ここまで「仕事・育児しながら海外大学院に出願するということ」と題してシリーズで海外大学院の出願手続きについてご紹介してきた。今回は番外編として出願が終了してから出国するまでの手続きについてご紹介したい。大学院の出願は大体12月〜1月にかけてピークを迎える。昨年の年末年始は出願の記憶以外ほとんどない。実家に帰って新年の挨拶を交わしたが、常にエッセイの題材が脳内を去来していた。出願が完了すると"Thank you for submitting your applications!"と画面に表示される。あれだけ時間を費やして死に物狂いでやってきたのに、何とも呆気ない幕切れである。提出した後に何度もポータルサイトを訪れ書類の漏れがないか確認をした。 1月以降先方からも何の音沙汰もなく空白の時間だけが流れていった。3月を過ぎてから何の前触れもなく"Your Decision Now Available"と書かれた件名のメールが続々と届き始める。家族と共にポータルサイトにある通知を開くと"Congratulations!"で始まる文面が目に飛び込んできた。年甲斐にもなく大声を出しながら思い切りガッツポーズをしてしまった。2020年から3年かけて積み重ねてきた努力が報われた瞬間である。追い求め探し続けてきた最後のパズルのピースが見つかってすっぽりとはまった瞬間であった。2020年はピースはバラバラだし、そもそも完成させるためのピースが揃っているのかもわからないい状態だった。そして最大の問題は完成図がどのような光景なのかすらわからない状態からピースを繋ぎ合わせなくてはならなった。最後のピースが揃った時に今までの霧が一気に晴れていくようであった。 結局6校に出願して5校から合格をいただくことができた。さらに朗報はそこで終わらなかった。合格だけでなく15,000ドル〜30,000ドルの奨学金を大学から出してもらえることが判明したのだ。これは出願時には全く想定していなかったことで完全に嬉しい誤算であった。ドル建て奨学金の最大のメリットは為替レートの影響を受けないことだ。円建てでの奨学金では為替レートの影響をダイレクトに受けてしまう。2023年10月31日現在為替レートは151円となっており、米国内の物価高と相まって日本人留学生を取り巻く環境は非常に厳しい。私が今アメリカの地で研究に励むことできているのは決して私に経済力があるわけではなく、ドル建てでの奨学金があるからである。誤解を避けるために申し上げると、ドル建てでの奨学金をうまく組み合わせてもこちらでの生活は決して楽ではない。こちらでの学費と生活費を全て現在のドル円レートで換算したら想像を絶する。厳密な計算はしていないがきっと年間1000万円は超えてしまうだろう。日本国内の私立文系の大学であれば4年間の学費を払えてしまうかもしれない。大学のランキングはさておき値段だけで判断したら日本の大学に通うメリットは大きいように思える。特に国内の大学の学費を支払って海外の提携校と交換留学ができる制度があればその制度を利用した留学を強くお勧めしたい。為替レートで考えれば日本の大学の学費の方が圧倒的に安く、費用に対して得られる効果が大きいだろう。