わたしのこだわりブログ(仮)

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2016年01月05日
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ミュンヘン・シリーズのBack numberをラストに入れました。


今回はレジデンツの祈りの場と聖遺物を紹介します。かなり盛りだくさんの内容です。

聖遺物については、今までたいていの教会などではもちろん写真撮影などNGがあたりまえ。
ところがレジデンツは太っ腹びっくりほぼ全て撮影がOKだったので今回紹介する事ができます。
しかし、聖骨と言ってもリアル骨なので無理な方は気をつけてね スマイル

ミュンヘン(München) 10 (レジデンツ博物館 3 聖遺物箱)

諸聖人宮廷教会(Court Church of All Saints)
旧王室礼拝堂(Arte Hofukapere )
絢爛な礼拝
室(Ornate Chapel)
聖遺物箱(Reliquary)
レジデンツ宝物館 聖遺物部屋(Reliquary Room)
ハンガリーの聖エリーザベト


「マルティン・ルターの宗教改革」については必ず世界史の中で1度は耳にした事があると思うが、その時にカトリックの重要な宝が多く破壊され失われた事を知る人は少ないだろう。
※ 以前ゲント(Gent)の所でも書いた事があるが、宗教改革のおり、13世紀より続くドミニコ会系修道院の貴重な手書きの蔵書30000冊がプロテスタントの襲撃にあいレイエ川(Leie)に投げ捨てられたりしている。

それはちょうど1960年代に中国で起きた文化大革命の時に多くの歴史的文化財が破壊され燃やされた時に似ていたのかもしれない。

諸聖人宮廷教会(Court Church of All Saints)
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レンガがむき出しになった諸聖人宮廷教会であるが、 かつては美しい装飾 が描かれていたようです。
今は教会ではなくただのホールとして使われているのかな?
pict-レジデンツ 38.jpg

旧王室礼拝堂(Arte Hofukapere )
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現在はコンサートなとで使用される事もあるようです。

天井のレリーフ「Civitas Dei」
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Civitas Dei
英語では「The City of God」神の都。
これは古代神学者アウグスティヌス(Augustinus)(354年~430年)によってラテン語で書かれたキリスト教哲学の本。

古代ローマ人の信仰していた宗教に新しく入ってきたキリスト教。さらに西ゴート人によるローマ侵略。
そんな時代の中で「神の都」論はローマとキリスト教の関係においても論理的に整理されて解説されキリスト教の教義本になったようだ。

絢爛な礼拝室(Ornate Chapel)
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天井はキンキラな黄金レリーフ。壁には色大理石の象眼細工で描かれた模様や絵画が描かれた特別な部屋。実はここはただの礼拝堂ではない。
かつてヴィルヘルム5世(Wilhelm V)(1548年~1626年)のプライベート礼拝堂で、聖なるお宝を収集した特別な
部屋だった所
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そのお宝の一部がまだ部屋に残っています。
下のシンメトリーに飾られた左右の装飾 2×3台の容器に注目。
pict-レジデンツ 44.jpg
それは「 Reliquary」聖骨箱とか聖遺物箱と呼ばれる聖人の遺骨が納められた容器 です。
聖遺物についてあちこちで触れていますが、よかったらそちらを先に読んでださい
「ローテンブルク 7 (聖遺物のある教会) 」
リンク ​ ローテンブルク 7 (聖遺物のある教会)
「ブルージュ(Brugge) 7 (ブルグ広場 3 聖血礼拝堂) 」
リンク ​ ブルージュ(Brugge) 7 (ブルグ広場 3 聖血礼拝堂と聖遺物の話)

聖遺物箱(Reliquary)
現在、聖遺物箱のほとんどは宝物館の中でも特別な金庫部屋に納められています。もちろん聖骨としての価値。そしてその容器の宝飾性が認められているからです。

聖遺物には霊力が宿っているとされ、聖遺物を所有する者自身にも神の栄光が降り霊験を得られると考えられ、聖遺物に選ばれた人として一目置かれる存在」でもあった。
またそれは信仰心だけではなく、貴重な聖遺物を所有するという事は名誉であり、その者の社会的地位を確固たるものにした。  と、され、当時は今以上に価値を持ったお宝だったのです。

ここの聖遺物箱(Reliquary)は ルターの宗教改革の後にはヴィッテルスバッハ家のコレクションからカトリック教会が認める宝となり扱われるようになった ようです。
その理由は最初に紹介したようにルターの宗教改革のおりにたくさんの聖遺物や聖遺物箱(Reliquary)が取り払われたからです。
破壊されたり宝石などが抜かれ、遺骨は捨てられ失われた物も少なくなかったかも・・。

レジデンツ宝物館 聖遺物部屋(Reliquary Room)
ヴィッテルスバッハ家のコレクションは初期キリスト教の神聖な遺物として認定されたお宝です。
実際、 聖骨などを包む容器は当時の最高の技術を駆使した宝石箱のようなもの。
宝冠に付けてもおかしくない宝石をちりばめた容器は素晴らしい美術工芸品となっています。

しかし、この金庫のような部屋の解説に誰の聖人の遺骨かについての詳しい記載はありませんでした。

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当時まだ技術が未熟だったにもかかわらず容器にはガラスが多く用いられてていた。
理由は人に見せる為の目的があったからだろう。
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遺骨は宝石や真珠などで留められて金糸の華の中に散りばめにれている。
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プロビデンスの目と三位一体を表す3つの納められた骨。
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聖体顕示代の原型はこれら聖骨の容器からかもしれない。
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下が1年半前から宿題にしていたザブトンに乗った頭蓋骨の謎。
頭蓋骨を丸々美しく残す為にこのような宝石をちりばめた美しい覆面のような容器を考案したものと思われる。(実際はこの外回りの容器が別にあったようだ)
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その人は ハンガリーの王女から修道女になり聖人に列聖されたエリーザベト(Erzsébet)(1207年~1231年)王女 のようです。テューリンゲン方伯ルートヴィヒ4世の妻でもありました。
ザブトンに記された名前と赤いバラが印です。

ハンガリーの聖エリーザベト
1227年にルートヴィヒ4世が第6回十字軍に従軍中に死去し、若くして未亡人になるが再婚を断り夫の家からもらったお金で病院を建設。自らもボロを着て貧民の為に尽くしたとされる。
生前の彼女の行いから彼女の死後3日遺骸を公開すると遺骨を盗もうとする者もあらわれたと言う。
(そこですみやかに列聖の審査が始まったと言う。)
1235年の聖霊降臨祭の日、教皇グレゴリウス9世によりエリーザベトは列聖された

転々とした彼女の聖骨
列聖の翌年、聖遺物として祭る為の儀式が行われ、頭部が切り離された ようだ。
そしてたっての希望で列席した神聖ローマ皇帝 フリードリヒ2世により彼女の頭に冠が乗せられ聖遺物容器に保存 されたと言う。(バラの花飾りがそうであろう。)

遺骸 は列聖の 年よりドイツ、ヘッセン州マールブルク(Marburg)にてドイツ騎士団によりエリザーベト教会が建設されそこに祭られる事になった。しかしそれは16世紀まで。ここでも出てくるのが 宗教改革の悲劇。

教会はプロテスタント化され聖遺物崇拝を辞めさせる為にエリサーベトの遺骨は全てこの教会から取り除かれた と言う。

ウィキペディアによれば、聖遺物箱(Reliquary)は現在ストックホルムにあるらしい。
頭骨と頸骨はウィーンの聖エリーザベト病院と書かれているが、このレジデンツに頭蓋骨が丸々あるのだからそれは間違いなのだろう。

聖人も大変ですねしょんぼり
次回まだレジデンツの宝物つづきます。
リンク ​ ミュンヘン(München) 11 (レジデンツ博物館 4 宝物館の宝冠)

Back number​
リンク ​ ミュンヘン(München) 1 (街の起源とノイハウザー通り)
リンク ​ ミュンヘン(München) 2 (ラートハウスとマリエン広場)
リンク ​ ミュンヘン(München) 3 (ラートハウスの仕掛け時計)
リンク ​ ミュンヘン(München) 4 (ラートハウスの塔)
リンク ​ ミュンヘン(München) 5 (ラートハウスのレストラン)
リンク ​ ミュンヘン(München) 6 (ラートハウスの装飾 リンク
リンク ​ ミュンヘン(München) 8 (レジデンツ博物館 1)
リンク ​ ミュンヘン(München) 7 (悪魔の足跡)
リンク ​ ミュンヘン(München) 9​​ (レジデンツ博物館 2 グロッテンホフ) ​​
    ミュンヘン(München) 10  (レジデンツ博物館 3 聖遺物箱)
リンク  ミュンヘン(München) 11 (レジデンツ博物館 4 宝物館の宝冠)

他関連
リンク ​ アルテ・ピナコテーク(Alte Pinakothek) 1
リンク ​ アルテ・ピナコテーク(Alte Pinakothek) 2 デューラーのサイン
リンク ​ アルテ・ピナコテーク(Alte Pinakothek) 3 (クラナッハ、ティツィアーノ)

リンク ​ ナチスのアートディーラー、ヒルデブラント・グルリットのコレクション






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Last updated  2022年01月08日 03時11分11秒
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