日々草

日々草

2006.06.20
XML
テーマ: 今が旬の話(408)
通常国会が閉会となり、与党が提出した「教育基本法改正案」は秋の臨時国会への継続審議となった。
教育基本法が変えられてしまったら、日本の教育や子供たちの未来はどうなるか。
そもそも、何故、今、教育基本法を変えなければいけないのか。教育基本法改正問題の本質は何かを3回連載で考えてみたい。


[1] 自民・公明党の「教育基本法改正案」の論拠は何か。

公明党は、教育基本法改正の理由を公明新聞(5月12日)で次のように述べている。

「1947年の施行以来一度も改正さておらず、60年経って、高校や大学などの進学率が飛躍的に上昇、不登校や学級崩壊、児童虐待、ニート、フリーターの増加など青少年を取り巻く社会環境や教育現場が大きく変ったから改正が必要である」

自民党は「自由民主」(2003年2月25日号)で、このように述べている。

「これまで一度も改正されていない。この間、核家族化・少子化の進行など、社会状況は大きく変化し、高校・大学進学率の著しい上昇など、教育のあり方も変容しており、時代に適応しきれていない。」「自分さえよければという自己中心的な子どもが増え、国民での間の自己喪失、モラル低下、青少年による凶悪犯罪の増加、学力の問題も懸念され、教育現場では、いじめ、不登校、学級崩壊など、深刻な危機に直面している」だから法改正が必要である、なのである。

この自民・公明党の改正の論拠は、現代日本をとりまく社会環境の変容により、子供たちの問題は、現在の教育基本法による教育では解決できなくなっている。学校が現行法で運営されることで混乱に直面している。だから法改正が必要である、とまとめていいであろう。

本当にそうであるか。
学校が直面している問題が解決できないのは、現行の教育基本法に問題があるのか。

教育基本法の精神が学校教育の実践のなかで、過去、現在にわたって、本当に実現されてきたであろうか。
ほんとうに実現する為に教師たちは、日夜、苦闘しているだろうか。
その上で、現代の子供たちの問題が発生しているだろうか。

上に見る自民・公明の論拠は、この点から何らの検証もしていない。

ただ、現実の日本の問題状況を羅列して、これは教育基本法に問題があったから、子供たちはこうなっているのですよ、と無知な国民をだます乱暴な論理である。

そして、この詭弁的な論法は多く市民の共感を得ているから恐ろしい。

教育基本法を読んだこともないし、学校でどんな教育がなされているか全く無知な人々の共感を得るに好都合な論法なのである。

現代の学校が教育基本法を真摯に懸命に実践しているなら、子供たちはもう少し知的で倫理性がある子供たちが育っているのではないか。

教師たちが日々教育基本法の精神の実現を目指し、苦闘しているとはとうてい思えない。日々の授業のなかで、生活指導のなかで、部活動のなかで、憲法の精神や、教育基本法の精神を血肉化して、子供たちを育ている、或いは教育実践している教師や親たちが、この今の日本にどれだけいるだろうか。

大人たちの多くは、それと無縁の戦後日本が遮二無二ひた走ってきた消費文化の浪費と退廃のなかにいる。
その影響をもろに受けているのが子供たちだ。
子供たちが人として育たず、さまざまな問題かかえて苦しんでいるのは、教育基本法に基づいて行われている日本の学校に原因があるなどという論理を、教師や親たちは、本当に信じているのだろうか。

日本の戦後の学校の歴史は、どうしたら教育基本法の理念を骨抜きにして空洞化できるかということに明け暮れ、そのために次々に方針を打ち出し、現場を指導監督し、強制してきたのが旧文部省だ。
教育基本法の定める男女が人間らしく豊かに生きていくための教育の実現をなしくずしにし空洞化させてきた現代日本の学校が、今、目の前に存在しているのだ。
その中で育ち、学校教育を受けているのが今の子供たちである。
今の子供たちが自己中心的で堕落しているというのなら、むしろその原因は、教育基本法の実現を阻止し、形骸化してきたことにある。
要するに法改正を実行しようと望んでいる勢力自体の倫理性の退廃や低さが、今の子供たちを作り出している。

彼らの云う法改正とは、自分たちが推し進めた教育基本法の精神を骨抜きにしてきた戦後教育を、合法化するためである。

自民党や財界が、時代の寵児ともてはやし、失意の若者たちの絶大な人気となったホリエモンや村上某は、教育基本法の理念が実現している学校教育が作り出したものか。
断じてそうではない。
教育基本法とは全く反対の思想から生まれた教育、子育ての産物だ。

悲惨な労働条件で非人間的な屈辱を日々味わっていても何とも感じない、ただその瞬間、気楽に楽しく暮らせれば満足する大量の若者を作り出している現在の学校。村的な偏狭と保守のなかで満足している爺クサイ若者を大量に作り出している今の学校。

彼らは、今、社会の底辺で淀み始めている。
このような層が暴走して社会が混乱するのを恐れている人たちがいる。(それぐらいのエネルギーを持って欲しいのだが)

このような人間像は、教育基本法の実現をめざす教育とは『全く無縁』な青年像である。
このような若者は、戦後の文部省が推し進めた「教育基本法」を空洞化する学校から大量に作り出されたものだ。

このような子供たちに困った支配者たちは、お説教で儒教的な道徳を身にまとわせ、自分たちの更に従順なロボットになるような教育をしなければ社会が立ち行かないことを敏感に感じ取っている。
軍隊で鍛えるには軟弱過ぎて使い物にならない。この若者たちの根性を、儒教的なお説教で叩きなおさなければ自分たちの支配が危機的な状態に陥ると感じている人々がいる。

現在、日本が直面している子供たちの育ちの危機は、自民・公明党が述べているような現在ある「教育基本法の改正」によって真に解決できるようなものではない。

このような論理は、真面目に子どものことを考え苦悩して、日々教育や子育てにいそしんでいる人たちならすぐに分かることである。

では、改正の「本当の目的」は何か。以下のように2回に分けて考えてみたい。

次回、[2]教育基本法改正案の前文はどのように変更されているか。
     この改正案の変更点は何を意図しているか。

次々回[3]教育基本法改正案;第1章・第1条の教育の目的の意味するものは何か。

    結論:未来をひらく教育とは。

乞うご期待と言いたいところですが、、、さて。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006.06.20 14:15:36
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

冨士子婆

冨士子婆

バックナンバー

2026.05
2026.04
2026.03
2026.02
2026.01
2025.12
2025.11
2025.10
2025.09
2025.08

コメント新着

背番号のないエース0829 @ 松谷みよ子 「私のアンネ = フランク」に、上記の内…
冨士子婆 @ Re[1]:夜来の雨(03/28) ミーシャ1225さんへ ブログの年齢間違…
冨士子婆 @ Re[1]:夜来の雨(03/28) ミーシャ1225さんへ お久しぶりです。…
ミーシャ1225 @ Re:夜来の雨(03/28) お元気そうでなによりです。 変わりなくお…
背番号のないエース0829 @ 学童疎開 「外間邦子 ~ 対馬丸記念館 ~ カテゴ…
幸達 @ Re:2018年 明けましておめでとうございます(01/02) 今後ともブログでどうぞ宜しく(=^・^=)
修楽7036 @ Re:早春の絵手紙から(孫娘の祝中学入学)(04/07) こんにちは♪  ごぶさたです。 絵手紙 …

お気に入りブログ

源氏物語〔34帖 若菜… New! USM1さん

バラも次々咲きました ミーシャ1225さん

春、安曇野展望 フォト安次郎さん

ピカさんの夢のある… ピカさん65さん
親仁の意見-50男… 渚のバラードさん

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: