>傀儡国

傀儡国としては他にも「ヴィクトリア女王時代の英国(大英帝国)がインド亜大陸に建国した『インド帝国(名目上は英国国王がインド皇帝を兼任した同君連合だが、実際には大英帝国の植民地)』」「第二次世界大戦時にナチス・ドイツがフランス南部に設立した『ヴィシー政権』」などがありますね。

ところで、トランプはグリーンランドを米国の領有にすべきという趣旨の発言もしているそうです(2024年12月24日のNHKニュースWEBから)。ここまで来ると最早常軌を逸脱しているとしか言いようがありませんね。

//www3.nhk.or.jp/news/html/20241224/k10014677141000.html (2024.12.27 20:20:05)

inti-solのブログ

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2024.12.23
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テーマ: ニュース(96533)
トランプ氏、パナマ運河に不満 通航料「不公平」、返還要求も
トランプ次期米大統領は22日、西部アリゾナ州での保守系団体の集会で演説し、太平洋と大西洋を結ぶ交通の要衝パナマ運河について、米国の軍艦や民間船舶が徴収されている通航料の相場が「とても不公平」だと不満を示した。米国が過去に運河を管理していた歴史に触れ、是正されなければ管理権の「返還を要求する」と述べた。パナマのムリノ大統領は反発した。
トランプ氏が11月の大統領選で勝利宣言して以降、支持者らが集う大規模集会で演説したのは初めて。来年1月の次期政権発足後、他国との摩擦も意に介さずに経済的な負担軽減を迫る姿勢を改めて鮮明にした格好だ。
トランプ氏は、米国がパナマ運河の建設工事に巨費を投じたにもかかわらず、現在のパナマ運河の通航料が「法外に高い」と非難。中国の影響力も強まっていると指摘し、運河が「悪者の手に落ちるのを許すわけにはいかない」と訴えた。
ムリノ氏はXで、パナマ運河の通航料は「気まぐれ」ではないと説明。運河の管理権に交渉の余地はなく、中国の影響力も及んでいないと強調した。

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この発言の前にも、トランプはカナダに対して暴言を吐いています。

カナダが51番目の州になるのは「素晴らしいアイデア」 トランプ氏

極右的なトランプと、リベラル派であるカナダ自由党のトルドー首相ではそりが合わないのは明白ですが、だからと言って、一国の最高指導者(になることが決まっている人)が、独立国の尊厳を踏みにじるようなことを言ってよいはずがありません。

トランプが「米国第一主義」を掲げるのは自由ですが、相手国がそれに賛同するわけもないのです。トランプが「米国第一」ならカナダ国民は「カナダ第一」だし、パナマだって「パナマ第一」なのです。そんなことは当たり前でしょう。
さて、運河地帯を取り戻すための、パナマの長い戦いについてはずっと昔に記事を書いたことがあります。

パナマはいかにして運河地帯を取り戻したか

パナマという国の成り立ち自体が、元々コロンビアの一部だったものを、米国が運河を建設するために無理矢理切り取って傀儡国として名目上独立させた、というものであり、実質的には戦前日本が中国の東北地方に作った「満洲国」の米国版と言ってもよい国です。
そこから運河地帯を無理矢理永久租借して勝手に運河をっくる、それだけではなく、運河地帯の安定的確保の障害になりそうな、目障りな政権ができると内政に干渉してその経験を暴力的に転覆してしまう、そういったことも米国は繰り返してきました。
最終的には、米国の意を受けて動いてきた軍の中から民族主義的な動きが現れ、軍人であったオマル・トリホス将軍(政権掌握時は中佐)が政権を握って運河地帯の返還条約を実現しました。本人は実際の運河地帯返還を見る前に飛行機事故で亡くなっていますが。

パナマ運河が返還されてから四半世紀が経ち、トランプ次期大統領が帝国主義的な野心も剝き出しの発言を繰り返しています。運河の「返還を要求」とありますが、あべこべなのです。運河は米国からパナマに返還されたので、トランプの主張は「もう一回奪い取るぞ」ということです。

トランプは運河の使用料が高いことが不満であるようです。更には、元々米国が巨額を投じて建設した運河をパナマに返還したこと自体も許せないと思っているのでしょう。
話の前提として、パナマ運河の通行料は、実際米国統治時代はかなり安く押さえられていたものが、パナマに返還されて以降は大幅に値上げされていることは事実です。トランプが叫んでいるのはその点についてでしょう。
米国がパナマ運河の通行料を安くしていたのは、国際戦略、自国の権益の一環として、パナマ運河を保持していることが重要なのであって、直接的にパナマ運河そのものから収益を上げる必要はないと考えていた(米国は大国だから、パナマ運河の使用料ごときに歳入を依存する必要がない)からでしょう。しかし、パナマは小国であり、国家財政に占める通行料収入は死活的に大きい(国家予算の歳入100億ドル余に対して、運河通行料収入は50億ドル近く、経費を除いた利益も30億ドル以上を占める)ので、どうしても値上げは避けられません。
また、パナマ運河の返還後、大規模な拡張工事が2016年に完成しています。この工費も50億ドルもかかっています。
そして、皮肉なことに、もしトランプの下で運河が再び米国に奪われたとすれば、「トランプ流」なら運河でがっつり儲けるために、やはり通行料は高額のままでしょう。

もう一つ、米国がパナマ運河の建設工事に巨費(約3億ドル)を投じたと言いますが、それは百数十年前の話です。
その時代のことを言い始めたら、フランスだって言いたいことはあるでしょう。パナマ運河の建設を最初に試みたのはフランスですが、莫大な資金を投じたものの、それでも資金が足りなくなって運河会社が倒産して撤退しています。このパナマ運河会社の倒産騒動は当時フランスで疑獄事件に発展しています。
しかし、「金を出したのはわが国だからその資源は我が国のものだ」という帝国主義丸出しの理屈は、もう50年以上も前に、資源ナショナリズムによって否定されています。その理屈を言うなら、石油だって、みんな石油メジャーのもの、ということになってしまいますが、イマドキそんなバカなことを言う人はいません。
それに、前述のとおりパナマ運河は返還後の2016年に、大規模な拡張工事が完成しています。返還後のことですから、当然それはパナマの運河庁が取り仕切って行ったものです。

だいたい、いくらトランプでも、関税引き上げの脅しでパナマを従わせることはできないでしょう。
というのは、 外務省の「パナマ基礎データ」 によると、パナマの輸出入統計
輸出 36.5億ドル(2022年 パナマ会計検査院)
輸出品目は 銅、バナナ、コーヒー豆、牛肉、豚肉、エビ、金属くず
輸出先は 中国、日本、韓国、インド、ドイツ
というわけで、輸出先の上位に米国は出てきていません(輸入元の第1位は米国のようですが)。
なので、「関税を引き上げてやる」と脅しても、パナマにとってはカナダのように死活的に重大な影響はなさそうです。しかも、輸出総額より運河通行料収入の方が多い、対米輸出となったら運河使用料収入より圧倒的に少ないので、輸出の関税を恐れて運河料収入を差し出すようなことは、するはずがありません。
それとも、まさか1989年の時のように米軍を送ってパナマを占領しますか?それで運河を強奪しますか?
いや、本音ではそのくらい考えていそうな気もしますが、さすがに実現は不可能でしょう。1989年に米軍がパナマに侵攻したときだって、運河条約を反故にすることはできなかったわけですし。

というわけで、トランプが何を言っても、パナマがそれにひれ伏すことはないだろうと思いすが、それにしても、他国に対してこういう暴言を平気で吐ける人物が世界一の大国の大統領になってしまった、という時点で、世界の今後に対して絶望を抱かざるを得ません。





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最終更新日  2024.12.24 06:46:53
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Re:また植民地にするつもりか(12/23)  
nordhausen さん

Re[1]:また植民地にするつもりか(12/23)  
nordhausenさん

そのとおりですね。植民地時代のインドやナチス時代のヴィシー政権、更には日本の満洲国とも違い、パナマは更に従属度の高い面が一つありました(もちろん、別の面ではこれらの例の方が従属度が高い部分もありますが)
これらの地域では、一応は宗主国とは別の、独自の通貨が発行されていましたが、パナマには独自の通貨がありません。パナマの通貨単位は「バルボア」ということになっていますが、このバルボアは硬貨はありますが紙幣は発行されていません。1バルボア=1ドルで、紙幣米ドルが使われています。これは、現在でもそうです。

グリーンランドについてのトランプの発言もひどいものです。 (2024.12.28 07:02:49)

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