海外旅行紀行・戯言日記

海外旅行紀行・戯言日記

2003.07.04
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テーマ: 本日の1冊(3688)
カテゴリ: Books
7月2日の各新聞で「無限」社長本田博俊と監査役広川則男の2名が10億円脱税容疑での逮捕されたこと報じています。

本田博俊氏はカリスマ社長本田宗一郎氏の長男で日本からの世界自動車レース参戦に貢献したことで知られている様です。
本田宗一郎は最初技術馬鹿に近い形で会社を創業しますが、その後盟友藤沢武夫を経営陣に得て、世界に冠たる会社に育て上げたのですが、両氏とも子供をホンダに入社させる事をしないと言う方針で一致していたことはよく知られていました。
結局は本田博俊氏はホンダとの関係が深い形でビジネスを進めて来ましたので、“親の心子知らず”と気になって上記の本をパラパラとめくって見ました。


本田宗一郎の育てられ方-講談社文庫(上之郷利昭氏著):1992年

あとがきで、著者は次の様に記載しています。

創業社長の場合、息子や孫に後を託したいと思うのは人情である。そう言う例は読者も良くご存じであろう。
ところが、本田宗一郎はそうした未練を断ち切って、血の繋がった人達に譲ること無く、恬淡として身を引き、「辞めた以上は経営には一切口を出さない」と言う姿勢を守り続けた。
宗一郎は長男の博俊に「お前は何になるのか」等と一度も聞いたことは無かったと言われている。博俊が日大理工学部から芸術学部へと自分の道を模索している時、「早く自分の道を決めて掴まえろ!」と、アドバイスを与えたと言うが、ホンダに入れとは言わなかった。
博俊も、困っている時、父親に向かって、「ホンダに入れてくれ」とは言っていない。

自分の作った企業を他人の手に渡す-立派なことだと他人は喝采を送る。しかし、いざ自分のこととなると、そう簡単に他人の手に委ねることが出来るか否か、自分の胸に手を当てて考えて見るといい。
そう考えると本田宗一郎という人物の偉大さが、改めて分かって来るのではあるまいか。
それは宗一郎の父親の生き方、又育てられ方による所が大きい、「宗一郎語録」によると「ウチの親父の偉さが分かったのは、親父が死んだ時でした。親父は人に迷惑を掛けると言うことを最大の恥辱であると思っていたからね。だから、私にとってそれがものすごい親父の遺産で、素晴らしさが分かった。金を持っていたからって、しょうがないじゃないの」と述懐しています。

本田宗一郎氏は自分の生き方を全うし、長男博俊氏の育て方にも方針を貫いた様ですし、博俊氏もそれに対応して自分の生き方を見つけだしたのだろうと思います。

しかし、宗一郎氏が活躍出来たのは盟友藤沢氏の女房役として陰の努力があってこそ実現出来たと言うことを自分の息子に遺産として残すのを失念したのでは懸念しています。

結局は宗一郎氏の意を曲解し博俊氏に便宜を図るホンダ経営陣、盟友を作らず会社経営をして来た博俊氏の不運が今回の事件を生んだのでは無いかと推断します。
結局二代目と言うのは色眼鏡で見られますので、自分の生き方が自分で決められない境遇になるのでは無いかと思わざるを得ません。







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Last updated  2005.07.12 14:09:13
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maki5417 @ Re:ユネスコの世界遺産に登録されているシャルトル大聖堂(06/05) 電車で十分日帰り可能ですが、残念でした…
カーク船長4761 @ Re[1]:6月オスロ・フィヨルドで白夜体験(06/01) オジン0523さんへ 26年前に修正致します!
オジン0523 @ Re:6月オスロ・フィヨルドで白夜体験(06/01) 私も2011年7月に男二人で北欧の旅を楽しみ…
カーク船長4761 @ Re[1]:クレジットカード情報の漏洩(05/30) maki5417さんへ 不甲斐無いのですが、末尾…
七詩 @ Re:クレジットカード情報の漏洩(05/30) 毎日のようにそういうメールが来ます。と…

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