inti-solのブログ

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2013.08.18
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テーマ: 戦争反対(1248)
カテゴリ: 戦争と平和
<はだしのゲン>松江市教委、貸し出し禁止要請「描写過激」
漫画家の故中沢啓治さんが自らの被爆体験を基に描いた漫画「はだしのゲン」について、「描写が過激だ」として松江市教委が昨年12月、市内の全小中学校に教師の許可なく自由に閲覧できない閉架措置を求め、全校が応じていたことが分かった。児童生徒への貸し出し禁止も要請していた。出版している汐文社(ちょうぶんしゃ)(東京都)によると、学校現場でのこうした措置は聞いたことがないという。
ゲンは1973年に連載が始まり、87年に第1部が完結。原爆被害を伝える作品として教育現場で広く活用され、約20カ国語に翻訳されている。
松江市では昨年8月、市民の一部から「間違った歴史認識を植え付ける」として学校図書室から撤去を求める陳情が市議会に出された。同12月、不採択とされたが市教委が内容を改めて確認。「旧日本軍がアジアの人々の首を切ったり女性への性的な乱暴シーンが小中学生には過激」と判断し、その月の校長会でゲンを閉架措置とし、できるだけ貸し出さないよう口頭で求めた。
現在、市内の小中学校49校のうち39校がゲン全10巻を保有しているが全て閉架措置が取られている。古川康徳・副教育長は「平和教育として非常に重要な教材。教員の指導で読んだり授業で使うのは問題ないが、過激なシーンを判断の付かない小中学生が自由に持ち出して見るのは不適切と判断した」と話す。
これに対し、汐文社の政門(まさかど)一芳社長は「原爆の悲惨さを子供に知ってもらいたいと描かれた作品。閉架で風化しないか心配だ。こんな悲しいことはない」と訴えている。(以下略)

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要は、「市民の一部」から「間違った歴史認識を植え付ける」と言われ(つまり、右翼系の人たちということでしょうね)、その要求に屈した、ということです。

旧日本軍がアジアの人々の首を切ったり女性への性的な乱暴というのは、現実に戦争中その種の出来事があったわけです。
「過激」と言うなら、戦争そのものが過激なのです。戦争とは、ひらたく言えば人と人の殺し合いです。「一人殺せば殺人鬼だが100人殺せば英雄だ」というのは、チャップリンの「殺人狂時代」の名台詞ですが、戦争というものの本質を見事に示しています。
平時の常識と法律では決して許されないことがまかり通るのが戦争なのですから、戦争を正確に描写すれば、「過激」な表現になるのは当たり前のことです。

私は、子どもの頃はいっぱしの愛国少年でした。その私に強烈なパンチを浴びせた本が
渡辺清「戦艦武蔵の最後」
菅野静子「戦火と死の島に生きる―太平洋戦・サイパン島全滅の記録」
の2冊です。

いずれも、過激というならこの上なく過激な描写が山ほど出てきます。爆風に吹き飛ばされて、腹から飛び出した腸を引きずって歩く水兵、傷口を蛆虫にたかられるサイパンの負傷兵、これ以上ないくらいのグロテスクな表現のオンパレードでしたが、でも、それが戦争の現実なのです。
連合艦隊の元参謀などが書いた戦史に、そういう場面は出てきませんが、戦艦大和・武蔵といえども、爆弾や魚雷が当たれば穴があくのです。当然、その周囲にいる将兵はミンチになる。特に、甲板上に所狭しと並べられた高角砲や機関砲などは、分厚い装甲の外側ですから、爆弾どころか、機関銃程度でも蜂の巣になります。

軍艦が好きで、ウォーターラインシリーズ(700分の1の軍艦のプラモデル)を何隻もつくっていた私ですが、その「かっこいい」軍艦に乗り組んでいた兵士たちの悲惨な末路は、前者の本を読んで初めて知りました。
ちなみに、私は上記2冊の本を公立図書館の児童書コーナーで、小学校4年か5年のときに借りて読みました。小学校高学年の子どもにとって(まして中学生にとって)「過激」すぎる内容とは、まったく思わなかったし、今も思いません。
上記の例は、日本兵が被害者(攻撃を受ける側)の立場にあったときの状況ですが、逆に日本軍が攻めているときには、アジアの人々の首を切ったり女性への性的な乱暴という局面もあったわけです。※もちろん、これも歴然たる事実を事実として描き、それを小中学生が見ることには何の問題もない。
「過激なシーンを判断の付かない小中学生が自由に持ち出して見るのは不適切」とは、小中学生を幼く見すぎでしょう。

※実際には、日本軍が負けている局面でも、住民や捕虜に対する虐殺は少なからず起きていますけど。

結局のところ、「過激」であることを理由に戦争の現実を子どもたちから隠すことは、戦争というものの本質に対して目くらましをすることになります。臭いものに蓋をして目を閉ざしていても、臭いものは確実にそこに存在するのです。戦争はそのように悲惨なものだという事実から、子どもたちを遠ざけることは、「臭いもの」の存在を何も解決しないどころか、むしはろそれを増殖させる可能性すらあるのではないでしょうか。





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最終更新日  2013.08.18 12:06:19
コメント(16) | コメントを書く


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Re:臭いものに蓋主義(08/18)  
狛犬君 さん
inti-solさん、お久し振りです。猛暑、酷暑が続く中、連日の投稿御苦労様です。

今回のテーマに関しては、inti-solさんの主張を全面的に支持します。「はだしのゲン」は反戦漫画の歴史的名作であり、小学生にも積極的に読んで欲しい作品です。

それに対し、極々部分的な暴力的描写を口実に、閉架措置として、出来るだけ貸し出すな、というのは反戦思想への露骨な妨害です。大体、教育委員会という組織自体の存在が反動的です。いじめ自殺問題への対応でも、事なかれ主義の権化であり、無意味な規制にしか関心がないなら解散させて然るべきです。「臭いものに蓋」とはよく言ったものです。

子供は自由に色々なものを見聞きし、年齢に応じて物事を受け止め、判断力を養って行くべきであり、姑息な大人の恣意的な規制により、可能性の芽を摘んではなりません。 (2013.08.18 22:01:18)

Re[1]:臭いものに蓋主義(08/18)  
inti-sol  さん
狛犬君さん

お久しぶりです。実に珍しくも、私の意見に賛同いただき、ありがとうございます。「はだしのゲン」は反戦マンガと見られがちですし、その要素があることは事実ですが、必ずしも単純な反戦(反核)マンガではない、という意見もあります。

それはともかく、「市民の一部」というのは、「右翼系の人たちということでしょう」と、いささか曖昧な推測を書きましたが、運動していたのは、例によって在特会の連中のようです。

togetter.com/li/296268

松江市教委は、このチンピラ右翼の不当な要求に屈した、ということになります。

反戦思想への妨害、まあ単純化して言えばそういうことになるでしょうか。戦争の実相を子どもが知ることを妨げようというのだから、事実から目を背けさせようというということです。 (2013.08.18 23:13:42)

Re:臭いものに蓋主義  
楚星蘭三 さん
こういう措置の愚かしさにあきれる段階から、すでにメイン記事で触れられている通り、市役所・市教委は一体誰の以降に左右されたのかに興味が移らざるを得ません。
役所という所の性質上、この著名な作品に対する、これほど高度な価値判断を自分たちでした、とはちょっと考えにくいですから(個々の職員には優秀な方もおられるでしょうけど、組織としてという意味ね、念のため)。
今後の展開をちょっと予想しますと、今回の措置に各方面から批判が相次ぐと、関係部署は「外部からの圧力に動かされて決定を覆すことはない」と、「力強く言明」しそうです。最初の圧力はいとも簡単に屈して、今度は・・・とみれば二重基準ですし、基礎自治体とはいえ権力体であり官僚機構である市役所・市教委にとっては、最初の「市民のご意見」の方にシンパシーを感じる要素があり、こちらは本当に「圧力」と感じていなかった可能性があります。その意味ではむしろ、「ほいきたほいほいのわたりに船」だったのではないでしょうか。 (2013.08.18 23:42:26)

投稿がクロスしたようです。  
楚星蘭三 さん
リンク先見ました。最初ニュースを聞いたとき「なんで松江?」と、地方政治の複雑な背景があるのかと思いましたが、何のことはない、「チーム関西」がドライブがてら行ける場所、という以上のことはないらしい。「誰でもよかった」通り魔なみというか、こういうレベルで行動している、こういうレベルの人々ということなのでしょう。
『はだしのゲン』の表現が過激とか言う前に、自分たちの過激、というより単に見苦しい言動、というか生きざまをなんとかするのが先のように思うんですが。 (2013.08.19 15:06:37)

Re:投稿がクロスしたようです。(08/18)  
inti-sol  さん
楚星蘭三さん

>何のことはない、「チーム関西」がドライブがてら行ける場所、という以上のことはないらしい。

そういうことでしょうね。まさしく、この連中の行動と発言こそが常軌を逸した過激(というより異常)なものであり、それに安易に屈した側の責任も問われるのではないかと思います。それとも、ご指摘のように松江市教委自身もネトウヨ並の考えで、渡りに船だったのでしょうかね。 (2013.08.19 20:17:40)

Re:臭いものに蓋主義(08/18)  
オールドタイプ さん
こんなことやってるから、イスラエルの高官に「原爆式典は独善的だ」とか言われてしまうと思うんですが。
(個人的にはイスラエルには言われたくないですが)

しかし、こんな戯言普通の人間が普通の組織に言ったら鼻で笑われて終わりなんですがね。逮捕者出してもデモの許可が簡単に降りることといい、在特会には「特権」が与えられているようですね。
連中は「特権」が嫌いなようですから取り上げてあげればいいのに。
(2013.08.19 22:49:39)

Re:臭いものに蓋主義(08/18)  
Bill McCreary さん
>運動していたのは、例によって在特会の連中のようです。

なんだ、そんなことですか。だいたい予想通りですが。

>、「チーム関西」がドライブがてら行ける場所、という以上のことはないらしい。

抗議するほうもされる方も、どうしようもありませんね。クズばっかです。 (2013.08.20 07:27:36)

Re[1]:臭いものに蓋主義(08/18)  
inti-sol  さん
オールドタイプさん

>(個人的にはイスラエルには言われたくないですが)

まったく、そのとおりなのです。これについては、何ともコメントしようのない、複雑な心境ですね。

>逮捕者出してもデモの許可が簡単に降りることといい、 在特会には「特権」が与えられているようですね。

いや、デモは基本的に許可制ではなく届出制のはずです。だから、極左暴力集団とされる中核派だってデモは許可されます。警備はものすごいですが。したがって、このこと自体は特権とは言えません。
(2013.08.20 08:24:40)

Re[1]:臭いものに蓋主義(08/18)  
inti-sol  さん
オールドタイプさん

>(個人的にはイスラエルには言われたくないですが)

まったく、そのとおりなのです。これについては、何ともコメントしようのない、複雑な心境ですね。

>逮捕者出してもデモの許可が簡単に降りることといい、 在特会には「特権」が与えられているようですね。

いや、デモは基本的に許可制ではなく届出制のはずです。だから、極左暴力集団とされる中核派だってデモは許可されます。警備はものすごいですが。したがって、このこと自体は特権とは言えません。
(2013.08.20 08:24:40)

Re[1]:臭いものに蓋主義(08/18)  
inti-sol  さん
Bill McCrearyさん

>なんだ、そんなことですか。だいたい予想通りですが。

私も、なんとなくそうじゃないかと思っていたら、あまりに予想通りの展開すぎて、まったくがっくりします。

>抗議するほうもされる方も、どうしようもありませんね。クズばっかです。

まったくです。抗議される方、というより、安易にそれに従う方ですね。
(2013.08.20 08:27:48)

Re:臭いものに蓋主義(08/18)  
たかさん さん
鳥取市中央図書館「はだしのゲン」閲覧制限を撤回
//news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-182106/1.htm
という報道がありました。閉架措置への批判・反響の大きさに驚いてのことでしょう。なんともはや・・・。

(2013.08.23 21:05:49)

Re[1]:臭いものに蓋主義(08/18)  
inti-sol  さん
たかさん

>鳥取市中央図書館「はだしのゲン」閲覧制限を撤回
>//news.nifty.com/cs/headline/detail/jcast-182106/1.htm
>という報道がありました。閉架措置への批判・反響の大きさに驚いてのことでしょう。なんともはや・・・。

撤回することは、そのまま閉架措置を継続するよりははるかにマシな選択です。ただ、最初からそんなことするなよ、って思いますけどね。

ところで、案の定惨傾新聞の政治運動屋さんが、予想どおりの記事を書いています。

【阿比留瑠比の極言御免】「はだしのゲン」はどんな本か
sankei.jp.msn.com/politics/news/130821/lcl13082121040002-n1.htm

あまりにも予想どおりの意見過ぎて、意外性がないですけどね。 (2013.08.24 10:42:59)

Re[2]:臭いものに蓋主義(08/18)  
たかさん さん
inti-solさん

>ところで、案の定惨傾新聞の政治運動屋さんが、予想どおりの記事を書いています。

読みました。こんなことよく書けるなあという記事ですね。敗戦前夜や直後のことの資料に残っていない「歴史」が忘れられようとしているのでしょうが、「はだしのゲン」には赤裸々に描かれていますからね。私の母は「東京大空襲」と重なって「はだしのゲン」は見られないと言ってました。(私の家にははだしのゲン全巻があります)

ちなみに、聞いた話なので信憑性ははわからないのですが、戦後、社会党・共産党が勢力を伸ばしてきた時に、はたして天皇家は存続していくのかと、昭和天皇自身が心配していたということがあったそうです。家も財産も焼かれ、肉親を戦争で失った恨みが天皇に向かない訳がないですよね。

母がよく言っていたのが「朕、思わず屁をたれて…」という教育勅語のもじりを学校の中で唱えていた級友も多かったそうですよ。日本人すべてが「天皇礼賛」のわけがありません。そう思いたい一部の人がいるだけですよ。

別件ですが、上の三つのコメント、私のHNを入力した途端に送信されてしまいました。削除をお願いします。 (2013.08.24 12:53:34)

Re[3]:臭いものに蓋主義(08/18)  
inti-sol  さん
たかさん

>ちなみに、聞いた話なので信憑性ははわからないのですが、戦後、社会党・共産党が勢力を伸ばしてきた時に、はたして天皇家は存続していくのかと、昭和天皇自身が心配していたということがあったそうです。

天皇自身がどう考えていたかは分かりませんが、近衛文麿が敗戦直前に、天皇に対する上奏文で共産主義革命の脅威を説いていたことは事実です。
その内容は陰謀論めいていて、かなり噴飯ものですが。ただ、戦況と社会情勢から見て、大日本帝国万歳→共産主義革命万歳に、世論の趨勢が一変する余地は、なかったとは言えません。実際、鬼畜米英からマッカーサー歓迎に、一夜にして変わったんだから。
もっとも、指導する可能性のある人たち(たとえば共産党幹部)がみんな牢屋にいたのに、いったい誰がその火付け役になれるの?というところが、大いに疑問ですけど。

天皇がその内容をどこまで真に受けたかは分かりません。上奏文から敗戦まで6ヶ月を要しています。

>家も財産も焼かれ、肉親を戦争で失った恨みが天皇に向かない訳がないですよね。

そのとおりですね。戦争末期には、厭戦気分の高まりはどうしようもなく、工場などの落書きも激増し、天皇を揶揄するような内容もあったようです。 (2013.08.24 14:13:52)

Re[4]:臭いものに蓋主義(08/18)  
たかさん さん
inti-solさん

「はだしのゲン」に関しては、さらに、こんな記事もありました。

「はだしのゲン」売れ行き3倍に 閲覧制限問題で注文増える
//www.j-cast.com/2013/08/23182082.html

「臭いものに蓋」どころか「はだしのゲンに再び脚光を浴びせた」わけですね。さすが松江市教委!(もちろん皮肉です…笑) (2013.08.25 10:13:52)

Re[5]:臭いものに蓋主義(08/18)  
inti-sol  さん
たかさん

>「はだしのゲン」売れ行き3倍に 閲覧制限問題で注文増える

そうですね、結果としては宣伝効果抜群、ということになります。もちろん、だから、閲覧制限しても問題ない、ということにはなりませんが。 (2013.08.26 08:15:33)

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