inti-solのブログ

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2008.10.18
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カテゴリ: 環境問題
このところ、地球温暖化問題を巡る論争に興味を持ち、立て続けに何冊か本を読んでいます。で、書店には地球温暖化論に疑問を呈する本の方がむしろ多く並んでいるのが現状です。それは、地球温暖化論より、それに対する疑問の方が説得力に富んでいることの証左なのでしょうか?

とりあえずは、近所の図書館で「地球温暖化は本当か? 宇宙から眺めたちょっと先の地球予測」(矢沢潔著・技術評論社)という本を借りてきて読んでみました。温暖化懐疑論が大筋どういった内容なのかは分かりましたが、内容的には首を傾げるような部分が多くて、もう少し別の否定本がないかと思って、書店で買ってきたのが「『地球温暖化論』に騙されるな!」(丸山茂徳著・講談社)です。著者は地質学者で東工大大学院の教授という専門家なので、期待して読んだのですが、結論から言うと先に読んだ矢沢潔氏の本の焼き直しと言っても良いくらい似た内容でした。首を傾げる部分もそのままです。

「『地球温暖化論』に騙されるな!」の103ページに以下のような記述があります。



「グリーンランド」という名前の由来をご存じでしょうか。
その名のとおり、8~11世紀ごろは緑に覆われた、文字通りの「グリーンランド=緑の地」だったのです。その後寒冷化し、植物の生えない氷の地となったわけです。もし、仮に温暖化によってグリーンランドの氷が溶けて、再び植物が生えてきても何ら不思議ではないのです。



この話は、この本に限らず色々なところで引用されているエピソードです。先に触れた矢沢潔氏の本にも、確か記述されていました(図書館に返却してしまったのでうろ覚えですが)。ネット上でも時々見かけます。
しかし、地質学の専門家、それも東工大の教授という人がこんなことを書くのは、正直言って驚きです。

ちなみに、「ウィキペディア」のグリーンランドの項目には、名前の由来として二つの説が記載されています。一つは上記のとおり、発見当時は緑の島だったから、という説。もう一つは、グリーンランドの発見者が入植者を集めるために、いわば誇大広告的にこういう名前を付けたという説です。
さて、どちらが事実でしょう。

確かに、グリーンランドが発見された当時は、中世の温暖期と呼ばれるやや暖かい時期だったことは事実です。グリーンランド南部の沿岸沿いには現在だってある程度の緑はあるんですから、当時もあったでしょう。
例えば
http://commons.wikimedia.org/wiki/Image:Narsarsuaq_airport_from_signal_hill_-_aircraft_on_approach_.jpg
グリーンランド南部の町ナルサルスアークの空港です。周囲はずいぶん緑色ですから、かなり草原が広がっていることが分かります。
しかし、「グリーンランド」と名を付けた「動機」は「緑の島だから」であるはずがないことは歴然としているのです。これは地質や科学の問題ではなく、推理力の問題。

グリーンランドを発見したのは、ノルウェー生まれでアイスランドで育った「赤毛のエイリーク」という人物で、西暦950年頃の生まれといわれています。
ノルウェーもアイスランドも北方の寒い土地ですが、少なくともグリーンランドよりは暖かいし、緑も多いし、雪と氷も少ないことは歴然としています。「アイスランド」と名付けられている島で暮らしてきた人間が、それらの土地よりグリーンランドの方が緑豊かだと思うはずがないのです。従って、グリーンランドの名前の由来は、入植者を集めるために事実と異なる名前を付けた、という方が、名付けの動機としては明らかに正しい。

さて、推理の問題ではなく、地質と科学の側面から話をすると、グリーンランドでは、氷床コアのボーリング調査が行われています。氷河は雪が積み重なって圧縮されて氷化したものであり、夏と冬の降雪量の変化によって、樹木の年輪のように年単位で層ができています。そして、雪の中には多くの空気が含まれており、雪が圧縮されて氷化した氷河の中にも、微細な気泡が封じ込まれています。この気泡の空気の組成(たとえば二酸化酸素の濃度)や塵などを調べることによって、その氷ができたときの気候を調べることができるのです。
南極では40万年前までの氷床コアが掘り出されています。グリーンランドの氷床はそれよりずっと新しいのですが、それでも過去十数万年の氷床コアが掘り出されています。
それは、その間多少の規模拡大・縮小はあっても、氷床が消滅したことは一度もない、ということを意味しています。氷床に覆われた島の南端に多少の緑があったとしても(今もある)、そのすぐ北側には厚い氷床が迫っていたことは、現在も「中世の温暖期」も変わりがありません。

もっとも、実際には、グリーンランドにも本当に樹木が生い茂っている文字通り「緑の島」だった時代も確かにあるのです。ただし、それは約50万年も前のことです。グリーンランドの氷床をぶち抜いて、その下の岩盤から化石を採取する調査が行われており、マツやハンノキなどの化石(おそらく花粉化石でしょう)が見つかっています。その頃、我々現生人類の祖先はまだホモ・サピエンスまで進化しておらず、アフリカで原人として生きていました。1000年前などという、地質年代的には現在と変わらない時代の話と混同してはいけないのです。
そのような歴然とした事実に口を閉ざして、判で押したように「中世のグリーンランドは、名前のとおり緑に覆われた・・・・・」と繰り返す反温暖化論の論調には、何かおかしなものを感じてしまいます。





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最終更新日  2008.10.18 16:03:06
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