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さて株式投資本のオールタイムベスト14位は、「金持ち本」の元祖として知られベストセラーとなった、となりの億万長者(トマス・J・スタンリー&ウィリアム・D・ダンコ著、早川書房)です。この本は正確には株式投資の本ではないのですが、私のここまでの投資家としての人生を俯瞰した時に「与えてくれたプラスの影響」が極めて大きく、この本を読んでいなければ恐らく現在の資産額が大幅に少なかっただろうと考えられることから、感謝と敬意を捧げてベスト20入りとしました。また個人的な経験を別にしても、この本の「メッセージの真っ直ぐさと分かりやすさ」には読者の心を射抜くものがあり、その観点からもベスト20入賞は必然と判断しています。
この本のエッセンスは単純で、
「現実のお金持ちは無駄な見栄を張ることにお金をかけずに、嫉妬を買わないように質素に暮らしているんだよ。」
ということだけなのですが、この本を投資家1年生の頃に読めたことは私にとって大きな財産となりました。
というのは、若い頃(今でもなのですが)の私は車が大好きで、元々株式投資を始めた頃にも心の中のどこかには「株で大儲けして珍しい色のポルシェ911を買ってブイブイ言わすぞ。」というものがあったのです。ところがこの本の第4章の「車であなたの価値が決まるわけではない」を読んで、平均的な億万長者は一番高い車でも29000ドルしか使わないこと、国産車を買う傾向が強いこと、ステイタスや世間体なんかを気にしないこと、中古車を買う人も多いこと、そして何よりも 高級輸入車を乗り回す人の3分の2は実は億万長者ではない ことなどを知り、「あぁ、そうか、俺も億万長者になりたかったらポルシェは我慢しないといけないんだな。」と自然と学んだのです。
そしてその後もスタンリー先生の教えを忠実に守り続けており、今に至るまで一度も新車を買ったことも車に300万円以上を使ったこともありません。この抑制的な消費行動が、私が自分が思っていたよりも驚くほど早期に億り人の壁を破ることが出来た直接の原動力となったのです。
ところでこの本に対しては、「彼らのサンプルには2重に生存バイアスがかかっている。人をものすごく間違った方向(それも笑える方向)へ導く。」とする痛烈な批判があります。それは歴史的名著で、私の株式投資本オールタイムベスト10位の傑作書籍である、 まぐ れ(ナシーム・ニコラス・タレブ著、ダイヤモンド社) の中でわざわざ1章を割いて展開されているものですが、
IQが振り切れるほどに高く同時に並ぶものがない程の皮肉屋のタレブが、わざわざ章立てしてまでも攻撃しなければならないほどにこの本がたまらなく魅力的である という逆説的な証明になっていると思います。
私は この「となりの億万長者」は時を越える名著として間違いない太鼓判書籍である と考えています。金持ち本の始祖として有名な本に、バビロンの大富豪(ジョージ・S・クレイソン著、グスコー出版)がありますが、
このとなりの億万長者は言うなれば、「現代のバビロンの大富豪」 なのです。スタイリッシュにそして親切丁寧に現代的に洗練され、より具体的で心に響く新バージョンなんですね。これからも常に本棚の手に届くところにおいて愛でていくつもりです。
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