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 関東はもう梅雨明けじゃないかってぐらい、暑い日が続いています。それでもまだじっとりした湿気もあり、余計に体力を消耗させますね。

 先月ですがコンサートに行ってますので、備忘の意味で記述しておきます。どちらも素晴しい演奏で、大変満足しました。

1.芸大フィル定期・特別演奏会(オール・ラフマニノフ)(上野奏楽堂、6/21)

 ピアノ:江口玲
 指揮:尾高忠明

 パガニーニの主題による変奏曲
 交響曲第2番

 どちらも大好きな曲だけに聞き逃せなかったのですが、仕事先から駆けつけたときにはすでにパガニーニが始まっており、中に入れず。ロビーの大型テレビで鑑賞しました。
 輝くようなピアノの音に加え、尾高さんの表情付けも大げさにならず演奏の品格を見せます。第18変奏のとろけるようなメローディも甘さの中に大人のほろ苦さを感じさせ、芸大の学生オケであることを忘れさせた瞬間でした。
 さて、演奏が終わってアンコールの前に我々「遅刻隊(笑)」はホールの階段まで誘導され、そこでアンコール(ロンドンデリー)を聞いたけど、素晴しいピアノの音にしばし陶然とする。このホールでステージが遠い階段隅でピアニッシモでもはっきり聞こえるなんて驚異的だし、ブリリアントでしかもゴージャスな響きに圧倒されました。

 休憩時間後「遅刻隊」は最前列に行けと言われましたが、たいていの隊員は休憩のどさくさに紛れて後ろの席に移動していきました(笑)。私は芸大の若い女の子を間近で見るのもいいなと、そのままで。
 件のピアノを見ると「STEINWAY」とだけ。普通は「STEINWAY&SONS」なのでもしやと思いプログラムを見返すと、なんとホロビッツ愛奏の「CD75」ではないですか!100年前にニューヨークで生まれた伝説のピアノ。ホロビッツが愛用し、来日の折わざわざ運び込んだ伝説のピアノだったのです。これはパガニーニを生で聞きたかったなあ。

 後半の交響曲は出だしからただならぬ雰囲気、これは前半の手応えにオケがノリにのっている証拠です。いきなりまとめちゃいますが、これは今まで生で聞いた中で最高のラフマニノフでした。尾高さんの音楽にオケ全員がそれぞれに思いを乗せている、とでも言えばいいでしょうか。第3楽章での甘いだけじゃなくどこかせつない思いに目頭が熱くなったし、フィナーレの堂々たる開放感に胸躍らせる、まるで歴史大河ドラマをぶっ通しで見たような重量感を伴う名演でした。(もしCDが出たら絶対買いたい)
 尾高さんもしっかりまとめあげるよりある程度自由を与えたやり方のように見受けられました。この長い曲が短く感じられた集中力もいい。なにより下から見上げた尾高さんが終始笑顔で満足そうに振っておられたのが、何よりもこの演奏の出来を物語っていたと言えましょう。


2.ジャパン・グスタフ・マーラーオーケストラ 第9回演奏会(文京シビックホール、6/24)

 指揮:井上喜惟

 交響曲第9番(マーラー)

 井上さんは同年生まれためか、気になる指揮者です。彼の音楽は独特の癖があるのですが、はまったときは至高のひとときを味わえます。彼はマーラーを熱心に演奏していてこのオーケストラもマーラー演奏のためのアマオケですが、結構優秀です。
 今回のマラ9も期待に違わぬよい演奏でした。第1楽章冒頭からただならぬ感じで名演の予感をさせます。第1主題が全オケ提示される直前の盛り上がり方、タメの深さに圧倒されました。最近はなかなかこういう風にやってくれないんですよね。

 第2、第3楽章は練りこみがイマイチで第1楽章の圧倒的パワーの後で疲れたか、と危惧しましたが、最終楽章冒頭の主題の歌い方の濃さに続き弦楽の分厚さに「やはりマーラーはこうでないとなあ」と妙に納得。

 現れては消える主要主題の交代に過去を思い出しては前に進もうとするマーラーの積極的な生への燃焼を聞き、コーダ直前の爆発と徐々に音が薄くなって消え入るようなラストに精一杯生きたこの偉大な指揮者・作曲家の背中を見た思いがしました。これは決して死の音楽などではなく、生を生ききった人だけが持つ、ある感慨の感情だと思います。
 「感無量」という言葉がぴったりくるでしょうか。開かれた、明るい明日さえ感じさせました。

 素晴しかったのはお客さんもで、ラストの静寂を十分感じ取ってからの拍手の沸き方は滅多にあるものではありません。

 アマオケゆえの傷はもちろんありましたが、たいへんな熱意と情熱で演奏しており、じゅうぶん満足いく演奏会でした。


【送料無料】ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 パガニーニの主題による狂詩曲
大人気ランランのラフマニノフ。何しろめちゃウマ。


【送料無料】ベルティーニ/マーラー:交響曲第9番&第10番
井上さんの師匠ベルティーニの東京都交響楽団とのマラ9。この透明感、希望へとつながるラストは弟子の井上さんにもちゃんと受け継がれているようです。都響もうまい。





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最終更新日  2012年07月16日 17時19分39秒
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