一即多、多即一

一即多、多即一

2005.01.24
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
「7つの習慣―成功には原則があった!」スティーブン・R・コヴィー、キングベアー出版、p82

(ビクター・)フランクルは、心理学者であると同時にユダヤ人だった。第二次世界大戦が勃発したとき、彼はナチスドイツの強制収容所に送られ、人間の尊厳を害するような、筆舌に尽くし難い体験をした。

両親、兄弟、妻は収容所で病死したり、あるいは毒ガス室に送られたりして、妹以外の家族全員が亡くなった。フランクル自身も拷問され、数知れぬ屈辱を受けた。自分の道はガス室に至るのか、それとも救われてその運命にあった人々の死体を運び、彼らの灰をスコップで掃除する役割に回るのか、それこそ自分の運命がどうなるか分からない毎日だった。

ある日、フランクルは裸にされ、小さな独房に拘禁されてしまった。そこで彼はナチスの兵士たちが決して奪うことのできない自由――人間の最後の大いなる自由と彼は呼んでいる――を発見したのである。看守たちは、確かに彼のおかれた環境のすべてをコントロールすることができたし、彼の身体を思うがままにすることができた。しかし、ビクター・フランクル自身は、自分の状況を客観的に観察することができる「自覚」のある人間であった。彼の基礎的なアイデンティティーそのものは健全で、損なわれてはいなかった。だからフランクルはその状況下で自分はどう影響されるかを自分で選択することができた。彼に起きた出来事あるいは受けた刺激と、それに対する彼の反応との間には、彼の自由、すなわち反応を選択する能力(ちから)が存在していたのだ。

収容所にいる間、フランクルはほかの状況を頭の中に描いた。例えば、収容所から解放され、大学で講義している場面を想像した。その教室の中にいる自分の姿を想像し、拷問を受けている最中に学んだ教訓を生徒たちに説明している状況を思い描いた。

そうして自分の知性、精神、道徳観を研ぎすますことにより(主に記憶と想像力を活かして)、彼は自分の小さな自由の芽を伸ばし、それを次第に大きく育て、やがてナチスの看守たちよりも大きな自由――選択できる内的な能力(ちから)――を持つに至った。彼は看守を含めた周りの人たちの大きな模範となり、生き甲斐を与える存在となった。その模範のおかげで、周囲の人たちは苦しみの中にも生きる意味を、そして収容所生活の中にも人間としての威厳を保つことができたのであった。

想像を絶するほど下劣で人間の尊厳を汚す状況の中にあって、フランクルは「自覚」という人間の独特の性質を活かし、人間の本質にかかわる基礎的な原則を発見した。


 他人を外部からコントロールすることができるが、その人の内面までは本来何人たりとも侵すことはできない。そのことがフランクルの体験からよくわかる。他人を自分の思い通りにしようとしても、本質的には不可能なことである。

 そして、周りに影響を与えるにも、まずは自分が変わっていく必要がある。他人が自分の思い通りにならないからと苦痛を感じたりするが、自分の思い通りにはなるものではない。まずは他人をどうこういうより、自分自身が変わっていくことにより、周りに影響が及ぼされていくのである。


 フランクルの収容所体験が書かれた名著「夜と霧」だが、わたしはまだ読んでいない。近いうちに読んでみたいと思っている。


フリーページ 「ヴィヴェーカーナンダの言葉」更新しました。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.01.30 07:16:58
コメント(3) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

ふと思ったこと(1252) New! マー坊007さん

精神世界の叡智 龍氣☆☆さん
マハラジャのお店仏… マハラジャ(アショカ)@京都のおっちゃんさん
明日もいい風が吹き… 風の谷のすなふきんさん
徒然草 Rishikeshさん

Comments

仏具法具アジア雑貨>レ(゜〇゜レ)マハラジャ @ Re:目覚めよう(04/27) 自分も目覚めるまで後何回の転生が必要な…
Geist Holistic Center @ 目覚め あのOSHOは数台のベントレーやロール…
湖 南 @ Re:衝撃の事実(04/09) こんばんは 私のようなオタクとは違って…
one3792 @ Re[1]:衝撃の事実(04/09) マー坊007さん >おはようございます。…
one3792 @ Re[1]:衝撃の事実(04/09) ミネア135さん >私もほんとこの前まで…

© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: