位の有力候補いずれもが女性で、3人目の候補者は差引する12%の支持率しかなく、当選可能性が見込めないため、メキシコ史上初の女性大統領誕生は確実視されています。メキシコは、1917年メキシコ革命以降、大統領絶対再選禁止規定、つまり一度大統領を務めた人は、二度と大統領になることができない憲法の規定があり、現職のAMLO(アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールという長い名前を、日本のメディアはロペスオブラドールと表記していますが、メキシコではたいていAMLOと表記されます)は立候補できません。メキシコは1980年代半ばころまで、前述の1917年メキシコ革命によって政権を握った政治家たちが結党した制度的革命党(PRI)が、圧倒的一党支配を行ってきました。しかし1980年代後半以降、PRIの腐敗が表面化し、その支配力が落ちます。元々PRIは党内に右派から左派まであらゆる潮流を内包していましたが、党内に右派の新自由主義的な勢力が伸長してくると、党内左派が不満を抱いて党を割って出ます。このときPRIを離党した政治家の一人に、現大統領であるAMLOもいました。彼らは、党外にあった少数左派政党(メキシコ共産党、人民社会党など)と統一して国民民主戦線→のちの民主革命党(PRD)を結成します。PRDは大統領選で、度々PRIを脅かしました。1988年の大統領選では、党から出馬したクアウテモク・カルデナス候補(彼も元はPRI出身、かつ父親はメキシコ史上最左派かつもっとも尊敬される大統領でした)が本当は勝っていたと言われますが、開票中に不可解な停電事故の後、開票結果が一変するというあからさまな選挙不正の結果、勝利を手にすることができませんでした。2006年にはAMLOが出馬しますが、やはり超接戦の末に敗退します。ところが、この後、PRDは党内対立の果てに分裂します。AMLOは党を割って出て、現在の国家再生運動(MORENA)を結成、2018年の大統領選でついに当選して現在に至ります。余談になりますが、「国家再生運動」(Movimiento Regeneración Nacional)という党名は、左派的な雰囲気ではなさそうに感じますが、これは明らかに、略称を先に考えてから作った党名と思われます。スペイン語圏(に限らずですが)では党名は頭文字の略称で呼ばれることがほとんどです。MORENAは、スペイン語で「褐色の」という意味であり、えてして先住民、メスティソのことをそう呼びます。後継のシェインバウム候補は、Wikipedia記事によると、元々物理学者であり国立自治大(UNAM)の研究者だったようです。彼女はPRIの在籍歴はなく、PRDからAMLOとともにMORENAに移っています。ガルベス氏は全国的な犯罪の発生率が高止まりしているとして、現政権の治安対策が「失敗した」と強調しているそうですが、この辺りの経緯はなかなか微妙なところです。確かに現政権下で犯罪発生率は減っていませんが、元々メキシコで犯罪発生率が急増したのは、2000年代初頭にPRIが下野し、右派の国民行動党(PAN)が政権を担当していた時期のことです。端的に言えば、米国の圧力もあって、ビセンテ・フォックス、続くフェリペ・カルデロンという2代のPAN出身大統領(とりわけカルデロン)が、麻薬カルテルに対する「戦争」(麻薬戦争)を勝算もなく始めてしまったことが、治安悪化の決定的原因でした。ラテンアメリカでは、一般的に軍隊や警察は、権力と強力な武装は持ってはいますが、給料はよくありません。また、「猟官制」が生きている国なので、公務員は政権が変われば総とっかえです(さすがに軍人はその例外ですが)。PRI一党支配の時代、同じPRI出身の大統領同士であってもそうでした。ましてや、大統領の属す党派が変われば言わずもがなです。だから汚職がはびこる。特に政権末期になると、その先の生活を考えて、みんな蓄財に励みます。麻薬カルテルが付け入るスキは、いくらでもあるのです。麻薬戦争が始まると、右派から左派まであらゆる政治家が麻薬カルテルから脅迫を受け、相当の人数が暗殺されました。カルテルに協力する者には飴玉を、協力しないものには凄惨な死を、というわけです。そのため、軍や警察からは、武器ごと麻薬カルテルに寝返る連中が続出します。例えば、ロス・セタスというメキシコ麻薬カルテルの中でももっとも狂暴な犯罪組織がありますが、これはメキシコ陸軍最精鋭の特殊作戦群の指揮官が、部下数十人を率いて麻薬カルテルに寝返ったものです。で、ガルベス氏は野党統一候補ですが、出身政党は右派のPANなのです。自党の政策の失敗が治安崩壊を招いた過去とどう向き合うのかが問われます。治安部隊をいくら増強しても、そこからどんどん麻薬カルテルに寝返ったら何の意味もないことです。ではなぜ寝返るのか、寝返らないためにはどうすべきか、まずはそこからなんじゃないでしょうかね。追記です。メキシコのニュースサイトによりますと、同時に行われた議会選挙(下院)の結果は、MORENA233議席、労働党(PT)46議席、緑エコロジスト党67議席(以上が与党連合)、PRI(元メキシコの支配政党、PAN と共闘)30議席、市民運動(大統領3人目の候補者を立てた党)23議席、PAN(右派野党)64議席となっています。PRD(元はAMLO現大統領やシェインバウム新大統領も属していたが、内部対立の果てにPANと共闘)の名がありませんが、議席を取れなかったということでしょうか。
2024.06.02
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栃木 那須町 高校生ら8人死亡雪崩事故 教諭ら禁錮2年判決7年前、栃木県那須町で部活動として行われた登山の訓練中に雪崩に巻き込まれ高校生など8人が死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われた教諭ら3人に対し宇都宮地方裁判所は「雪崩の危険を予見することは十分に可能で相当に重い不注意で『人災』だ」などとして禁錮2年の実刑判決を言い渡しました。2017年3月、那須町の茶臼岳で高校の山岳部が集まって歩行訓練をしていたところ雪崩に巻き込まれ、生徒7人と教員1人が死亡し多くの生徒がけがをしました。この事故で生徒の引率などにあたった教諭の被告2名、元教諭の被告の3人が業務上過失致死傷の罪に問われました。裁判では3人が当日の朝の時点で雪崩の発生を予見できたかが争点となり、検察が冬山登山の知識や経験があり予見できたと主張して禁錮4年を求刑したのに対し、弁護側は「必要な情報は収集していたが雪崩は予見できなかった」として無罪を主張していました。30日の判決で宇都宮地方裁判所の瀧岡俊文裁判長は「8人の生命が奪われたことは非常に重大だ。学校活動の一環で安全確保が強く求められるなか、地形や新たな積雪などの状況を踏まえると雪崩の危険を予見することは十分に可能だった」と指摘しました。そのうえで、「雪崩は自然現象で、確実な予測が困難であるとしても相当に重い不注意による『人災』だ。3人の刑事責任はいずれも軽視できるものではなく実刑を選択すべき領域に及んでいる」などとして、3人に対し禁錮2年の実刑判決を言い渡しました。(以下略)---この雪崩事故については、当時記事を書いています。那須の雪崩事故(追記あり)7年前の記事のため、リンクを貼った記事等がだいぶリンク切れになってしまっていますが、もっとも重要な2枚の写真は今も生きていますので、これを見れば大筋理解可能かと思います。事故発生当時報道されていたのはスキー場から雪崩現場を見上げた、この写真でした。この写真では、一見すると雪崩現場は尾根筋のように見えます。通常尾根筋で雪崩は起きない(起きても左右の斜面に流れてしまう)ので、ここを雪崩危険地帯と考えなかったとしても仕方がない、不可抗力の事故かもしれないと考えました。しかし、事実は違ったのです。のちに、現場上空の航空写真が明らかになりました。そのため、上記記事は、大幅に追記して、趣旨も一変しています。下から見上げた写真で尾根であるように見えたのは、その向こう側が下からは見えないことによる目の錯覚に過ぎませんでした。実際は、現場は、なだらかな尾根と言えなくはありませんが、基本的には単なる斜面で、雪崩のリスクは充分にある場所だったのです。以下、当時の報告書が公開されているので、それに基づいて経緯を検証していきます。平成 29 年3月 27 日那須雪崩事故検証委員会報告書1平成 29 年3月 27 日那須雪崩事故検証委員会報告書2当時、那須一帯には雪崩注意報が出ていました。しかし「雪崩注意報については、一日目の夜にテレビを見ただけなので、その情報は得ていなかった。二日目以降はテントなので雪崩注意報については分からず、携帯電話も古い型なので見なかった。」とあります。いやいや、山に登って、テントであれ何であれ、学校の山岳部ともなれば、気象通報から天気図を書いたりするものだと思っていましたが。そこまでやらずとも、最低限翌日あるいは当日の天気予報を聞かないのでしょうか。ちょっとこれはぴっくりです。この日は茶臼岳登山の計画だったようですが、これを変更して問題の事故現場に向かってしまいます。前述のとおり、雪崩注意報を知らなかったというのだから、この計画変更は雪崩リスクを考慮したものではなく、単に悪天候だったから、というだけのようです。そして「雪が積もり天気がよくならない状況の中で、上まで行くのは無理であろうがスキー場付近での短時間の歩行訓練ならできるのではないか」と判断したということです。しかし、その「スキー場付近」の範囲はあいまいだったようです。「スキー場の第2ゲレンデの一番奥の斜面は急で雪崩の可能性もあるので、近づかないこと」という注意があったと記載されているので、注意報の存在を知っていなくとも、雪崩リスクが念頭にはあったはずなのです。ところが、スキー場「付近」で行う歩行訓練が「樹林帯を使って訓練しよう」に変わり、さらにその樹林帯の一番上部樹林帯が切れるところまで登ってしまった結果、雪崩に巻き込まれてしまったわけです。これについて、報告書では「当初は私も樹林帯の先くらいまでと考えており、何回か「ここまで」と言ったが、生徒の要望もあった。大田原高校の生徒は、普段接している生徒ではなく、名前も分からなかったため、止められずに進んでしまった。大田原高校の生徒が岩まで行きたいといった気持ちとしては、今考えると、真岡高校の生徒が見えた時に競争意識が芽生えてもう少し上に行きたいと思ったのかもしれない。私が、生徒に対し、戻ろうと強く指示した際にその指示を奏効させる方向に仕向ける補完的な働きかけがあったらよかったのにという気持ちはある。ただ、最終的には、自分の中で、事故は起こらないだろう、大丈夫だろうという判断をしてしまったところに問題があると思う。」との引率教員の供述を記載しています。那須一帯に雪崩注意報が出ていることを知らないから漫然と「事故は起こらないだろう、大丈夫だろうという判断」に至ったのであろうことは、想像に難くありません。その事実を知っていれば、いくら何でもそうは考えなかったはずです。そもそも樹林帯の上部まで行くという判断にすらならなかったはずです。つまり、「雪崩注意報」という冬山に登るなら絶対に知っておかなければならない情報を入手しなかったことが、すべての原因と言わざるを得ません。引率教員は何人もいて、トップリーダーはテント内ではなく近くの旅館に宿泊していたようです。その誰もが天気予報の雪崩注意報を見なかったのか、その辺りは報告書には書かれていません。私の勝手な推論では、実際には雪崩注意報の存在を知っていた教員はいたのではないか、しかし、それを全体で共有し注意喚起を促さなかったが故にこうなってしまったのではないか、という気がします。いくら何でも、冬山に登って引率者の全員が全員、誰も天気予報を見たり(スマホ)聞いたり(ラジオ)しなかった、というのはいささか不自然に思えるので。いずれにせよ、です。山、それも冬山に登って天気予報を見聞きしない、注意報の存在も把握しないで、何十人もの人を連れて行動するという時点で、まことに残念ながら「言語道断」という言わざるを得ないでしょう。ただ、当時、前日までの数日間は降雪がなかったところに当日は朝からの降雪で、古い表面が凍った雪の上に新雪が積もった状態だったと報じられています。このような場合、古い雪と新しい雪の間に「弱層」と呼ばれる不連続面が生じて、雪崩が起きやすい状態になると言われます。だから、雪崩注意報が出ていたわけです。雪崩注意報の存在を知らなかったにしても、この状況は雪崩の危険性があるということは、冬山の初歩の知識であろうと思います。引率教員は、雪崩に巻き込まれて亡くなった若い一人は冬山ほとんど未経験者だったそうですが、今回有罪判決を受けた3人は、いずれも冬山にある程度の経験を持ち、雪上訓練も受けていたようです。当然その程度の知識はあったはずなのに、何故その状況で雪崩リスクを考慮しなかったのか。ともかく、教員1名と生徒7名の8人が一挙に亡くなるという大惨事になってしまいました。この判決について、一部のニュースサイトでは、何でもかんでも教員に責任を押し付けるな、とか、こんなことで責任を問われるなら教員のなり手なんかいなくなる、とかの感情的なコメントが目立ちます。しかし、少しは冷静になれ、と私は思います。一般論として言うなら、私だって教員じゃないけど公務員だし、教員バッシングみたいなことに加担する気はありません。でも、ことこの事故に関して言うなら、8人もの死者を出したという厳然たる事実があります。そして、その事故の原因は、いかに考えても不可抗力ではありません。引率教員の判断の誤りが原因であることはあまりに明白です。したがって、この判決は妥当である、と言わざるを得ないものと私は思います。※余談ですが、7年前の雪崩事故発生当時、記事を書いた時には、那須岳には5月に1回しか登ったことがなく、冬季に登ったことはありませんでしたが、その後2021年1月に積雪の茶臼岳に登っています。3月ではなく1月だし、積雪量も事故当時より少ないはずです。ただ、峠の茶屋跡避難小屋までは風が強くて雪は少なく、その先で雪が急増する印象がありました。
2024.06.01
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