ボクの音盤武者修行

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 久しぶりのブログ更新が訃報から始まるのは気が重いけれど、自分にとってアバドという指揮者がどのような位置づけにあったのか、確かめる意味においてもやはり書かずにはいられない。

 初めてアバドを聴いたのはおそらくマーラーの交響曲第2番「復活」の録音だったろう。昔のFM放送は偉くて新譜をばんばんかけてくれた。評判の録音だったから聴きたかったけど、LP2枚組は中学生の私には高かった。それで放送されるまで待ったのだった。
 深夜、眠い目をこすりつつ聴いたその演奏は、それまで聴いていたバーンスタイン盤の劇的なそれとは異なり、実に美しかった。特に第4楽章でマリリン・ホーンが歌う「原光」に「これは女神の歌声だ」と思ったのを覚えている。続く第5楽章はバーンスタイン盤の阿鼻叫喚の地獄絵図とそこからの救済を音のドラマで表していたのに対し、整然とした語り口による論理と説得力と自信に満ちた輝かしいクライマックスを聴かせてくれた(まあそんな気がした大笑い)。少なくともそこには地獄も天国もなく、あるのは圧倒的な音楽の充実感、音楽の美そのものの感動があった。これはとんでもない演奏だと思った。

 その後も順調にマーラーの録音を出しつつ、他のレパートリーも着々とこなししかもオペラの録音までどんどん世に問う様に、小澤ファンとしてはいささか羨ましかった。70年代後半、40代の小澤さんでもまだ交響曲全集もオペラの録音もなかったからだ。

 プロコフィエフのスキタイ組曲「アラとロリー」の録音も鮮烈な印象だった。ほぼ初めてプロコフィエフを聴いたのだったが、圧倒的な音響のなかで、しかも実に精密に練られた演奏プランにいっぺんに好きになってしまった。たしか中古レコード屋で見つけてからしばらく、毎日聴いていたのではないか。先ほどの「復活」もそうだったが、シカゴ響のうまさには(当時はあまり気づかなかったが)舌を巻く。

 さてその後もロンドン響やウィーンフィルから録音を次々出していたが、どうも日本の音楽雑誌ではあまり評判が良くなかった。アバドというと「あの優等生的な演奏」と誰もが書いた。「微温的」「面白みがない」などと書かれることもあった。実際聴くときっちりまとまったスマートで手際のよい演奏だが、確かにどこか教科書的と言えなくもなかった。ただアバド自身お好きなムソルグスキーやプロコフィエフでのキレの良さは抜群で、スタイリッシュかつコントロールされた音響ともども、かなりアバドの意思を感じた。

(つづく)


[CD] クラウディオ・アバド(cond)/マーラー: 交響曲第2番ハ短調 復活(マーラー没後100年記念/SHM-CD)
今聴いても新鮮な「復活」です。


輸入盤 スペシャルプライス【送料無料】 Tchaikovsky チャイコフスキー / チャイコフスキー:交響曲第6番『悲愴』、プロコフィエフ:スキタイ組曲、ベルク:『ルル』組曲、他 アバド&シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ 【DVD】
楽天にはシカゴ響との旧盤がなかったので、2010年ルツェルン音楽祭のときのライブ録画から。往年のシカゴ響のキレはないが、この若いオケも健闘しています。





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最終更新日  2014年02月16日 19時07分39秒
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