メートル・ド・テル徒然草
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先日の全日本メートル・ド・テル連盟の第70回レストランサービスセミナー、桧山会長による座学のテーマは「富裕層」。2020年に開催される東京オリンピックを踏まえ、また、国内のサービス産業への取り組みの転換が図られる中、世界のあちこちからも観光・サービスを求めて「富裕層」が来日しています。富裕層の定義については様々ありますが、とにかくお金持ちで単に物財だけでなく、サービスや体験などに「時間」という財産を消費できる人と捉えられます。だから、いくらお金持ちでも仕事に忙殺されて、遊べる時間がない方は、申し訳ないけれど「富裕層」の顧客たりえないと私は考えます。この富裕層と言われる方々は、情報の収集に長けていることが特徴です。結構お歳を召していらっしゃるなぁ、と傍目に見えても、インターネットなんかサクサク使いこなしていらっしゃいます。最近、ニュースでもありました。中国からの観光客相手に電化製品を割高販売したものの、すぐに情報が広がって「日本でぼったくりされた。」との悪い印象を持たれてしまった、日本としては恥ずかしいことです。富裕層だから、1,000円が2,000円でも気にしないだろう、では通りません。そこに価値の無いものに、対価を払う用意が無いのです。一方、「価値」がありそうだと思った商品に関してこそ、金額の大小は問題では無く、そのものの価値を手に入れることが喜びへと繋がります。プライベートジェットを購入する大富豪は、ファーストクラスであっても一般の飛行機よりも快適だといいます。通関の待ち時間、列に並ぶ「時間」の対価が自家用ジェット機で得られるからです。豪勢な家が、何軒も建てられるほどニューヨークの高級ホテルのスイートルームに滞在し続ける大富豪も存在します。そこには、一軒家では得られない「安全」が有ると思われるからです。富裕層だから、パソコンなんか当然持ってて、世界中の情報を瞬く間に集められる。お歳を召した方に見えても、侮れないことは確かです。しかしながら、この富裕層へのアプローチという観点から視点を変えてみると、「富裕層だから、コンピューターも駆使できる。」ではなくて、「富裕層こそが高額かつ目新しい商品の普及に寄与してきた。」と言えるのです。歴史を遡って見てみると、自動車がそうだったかも知れません。近代ではパーソナルコンピューターでしょう。私たちが携わる「フランス料理」にも共通するもの、それは「新しい見たこともないもの」そして当初は「とても高額な商品」であるということです。目新しくて、高額な商品もいずれその価値が多くの人々にその価値が認知されれば、普及し量産化されます。パーソナルコンピューターと、「日本におけるフランス料理」も同じプロセスを辿ってきました。先ず、得体の知れない「新しいもの」にその価値を認めるのは他でもない、開発者本人です。パソコンでは、コンピューターオタクでした。フランス料理ではマニア、グルメと同業者です。オタクやマニアは、自身の収入如何に関わらず、この価値には「時間」とそして「金」は惜しみません。なぜなら、そこに情熱があるからです。マッチの先のような情熱の炎でさえ、富裕層が「なんだか価値がありそうだ。」と目をつければ炎は一気に燃え広がります。これが第2段階です。お金持ちは、なんだか新しいものが世に出てきたとなれば、それがいくらであっても構わないのです。フランス料理も、昭和40年代、東京オリンピック、大阪万博と日本が世界に目を向けたときに、値段はいくらでも構わない富裕層の存在があって黎明期を迎えました。パソコンは、今よりとんでもなく性能が悪くて、とんでもなく高価であったものが「なんだか面白そう」という「価値」を見出せた人々によって、加速し始めたのです。後に、富裕層の社会へのフィードバックがあってこそ、フランス料理のキャビア、フォアグラという商材は既に耳慣れたものになりました。全世界の大衆に普及したウィンドウゥズやIPhoneが産まれたのは、今高齢者に見える方々がパソコンをいじり出した後の発明品であるかも知れません。ここに「富裕層へのアプローチ」へのヒントがあります。富裕層が求めるもの。それは既に「お金で換算できるもの」ではありません。それは、「時間」であったり、「体験」「癒し」「安全」「快適」など。過去はともかく、将来においてはそれは「サービスの付加価値」です。まだ誰も見たことの無い価値、それはサービスオタクの情熱によって世に産まれて来るものかも知れません。
Nov 12, 2016
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