日々草

日々草

2008.11.22
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カテゴリ: 学力について

 脆弱な日本語の基礎で、世界に通用する英語を身につけること出来るか。

  このところ日本の首相は、その品性、その教養において、とても日本を代表するにふさわしい人格を備えているとは思えない人が三人続いている。共通するのは、その生まれが育ちが、日本の超上流ということを自慢している階層の人々である。日本の超一流のエリート階級はこのような人格の持ち主しか育ててこれなかったのかと驚いている。

今回の就任して、まだ2ヶ月の麻生太郎首相は、とりわけ大金持ち、素性も日本の超エリート、華麗なる麻生一族である。麻生太郎氏は、漫画愛読者で、それを自慢し、秋葉原のオタク族に人気があることが売り物で登場した。これは、自民党に若者の人気をつなぎとめておく方便、戦術かとはじめは思っていたが、最近の麻生太郎氏の発言を観察していると、戦術ではなく、根っからの漫画族であることをさらけ出している。

 まず語彙の貧困。これは、現代の多数の中高生と全く同じ、瓜二つなのである。

首相は7日の衆院本会議で、自らの歴史認識を問われ、「アジア諸国への侵略を認めた1995年の村山富市首相談話を ふしゅう する」と答弁。 踏襲 (とうしゅう)と言うべきところを ふしゅう と読んだ。
読み違いというより、「 とうしゅう」 という日本語を知らないのではないか。

その他、自分の母校学習院大学で開かれた日中両国の交流事業での挨拶で、首相は、用意した文書に目を落としながら、12月の日中韓首脳会談に触れ、「1年のうちにこれだけ ハンザツ に両首脳が往来したのは過去に例がない」と語った。
この ハンザツ とは 「頻繁(ひんぱん)」 の読み違いなのである。

まあこれは、漢字「頻」が読めなかったのか。

さらに、今年5月の四川大地震に関するくだりでは、「 ミゾユウ の自然災害」と言い、「 ミゾユウ 」とは「 未曾有(みぞう )」のことなのである。

これは「 未曾有 の自然災害」などという時の「 みぞう 」という日本語を知らなかったのだ。

 更に、傑作は、経済の麻生と自らを宣伝誇示しているのに、株式取引の「 前場(ぜんば) 」を「 まえば 」と発音しているのである。真面目に言っているのだからお笑いだ。
さらに、さらに、「詳細」を「ようさい」と読んでいる。
などなど、これが日本を代表する政治家なのとは、情けない。

 中学生と漢字の勉強をしていると、このようなことは日常茶飯におきて、笑えるようなことが多く、子供たちと一緒に大笑いしている。
彼らが読めなかったりするのは、大部分その日本語を知らなく、生まれてはじめて、その「語」に出会ったからである。
たとえば中学生たちは「みぞう」とか「とうしゅう」という言葉は、それまでの人生で使ったり、聞いたりしたことなく、「未曾有」という漢字に出あってはじめて、その「語彙」を獲得するのである。
これが現代の子供たちの「日本語」の現状だ。
中学・高校ぐらいの年代から、本を読まない。読んでもその年齢にふさわしいものはほとんど読んでいない。漫画だけはよく読んでいる。ゲームは猛烈にやっている。
だから、「抽象語」の獲得が極めて貧困なのである。これでは、勉強もできないし、「思考」する頭脳もできない。

それらを行なう道具、「言葉」が無いのだから。 
さらに麻生太郎氏の問題は、話す日本語の文体である。麻生首相の話し言葉の文体は、高校生の書く論述文の文体と同じなのである。例えば、こうだ。

19日の全国知事会議で、医師不足に関して発言したくだり、
 「地方の病院での医師の確保という話だが、自分で病院を経営しているから言うわけじゃないけど大変だ。社会的常識がかけている人がかなり多いんで。とにかくものすごく価値判断がちがうから。そういう確保をどうするかという話を真剣にやらないと。小児科、婦人科が猛烈に問題だ。患者が多いから、急患が多いところは皆、人がいなくなる。だったらその人たちの点数上げたらと、5年ぐらい前、自民党政調会長のときから指摘している。必ずこうなると申しあげて、そのままずっと答が出てこない。医師会も厚生省も。ちょっと正直、これだけ激しくなってくれば、責任はおたくら医者の数を減らせ減らせ、多すぎるといったのはどなたでしたっけ、という話も党として激しく申し上げた記憶があるので、臨床研修医制度の見直しなどに関しては、改めて考えなければならない。医師不足を真摯に受け止めなければならないと思っている。」
 これが一国の首相が全国知事会議という公式の場で発言した日本語なのである。その内容に関しては、世間が騒いでいるので、ここでは問題にしないとして、この文を一つ一つ検討すれば、かなりの分量の論述文ができそうである。
 3行ほどで言える内容をだらだらと思いつくままに、勝手気ままにのべて、論旨が一貫しない。方向が定まらない。
まさにマンガの吹き出しの「ことば」のように、全体の論旨を無視して、次々に支離滅裂に口から出てくるのである。絵があるときは、それでも良いのかもしれないが、政治家が公式の場で論戦する言葉ではとうていない。

語彙も乏しい。成熟した大人の言葉とは到底思えない。
高校生もこのような文章を書くもの多い。大学入試の論述文など、まさにこのレベルのオンパレード。こんなレベルの文章しか書け者を大学に入学させて、大学は大変だなと思っていたけれど、日本の首相がこうなのだから、高校生がこのレベルは上出来というべきかと最近思いはじめている。
麻生首相は、英語が出来ることを自慢しているが、このレベルの日本語しかできない人が、英語などで相手国の首脳と談話や論戦が出来るのだろうか。麻生氏の英語文はどんなものであるか、一度聞いてみたい。見て見たい。
この麻生太郎の日本語の文脈では、英語ではちんぷんかんぷんな意味の通じない英語にしかならないのではないか。英語は日本語に比べても、さらに論理性を要求される。まして、経済や政治を英語で論戦しようとすれば、この麻生太郎の日本語レベルでは、とうてい英語にはならない。
このように日本語力貧困な首相は、「マンガ」だけで育っている世代に、どんな言葉上の問題があるか、それが子供たちの学力にどんな影響を与えているかを生きた鏡として、国民の前にさらけ出しているのである。
現在の日本の首相・麻生太郎のこれが学力の基礎なのである。
このような基礎で、経済や政治などの本が読めるのか疑問だ。





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最終更新日  2008.11.22 17:45:05
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