日々草

日々草

2005.02.07
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カテゴリ: 学力について
 現在日本では、私立中学の入試真っ盛り。合格して胸膨らませている小学生も多いことでしょう。

 東京などの大都会では状況が異なると思いますが、地方都市の私立の中学校について私論を述べてみたい。

 公立も中高一貫校を作ろうという動きが最近急である。

 子供の数の著しい減少は、生徒を獲得するための私学の個別化を各学校は打ち出そうと必死である。その個別化の中に、有名大学への進学率を上げる、と言うのがある。もっとも分かりやすく、保護者の関心、希望にかなう教育方針である。

 確かに、私立の教育内容は義務教育の中学においてさえ、カリキュラムに柔軟性や、一貫性があり公立中学よりより確かな学力を身につけることが可能なように見える。教師も子供たちに点数のとれる学力をつけると言う点でとても熱心であるようにも見える。

 しかし、10歳ぐらいから子供たちは受験用の知識の詰め込みを18歳ぐらいまでずっと続けることになる。
 これで本当に大部分の子供たちは学力がつくのだろうか。とりわけ思春期から青年期のもっとも多感な、こころの成長を遂げる時期に中学1年から、ほら英検だ、漢検だ、模試だと休む間なく知識の切り売りをしいられている。
 なぜそんなに成長を急がせなければならないのか。急がせることで大きく伸びる可能性をも摘み取っているように思われてならない。人それぞれの成長のスピードがあるはずだ。それを無視して人は大人になれない。

 子供はスポーツや、さまざまな諸活動で大きく成長する。

 私学のスポーツは全国レベルで活躍するような選手の集団であることが多く、他のごく普通の子どもたちは同じような年齢の子ども達の中で切磋琢磨して、運動能力を磨く機会が極めて少なくなっている。子どもがこころや体を鍛え、社会性を身に付けていく場がとても貧弱と言わざるを得ない。
 スポーツ以外の活動においても、子供の生きていくための能力を伸ばすようなものになっているとは到底思えない。もっとも今の子ども達は面倒な事を嫌うのでこの私学の方針はその子どもたちにはぴったりなのかもしれない。

 物事を、真実を知るということは学びの原点だ。ただやたらに急いで子供を駆り立てても子供はどこかで破綻する。
 その子の資質がどこで開花するかはそんなに単純なことではない。教師は未来に花開くかも知れない大切なつぼみを預かって教育をしていることを肝に銘ずるべきだ。

 中高一貫教育がただ単なる受験の効率化をめざし、子供を評価する尺度が「勉強が出来るか否か」(非常に狭義なテストの点数で)が重要視されているのなら、その中で大人へと成長するためのこころの葛藤や育ちさえ認めない現実が、八方塞がりの中で悩み苦しんでいる中学生や親たちを益々増やすばかりである。






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最終更新日  2005.02.07 15:25:14
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