トライアンフを彷彿させるスマートなスタイルと野太いエクゾーストサウンドが気に入って遠目に憧れていましたが、偶然20年程前に横浜のトライアンフ専門店の幸福商会がトライアンフの下取り車をヤフーオークションで出品しているのを見つけ、すぐに実車を見に行って即決で手に入れました。マフラーがかなり痛んでいたほかは元々程度はよかったですが、入手後にヤフーオークションや部品交換会でオリジナル塗装のタンクやサイドカバー、新品メーター、新品シートを探し続けて順次交換し、今に至っています。
650ccクラスの4サイクル2気筒モデルは歳を取っても取り回しが楽なので愛用可能年数が長いメリットがあるので、レストアするなら徹底的にしたほうがいいと思います。
現状のオリジナルとの相違を上げます。
1. マフラーは純正の大根マフラーを長い間探したのですが、程度のいいモノが結局見つからず、仕方なく台湾製のリプロ品に交換しています。
2. キャブもケイヒンに交換されていたので、純正キャブを入手し、一旦交換しましたが、吹き上がりのレスポンスはケイヒンのほうがいいので、元に戻しています。
3. シートはXS-1初期型の新品を探しましたが見つからなかったので、普段はXS-1Eの新品を付けて走っています。その後、比較的ましな初期型シートを入手できたので、スポンジを交換、特徴的なストライプの関連金具も再メッキして、現在予備パーツとして保管しています。
シートはこの撮影時にはベース車のXS-1Bのシートをレストアして付けていました。ダンデムベルトがモールの外側を回っていて取付け方法が間違っています(笑)。
当時のヤマハはDT1ととも美しいデザインでは他社を全く圧倒していました。本家のトライアンフも脱帽でしょう。出藍の誉れとはこのことでしょうが、何となく今の中国製品を思わないこともありません。
なお、この撮影時にはXS-1Eの新品シートに交換しています。ダンデムバーがやや後方に傾いているのが、初期型やXS-1B型との違いです。
始動性が悪く気難しい面があるトライアンフですが、日本車に与えた影響ははかり知れません。恐らく、その後のバイクのスタンダードになったオリジナリティは本当に素晴らしいとただ敬服します。
写真のXS-1初期型とXS-1Bとの主な違いは、
1. フロントフォークのブーツが廃止、
2. タンクの白ストライプの下に細いラインを追加、
3. シートは側面のダンデムストラップベルトの挿入口から雨水が入って腐食するため、ベルトをモールの下を通してシートベースに回り込んで固定する形に変更。
この初期型カタログが一番好きでした。
XS-1Bはこのカタログのように、当時「XS-650」と呼ばれていましたが、XS-1Eに比べると初期型の印象を強く残しています。
タペットカバーも再メッキしました。
フロントフェンダー、リアフェンダー、チェーンカバー、フォークカバーは再メッキしました。今はメッキ業者を探すのもひと苦労なので、早めの手配をお薦めします。
エンブレムもスルメのように反りかえっていたので DT1系と共通
の純正新品に交換しました。
バックミラーもYAMAHAマーク入りの新品に交換。
エキゾーストパイプは純正が二重構造になっており、重厚なエキゾーストサウンドに貢献しているので、
レストアで再メッキして再使用しています。しかし、マフラー本体は錆がひどく、下部分に穴が開いている状態で表面にもかなり錆が回っていました。写真のように鉄工所で穴を溶接で塞いでもらいましたが、周辺がサクサクの状態で錆が止まらず、再使用を断念しました。
そこでオリジナルマフラーの程度のいいモノをかなり探しましたが見つからず、仕方ないので一重構造の台湾製のリプロ品に交換しました。ただ、サウンドも若干軽めとは言え、エキゾーストパイプがオリジナルのせいか、かなり排気音の再現はされているので、これで満足しています。販売元のR-Pro-Companyの門倉社長はかなり思い入れを入れてレプリカ製品を作っておられるので、マフラーの軽い音色のことを指摘したら、かなり機嫌を損なってしまいました。反省。
結局、 再使用を断念した純正大根マフラー
。表面に錆が広がり、これだけでも再メッキが不可欠の状態でした。
さらにマフラーの下部が錆で穴が開いていて、溶接とリベットで写真のように修復したものの、周りの鉄板がサクサクで修復後にまた穴が開く始末だったため、結局再使用を諦めました。
現在、装着しているミクニのキャブ。アクセルのツキがいいので、別途保管の純正キャブに敢えて戻さないでいます。
異常気象によるガレージの温室状態に心配していましたが、燃料コックからの漏れもなく、ほっとしています。
新品メーターを入手し、交換しています。20年前でも手に入れるのに5年ほど掛かりました。
レプリカマフラーは純正より鉄板が薄いので、全体的にオリジナルより幾分軽い音がします。ただ、オリジナルと聞き比べないと、分からない程度です。
音の大きさで比べると、
XS-1初期型=XS-1B> R-プロ社レプリカ> XS-1Eの順番です。
余り乗っていないこともあり、XS-1Eの新品シートは今も新品状態。
タンク内は錆止めコーティングをレストア時に入念に実施してあります。
乗っていて、黄色い粉がバッテリーの上などに溜まるようになれば、シートのスポンジが劣化している証拠です。
XS-1初期型シートに憧れて、比較的程度のいいモノをやっと見つけましたが、それでもシート横のストラップベルト引き込み口から雨水が入って、ベースがかなり腐食していたので、XS-1Bの元のシートベースに交換しました。また、中のウレタンスポンジはYAMAHAの欠陥素材というべきで、同年代の他車シートに比べてひどく劣化しています。スポンジを入れ替える時は少し大きめにカットしておかないとシートカバーを張り替えた時にシワが出ますのでご注意下さい。
シートに座っただけで黄色いウレタンスポンジの粉がバッテリーの上に貯まるくらいでしたが、このひどい劣化の有様では頷けます。
スポンジを除去するとシートベースもかなり腐食していました。片側スタンドでよく停車していた個体は雨水が貯まって左側のシートベースの腐りがひどいのが通常です。元のXS-1Bのベースのほうが状態がよかったので、交換しました。
苦労して手に入れたXS-1初期型シートのベルト挿入口金具とダンデムバーを再メッキに出した時の写真です。以前は東京都墨田区の「日本鍍金」にずっとお願いしてきましたが廃業されたので、大田区の「メッキ工房ナカライ」をご紹介いただき、この時初めて依頼しました。
余談ですが、再メッキに出す際は必ず写真を撮って、他の依頼者のパーツと混じらないよう、紛失に十分気をつけて下さい。
レストアが完了したXS-1初期型シートです。ストラップの挿入口の金具が特徴的です。
ベースは元のXS-1B用を交換して使っています。
上がレストアした1XS-1初期型シートで、下が現在付けているXS1-Eの新品シートです。若干XS-1Eのほうがサイズ的に短く、ダンデムバーが後方に傾いているなど形状が違うのが分かります。
ここまでご存知のマニアも少なくなってきました。
今後も更新を続けていきますので、よろしくお願いいたします。
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