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もう今から一ヶ月半以上前にニュープリントで観たこの映画について一応書いておこう。日本未公開らしくて邦題が分からないけど、原題を直訳すると『女の匂い』にでもなるのだろうか??(ちなみにアル・パチーノ主演の『セント・オブ・ウーマン』はこの映画のリメイク。)主人公は盲目の元・大尉(?)ファウスト(ヴリットリオ・ガスマンが好演)。年のころは50前後(?)。映画はファウストがナポリの友人に会う為、ジョバンニ(アレッサンドロ・モモ)という若い兵士に付き添われて列車の旅を始めるいきさつからスタートする。目が見えない、というのは実生活においてかなりのハンディキャップになるはずだ。だからこそファウストのこの旅行にもジョバンニがついてくるのだけど・・・ファウストのなんとまぁ、ジョバンニに威張り散らすこと。独特の持論をいかにもイタリア映画の登場人物らしく早口でまくし立てながら、ナポリまで行く途中で通過する街を堂々と闊歩する。特に女に対しては相当の自信があるらしく、匂いで相手の容貌を想像できるとまで言い切る様はなんとも面白い。そして実際、彼が女にモテてしまうのはもっと面白い。悲しい事だけど、私が想像するに身体的なハンディを背負っている人は恋愛に消極的だったり、実際に不利だったりする傾向があるんじゃないかと思う。なのにこの映画では一見自信満々に振舞うファウストは女性達に人気で、しかもそれに何とも言えず説得力があるのが爽快ですらあった。どうして説得力があるかと言うと、だって・・・こんなにもいつもいつも堂々とした態度の中年を過ぎた男を目にしたら、数多くの女の脳裏に「ステキだな」という気持ちがよぎってもおかしくないからだ。私の知り合いにも、実はファウストと少し似ている人が居る。(幸いな事に視力には問題がないけど体が弱っていて闘病中。)年齢とか外見の雰囲気とかちょっとした話し方に、ファウストとの共通点がある彼。私は初めて彼に会った時からいいな~と思っているので、ファウストが女性にチヤホヤされているこの映画はどちらかと言えば非現実的なんだけど、私にとっては妙にリアリティーがあって観やすかった。しかも私の周りの女性にはこの知人のカッコよさが伝わりにくいみたいで残念に思っていたので(常に若い男の子の方が人気あるのね・・・。私は別にオジサン好みのつもりはないけど、歳を重ねた男性の渋さもいいと思う。)、この感情を作中の女性達と分かち合っている気分になれたのは楽しかった。映画の途中から登場する、若くて美しいサラ(アゴスティーナ・ベリ)。この少女の魅力と純粋さ(または思い込みの激しさ)には人間そうそう抗えないはずだ・・・。映画の終わり方は私が想像していたのとは真反対でいい具合にかつがれたのが何とも憎たらしくも嬉しくて愛しい、76年にセザール賞(外国映画部門)を受賞したのも納得の作品でした。サラが出てくるまでは特別に美しい登場人物もいなかったし、あちこちの街の風景(なんとローマも!)はキレイなんだかそうでないのか分からないぐらい雑多な一面が映し出されていたけれど、それすらも絵になるイタリアにいっそう魅惑されたのも、この作品の余韻をよりいいものにしたのだと思う。この作品はストーリーも(個人的に?)興味深かったけれど、「見せる映画」でもあるのね、ふむ。ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。
2008.11.04
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映画の感想というよりも、ある憂鬱な人間のひとり言日記です。(たまにはいいよね。あ、ネタバレします。)なんだか憂鬱な日曜。別に主人が居ないからじゃない。そんなの慣れたし。最近、何にも熱中していない自分に気づいてしまった。(実は長い間そうなんだけど・・・。)しかもやらなくてはいけない事がたくさん溜まっていて「誰かに会おうかな」とか「映画を観ようかな」と思っても「いや、あれとこれをやらなきゃだから」とつい、1人で家に残ってしまう。時間があっても雑用はいつも後回しにしているのだから、どうせ何も片付けやしないのに・・・。平日は時間が短いながらも会社があったりで忘れているけれど、人に会う心の余裕すらない週末を迎えると急に落ち込んだ。この日こそ色々片付けるべく頑張らないといけないんだと思ったけど「もういい!」と家を飛び出て向かったのは某名画座。気持ちが沈んでいるならいっその事陰鬱な映画を観てやれとばかりに、『ベニスに死す』を選んだ。(以前大学で、あのとんでもないラストシーンを観た事があったので・・・。)映画館はパリでのリバイバル上映の割に混んでいて半分以上の席が埋まっているのにびっくりした。私はうっかり室内用眼鏡で来てしまったのだけど、こういう時に限って字幕の字体が小さくて読みづらい。しかも、文字が常に真っ白なので背景も白い時なんて全くもって読めない。(字幕が出る度に心の中で「そこの色つきの服を着た登場人物よ、どうか手前までやってきて!!」と祈っている状態・・・。)その上、どういう訳か上映中に映画館のスタッフが何度も出入りしたので最後列に居た私の集中力はたびたび途切れ、最初のうちはもう帰ってやろうかとすら思っていた。でも憂鬱な日に陰鬱な映画を観て途中退室したら哀しすぎな週末になりそうだったので我慢して観続ける。最後10分のところでフィルムが途切れて室内に明かりがつき、その隙に私の近くまで移動してきた見知らぬ男はピーピーと音を立てながら鼻呼吸をし続けるという最後の最後まで悲惨な状況の中での鑑賞だったけど、ただでさえ少ない台詞も字幕のせいでよく分からなかったというのに、それでもあっと言う間に終わってしまった映画だった。ダーク・ボガード演じたアッシェンバッハは静養に来たはずのヴェネチアで自分よりも数回り以上若い少年に恋してその地を離れられなくなり、無残な姿で死んでしまう。映画が進むにつれて疫病と恋の病にやられた彼の姿はやつれ出し途中ではカムフラージュのためなのか何なのか化粧までされて滑稽極まりないんだけど、人生の最期になって何かに夢中になれた彼がこの日の私には羨ましく思われた。人間は年取ると赤ん坊に戻ると聞いた事があるけれど、タジオ(ビョルン・アンドレセン)を前に初恋の様にとまどうアッシェンバッハは死を目前に少年に戻っていたのかな。ランキングに参加しています。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。数年前にパリのフォーラム・デ・アルで観た柳町光男の『カミュなんて知らない』が結構好きだったんだけど、先に『ベニスに死す』を観ておけば本田博太郎演じる教授と黒木メイサの関係がもっと面白く見られたのに、と映画の途中で何度か悔やみました。本来は反対の方向から観るべきなんだろうけど・・・。
2008.09.07
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高校生の時からその題名と、アナ・トレントという愛らしい子役が主演しているという事だけ知っていた「ミツバチのささやき」(ビクトル・エリセ、1972年)がリバイバル上映されているので観て来ました。ー映画の概要ー映画「フランケン・シュタイン」を観た、スペインのカスティーリヤに住むアナと、そのお姉さんのイザベル(イザベル・テリェリア)。フランケンに会いたいという気持ちでいっぱいになるアナと、彼女に刺激されるかの様でありながら行動を異にしていくイザベルの日常が美しく、また時に幻想的な映像で綴られます。この作品は現実と夢想の世界の区別のつかない子供時代独自の感覚を描いているという事で高評価を博していると思うのですが(個人的にはあまり興味のないテーマだったりする・・)、ストーリーがはっきりしておらず、とにかくゆっくりペースで進んでいくので個人的には物足りなく感じました。去年観た、同じくアナ・トレント主演の「カラスの飼育」(カルロス・サウラ、1975年)の方が、子供の生活(無垢さ&残酷さ)を描きつつも緊張感に溢れるシナリオがしっかりしていたので好みです。「ミツバチのささやき」に話を戻しますが・・・作中で蜜蜂の研究をしているアナの父親が日記に書いている事が理解しきれなかったり、アナのお母さんの書いている手紙が一体誰宛てなのかさっぱり分からないままに映画が終わってしまったのですっきりせず、さきほどCinemaScapeでこの作品を好む人達のレビューを幾つか読んできました。なるほど・・・私の様に細かいディテール全てへの明確な答を期待せず、自分なりに感じ取ったものを繋いでいきながら鑑賞すべき作品なのですね。そう考えた時、マルグリット・デュラスの小説(「モデラート・カンタービレ」など)を思い出すのは私だけでしょうか?どちらも私にとっては自力で味わうのが難しく、他人の解釈を聞いてようやくその楽しみが分かる様なところが似ているのですが。解説を幾つか読んだ今、この「ミツバチのささやき」をもう一度観たならもっと味わえるのかもしれませんが・・・それこそ学生時代のレポートの主題として取り上げていたなら、さぞ甲斐のある対象だったのかもしれませんが、初見の今回はよく分からないところやその結果のしこりも残ったまま終わってしまったというのが、正直な感想です。映画分析も好きですが、ふだん観る映画は、ある程度分かりやすいものがいいなぁと思っているもので。あくまで好みの問題なんでしょうが・・・ね。投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。人気ブログランキングへ
2008.03.08
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新年に入ってから映画を観ていなかった私は、「今年の初映画は何かな?」とずっと楽しみにしていました。それが急にノルマンディーに帰省する事が決まり、その後これまた急に義母が緊急入院する事になったので意外や意外、今年の初映画はテレビ放映された聞いた事もない作品になってしまいました。ウルフ・リラ監督の「未知空間の恐怖/光る目」(1960)です。主人と、実家の居間のテレビの前に座っていたら「Cinéma de minuit(=真夜中の映画館)」が始まりました。この番組は日本でいう「日曜洋画劇場」の様な感じで、毎週日曜に何かしらの映画を紹介してくれるのです。ただ「日曜洋画劇場」と少し違うのは放送時間が遅く、また、クラシックになりつつある少し古い作品ばかりを吹き替え版なしの字幕版のみで取り上げている事でしょうか。映画が始まったので予備知識もないままなんとなく観出したら、冒頭の村人全員&動物全てが意識を失っているという、なんとなく筒井康隆の初期短編を思わせる展開に引き込まれました。その後はジョージ・サンダースとバーバラ・シェリーの仲睦まじい夫婦を微笑ましく思いつつ観ていたのに、途中からSF風味の入った映画だと気づいてびっくりしたり、映画の終わり方が予想外だったりで、見応えを感じました。美しい白黒の画面に光る子供達の目が印象的で・・・カラーでリメイクもされた様ですが、こちらはどうなのでしょうね。調べてみたらリメイク版ではラストが違うそうなので気になります。(このポスター、見た事あるなぁ。)SF系の映画はややこしいというイメージがあって滅多に見ないのですが、この作品では「謎」は謎のまま解かれずに終わってしまうので(一応「推測」はされますが)逆に分かりやすかったし、私があまり好んでいない特撮も控えめで(いかにも「宇宙人」の格好をした生物などは一切出てこないし)見やすかったです。新年初映画にふさわしいかどうかと考えると答えは「ノー」ですが、先入観なしにこの作品と出会えたのはとてもラッキーでした。また、この映画を観たのは義母が緊急入院してから48時間経ったあと。義母の様態が少し落ち着いてきて、ようやく皆がほっとしだしたところでした。この映画にはかなりハラハラドキドキさせられるのですが、おかげで目の前にある心配な事態を一時忘れる事が出来てストレス解消になりました。「いや~、映画って、本当に素晴らしいですねぇ(だったっけ?)」と、思わず言ってみたくなった参加してみる事にしました。応援クリックしていただけると嬉しいです。人気ブログランキングへ
2008.01.13
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