inti-solのブログ

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2008.12.04
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カテゴリ: 環境問題
では、将来の地球の気候はどう変動していくのでしょうか。
まず長期の変動である氷河時代。これは、あと百万万の単位の期間続くでしょう。我々人類が滅亡するときより、今の氷河時代が終わるときの方が、おそらく先です。
中期の変動である氷期と間氷期はどうでしょう。現在の間氷期はあとどれくらい続き、次の氷期はいつ来るのでしょう。
氷期と間氷期のサイクルは、ミランコビッチ・サイクルと強い関連があることは、さきの日記で触れました。ところが、このミランコビッチ・サイクルは地球の軌道の揺らぎ、自転軸の首振り運動、自転軸の傾き角度の変動という3つの要素が複合しており、将来予測が極めて困難です。

結局、過去の間氷期と現在の間氷期を比較して、類推するしかありません。
前回の間氷期(リス-ウルム間氷期)は、従来の説では約13万年前頃から7万年前頃までの6~7万年続いたと考えられていましたが、氷床コアの分析からは、その期間の大部分はそれほど温暖ではなく、現在と同程度以上に温暖化した期間は、最初の1万年ほどに過ぎなかったことが分かっています。(その変わり、もっとも温暖な時期は現在よりもっと暖かかったらしい)もし、現在の間氷期が前回の間氷期と同程度しか続かないとすれば、もうそろそろ間氷期は終わりに近づき、次の氷期が目前に迫っていることになります。
そのことを根拠に、次の氷期はもう目前に迫っている、という意見もありました。
しかし、両者を比較すると、温暖化の引き金となった日射量の変化が異なっており、条件が異なっているのではないかと考えられています。

その前の間氷期(ミンデル-リス間氷期)は、それほど温暖にならなかったことが知られています。そのため、米国ではミンデル氷期とリス氷期の間の温暖期を認めず、両者を併せて「イリノイ氷期」と称しています。これも現在の間氷期とは様相が異なっています。
それ以前になると、従来の説と氷床コアの解析結果の乖離が大きくなってきます。従来のギュンツ-ミンデル間氷期は、実は間に氷期を挟んだ二つの間氷期であったことが氷床コアの解析から読み止めます。その後半の間氷期(32~3万年前頃)は、温暖化の程度はかなり大きかったようですが、期間はごく短期間だったようです。そして、ギュンツ-ミンデル間氷期の前半(約40万年前)が、ミランコビッチ・サイクルの条件が現在に近かったのではないか、と考えられています。
この間氷期はおよそ2万年続きました。ということは、現在の間氷期も2万年くらい続く可能性が高い、ということです。現在の間氷期はすでに1万年経過していますから、残りはあと1万年です。
短いとも言えますし、長いとも言えます。人類が道を踏み外していなければ、その時まだ我々の子孫は生きているでしょうが、しかし今と同じ文明がその延長線上で続いているかというと、それはまず難しいだろうと思います。石油の埋蔵量があとどれだけあるかは定かではありませんが、どう考えてもあと1万年今と同様に使い続けられるだけの量はないでしょう。

さて、ではもっと短期の変動はどうでしょうか。
これは、中期の変動よりもっと予測困難です。
しかし、やはり未来の気候を予測するカギは過去にある。
前回の日記で、最終氷期末期、ヤンガードリアス期の急激な「寒の戻り」とその原因について書きました。実は、ほとんど同じような構図による気候変動が、その後でもう一回起こっています。最終氷期が終わり、後氷期に入ってからの最近1万年は、非常に安定した気候が続いていますが、その間に一度だけ、今から8200年前に、小さな寒冷化がありました。
小さな寒冷化というのは、最終氷期の激しい気候変動に比べれば、という意味です。後氷期の安定した気候の中では最大級の気候変動であり、もちろん「中世の温暖期」や「近世の小氷期」より遙かに規模の大きな変動でした。
もっとも寒冷化した時期は100年にも満たない期間だったようですが、気候が完全に元に戻るまでは400年ほどもかかった見られています。
この寒冷化は何故起きたのか。最近の研究では、原因はヤンガードリアス期とほぼ同じと見られています。カナダの大陸氷河が溶融していく過程で、ヤンガードリアス期は氷河の南側にたまった巨大な氷河湖が決壊して、冷たい淡水が五大湖、セントローレンス川を経由して大西洋になだれ込んだことが寒冷化の原因でしたが、8200年前の寒冷化は、今度は氷河の雪解け水がハドソン湾に流れ込んだことが原因と考えられています。つまり、このときもまた「温暖化が寒冷化を招いた」のです。
ただ、ヤンガードリアス期に比べると、温暖化が進んでカナダの氷河はすでにかなり縮小していたため、おそらく流れ込んだ雪解け水の量はずっと少なかったのでしょう。寒冷化の程度が比較的小規模だったのも、おそらくそれが原因でしょう。
それでも、北大西洋海流と、それにつながる深層海流への沈み込みを妨げ、熱塩循環を止めるか、ある程度弱めるには充分な威力を発揮したのです。

問題は、二回の寒冷化の原因となったのが、いずれも北大西洋に冷たい雪解け水の淡水が流れ込んだことだというです。その海域が、表装の海流(北大西洋海流)と深層海流のつながる接点であることがカギになっています。
そして、この海域のすぐ近くには、現在もグリーンランドの大陸氷河が現存します。
このまま地球温暖化が進んでグリーンランドの氷河が大量に溶けたらどうなるでしょう。やはり、雪解け水の淡水が北大西洋海流と、深層海流につながる海水の沈み込みを攪乱して深層海流の動きを妨げる可能性は多いにあります。まさに、2004年に公開された映画「デイ・アフター・トゥモロー」の世界です。
もっとも、かつてのカナダのローレンタイド氷床より、今のグリーンランド氷床の方が規模が遙かに小さいので、それが一斉に溶融しても、ヤンガードリアス期並の激しい寒冷化にはならないかもしれません。「デイ・アフター・トゥモロー」は劇映画だけに、いささか表現がオーバーなところが目立ちます。(マイナス100度の低気圧とか)
しかし、8200年前の寒冷化くらいの小規模な変動なら、可能性があります。小規模と言ったって、現代人の体験したことのない激しい寒冷化です。農業は世界的に(少なくとも北半球では)壊滅的な打撃を受けます。現代社会は、その打撃に耐えられるでしょうか。
おそらく、耐えられず大混乱に陥るでしょう。
温暖化問題の、隠れた懸念は、このように温暖化が一転して寒冷化を招く可能性があるということなのです。

(おわり)





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最終更新日  2008.12.05 00:58:32
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