inti-solのブログ

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2010.02.17
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カテゴリ: 食の安全
最近はあまり耳にしなくなりましたけれど、今回の不況が始まった当初、失業者を農業へ、というような意見をよく耳にしました。
なるほど、そうできたらいいなあと私も思います。でも、現状の社会構造と経済原理の中では、それは不可能です。
なぜ日本の農業が衰退したか、理由はいろいろあるでしょうが、根本的には「食えないから」です。どのくらい食えないかというと、以下の統計がわかりやすいと思います。
農林水産統計 平成17年販売農家の経営収支

これによると、2005年、販売農家の農業収入は124万円です。(粗収入398万円に対して経費が274万円)年収124万円では、生活はかなり厳しいですね。
ちなみに、「販売農家」とは、耕地面積が10アール以上、または年間農産物販売金額が15万円以上の農家を指します。それ以下の規模の農家を計算に入れたら、農業収入はさらに低いものになるはずです。
さて、その販売農家の中でも、主業農家(農業収入が世帯収入の半分以上、かつ65歳未満の農業従事者がいる)の農業収入は414万円ですが、準主業農家(農業収入は収入の半分以下だが65歳未満の農業従事者がいる)は63万円、副業的農家30万円。まさに「副業」にしかなりません。
では、具体的に各農家がどのくらいの数かというと、農家の総数は252万戸(2008年)、そのうち販売農家は175万戸(2009年)、主業農家は35万戸(2009年)、つまり主業農家は販売農家の2割を占めるに過ぎません。

全販売農家の平均耕地面積は、200アール以下のようです。そこですべて米を生産するとすると、収量は10アールあたり銘柄米で6~7俵、普通米で10俵くらいの収量があるそうです。200アールだと120~140俵(銘柄米)から200俵(普通米)という計算になります。生産者米価は銘柄米だと1俵あたり1万5千円くらいのようですから、それを140俵出荷したとすると210万円になります。年収210万、いや違います。これは「売り上げ」であって、そこから諸経費を引かなければならないわけです。他の職を持っていなければ、とても農業だけで食っていくことなどできはしないということが分かると思います。
農業を巡る、こういった状況を改善できなければ、失業者を農業になんてあり得ないというしかないでしょう。
(私には、農業の経験は皆無ですし、農村の出身でもありませんので念のため)





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最終更新日  2010.02.18 00:08:11
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