inti-solのブログ

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2024.08.28
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テーマ: ニュース(100210)
カテゴリ: 戦争と平和
ウクライナ、ロシア国境で新たな越境攻撃 地元知事「状況は厳しい」
ロシア南西部ベルゴロド州のグラトコフ知事は27日、ウクライナ軍の地上部隊が同州への侵入を試みているとSNSに投稿した。ロシアの複数の軍事ブロガーは同日朝、ウクライナ国境沿いの複数の国境検問所が攻撃を受けたと伝えている。
グラトコフ氏は「ロシア国防省によると、国境の状況は厳しいままだが統制されている」とし、冷静な対応を呼びかけた。ただ、同省はまだ状況についての発表を行っていない。
軍事ブロガーの情報では、ウクライナ軍の部隊は60~500人規模で幅がある。装甲車も参加しているという。一方で、「撃退した」との情報もある。
ウクライナ軍は今月6日、ベルゴロド州に隣接するクルスク州での越境攻撃を開始。ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、同州の集落92カ所と1250平方キロ超を占領したとしていた。

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ロシアのウクライナ侵攻以来、空爆等のわずかな例外を除いて、戦場はひたすらウクライナ領内であり続けました。
しかし、ここにきてウクライナ側はまさかのロシア領内への逆侵攻を図り、ロシア西部のクルスク州で1200平方キロを占領したと報じられています。
1200平方キロは日本で言えば沖縄本島と同じくらいの面積ですから、かなり広大ですが、ただロシア軍が占領しているウクライナの領土はどのくらいか。
ウクライナ側の反抗作戦が開始される前の時点では、開戦前からロシアの傀儡政権が支配していた地域も含めれば、国土の2割、12万5千平方キロというので、今回ウクライナが占領したロシア領の100倍の面積です。その後ハリコフ州などでかなりの領土を奪回してはいるものの、依然としてウクライナが占領したロシア領に数十倍の面積のウクライナ領を、ロシアは占領しています。

明らかにロシアの侵略によって始まった戦争なので、ウクライナがロシアに逆侵攻することの、道義的な是非は言っても仕方がないでしょう。ロシアに一方的に攻め込まれたままで、戦場はただただウクライナ領内だけであるべきだとは、必ずしも思いません。
ただ、戦術、戦略面で見たら果たしてどうでしょうか。
ロシア側の虚を突いて領内に攻め込んだウクライナの作戦は、なかなか見事だったと思います。
これによって、ロシア軍は自国領内をがら空きにして、全神経をウクライナ領内だけに注ぐことはできなくなります。自国領内に大兵力を貼り付けなければならず、その分ウクライナに攻め込む兵力は減ります。
でも、逆もまた真なりです。ウクライナ軍もまた、自国領内に攻め込んだロシア軍と戦う貴重な戦力を、ロシアへの逆侵攻に割いてしまっています。
ロシア軍は敗戦を重ね、戦車などの兵器を相当に失ってはいるものの、それでも兵力はいまだウクライナ軍より圧倒的に多いはずです。

私が思うに、ウクライナにとってベストな作戦は、ロシアの虚を突いてロシア領に逆侵攻し、その戦果を大々的に宣伝する。そして、ロシア軍が反撃に出るころには、サッサと撤退してしまう、というやり方だったのではないかと思います。いわゆるヒットアンドアウェイです。ウクライナ軍がこれまでもミサイルやドローンによってロシア領内に不意打ちを喰らわせた、それの陸上戦闘版です。

撤退してしまえば、その兵力はそのままウクライナ領内での防戦にまわせるけれど、ロシア側は敵が撤退したからと言って、奪還した地域の兵力を安心して空っぽにはできないでしょう。次にまたいつ不意打ちで逆侵攻を喰らうか分からないし、体面上問題もあるでしょうから、少なからぬ兵力を奪還した領土に張り付けざるを得なくなります。
このようにすれば、ロシア側だけに一方的に兵力の分散を強いることができたでしょう。
しかし、おそらくウクライナ側も体面上の問題で、「ロシア領土に逆侵攻して占領地拡大中」という目に見える果実を欲してしまったのでしょう。しかしそれは、判断ミスではなかったかと私は思います。

人口と国力の差を考えれば、ウクライナは信じられないくらいロシアに対して善戦していますが、冷静に見ると、ウクライナがロシアに対して大規模な反撃に成功したのは、緒戦の時点で北部に侵攻したロシア軍を撃退した時(ロシア軍は様々な戦術的失態を重ねた)以外は、ロシア側の虚を突いた、つまり戦略的奇襲に成功した時だけです。2022年9月にハリコフ州を大規模に奪回した時がそうでした。ロシア側が反撃の準備を整えると、それ以上ウクライナが一方的に占領地を奪還することはできず、一進一退の状況が現在まで続いています。
そして、今回のロシア領への逆侵攻も、 占領した地域のほとんどは越境攻撃開始から最初の1週間で掌握し、その後、攻撃のスピードは落ちている と指摘されています。つまり、ロシア軍が反撃する準備が整わないうちに占領地を拡大したものの、ロシア軍が態勢を整えて防備を固めると、もうそれ以上勝つことはできないわけです。

この手の話は、過去の戦史に掃いて捨てるほどの例があります。緒戦期に、相手の態勢が整わないうちに奇襲によって一方的に勝利を重ねるものの、やがて敵が態勢を整えると、もうそれ以上は勝てない、それなのに緒戦の一方的勝利の幻想から、退き時を逃して回復不能の敗北を喫する、太平洋戦争時の日本が、丸ごとその状態だったわけだし、もっと小さな戦場単位でも多く例があります。インパール作戦とか、スターリングラードの戦いとか。

ロシアの国力も軍事力は無限ではありませんが、ウクライナの国力、軍事力は、そのロシアより少ない、これは動かしがたい現実です。兵器や弾薬は欧米諸国からの支援を受けられても、兵隊の頭数は自前で揃えるしかありません。長く続く激しい消耗戦で、ウクライナ軍の兵士が疲弊の限界に達しています。また、欧米諸国からの軍事援助を受けて以降、ウクライナ側にも作戦ミスがあり、貴重な西側兵器を、無謀な作戦ですり潰してしまう事態もあったようです。
ウクライナがロシアと同じ土俵、同じ戦い方でがっぷり四つに組んでしまったら、先に国力、軍事力が尽きるのは、どう考えてもウクライナです。このままいくと、どこかの時点で破断界に至り、急激に壊滅的な事態に陥るのではないか、という懸念を抱かざるを得ません。





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最終更新日  2024.08.28 21:47:10
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