inti-solのブログ

inti-solのブログ

PR

カレンダー

コメント新着

inti-sol @ Re[1]:事前運動(笑)(06/21) アンドリュー・バルトフェルドさん 藤吉…
アンドリュー・バルトフェルド@ Re:事前運動(笑)(06/21) 北村晴男みたいに「当選無効だ、キイキイ…
inti-sol@ Re[1]:2024年6月の鳥 その1(06/16) じゅら♪さん おっと、ごじゅらさんでした…
じゅら♪@ Re:2024年6月の鳥 その1(06/16) 上のコメントでうっかり「お名前」のとこ…
inti-sol @ Re[1]:年金は逃げていく(06/12) nordhausenさん どうせ65歳で年金なんか…
2015.05.21
XML
橋下大阪市長の仕掛けた大阪都構想の住民投票は、反対多数という結果に終わったわけですが、これに関して「シルバーデモクラシー」だという批判を叫ぶ人がいるようです。
何でも、住民投票の際の出口調査では、20代から60代までの各世代では賛成のほうが上回っていたが、70代だけ反対が上回っていたのだそうです。それなのに、全体では反対が多数だった、つまり70代のせいで若者の意見が政治に反映されない、というわけです。
そういう意見の代表格が、Bill McCrearyさんの紹介してくれた、辛坊治郎のような輩でしょう。

しかし、ちょっと調べると、そのような意見はあらゆる面で間違っていることが分かります。

第一に、この出口調査の信頼性という問題です。今回の住民投票の出口調査は複数の報道機関がおこなっていますが、その多くは選挙当日のみの出口調査しかおこなっていないようです。たとえば

20・30代は6割賛成 都構想 朝日・ABC出口調査

こちらの調査は「今回の住民投票で、朝日新聞社と朝日放送(ABC)は17日、投票を済ませた有権者を対象に出口調査を実施した。」と明示されています。

出口調査は「賛成51・7%」…せめぎ合う賛否、最終盤に賛成派追い上げ
こちらの調査も「産経新聞社※が同日、投票所で投票を終えた有権者に実施した出口調査の結果」と明示されています。(※実際には、産経単独ではなく共同通信、毎日新聞、毎日放送、関西テレビと協力して実施とのこと)

しかし、実際の選挙には、期日前投票があります。(国政選挙では、期日前投票の出口調査をおこなう報道機関もある)今回の住民投票では、投票総数約140万票の2割以上の30万票が期日前投票によるものです。そして、今回の住民投票では、期日前投票分は、反対派がかなり優勢と言われています。期日前のデータも加味すれば、どの年代でも賛成が減り、反対が増える調査結果になった可能性が高いのです。事実、産経などの出口調査では賛成多数となっていますが、実際の投票結果は反対多数です。いずれも誤差の範囲程度ではありますけど、差が生じた一因は期日前投票であろうと思われます。

第二に、70代の人口は20代30代を圧倒するほど多いわけではありません。大阪市の20歳以上の有権者に占める年代別人口割合は、20代が14.2%、30代16.4%、40代17.5%、50代12.9%、60代14.4%、70代14.2%、80代以上10.0%となっています。(大阪市年齢別推計人口平成26年10月データより計算)
70代と20代の人口はほぼ同じ(わずかに20代の方が多い)です。70代以上すべてと20代と30代合計の比較では、20~30代のほうがかなり多くなります。
つまり、70代の人口は、20代と30代の意見をかき消せるほど多くはない、ということです。
差があるとすれば、投票率です。今回の住民投票の年代別投票率は、データがないので分かりませんが、一般的傾向として若年層ほど投票率が低く、高齢層ほど投票率が高い傾向があります。今回の選挙でも同様の傾向があったと思われるので、有権者数では20代30代のほうが多くても、投票数では70代以上のほうが多かったという可能性は考えられます。選挙において、投票に行った者の意見が通り、棄権したものの意見が通らないのは、これは仕方のないこととしか言いようがありません。

ただし、です。第三に、若者の投票率が高ければ、住民投票の結果は逆転したのか、という問題です。おそらく、そんなことはなかったと思われます。若者の投票率が上がれば、むしろもっと賛否の差が開いた可能性が高い。何故か。

住民投票の前に、産経新聞が大阪都構想の賛否を問う世論調査をおこなっています。何度か調査がおこなわれた中で、最後の調査は5月11日に公開されています。

都構想 20代女性、調査のたび「賛成」低下…男性は「賛否」拮抗
本文の引用は省略しますが、男性は賛否拮抗、女性は反対多数となっています。そして、さらに細かい性別年代別の賛否は、以下のグラフのとおりだそうです。
大阪都構想住民投票世論調査

男性では、30代から60代までは賛成が上回っている(60代はほぼ拮抗)のに対して、70代だけではなく20代も反対が多数となっています。真ん中の世代は賛成多数、一番若い世代と一番高齢世帯という両端は反対多数、という結果です。
それに対して、女性は60代だけが賛成多数で、それ以外の世代はすべて反対多数です。中でも20代がもっとも反対の割合が多く、賛成の割合が少ない。男女合計した年代別データは不明ですが、男女が同数だと仮定して計算すると30代と50代は反対多数、40代と60代は賛成多数となります。
要するに、さきの出口調査の結果とは、まったく異なった結果となっているのです。

結局、若い世代の中では、大阪都構想に賛成の人は投票率が高く、反対の人は投票率が低かった、ということでしょう。「大阪都なんて馬鹿馬鹿しい」と思っている若い人の多くが、投票には行かなかった、ということです。
だとすれば、若者の投票率が上がったらも、反対派の得票がさらに増えるだけ、ということになります。

それにしても、「シルバーデモクラシー」を叫ぶ人の中には、「高齢者の投票権を剥奪しろ」なんていう人もいます。およそ、現実的ではない暴論です。かつて、1925年以前の日本は、収めた国税額で選挙権を制限していました。それとおなじことをやれ、というわけです。普通選挙はやめて、制限選挙にしよう、というわけです。辛坊治郎が「生活保護受給者が」みたいなことを叫んだらしいですが、これぞまさに、収入に応じて1票の価値を変える発想に他なりません。
世界の民主主義国で、現在そんなトンデモな制度を導入している国がどこかにあるのでしょうか。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.05.26 01:19:45
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: