家族留学奮闘記

家族留学奮闘記

2023.10.26
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テーマ: 海外生活(7778)
カテゴリ: 留学情報
前回は奨学金の手続きについて一通り流れをご紹介した。後編となる今回の記事では海外大学院の出願についてお話ししたい。海外大学院と言っても大学ごとに出願の時期、提出書類、応募資格は異なるので一概には言えないというのが本音だ。私は米国に限定して出願したので米国の大学院に限定して話を進めたい。

留学生であれば避けて通れないのが英語運用能力を証明する書類の提出である。ETSが行なっているTOEFL、British Councilが実施しているIELTSのスコアを義務付けている大学がほとんどだ。最近ではDuolingoの使用を認める大学も増えてきた。相性の良し悪しがあるので自分の特性を鑑みながら一番スコアが出やすいテストを探して欲しい。何の根拠もなく一つの試験に固執するのが一番よくないパターンだと思う。目的はあくまで大学院に合格することであって、TOEFLやIELTSで高得点を取得することではないのだ。あくまで英語の試験は手段であって目的ではないと私は考えている。私の場合、最初はTOEFLを受けていたが、スピーキングが伸びずノンネイティブの私はどんなに話し方や表現を工夫してもコロンビア大学やハーバード大学が求める25点を越えられなかった。一回の試験に245ドル(10月24日現在36707円)もサラリーマンの懐にはかなり痛手でこのまま受け続けると留学をする前に破産しかねないと思い、すぐにIELTSに切り替えた。IELTSは本家のBritish Councilの他に委託を受けた英検、IDP、JSAF、バークレイハウスといった団体が実施しており実施団体によっても値段が異なる。25380円〜27500円(2023年10月23日現在)で受験が可能だ。円安ドル高の昨今の為替レートではIELTSの方が圧倒的にお得である。スピーキングテストは対面でネイティブ(全員綺麗なブリティッシュアクセント)と行われるのがTOEFLとの大きな違いだ。私は対面の方が自然なコミュニケーションが生まれやすくスコアもIELTSの方が出やすかったのでIELTSに切り替えたのは正解だと今でも思っている。しかし、TOEFLのライティングでは27点を出したのにこちらではなかなか7.0に届かなかった。大学院入試でつまずきやすいのはスコアメイキングかもしれない。しかし、大学院に入ってしまえばその後TOEFLやIELTSのスコアで競争することは一切ないのであくまで入試に突破するための試練だと思って取り組んでもらえたらと思う。実際こちらにきてIELTSの勉強はアカデミックライティングのいい練習になったと思う。

スコアメイキングについてはまだまだ書きたいことが沢山あるのだが、他にも出願に必要なことが沢山あるので次に進みたい。

英語の勉強を進みながらやらなければならないことは推薦者の選定である。前回の奨学金でも推薦者の一筆が必要だったが、大学院でも推薦者の推薦状が必要となる。大体大学が求める推薦状の数は平均三通である。奨学金の推薦文をお願いする際にやんわりと大学院出願の際にも推薦文が必要になることをお願いしておくのが得策だと思われる。相手への負担を軽減するためにも自分の長所や研究内容は英文で推薦者に送っておくのがマナーであろう。推薦者も多くの仕事を抱えながら非推薦者のために時間と労力をかけて推薦文を作ってくださるのだ。非推薦者に全てを丸投げするのは御法度だ。実際に推薦者と何度もメールのやり取りをしながら自分の経歴や留学の必要性などを丁寧に説明した覚えがある。決まりはないが推薦文の依頼は少なくとも締め切りの半年前には打診をしておくと相手も心の準備ができると思う。


また、案外大変だったのが成績証明書(大学卒業証明書)の提出だ。アメリカ国外を卒業した学生は成績を認定された第三者機関に提出してGPAを算出してもらわないといけないのだ。これが非常に煩雑であった。なぜならば、私は学部生の頃に1年間海外留学をしており、そこで取得した単位を日本の大学の卒業単位に読み替えていたからだ。第三者機関に成績証明書を送付した後に数値化できない成績がありこのままではGPAが出せないと書類を国際郵便で送ってから二週間後に連絡が届いた。早速留学していた大学に連絡をしたところParchmentというシステムを使えば成績証明書を第三者機関に直接送ってもらえることが判明した。Parchmentでアカウントを作成して必要事項に入力すると日本にいながらアメリカからカナダへの第三者機関へと成績証明書を発送することができた。本当に便利な世の中になったものだとつくづく思うと同時にアメリカはこのような大学と第三者機関の間での連絡システム構築がしっかりしており驚かされる。私はWES(World Education Services)という機関に成績の読み替えを依頼した。成績は4段階中3.81という自分でも信じられない高数値になった。卒業して10年以上が経過するのに自分の成績を見て喜ぶのは何とも不思議な感覚である。就職先が決まっていたためか卒業時は自分の成績を見ても何とも思わなかった気がする。大学4年間サボらずに授業を出席し続けた当時の自分に感謝した。WESは読み替えを完了すると"Evaluation Completed"というメッセージと共に各大学に成績(大学卒業証明書)を電子送付してくれる。ここで気をつけなければならないのは成績証明書(大学卒業証明書)の原本データも卒業した日本の大学から各出願先の大学に送らなければならないということだ。WESから届いた証明書と私が卒業した大学から送られた証明書の2点が揃って初めて証明書が受理されたことになる。日本の大学がParchmentのシステムに加盟していれば送付が圧倒的に楽なのだが、日本の大学はまだParchmentに加盟しておらず別途手続きが必要になった。この辺りのシステムが整理されるともっと日本の学生が海外に進学しやすくなるのではないかと思った。


そして、最後にエッセイである。エッセイは「自分の思いを大学に伝えるラブレター」である。なぜあなたが大学院に行く必要があるのか、行くことでどのようなメリットがあなた、そして大学にあるのか丁寧に書いてほしい。私はエッセイに一切お金をかけなかったが、添削サービスはいくらでもあるのでそちらを利用するのも一つの手なのかもしれない。ただ、添削サービスを使っても落ちる時は落ちるので最終的には自分の責任でエッセイを提出することを忘れないでほしい。自慢をするわけでもなく、卑下するわけでもなくあくまで等身大の自分を描く必要があると感じている。自慢話ばっかりラブレターに書いても相手は引いてしまうだろうし、謙虚すぎてもあなたの魅力は十分伝わらないと思う。限られた文字数で自分のエッセンスを引き出してもらいたい。大体米国の出願は12月〜1月に向けて大詰めを迎える。師走の時期は仕事が立て込んでいて全くエッセイの校正に時間を割く余裕がなかった。年末年始の休業に入ってから突貫工事で一気にエッセイを仕上げた。クリスマス・お正月はお祝いムードはゼロで受験生のごとくとにかく机に向かった。子供が寝かしつけた後に再び起きて作業をするのは正直辛かった。仕事の疲れと睡魔に襲われながら暖かい布団を抜け出さなければならないのだ。このままぬくぬく心地よく朝を迎えられたらどんなに幸せだろう何度願ったかわからない。冷え切った自分の部屋で毛布に包みながら必死に書いては消して、書いては消して、また書いてという作業をただただ繰り返していた。パソコンを開いたまま寝落ちしていたこともあった。それほどエッセイの作成は壮絶だった。きっとタイムマネージメントが上手な人はこんな状態には陥らないのだろうが、仕事と育児をしながら出願準備をしているとどうしても目の前のことが優先になってしまい顕在化しにくい大学院入試の準備が後回しになってしまった。自戒の念も込めてここに反省点を書き残しておく。

本当はエッセイのコツや英語の勉強方法についても触れたかったのだが、今回は手続きにフォーカスしてお話しした。最後に時系列で流れを整理したい。

2020年:英語の勉強開始
2021年:TOEFL受験、IELTSに切り替える。IELTS対策本を買い漁る。
2022年:推薦文の依頼とご挨拶、TOEFL受験
2022年夏以降:エッセイ着手、CV(履歴書)作成開始
2022年11月頃:WESにGPA算出依頼、大学の成績証明書と卒業証明書発行、IELTS受験ラッシュ
2022年12月:銀行の残高証明書発行、エッセイ最終校正、
2023年1月:ビデオエッセイ提出、出願締め切り
2023年2月〜3月:合格発表


結果発表から出国までの流れを「番外編」でご紹介することとする。

追伸、
ブログ開設から二ヶ月か経過しようとしているが、そろそろカウンターが5,000を越えようとしている。仕事、育児、学業で忙しい中、電車内や隙間時間に読んでくれている読者に深く感謝申し上げたい。
この留学紀がインターネット上の共有知となってスクリーンの向こうにいる未知数の読者の今後に役立ったら嬉しい限りだ。

きたろう





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最終更新日  2024.01.16 05:17:03
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Re:仕事・育児しながら海外大学院に出願するということ(大学院出願編)(10/26)  
ひびまま さん
WESのサービス関連で検索しておりましたらブログに辿り着きました。ひびままと申します。当方も幼子抱えて大学院留学を夢見ておりますので他のブログ記事も楽しんで読ませていただいております。

ここで2点質問なのですが、当方も学部時代に海外大学にて単位を取得し日本の大学で単位変換をしてもらっている経験がありまして英文成績表を取り寄せたところ、T:Transfer of Creditと表記されておりました。 きたろうさんも同様の表記でWESより問い合わせがあったのでしょうか?

また最終この留学先での単位(Grade不可分)はどのようにWES上で評価されたのかも教えていただければと思います。

もし他記事にありましたら参照いただけましたら幸いです。
よろしくお願い申し上げます。 (2023.12.22 23:25:00)

Re[1]:仕事・育児しながら海外大学院に出願するということ(大学院出願編)(10/26)  
ひびままさんへ

WESからは以下の通りメールがございました。
“The document received only contains a partial record of study completed. WES requires all study that led to your final qualification. We are missing information transfer from previous study.”
私の場合、学部生の頃に交換留学生として1年間ほど留学しておりその成績証明書が欠落していたため上記の問い合わせがWESから届きました。急いで留学先に問い合わせて成績証明書を発行してもらいました。私はあちらで正規授業を受講していたため受講した科目の成績とGPAが記載されたものになります。

私が交換留学生として留学していた頃の成績をどうレポートに反映されているのかは私も把握できておりません。WESのアプリで証明書を確認したところ”Part of the program was completed at XX university”と但書があって単位交換した科目は”Transfered Credits”と記載されていました。もしかしたらGPAに反映されていないかもしれません。

明確な回答ができず申し訳ございません。記事をお読みいただきありがとうございます。少しでもご参考になれば幸いです。 (2023.12.24 16:28:53)

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