秋のサンティアゴ巡礼街道(14)
夏のなごり
巡礼者たちの朝は早い
(スペインは9月はまだ夏時間のため、朝の7時はほの暗い。天体の日の出は1時間マイナス)
朝もやに霞む朝の巡礼街道
秋分も過ぎ
日の出時間も遅くなった巡礼街道。
朝の7時は東の空が朝焼けに染まる時間、
まだ薄暗い早朝の道を
巡礼者たちは今日も急ぐ
そんな巡礼の道に咲く黄色い花
夏の終わりを告げる花
キバナイガヤグルマギク(黄花毬矢車菊)
(Yellow starthistle)
学名:Centaurea solstitialis キク科ヤグルマキク属の越年草の草本。
地中海沿岸地方の荒地に自生。
長い針のある苞葉の明るい黄色の頭状花。
キバナイガヤグルマギクは
学名をCentaurea solstitialis という。
solstitialisは
ラテン語で「夏至の」という意味
6月の終わり、夏至のころに咲き始め
乾いた暑い夏の日照りのなかで、咲き続ける夏の花
乾いた痩せた荒地に強靭に生き続ける雑草
キバナイガヤグルマギク
Centaurea はラテン語で、ギリシャ語では、Kentaureion、
即ち、セントウレアとは
ギリシャ神話に登場する半人半馬の怪物ケンタウロス族のこと
ケンタウロス族は、ギリシャ東部のテッサリアに住み、そのペリオンの谷は
古代ギリシャの最も有名な薬草の産地。
ヤグルマギクは古来、強壮、利尿、発汗、眼炎などの薬に使われた。
セントウレア(Centaurea)に属する植物は
このように古代からヨーロッパの人々の暮らしのなかで
強靭に生き抜いて今日も生き続けている植物。
キバナイガヤグルマギクは
9月の巡礼街道に
鋭いイガを四方に突き出して
暑かった夏のなごりを
その黄金色の花びらに留めて
道行く巡礼者のこころを励まし慰めている。
さらに
明るい黄色に輝く花
セネキオ
(サンテアゴ草を初め、セネキオの仲間を2回取り上げましたが、
この黄色の花をまだ名を特定できていません。乞う情報)
巡礼街道で出合ったセネキオはいつも
枯れた荒地を明るくする
単調な道に倦み疲れている心に体に
華やいだアクセントとなる
その背後には、
可愛らしいマツムシソウが
その淡い紫色の花をわずかに風にそよがせている
そして、
巡礼街道の枯れ草や枝には無数の小さなカタツムリが
夏の終わりをつげて
次の季節の準備をする。
秋分の日の頃のサンテイアゴ巡礼街道は
夏のなごりをそこここに留めて移ろう季節を
静かに呼吸している
《花の名一口メモ》
セントウレア(Centaurea
)
キク科ヤグルマギク属の総称。
北アフリカ、北アジア、ヨーロッパ、北アメリカなどに
500種分布する。
秋の巡礼街道のセントウレアの種は
セントウレア・ソルスティティアリス
(イガヤグルマギクの花と実)
学名:Centaurea solstitialis
英名:Yellow starthistle 和名 : イガヤグルマギク
地中海沿岸に自生する、セントウレアに属する植物である。
学名は「夏至に咲くヤグルマギク」ぐらいの意味か。
このC.solstitialisは、
アメリカ合衆国に牧草の種にまざって入り込み、1800年代に帰化植物として
アメリカの植物系を破壊するほどに侵入した植物になっている。
カリフォルニア西海岸などの地中海性気候と荒れた土壌が合い、
原産地、地中海地方では、環境破壊につながらず良き体系を保っていた種が、
アメリカに帰化するや一挙に繁茂して、環境破壊する有害植物となっている。
セントウレア属の植物は、
人類が利用した記録の残る最も古い花の一つである。
イラク北部の6万年前の旧石器時代の洞窟遺跡からは、
セントウレア属などの花粉が多量に検出された。
これは、死者を埋葬する時、
多量のセントウレアの花を手向けたと考えられている。
エジプトの第18王朝のツタンカーメンの棺にも
セントウレアの花が入れられていた。
ヤグルマギクはヨーロッパでは、麦畑の雑草で、農民に嫌われていたが
17世紀には品種の改良が進み、白、赤、青、紫などの花色があり、現代では
園芸品種として、盛んに栽培されている。
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