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2008.05.19
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カテゴリ: Movie
<きのうから続く>

女王
『双頭の鷲』の冒頭、亡き国王の幻影を画中から招き出す孤独な女王。エーデルワイスの形をした髪飾りはあきらかにオーストリア皇妃エリザベート(ルートヴィヒ2世の従姉妹)を思わせる。そして、エドヴィージュ・フィエールのウエストも実在のエリザベートと張り合えるくらい細い。

夏の嵐ににてます
嵐の夜、銃声と犬の吼え声とともにスタニスラスが窓から現れる。左側のネオゴシック風の衝立が目を惹く。特定の時代を背景としない、さまざまな時代の様式を折衷した女王の城の室内装飾やコスチュームはこの映画の見所でもある。

で、このシーン、どうにもヴィスコンティの『夏の嵐』(1954年)で、疎開先のリヴィアの寝室にフランツが現れるところに似てる、と思うのだ(『夏の嵐』については 2/24のエントリー 参照)。ちなみに『双頭の鷲』のフランスでの封切は1948年9月。まったく同じ年の同じ月にヴィスコンティの『揺れる大地』がイタリアで封切になっている。

さらにいえば、マレーの出世作『悲恋(永劫回帰)』の封切が1943年10月。ヴィスコンティの処女作『郵便配達は2度ベルを鳴らす』の封切が1943年5月。ヴィスコンティはこのころは、ネオ・リアリズモの旗手だった。少なくとも世間ではそう信じていた。コクトーとヴィスコンティ――同時期の作風はこんなに違うのに、『双頭の鷲』から6年後に封切られた『夏の嵐』にコクトー作品とソックリなシーンが出てくるというのが、なんとも言えない。ヴィスコンティ映画におけるコクトーの影響はなにも、これだけではない。『熊座の淡き星影』は『恐るべき子供たち』につながるものがある。

ワイルドなジャン・マレー
女王の部屋に入ってきたときのスタニスラスは、ワイルドで得体の知れない青年。亡き夫にそっくりな彼に、女王は夫の服を与える。

細腰
実在のエリザベートを彷彿とさせる「ぶらさがり健康器(笑)」にぶらさがる女王。その細い細い腰を抱くスタニスラス。

エドヴィージュ・フィエールは、フランス人にとっては「私たちのグレタ・ガルボでもあり、マレーネ・ディートリッヒでもある」存在。ただ、この2人とフィエールが決定的に違うのは、フィエールには本当に貴族階級出身だと思わせるような品位とプライドがあること。そもそもあのウエストの細さは、コルセットを長く常用していたとしか思えない。ガルボにもディートリッヒにも、そしてヴィスコンティの『山猫』に出てきた貴族の淑女役の女優陣にも、あの真に貴族的な細腰は望むべくもなかった。

歩く姿
『双頭の鷲』で際立ったのは、ジャン・マレーの歩く姿の美しさ。背筋はピンと伸び、大またで力強く歩く。そして、やはり思ってしまうのだ。この姿勢の正しさ、緊張感をもった直線的な歩き方はヴィスコンティの『ルートヴィヒ』(1972年)のヘルムート・バーガーに似ていると。バーガーのほうがずっと線が細く、「神経質そう」であることは間違いないとしても。

この作品のほんの半年前に別監督の『ルイ・ブラス』が封切られているが、『ルイ・ブラス』のマレーには、スタニスラスのような堂々と気品に満ちた歩き方はまったくなかった。この差は役の性格もある(『ルイ・ブラス』でのマレーは、メランコリックで繊細な青年と生来のワルの2役だった)が、衣装も関係していると思う。デコラティブな『ルイ・ブラス』の衣装と違い、『双頭の鷲』では、かちっとしたジャケットにストレートレッグのトラウザーで、たくましい身体のラインとプロポーションよさを強調している。無駄な装飾のない、すっきりとしたシルエットが、ジャン・マレーのどこまでも男性的な動作をシャープに引き立てる。

ジャケット短い
よく見ると、ジャケットの丈は相当短め。ヒップラインがかなり見えるのが、さりげなくセクシー。階段を上がるとき、マレーはだいたい片腕を曲げている。このポーズもなんとも上品なのだ。コクトーもよく歩くときはこうして片腕を曲げていたっけ。

ちなみにこの階段は、多少『風と共に去りぬ』が入っているかも。

その『風と共に去りぬ』を生んだアメリカに、コクトーは映画『双頭の鷲』のプロモーションをかねて行っている。

「ぼくたちを運んでいく飛行機から、もう一度別れのハンカチを振ります。ぼくはいつだって君のそばにいます。ジャン」

これはアメリカへ向かう飛行機の中で、コクトーがマレーにあてて書いた手紙。

そして、『双頭の鷲』のプレミアが終わったあとの手紙。

「1948年12月30日 アメリカの人たちは親切にしてくれます。信じがたいほどです。みんな君のことが大好きなようで、ぼくもいろいろと質問を浴びせられます。映画の最後の、君が転落する場面では、大変な喝采が起きました。次の会を待っている観客にも挨拶するよう頼まれましたが、断りました。(中略)朝から晩まで引っ張り回され、ホテルには新聞記者が列をなしています」

「みんな君のことが大好き」というのは、前年、つまり1947年12月に『美女と野獣』がアメリカでも封切られ、ヒットしたためだ。

そして、コクトーはニューヨークで、今はアメリカ人と再婚したかつての恋人ナタリーに会っている(ナタリーについてのエピソードは 4/19のエントリー 参照)。

「一昨日の晩は、マレーネ(=ディートリッヒ)がホテルまで会いに来てくれました。それからナタリーと夕食をとりました。そこへ、ガルボ(=グレタ)がレストランを横切って近づいてきました。とても美しく、若々しくて、はじめは誰だかわかりませんでした。(中略)ぼくのジャノ、力のかぎり君にくちづけます。君が来られなかったのは本当に残念です。君を愛しています。ジャン」(『ジャン・マレーへの手紙』より)

この手の話、コクトーはマレーに全然隠さなかった。そして、マレーに「ぼくは君になにもかも話しているのに、君のほうはあまり話してくれないね」とクレームしている (困ったもんだ・笑)

ちなみに、コクトーは帰国後まもなくハーバード大学から教授職を打診され、辞退している。

<続く>












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最終更新日  2008.05.19 15:29:38


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