原発の設計を担ってきたメーカーの幹部だった宮野は、ベントに関して、事故時の対応を考慮した設計になっていなかったことを問題視した。
「福島第一原発事故の前、日本では『放射性物質をもらしちゃいけない』という考えが基本にあり、事故が起きる、そしてベントをするという考えは優先されていなかった。だから、高い圧力でないと破れない ラプチャーディスク
が設置されていた。そこに問題があった。『事故が起きない』という発想ではなく、『事故が起きたときにどう対応できるか』という発想に設計を変えなければいけない」
ラプチャーディスク
「あえてスプレイを止めて、ラプチャーディスクを壊すために内圧を上げるか、それは基本的に“ない“と思う。要するに、スプレーによって冷却され圧も下がっている。だったら設計上はスプレイを維持する」
ドライウェルスプレイを止める原因の一つとなったラプチャーディスク。
事故後、各地の原発では事故の際のベントを妨げるとして、ラプチャーディスクそのものを撤去した。
ラプチャーディスク、
100%安全と言われた原発ですが、福島の事故によってそうでなかったということが、設計担当者から語られたというのはショックでした。
スプレイを巡る対応で、専門家たちが最も厳しく指摘したのは、 国や東京電力本店による意思決定への介入
だった。
事故の際、 本来は福島第一原発の責任者である吉田所長の判断が尊重され、本店は支援を行うという役割分担になっている。
東京電力の事故調査報告書においても「事故拡大防止に必要な運転上の措置等の実施は、原子力防災管理者である発電所長(今回の事故では吉田所長)に権限があり、本店緊急時対策本部の本部長(社長)は発電所緊急時対策本部への人員や資機材等の支援にあたる。」と記載されている。
しかし、スプレイをめぐるやりとりを見ると、まったくそうなってはいなかった。
テレビ会議のやりとりをみると、東京電力本店の 小森常務
が福島第一原発に対し、「止めた方がいいな」と発言。それに従う形でスプレイを停止している。しかし、東京電力本店の発言の冒頭に「本省(国)」からの意見として伝えられたことにあるように、東京電力と経済産業省や官邸には様々な連絡ルートがあり、また時には官邸にいた 武黒フェロー
や原子力安全委員長だった 班目
氏から吉田所長に直接問い合わせや指示が入ることもあった。
内藤は、本店に国が意見を伝えることで、実質的に“介入”が出来る状態だった原子力事故における体制と権限に問題があったと指摘する。
「東京電力本店が福島第一に対しいろんなこと言った、その背景には、本店の意見を左右した人がいるわけで、その人たちは 事故時の手順書 を知るはずもないし、その人たちに手順書を知っておくべきだって言ったって無理な話です。だからそういう人たちに、指示をしてもいいという権限を与えたらいけない」
福島第一原発では様々な場面で“国”の介入があった。 1
号機で、 菅総理大臣
(当時)が福島第一原子力発電所を訪れ吉田所長に「ベントを急ぐ」よう直接迫った場面、 班目原子力安全委員長
が 2
号機の局面で「ベントより SR
弁を優先すべき」と吉田所長に直接電話で意見を伝えた場面。これまで私たちの取材で検証してきたポイントに加え、今回、また新たな“介入”についての問題が浮かび上がった。
菅、班目、経産省、東電本店、そして事故現場と混乱していました。
それは、当時報道を見ていた私の目からもよくわかりました。
更に、いら立ちを感じたのは、官房長官だった枝野の再三にわたる「当面は安全です。」という会見です。
保安院は、メルトダウンを口にしたスポークスマンを更迭して、のちに不倫問題で世間の耳目を集めた風采の上がらない人物に替え
のらりくらりと情報開示を拒む始末です。
事故の際、本来は福島第一原発の責任者である吉田所長の判断が尊重され、本店は支援を行うという役割分担になっている。
これもどうでしょうか?
福島の事故は、百万分の1の確率のメルトダウンが、同時に3回も起こり、更に使用済み燃料をかかえた4号機も爆発です。
吉田所長が立派な人でも対応には限界があり、代表権はおろか会社役員でもありません。
本来は、代表権のある役員が原発に常駐して、不測の事態に備えるべきではないかと思います。
ここで想定している事故は、軽微なものだったのではないでしょうか。
原発神話のなせる業です。
事故後東電が行ったことは、新潟の事務所を 新潟本社
に、名ばかりの格上げで柏崎原発の所長は従業員のままでした。
度重なる不正や規則違反で規制委員会の運転禁止命令が出て、近年ようやく所長が 常務
となりましたが、それでも不祥事はとまらず
推進派の柏崎市長でさえ怒り、頭を抱える始末です。
日本の原発は 国策民営
といわれ事業は民間会社まかせですが、これだけの大被害が起きる危険性がある事業がそれでいいのかは疑問です。
はっきり言って、危険な原発を動かすメリットはないと思います。
電気は他の方法で作れるし、しかも安いです。
燃料のウランも輸入です。
核のゴミの処分地もいまだ見つかりません。
こんな大事故が起きても、原発反対は3割くらいでしょう。
もう一度深刻な事故が起こらないと、その他の国民は反対に傾かないのでしょうか。
あまりに愚かすぎます。
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