inti-solのブログ

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2020.09.10
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テーマ: ニュース(96564)
カテゴリ: 政治
船長釈放「菅直人氏が指示」 前原元外相が証言 尖閣中国漁船衝突事件10年 主席来日中止を危惧
前原誠司元外相が産経新聞の取材に対し、10年前の平成22年9月7日に尖閣諸島沖の領海内で発生した海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で、当時の菅直人首相が、逮捕した中国人船長の釈放を求めたと明らかにした。旧民主党政権は処分保留による船長釈放を「検察独自の判断」と強調し、政府の関与を否定してきたが、菅氏の強い意向が釈放に反映されたとみられる。(以下略)
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政治の意向で船長を釈放したなんて、別に今はじめてわかった話でもなんでもなく、当時の時点で誰もが分かっていた話です。とはいえ、国交相という立場にあった人間(しかも、その後外相もやっている)が、たった10年で政治的な計算か何か分からないけれど、こういうことをペラペラしゃべっちゃっていいのかね、というのは大いに疑問です。
そもそも、このような国家間の紛争の種になるような案件で、検察が完全に「独自の判断」で起訴や釈放を決めるはずがないのは、何もこの時に限った話ではありません。2004年小泉政権時代にも、尖閣諸島に中国人が上陸したことがありましたが、その時も逮捕して即強制送還でした。2010年の時は政治の意向で釈放を決めたけれど、2004年の時は政治の意向によらずに釈放を決めた-そんなはずがないのは明白です。

2004年の事件の際は、 当時の記事 を読むと、尖閣諸島に上陸した中国人を逮捕した沖縄県警は、当初、魚釣島での実況見分などを基に、島にあった社に焼かれたような跡があるなどとして本格的な取り調べのために送検する方針だった。とあります。それが、法務当局から「他に罪を犯した恐れがあるとしても、特定の人物が犯人だという証拠がない場合、引き渡しを妨げるものではない」「不法滞在の外国人はできるだけ国外退去させるのが望ましい」と言われて方針転換して釈放しています。その「法務当局」というのが検察なのか何なのかは書いていないので分かりませんが、政治のトップ判断を受けての指導だったことは明白です。ただ、この当時の政権中枢にいた人間が誰も、そんなことをペラペラしゃべらない、というだけのことに過ぎません。

この当時の中国側の態度には大きな問題があったとは思いますが、それに対して日本側が強硬策でやり返すことが正しい対応だったとも、まったく思いません。中国側が、言ってみればこの件の仕返しとして中国で日本人を拘留していました。その状況で強硬策の応酬をしていれば、事態は収拾のつかない状態に陥っていたでしょう。

そもそも、2010年の事件の時、海上保安庁が問題の船長を逮捕した容疑は公務執行妨害です。その罰則は、3年以下の懲役または禁錮、または50万円以下の罰金です。かなり微罪なのです。日本在住ではなく従って初犯であることを考えれば、実刑の可能性は低く、罰金または執行猶予付判決で即強制退去で、実刑判決で服役、とはまずならなかったでしょう。
であれば、2004年の時と同様、逮捕して即強制退去処分とするのが最も妥当な解決法だったし、どんな政権だろうが、同じ解決を図ったはずです。

2010年当時も今も、この問題への菅政権の対応を「弱腰」だという人が多いわけですが、明らかに違います。確かに、この時の対応は拙劣だったと私も思います。しかし、それは「弱腰だった」ということではない、逆です。ひとことで言うなら、「後先考えない無謀な強硬策」です。
当時野党だった自民党の谷垣総裁も、菅政権の対応について「(中国人船長を)直ちに国外退去させた方が良かった。最初の選択が間違っていた」と言っています(Wikipediaより)。他のことはともかく、この点の指摘についてはそのとおりと私は思います。

結局、場当たり的な強硬策の結果、日中間で強硬策合戦のチキンゲーム状態に陥ってしまい、そこから日本側が先に降りざるを得なくなってしまったわけです。そこでチキンゲームから最後まで降りずに激突すれば、ネトウヨたちの自尊心は満たされるかもしれないけれど(もっとも、民主党政権がそんなことをしても、ネトウヨは舌打ちするだけで拍手喝采などしないでしょうが)、日本が失うものは巨大だったでしょう。

そういったところを見通した上で、端的に言えば強硬策で勝てるのかどうか、その場合の出口戦略を冷静に判断した上で対応を決めなければならないのに、まるで感情に任せたかのように場当たり的に強硬策を振りかざして、あとになって振り上げた拳をおろす、そんなことになった原因の少なくない部分は、国交相であった前原自身にもあります(海上保安庁を所管するのは国交省)。

過去のこともさることながら、このように「弱腰外交怪しからん」という感情的キャンペーンは、今後への影響が怖いといわざるを得ません。今は、この話が旧民主党攻撃だけに結びついているから、やり玉に挙がっているのは2010年の事件だけです。でも、連中は「外部の敵」を駆逐したら、次は「内部の敵」に対する攻撃を始めるでしょう(すでに、石破に対するネトウヨの攻撃の激しさにはその萌芽を感じます)。そうなれば、今度は2004年の件も「弱腰外交」と糾弾にかかるでしょう。

そうなったとき、もし次に類似の事件が起こったら、時の政権は、もう強硬策しか取れなくなる。どんな政権でも同じ策を取ると書きましたが、そうすると国中から袋叩きにあう、となれば冷静な対応が取れなくなります。ネトウヨ世論は、そうなれば拍手喝采でしょうが、代わりに失うものは巨大です。無謀な強硬策を振りかざした挙げ句に破滅への道に転落した太平洋戦争の愚を繰り返すことになりかねません。





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最終更新日  2020.09.10 19:00:07
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