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鉄人騎士。さん
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ひくまさんさん遺影に会う
ふる里を訪ねて最初に足を向けた所で悲しみの事実を知らされた。
ショックといえばあまりにもショックです。
楽しく昔を思い出しながら、散歩することを予定していたのだが、気持ちが動揺して周りの景色を見ても、感激も程々になってしまった。
中学校はもう一つ先の駅の近くにあります。急いでいきたい気持ちもあったが、
せっかく訪ねたふる里を見ないわけにもいかず、急いで回ることにした。
小川を過ぎるとすぐに、小学校が見える。
敷地に沿って道なりに行くと、すぐに自分が住んでいた集落がある。
自分が生まれた炭坑長屋のあたりにも行ったのだが、記憶が定かでない。
市場と呼ばれた個人商店が並んであった場所もただの空き地になっていた。
そこを通って行くともう小学校の反対側に出てしまった。
子どもの頃の記憶ではもっと遠くて、広い地域だったように思うのだが、
実際の広さはこんなにも狭い範囲だったのか。
友だちを訪ねようにも炭坑長屋の数が減ってまるでゴーストタウンのようだった。
何人と出会っただろう。ほとんど人がいなかった。
雅勝の家に行くことばかりが頭をよぎっている。
すぐに国道へ出た。列車を待つのも面倒だ。慣れたヒッチハイクで隣町まで行った。
JRの一駅は距離がある。僕の姉は中学校まで徒歩で通った。
みんなが自転車を持っている時代でもないし、みんな貧しかったから、徒歩で通うのが当たり前だった。
1時間近くかかっていたということだ。
僕も中学校の運動会を見に行ったことがあるが、すべて徒歩です。そんな時代だった。
中学校についたが、さてどこに住んでいるのでしょう。
学校の近所の方に聞いてやっと分かった。
住み込みの用務員なので、学校の一部に住居があった。
学校の中に入り、それらしき建物に向かった。
「ごめん下さい。」
「どちらさんですか?」
「雅勝くんの同級生で、○○○と申します。△△の息子です。」
「お~お~、そうか、そうか。よう、きんしゃったね。」
「雅勝くんに会いに来ました。」
「さあ、あがって、あがって。 ありがとう。手を合わせてやってください。」
お母さんとも挨拶したが、昔の明るくにこやかな顔ではなかった。
幼なじみの友だちが訪ねてくれた喜びよりも、息子を亡くした悲しみが大きく、やるせない表情がにじんでいます。
仏壇に向かうと、笑顔の彼がいた。
わずか22歳でこの世を去ってしまった。
信じられなかった。
体格はりっぱだったし、スポーツマンの彼がたった1本の注射で死んでしまうなんて、こんなことってあるのだろうか。
福岡で大学に在学中から新聞配達のアルバイトをしていた。
その年の冬は格別寒かった。
無理をしたのでしょうか。熱を出して、弱っているところに注射が逆効果になって、ついに帰らぬ人となってしまった。
卒業を目前にしてこんなことになるなんて。
家族も本人も無念の気持ちでしょう。
元気であれば、剣道の試合もしたかった。彼を目標にがんばってきたのだから。
小学校では経験の違いで遠く及ばなかったが、中学、高校、大学と10年間も続けてきたし、大学ではレギュラーにもなって、いくらかの自信はあった。
その後の親父さんとの会話。
「そうか、君も剣道を続けていたんか。3段取っているんなら大したもんや。
雅勝も3段取ってなあ、わしよりも強ようなっとった。どや、剣道しようか。」
でも、できなかった。そのときは悲しみで頭の中が朦朧としていたし、悲しみとやるせなさで力も出ない状態だった。
でも、そのときにしなかったことを、ずっとずっと、今も後悔している。
息子と剣道をしたくても出来なくなって、息子の代わりとして僕とやりたかったんではないかな。
そうであれば、親父さんの気持ちを叶えてあげればよかったと思う。
もっと話をしたかったのだが、親父さんの次の言葉で、すぐにこの場所を離れることになった。
「さっき、君が来るちょっと前に正ちゃんが来てくれてなあ。君と入れ違いになったね。」
「え~~。あいつが~。」
「そうや、初七日だからというて、博多から来てくれとった。
娘の久子が一緒について博多まで列車で帰ったところや。」
正ちゃんは僕の小学校1年からの友だちだった。
気にくわない奴なんだが、結構長い時間を共に遊んだ仲だった。
なんで、気にくわないかって?
それは後で述べます。
「親父さん、もっとゆっくり話をしたいのですが、すぐに追いかけます。すみません。」
会いたいと願っていた親友に会うことができない今となっては、他に会いたい奴は数名だけ。
その一人がさっきまでここにいた。
荷物を持って急いで国道に出た。ローカル線の単線です。
とばせば追いつく可能性はあります。
もちろん、ヒッチハイクです。
スピードを出してくれる車に当たることを願いました。