わたしのこだわりブログ(仮)

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2016年01月13日
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ミュンヘン・シリーズのBack numberをラストに入れました。


レジデンツに入って最初に見学する宝物館には多数の値段の付けられない宝物が展示されていました。
しかしレジデンツはただ展示しているだけで他の美術館のように展示品についての解説はほとんどありません。
音声ガイドはあるのですが、日本語は無い。そんなわけでお宝についての来歴が今回ほとんど解からなかったのでご了承ください しょんぼり

ミュンヘン(München) 11 (レジデンツ博物館 4 宝物館の宝冠)

レジデンツ博物館(Residenzmuseum)
レジデンツ宝物館(Schatzkammer)
宝冠と紋章

以前紹介したハプスブルグ家のお宝の所でもそうであったが、宝物館はそれ自体が巨大な金庫の中にある。
pict-レジデンツ 66.jpg

宝冠と紋章
冠(かんむり)の事初めはヘレニズム時代に遡る そうだ。
街を守護する女神が頭にその街を乗せている。街 があたかも城壁のようになり女神の冠のように見えた。
そうした 城壁形状の冠は「城壁冠」 ミューラル・クラウン(mural crown) と呼ばれるようになる

この城壁冠が根付いたのは実は古代ローマの時代らしい。
古代ローマでは 、軍功をあげたものにはたくさんの褒美がとらされていたと言う。土地などもその一つであるが、砦の陥落など一番に乗り込み陥落に貢献した者には、その 褒美として陥落した都市の城壁の付いた冠が授与されたらしい のだ。
※ 後世、勲章(くんしょう)と言うものが出てくるが、その先駆けがこうした冠の授与だったのかもしれない。

その 冠は盾(たて)や旗(はた)など彼らの印となる紋章(もんしょう)の中にも刻まれて行く
日本と異なり西洋の紋章は軍功など栄誉が与えられる毎に柄が加えられて行くので家紋の絵柄は複雑になって行くのである。
※ 中世にそうした紋章を研究する紋章学なる学問も出ている。

冠の形状に戻るが、その形は割とリアルに、城壁のみならず、歩哨櫓(ほしょうやぐら)が付いていればそのように作られ城壁冠は進化したようだ。
※ 中世になるとその歩哨櫓は建築学の向上により形が変化。城壁より少しせり出した塔のようなタレット(Turret)と呼ばれる歩哨台となる。チェスで言うルーク (Rook)のコマがまさにタレット(Turret)の形である。

城壁にタレットがたくさん付いている城ほど規模は大きくなるわけで、冠に付いたタレットの数でも価値が違ってくる のである。

下の王冠に付いたタレット(Turret)は街の紋章として実際に使用されていたカタルーニャのものである。
ウイキペディアでパブリックドメインになっていたのを一部借りてきました。
pict-カタルーニャ城壁冠 1.jpg
上 左からVillage(村)  Town(街)    City(都市)
下 左からRegion(地方) Province(州)  Generic mural(共通の冠?)
pict-カタルーニャ城壁冠 2.jpg
おとぎ話で見る王様や王子の被ったギザギサ冠はこうしたタレットや城の塔から誕生していたようだ ぽっ

中世以降はこうした冠の形状で冠のランクもでき、かつ爵位などによる冠の振り分けがされたようです。

下のサークレット(circlet)タイプの冠の来歴は全く判らないが、ロンバルディアの鉄王冠に似ているので割と初期のものかもしれない。
pict-レジデンツ 55.jpg
宝石の付け方などから見るとイスラム的な気がする。
金は柔らかいのでその変形を防ぐ為? 同じ形状をしているロンバルディアの鉄王冠は内側が鉄輪で留められているそうだ。しかもその鉄がロンギヌスの槍を溶かしたものだと言うからビックリである。

神聖ローマ皇帝ハインリッヒ2世(Heinrich II)(973年~1024年)の王冠らしい
pict-レジデンツ 57.jpg
形はこれぞミューラル・クラウン(mural crown)「城壁冠」なのだろう。
宝石に関してはヒビがいっていたりとかなり粗悪であるが、当時は色石だけで貴重品だったのだろう。

pict-レジデンツ 59.jpg
これも確証は無いが十字の形状から神聖ローマ帝国の王冠として使用された可能性がある?
実際あちこちに小さな穴が無数に空いており、そこに宝石がつなぎ止められていたように見える。

コロネット (coronet)
pict-レジデンツ 56.jpg
いつの物か判らないので何とも言えないが、形で判断すれば確かにコロネット (coronet)タイプである。
それこそタレットの変形版かイスラムの城の歩哨のイメージかもしれない。
イギリスで言えばは侯爵クラスのコロネットのようだ。

英国女王の王冠??
pict-レジデンツ 58.jpg
Um 1370~80

貴族の紋章となった 王冠は戴冠式など正式なセレモニーの時に着用 したそうだ。
その時はアーチが付き、ビロードの布などで帽子部がつけられていたようだが、 宝石のちりばめられた冠は非常に重い。
通常の公式行事ではシンプルなコロネット型。女性の場合はティアラ型の軽いものが使われていたようだ

それにしても冠としては面白い形をしている。

pict-レジデンツ 60.jpg
奧がアーチの付いた王冠。
pict-レジデンツ 67.jpg
下は女性用?
pict-レジデンツ 61.jpg

1830年頃の「城壁冠」 ミューラル・クラウン(mural crown)?
pict-レジデンツ 68.jpg


真珠のはめ込まれた聖書?
pict-レジデンツ 62.jpg
神聖ローマ皇帝ハインリッヒ2世(Heinrich II)のものらしく1014年~1024年頃のもの。

ギーセラの十字(Giselakreuz)
pict-レジデンツ 64.jpg
高さ44.5cmと幅32cm
バイエルン公ハインリッヒ2世(Heinrich II)の妻
神聖ローマ皇帝ハインリッヒ2世(Heinrich II)の母ギーセラの十字架。

※ バイエルンのギーセラ(Gisela von Bayern)(985年~1060年)

十字架をはめ込むケースにも宝石。
pict-レジデンツ 63.jpg
十字のくぼみのきわには四福音書記者が描かれている。
中の十字架は不明。

聖母子のイコン?
pict-レジデンツ 65.jpg
宝石のちりばめられたイコンの年代も不明。もしかしたらローマ帝国が分裂する前の物か?

先ほど報奨としての冠の授与・・と言う話をしまたが、後々それは冠ではなく勲章に変わる。
以下に少し勲章をのせました。何の勲章かわかりませんが・・。
pict-レジデンツ 69.jpg
いずれにせよ宝石がはめ込まれた宝飾品です。幾つも作って配るのは無理な一品です。
pict-レジデンツ 70.jpg
上段の金の下がり物は金羊毛騎士に関係しているのかも・・。
いつか金羊毛騎士団についてやりたいなーと思っています。

追記・・・ ​​2018年6月「 金羊毛騎士団と金羊毛勲章​(Toison d'or)​​」を書きました 。​​

pict-レジデンツ 71.jpg

レジデンツまだ居室などが残っていますが次、どーするかなー σ( ̄、 ̄=)ンート・・・

Back number
リンク ​ ミュンヘン(München) 1 (街の起源とノイハウザー通り)
リンク ​ ミュンヘン(München) 2 (ラートハウスとマリエン広場)
リンク ​ ミュンヘン(München) 3 (ラートハウスの仕掛け時計)
リンク ​ ミュンヘン(München) 4 (ラートハウスの塔)
リンク ​ ミュンヘン(München) 5 (ラートハウスのレストラン)
リンク ​ ミュンヘン(München) 6 (ラートハウスの装飾 リンク
リンク ​ ミュンヘン(München) 8 (レジデンツ博物館 1)
リンク ​ ミュンヘン(München) 7 (悪魔の足跡)
リンク ​ ミュンヘン(München) 9​​ (レジデンツ博物館 2 グロッテンホフ)
リンク ​ ミュンヘン(München) 10 (レジデンツ博物館 3 聖遺物箱)
ミュンヘン(München) 11  (レジデンツ博物館 4 宝物館の宝冠)

他関連
リンク ​ アルテ・ピナコテーク(Alte Pinakothek) 1
リンク ​ アルテ・ピナコテーク(Alte Pinakothek) 2 デューラーのサイン
リンク ​ アルテ・ピナコテーク(Alte Pinakothek) 3 (クラナッハ、ティツィアーノ)

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Last updated  2022年01月08日 03時13分06秒
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